有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/02/12 15:01
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80項目

事業等のリスク

当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。あわせて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資者の判断にとって重要であると当社が考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、本項の記載内容は当社株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。当社は、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)事業環境に関するリスク
①競合について
当社のクラウド人材マネジメントシステム事業の分野において、競合企業が存在しております。また、当該事業分野が成長市場であること及び参入障壁が必ずしも高いとは言えないことから、今後、更なる他社の新規参入により競争が激化する可能性があります。
当社では、引き続き顧客のニーズを汲んだ製品・サービスの提供を進める方針でありますが、競合企業の営業方針、価格設定及び提供する製品・サービス等は、当社が属する市場に影響を与える可能性があり、これらの競合企業に対して効果的な差別化を行うことができず、当社が想定している事業展開が図れない場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②インターネット利用の普及について
当社は、インターネットを介してサービスを提供しております。そのため、スマートフォンやタブレット型端末等の新しいデバイスの普及により、インターネットの利用環境が引き続き整備されていくと共に、同関連市場が今後も拡大していくことが事業展開の基本条件であると考えております。
我が国の平成28年末のインターネット利用者数は1億84万人(前年比0.3%増)、人口普及率は83.5%(同0.5%増)となっております。(出典:総務省「平成28年通信利用動向調査」)。
インターネットの普及に伴う弊害の発生、利用に関する新たな規制の導入、その他予期せぬ要因によって、インターネット利用の順調な発展が阻害された場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③技術革新について
当社が事業展開しているインターネット関連市場では、技術革新や顧客ニーズの変化のスピードが非常に早く、インターネット関連事業の運営者はその変化に柔軟に対応する必要があります。
当社においても、最新の技術動向や環境変化を常に把握できる体制を構築するだけではなく、優秀な人材の確保及び教育等により技術革新や顧客ニーズの変化に迅速に対応できるよう努めております。しかしながら、当社が技術革新や顧客ニーズの変化に適時に対応できない場合、または、変化への対応のためにシステム投資や人件費等多くの費用を要する場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業内容及び当社サービスに関するリスク
①特定の製品への依存について
当社のクラウド人材マネジメントシステム事業は、特定のサービス『カオナビ』に依存した事業となっております。今後も取引の拡大に努めると同時に競合企業のサービスとの差別化を図ってまいりますが、上記(1)①に記載の通り、競合企業や新規参入企業との競争激化等が、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②システムトラブルについて
当社のサービスは、インターネットを介して提供されております。安定的なサービスの運営を行うために、サーバー設備の増強、セキュリティの強化、システム管理体制の構築等により、システム障害に対する万全の備えをしております。
しかしながら、大規模なプログラム不良や自然災害、事故、不正アクセス、その他何らかの要因によりシステム障害やネットワークの切断等予測不能なトラブルが発生した場合には、社会的信用失墜等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③解約について
当社のサービスを導入した企業が、当社サービスを継続利用することで生じるストック売上につきましては、顧客増加傾向にありますが、当社サービスの市場競争力の低下等によって解約が増加し、ストック売上が減少した場合は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)法的規制及び知的財産権等に関するリスク
①個人情報保護について
当社は、提供するサービスに関連して個人情報を取り扱っているため、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務を課されております。
当社は、個人情報の外部漏洩の防止はもちろん、不適切な利用、改ざん等の防止のため、個人情報の管理を事業運営上の重要事項と捉え、アクセスできる社員を限定すると共に、個人情報保護規程等を制定し、全従業員を対象として社内教育を徹底する等、同法及び関連法令並びに当社に適用される関連ガイドラインを遵守し、また、プライバシーマークを取得しており、個人情報の保護に積極的に取り組んでおります。
しかしながら、当社が保有する個人情報等につき漏洩、改ざん、不正使用等が生じる可能性が完全に排除されているとはいえません。従いまして、これらの事態が起こった場合、適切な対応を行うための相当なコストの負担、当社への損害賠償請求または信用の低下等によって、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②知的財産権について
当社の提供するサービスが第三者の特許権、著作権等の知的財産権を侵害する可能性については、弁理士等の外部専門家を通じて調査を行っておりますが、当社の提供するサービスに関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社が認識せずに他社の知的財産権を侵害してしまう可能性は否定できません。また、将来当社が提供するサービスに関連して、当社が知的財産権を取得するよりも前に他の事業者等が特許権その他の知的財産権を取得する可能性があります。これらの場合、当社に対する訴訟等が発生し、当社が提供するサービスに影響が出る可能性があるほか、当該訴訟等への対応のために必要となるコストの発生により当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③その他訴訟等について
当社は、その事業活動の遂行過程において、取引先及び従業員等により提起される訴訟その他の法的手続の当事者となるリスクを有しています。これらの手続は結果の予測が困難であり、多額の費用が必要となったり、事業活動に影響を及ぼしたりする可能性があります。さらに、これらの手続きにおいて当社の責任を問うような判断がなされた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)組織体制に係るリスク
①組織規模について
当社は、従業員107名(平成30年12月31日現在)であり、従業員一人当たりの業務領域が広汎に亘ることがあります。人材育成の観点では好ましい環境である一方、急速に業務量が増加する局面において役職員の負荷が増大し業務効率に影響を与える可能性があります。
当社は、今後、事業拡大に応じた人員増強、内部管理体制の充実を図る方針でありますが、事業の拡大に応じた人員増強が順調に進まなかった場合や内部管理体制の充実がなされなかった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②人材の確保や育成について
当社は、継続的な事業拡大のためには、優秀な人材の確保、育成及び定着が最も重要であると認識しております。
しかしながら、当社が求める優秀な人材が必要な時期に十分に確保・育成できなかった場合や人材流出が進んだ場合には、経常的な業務運営及び事業拡大等に支障が生じることや、採用費が計画から乖離すること等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③特定人物への依存について
当社の創業者であり、代表取締役社長である柳橋仁機は、当社事業に関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定など、当社の事業活動全般において重要な役割を果たしております。現在、当社では同氏に過度に依存しないよう、経営体制の整備、人材の育成を行う等リスクの軽減に努めておりますが、何らかの理由により同氏による当社業務の遂行が困難となった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(5)その他
①新株予約権の行使による株式価値の希薄化
当社では、当社の役職員に対するインセンティブを目的として新株予約権を付与しており、本書提出日現在における発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は18.1%となっております。これらの新株予約権が行使された場合には、当社の株式が発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
②継続的な投資と赤字計上について
当社は、継続的な成長のため、認知度の拡大と顧客数の増加及び優秀な人材獲得に努めてまいりました。近年、これらの取り組みを積極的に進めていることや、当社のビジネスモデル上、継続的に当社サービスを利用する顧客を増加させることで収益を積み上げ、投資回収を図る形態のため、経営成績は営業赤字となっております。今後も引き続き、認知度の拡大に資する活動及び優秀な人材獲得の活動は実施していく予定ですが、一方で、営業黒字を定常的に創出するべく、新規顧客の獲得や既存顧客の解約防止等に注力してまいります。しかしながら、想定通りに効果が得られない場合には、当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、平成29年3月期における広告宣伝費は123,258千円、販売促進費は20,214千円、採用費は34,818千円、人件費は164,347千円、営業損失は211,830千円であり、平成30年3月期における広告宣伝費136,073千円、販売促進費105,903千円、採用費88,560千円、人件費は300,934千円、営業損失は244,215千円であります。また、平成31年3月期第3四半期累計期間における広告宣伝費は108,666千円、販売促進費は34,020千円、採用費は54,412千円、人件費は454,381千円、営業損失は98,805千円であります。
(注)1.広告宣伝費の内訳としてはWEB広告等の定常的な支出であり、販売促進費の内訳としてはイベント出展費等の
一時的な支出であります。
2.販売促進費にはイベント支援及びPR活動支援等の業務委託費が含まれております。
3.人件費は売上原価の労務費及び販売費及び一般管理費の給料及び手当の合計額を記載しております。
③配当政策について
当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けておりますが、財務体質の強化に加えて事業拡大のための内部留保の充実等を図り、収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に充当することが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。
将来的には、各事業年度における経営成績を勘案しながら、株主への利益還元を検討していく所存でありますが、現時点において、配当実施の可能性及び実施時期は未定であります。
④資金使途について
当社が今回計画する公募増資による資金調達の使途につきましては、事業の拡大に伴う人材確保に係る人件費、認知度向上及び顧客基盤拡大に係るマーケティング費、『カオナビ』サービスに付随する新機能開発に係る開発費や人材採用に係る採用費に充当する予定です。
しかしながら、インターネット関連市場は変化が激しく、その変化に柔軟に対応するため、上記計画以外の使途に充当する可能性もあります。なお、上記計画以外の使途に充当することとなった場合、直ちに開示いたします。また、調達した資金を計画通りに使用したとしても、当初想定していた効果を上げられない可能性があります。また、将来に亘っては、資金調達の使途の前提となっている事業計画・方向性が見直される可能性があります。
⑤株式会社リクルートホールディングスとの関係について
株式会社リクルートホールディングスは、合同会社RSIファンド1号を通じて本書提出日現在、当社の発行済株式総数の25.7%を保有するその他の関係会社に該当しておりますが、同社より役員等の派遣を受け入れていないこと、経営の意思決定において同社への事前承認等を要しないこと等、当社の事業運営の独立性は保たれていると認識しております。なお、同社グループとの取引については、他の企業の取引条件との比較等により取引条件の適正性等を確保する方針です。
当社は、平成29年3月に同社からの資本参加を受けて以来、HRテクノロジー市場での事業拡大に向けて、同社グループと様々な協業を推進してまいりました。しかしながら、同社の経営方針やグループ戦略が変更された場合等、何らかの理由により当社との関係が将来において変化した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥税務上の繰越欠損金について
平成30年3月期末には当社に税務上の繰越欠損金が存在しております。当社の経営成績が順調に推移することにより、繰越欠損金が解消した場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純損益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。