有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/11/14 15:00
【資料】
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【項目】
82項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、「人を超え、時を超え、たいせつなものをつなぐ架け橋となる。」をミッションとして掲げ、買取から販売までを一貫して行うことによって、「誰かの不要なモノを誰かの必要なモノへ」を実現可能なリユース事業を推進することにより、循環型社会の発展に貢献して参ります。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、事業を継続的に発展させていくためには、収益力を高め、適正な利益確保を図っていくことが重要と認識しており、売上高、営業利益及び経常利益に加え、売上高営業利益率を重要な経営指標と位置付けております。
また、売上高の継続的な増加の実現及び営業活動が効率的に行われたかどうかを見るための有効な指標として、出張訪問数及び出張訪問あたり変動利益(売上総利益から広告宣伝費を差し引いた利益)を重要な指標としております。
(3) 経営環境及び対処すべき課題等
フリマアプリやインターネットオークションなどの普及に伴い、消費者にとってリユース品を売買しやすい環境が拡がり、リユース市場全体が成長しております。2017年度において顕在化しているリユース市場規模は約2兆円とされ、そのうちCtoCのネットリユース市場(ネットオークション及びフリマアプリ)が約6,905億円、BtoCのネットリユース市場(各ECモールやECサイトなど)が約3,317億円、店舗市場が約9,244億円と推定されており、2022年には約3兆円規模に拡大すると予測されております。(「データでみるリユース市場 最新版」リサイクル通信2019年5月11日付調査結果)また、潜在的なリユース市場規模を示す、自宅内の一年以上利用されていない不要品(以下「かくれ資産」)の日本における総額は2018年時点で約37兆円と推計されており、かくれ資産として今後追加されることになる過去一年間に不要となった品物の規模も約7兆6,000億円と試算されており、(「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」経済産業省、ニッセイ基礎研究所監修平成30年11月7日付調査結果)リユースの潜在市場規模はより大きなものと考えられます。
かくれ資産の処分方法としては、買取業者への持ち込み等toB取引が約32%と廃棄を除けば最も利用されており、フリマアプリの利用の約15%となお差があります。(同調査結果)当社のような買取業者による買取及び販売の市場規模は、巨大な顕在及び潜在リユース市場において引き続き主要部分を占めると考えられます。このような経営環境の下、リユース市場活性の一躍を担うためには、より一層の現状サービスの品質向上はもちろんのこと、「バイセル」ブランドの社会的認知度の向上、データ分析やテクノロジーを駆使した査定・買取システム強化及びCRMの実現、人的リソース含めた組織体制の強化、店舗展開等の買取チャネルや取扱商材の拡大、新規事業の創出等を展開していくことが経営戦略の課題と捉えております。具体的な対処すべき課題は以下のように考えております。
① 大規模マスマーケティング投資によるブランド認知獲得
2018年より当社のネット型リユース事業のサービスブランドを「バイセル」に変更し、大々的なテレビCMプロモーションとPR戦略により「バイセル」の社会的知名度向上を図って参りました。ブランド認知が進むに連れ、マーケティングでの申し込み獲得効率も向上するとともに問い合わせ件数が増えることで、より多くのお客様のニーズを顕在化することができると考えております。今後は、継続して「バイセル」のブランドPRのマーケティング強化を推進するとともに、リユース市場の中でサービス認知度向上の伸びしろが大きい「出張訪問買取」サービス利用の想起率を高めるマーケティング戦略を両立させることにより、マーケティングのさらなる効率化及び「出張訪問買取」を安心・安全に利用したいお客様の当社指名率並びに中長期的なオーガニック検索(自然検索)の流入率を高めることが、今後の成長に不可欠であると考えております。
② 査定組織の強化
当社は、約250名の査定員により出張訪問買取を全国展開しておりますが、今後益々増加する査定の申込に対応するためには、人材採用及び教育体制を強化し、更なる組織規模の拡大とより強固なコンプライアンス体制を構築させていく必要があると考えております。
③ データ・テクノロジーを活用した査定・買取作業効率化
リユースビジネスの成功は迅速かつ正確な査定から始まるという考えのもと、当社の査定体制は、出張訪問する査定員の現場査定に加えて、当該査定員からモバイル端末を利用して送られて来る画像や動画等の情報をもとに、商品管理部門に所属する真贋及び鑑定を専門とする社員により二重で査定内容をチェックする体制を構築しております。年々増加する査定申込への対応や特殊技能を要する商材の査定に対し、今後更なる迅速かつ正確な査定を実現するためには、テクノロジー領域への積極投資によるインフラシステムの強化を推進するととともに、顧客情報、商品情報、販売価格等のデータ解析やOCR(Optical Character Recognition:光学的文字認識)技術を用いた画像査定を導入するなど、更なる効率化を図る必要があると考えております。
④ 顧客データ活用によるCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)の実現
当社の主要顧客層である50代以上のシニア層のお客様からのリピート率を向上し、更なる買取量の最大化及び顧客ニーズの充足を図る観点から、過去から蓄積している顧客データや商材分析データを活用したCRMの実現によりリピート率等の向上を図る必要があると考えております。
⑤ toC向け販売及び海外販路の拡大
当社は、古物市場やオークション販売等のtoB販売が売上高のおよそ90%を占め、自社ECサイト「バイセルオンライン」及びECモール(ヤフオク!、楽天市場など)での販売や百貨店での催事を中心とする一般消費者向けのtoC販売は売上高のおよそ10%程度に留まっており、そのほとんどが国内での販売となっております。
売上高に占めるtoC販売の比率の増加及び海外販路の開拓を推進することにより、更なる利益率の改善を図る必要があると考えております。
⑥ 顧客データ基盤を活用した新規事業創出
当社では、愛車の資産価値を維持及び向上させるアプリ「CAPPY(キャッピー)」など、新規事業の創出と育成に取り組んでおります。今後、さらに多角化するお客様ニーズを充足し、循環社会の形成への寄与および持続的な成長を実現するため、業務提携やM&A等を含めてリユース事業に隣接する事業や当社をご利用いただくシニア顧客層へのサービス展開等の新規事業の創出と育成を推進する必要があると考えております。