有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2019/11/06 15:00
【資料】
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【項目】
79項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、“未来の予定を晴れにする”を経営理念としており、目指すゴールは、お客様と相思相愛なインターネットメディアを創出すること、であります。そのような想いの中で、日本気象協会との共同事業である天気予報専門メディア「tenki.jp」を運営してまいりました。
<当社の経営理念の背景にある想い>天気は私たちの生活の中に存在し、いつも影響を与えてくれます。
「今日、雨ならこれをしよう」
「明日、晴れたらここに行こう」
今を生きる私たちも、昔の人も、そして未来の人も、同じことを感じるでしょう。
有史以来、天気は人類にとって身近で生きるために大切な情報です。
私たちがこれから目指すのは、人々が情報を受け取った、その先の課題解決。
例えば、雨の予報を見た人がどんな気持ちになるのか。
大雪の地域に住む人は何を必要とするのか。
そんなひとりひとりのココロに寄り添い、それぞれが抱える課題に最適なソリューションを提供していくことも私たちの仕事だと考えます。
Weather Techを通じて、ちょっと先の暮らしに小さな幸せを届け続ける。
それが私たちの実現したい未来です。
(2)経営戦略等
当社は、これまでtenki.jp運用に伴うインターネット広告分野に軸足を置き、気象に関する情報を集め、それを分析・蓄積し、付加価値をつけ、価値を提供することをテクノロジーで実現することにより、“未来の予定を晴れにする”という経営理念を実現してまいりました。
現在の主たる事業はtenki.jp事業でありますが、これまでアドネットワーク広告関連市場の立ち上がり時期から今日に至るまで、一貫して市場の健全な成長と当社サービスである「tenki.jp」の競争力強化に積極的に投資を行い、市場からの認知並びに評価の獲得に努めてまいりました。特にアドネットワークは、日進月歩の高度な技術でありますが、当社には本分野の知見を有する者が所属しております。今後の方針としても引き続き、当社では自社の強みが活き、かつ今後の拡大が見込まれるアドネットワーク広告関連市場に経営資源を投入していく所存です。
また、当社は気象産業における法令の改正等を含めた過去の経緯、技術革新による状況を「天気1.0時代」「天気2.0時代」「天気3.0時代」の3つの時代に分けて捉えており、以下は当社が考えるそれぞれの時代の定義を記載しております。
<天気1.0時代>限られた気象業務法の許可事業者が新聞・テレビをはじめとしたマスメディア、公共機関及び事業会社へ気象予報等の気象情報をBtoBで提供していた時代。
<天気2.0時代>気象業務法の改正(1993年)及びインターネットの発展(1990年代後半から2000年代)によって民間事業会社でも気象情報を一般消費者へ、直接、提供することが可能(BtoC)となった時代。
<天気3.0時代>IoT(Internet of Things)、人工知能(AI)及びビッグデータ解析等の技術革新を背景とした気象情報のリアルタイム解析等に伴う、気象情報と現実社会を結びつけて新たな価値を産業や社会へ提供することが可能となる時代。
当社は天気2.0時代においてtenki.jpの発展を通じた事業拡大を行ってまいりました。今後到来すると当社が考える天気3.0時代においては、内閣府の提唱するSociety5.0(注1)に沿って、経済発展と社会的課題の解決を両立する社会の構築を担う事業会社が一般消費者から支持を受け、事業拡大を達成できるものと考えております。
当社の主要事業であるtenki.jp事業に継続して経営資源を投下して事業を拡大してまいります。更に天気3.0時代へ向けて、年間約40億PV(2019年2月期実績)を記録するメディアであるtenki.jpを活かすための人工知能等の最先端技術を採り入れた技術強化を追求し、気象情報と現実社会を結びつけた新たな価値を提供する「Weather Tech」企業を目指して事業拡大を図り、競争優位性を創出することで持続的な成長を目指します。
注1:「Society5.0」とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)を指します。(内閣府HPより)
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、より高い成長性及び収益性を確保する視点から、売上高成長率及び売上高営業利益率を重要な経営指標と捉えております。また、主要事業であるtenki.jp事業の売上高のKPIであるtenki.jpのPV数についても重要な指標と位置付けております。
(4)経営環境
2018年の広告費を媒体別にみると、日本のインターネット広告費は1兆7,589億円で対前年比116.5%となりそのうち運用型広告費は1兆1,518億円で対前年比122.5%(出典:株式会社電通「2018年日本の広告費」)となっており、市場規模及び成長率ともに当社事業にとって好環境となっております。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社は、「気象情報」を社会インフラ化することを将来の事業目的としております。tenki.jpは一般的な気象情報のみならず、日本気象協会所属の気象予報士による記事や独自の指数情報(服装、体感等)、レジャー天気情報等も掲載されており、PCのWebページ、スマートフォンアプリ、スマートフォンサイトを合わせて年間約40億PV(2019年2月期実績)を記録しております。天気情報は、各種メディアでも必ずと言っていいほど触れられており、日本における世間一般の認識では気象庁の観測データを頂点とした社会インフラ化が一定程度は進んでおりますが、昨今多発している異常気象や天災の発生において、必ずしも正確な情報がリアルタイムに共有されていないこと等から、当社としては、気象情報の分野においてまだ取り組むべき余地は十分にあると考えております。また、難関といわれる気象予報士資格保有者の多くが気象関連の業務に就いておらず、日本社会として有効活用できていないことも社会的課題と認識しております。当社は、今後、tenki.jpの充実を図り、知名度向上を目指し、上述の課題に対するソリューションを提供すべく事業を展開する予定でございます。また、(2)経営戦略等に記載のとおり、今後到来する天気3.0時代へ向けた投資を行う予定でございます。
具体的に、当社が対処すべき主な課題は以下のとおりであります。
① サービスの認知度向上
当社が今後も高い成長率を持続していくためには、「tenki.jp」の認知度を向上させ、継続的な利用を行うユーザーを獲得していくことが必要不可欠であると考えております。天気予報専門メディアという年齢を問わないサービスであるからこそ、マーケティングや広報活動等を一層強化・推進し、幅広いユーザー獲得に努めてまいります。
② 技術革新への対応
当社は、広告のトレーディングデスク業務を主体にマネタイズを展開しておりますが、新たなインターネット関連の技術革新やデータ分析技術の進歩に対してタイムリーに対応することが、今後の事業展開上重要な要素であると認識しております。そのために、Google LLC等インターネット・サービス事業者の動向を把握し、その技術情報をいち早く入手すると同時に、それに対抗する独自の技術を開発することで、自社サービスの先進性やユニーク性を確保してまいります。
③ 人材採用及び組織体制の整備
当社の継続的な成長には、事業拡大に応じて優秀な人材を採用し、組織体制を整備していくことが重要であると考えております。当社の経営理念及び経営戦略に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を採用していくために、最先端の技術革新を担うことができる人材の積極的な採用活動を行っていくとともに、従業員が働きやすい環境の整備、人事制度の構築を行ってまいります。
④ 内部統制及びコンプライアンス強化
当社は、内部統制及びコンプライアンス強化は、企業としての社会的責任と認識しており、業務を適正に執行するための社内組織体制の一層の整備が重要な経営課題と考えております。そのために、これまでも社外取締役の選任、監査・監督機能の充実等、全社的なリスク管理体制の整備を強化してまいりましたが、今後も当社としてこれらの内部統制及びコンプライアンス体制につきましては、強化する方針であります。
⑤ 新規ソリューションの提供
当社は、上述の課題に対し気象情報の一般消費者への提供だけでなく、気象情報と現実社会の連携を深めるための新規ソリューションの提供を検討しております。
2018年12月に当社が出資した株式会社Nature Innovation Groupとの連携強化をはじめ、現実社会ですでにサービスを提供している事業会社との提携による新規事業の創出や有効活用されていない気象予報士のネットワーク化による新規ビジネスの開始等のために経営資源を投下する方針であります。