有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/05/21 15:00
【資料】
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【項目】
123項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
① 財政状態の状況
第3期事業年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
(資産)
当事業年度末における流動資産は645,632千円となり、前事業年度末に比べ310,524千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が285,109千円増加したことによるものであります。固定資産は48,757千円となり、前事業年度末に比べ4,114千円減少いたしました。これは主に固定資産が減価償却により12,830千円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は、694,389千円となり、前事業年度末に比べ306,410千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は356,258千円となり、前事業年度末に比べ137,318千円増加いたしました。これは主に、前受金が98,352千円増加したことによるものであります。固定負債は前事業年度末に比べ200,000千円減少し、残高はありませんでした。これは転換社債型新株予約権付社債が200,000千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、356,258千円となり、前事業年度末に比べ62,681千円減少いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は338,131千円となり、前事業年度末に比べ369,091千円増加いたしました。これは主に、当期純利益156,625千円の計上により利益剰余金が増加したこと及び転換社債型新株予約権付社債の普通株式への転換により資本金が100,000千円、資本剰余金が100,000千円それぞれ増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は46.2%(前事業年度末は△9.2%)となりました。
第4期第3四半期累計期間(自 2019年4月1日 至 2019年12月31日)
(資産)
当第3四半期会計期間末における流動資産は888,568千円となり、前事業年度末に比べ242,936千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が232,884千円増加したことによるものであります。固定資産は109,737千円となり、前事業年度末に比べ60,979千円増加いたしました。これは主に有形固定資産が前事業年度末に比べ43,991千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は998,306千円となり、前事業年度末に比べ303,916千円増加いたしました。
(負債)
当第3四半期会計期間末における流動負債は471,803千円となり、前事業年度末に比べ115,544千円増加いたしました。これは主に前受金が38,336千円、未払法人税等が101,892千円増加したことによるものであります。固定負債は31,481千円となり、前事業年度末に比べ31,481千円増加いたしました。これは、資産除去債務31,481千円を計上したことによるものであります。
この結果、負債合計は503,284千円となり、前事業年度末に比べ147,025千円増加いたしました。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産合計は495,021千円となり、前事業年度末に比べ156,890千円増加いたしました。これは主に四半期純利益の計上により、利益剰余金が157,050千円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は47.9%(前事業年度末は46.2%)となりました。
② 経営成績の状況
第3期事業年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
当社は、「買い物を、かしこく、たのしく」というビジョンの下、折込チラシを中心とした日々の買い物情報をパソコンやスマートフォンで簡単に閲覧できる仕組みを創ることで、ユーザーの利便性を高め、また小売企業の経営の効率化を支援する事業を展開しております。
当社が事業展開する小売業界においては、経済産業省発表の「商業動態統計月報」では2019年2月の商業販売高は36兆2,540億円となっております。また、株式会社電通が発表する「2018年日本の広告費」によれば、2018年のインターネット広告費は1兆7,589億円、前年比16.5%増と5年連続で2桁成長を維持する一方、折込広告費は3,911億円(前年比93.8%)と減少傾向が続いております。今後、折込広告費はインターネット広告市場への取り込みが進んでいくものと見込まれております。
このような経営環境のもと、当社は「サービス開発力」と「顧客サポート力」の特性を生かしたチラシ・買い物情報サービス「トクバイ」、また、地域の観光協会や自治体との連携による地域のよりみち情報サービス「ロコナビ」を提供してまいりました。
当事業年度においては、「トクバイ」では折込広告の代替となる販促施策として着実に認知を広げ、食品スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンター等の領域で当社が占めるマーケットシェアの拡大が顕著となりました。また、「ロコナビ」では、新たなサービス価値の向上に注力することで掲載情報数並びにユーザー数の拡大に努めてまいりました。
以上の結果、当事業年度の売上高は1,008,807千円(前事業年度比507,919千円増)、営業利益は146,445千円(前事業年度営業損失204,744千円)、経常利益は145,684千円(前事業年度経常損失200,017千円)、当期純利益は156,625千円(前事業年度当期純損失200,547千円)という結果となりました。
なお、当社はインターネットメディア事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
第4期第3四半期累計期間(自 2019年4月1日 至 2019年12月31日)
当社は、「地域のくらしを、かしこく、たのしく」をビジョンとし、日本の生活者の行動を変えるサービスの創出を目指していくことから、2019年8月1日に株式会社トクバイから株式会社ロコガイドへ商号変更いたしました。今後、地域の買い物のみならず、地域の生活者の暮らしに欠かせないサービスの開発にも取り組んでまいります。
当第3四半期累計期間においては、主力事業であるチラシ・買物情報サービス「トクバイ」において更なるユーザー獲得を進めるために、店頭販促の実施等を継続的に行いました。また、掲載情報量の拡大に努め、専門小売業態でも導入を進めてまいりました。機能面では、タイムセール等のお得な情報をまとめて見ることができるコーナーを新設するなど、機能開発に取り組んでまいりました。
以上の結果、当第3四半期累計期間の売上高は1,037,062千円、営業利益は266,919千円、経常利益は265,436千円、四半期純利益は157,050千円という結果となりました。
なお、当社はインターネットメディア事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
第3期事業年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税引前当期純利益を145,697千円計上したこと等により、前事業年度末に比べ285,109千円増加し、576,083千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は272,590千円(前事業年度は159,746千円の支出)となりました。これは主に、税引前当期純利益145,697千円の計上、前受金の増加額98,352千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は39千円(前事業年度は5,523千円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出3,041千円がありましたが、差入保証金の回収による収入3,081千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は12,479千円(前事業年度は4,611千円の収入)となりました。これは、新株予約権の発行による収入12,479千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が提供するサービスには生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
b.受注実績
当社が提供するサービスには受注に該当する事項がありませんので、受注実績に関する記載はしておりません。
c.販売実績
第3期事業年度及び第4期第3四半期累計期間の販売実績は以下の通りであります。
セグメントの名称第3期事業年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
第4期第3四半期累計期間
(自 2019年4月1日
至 2019年12月31日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
インターネットメディア事業1,008,807201.41,037,062

(注)1.最近2事業年度及び第4期第3四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。
相手先第2期事業年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
第3期事業年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
第4期第3四半期累計期間
(自 2019年4月1日
至 2019年12月31日)
金額
(千円)
割合
(%)
金額
(千円)
割合
(%)
金額
(千円)
割合
(%)
Google Asia Pacific Pte. Ltd.44,3038.8138,10413.7123,99212.0

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりまして、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は後記「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
第3期事業年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
売上高は主にインターネットメディア事業における有料契約店舗数の拡大(前事業年度末比10,162店舗増)等により1,008,807千円(前事業年度比507,919千円増)となりました。
売上原価は主に売上増加に伴うサーバー利用料10,984千円の増加等により95,200千円(前事業年度比29,407千円増)となりました。
販売費及び一般管理費は、主に事業拡大に伴う給料及び手当92,924千円の増加等により767,161千円(同127,322千円増)となりました。
この結果、当事業年度の営業利益は146,445千円(前事業年度営業損失204,744千円)となりました。
営業外損益につきましては、営業外収益は、主に受取家賃3,313千円及び業務受託料1,200千円の減少により、1千円(同4,728千円減)となりました。営業外費用は、主に為替差損673千円の増加により、762千円(同759千円増)となりました。
この結果、当事業年度の経常利益は145,684千円(前事業年度経常損失200,017千円)となりました。
特別損益につきましては、特別利益は退職に伴う新株予約権戻入益の計上により13千円(同13千円増)となりました。特別損失は発生しておりません。
この結果、当事業年度の税引前当期純利益は145,697千円(前事業年度税引前当期純損失200,017千円)となりました。
法人税等につきましては、売上増加等による課税所得の稼得に伴い法人税、住民税及び事業税824千円(同294千円増)、繰延税金資産の増加により法人税等調整額△11,752千円(同11,752千円減)の計上により、法人税等合計額は△10,928千円(同11,458千円減)となりました。
以上より、当事業年度の当期純利益は156,625千円(前事業年度当期純損失200,547千円)となりました。
第4期第3四半期累計期間(自 2019年4月1日 至 2019年12月31日)
売上高は主にインターネットメディア事業における有料契約店舗数の拡大により1,037,062千円となりました。
売上原価は主に売上増加に伴うサーバー利用料の増加等により70,612千円となりました。
販売費及び一般管理費は、主に事業拡大に伴う給料及び手当、ユーザー獲得のためのプロモーションの実施による広告宣伝費等により699,530千円となりました。
この結果、当第3四半期累計期間の営業利益は266,919千円となりました。
営業外損益につきましては、営業外収益は、主に助成金収入により590千円となりました。営業外費用は、主に株式公開費用の発生により、2,074千円となりました。
この結果、当第3四半期累計期間の経常利益は265,436千円となりました。
特別損益につきましては、特別利益は退職に伴う新株予約権戻入益の計上により159千円となりました。特別損失は発生しておりません。
この結果、当第3四半期累計期間の税引前四半期純利益265,595千円となりました。
法人税等につきましては、売上増加等による課税所得の稼得に伴い法人税、住民税及び事業税102,716千円、繰延税金資産の減少による法人税等調整額5,829千円の計上により、法人税等合計額は108,545千円となりました。
以上より、当第3四半期累計期間の四半期純利益は157,050千円となりました。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社が事業展開する小売業界においては、インターネット広告費が今後も好調な推移を示すと予測する見方ではあるものの、国内外の経済情勢を受け、小売業界の拡大基調やインターネット広告費の成長が当社の予想を超えて下振れするような場合には、当社の経営成績に重要な影響を及ぼすリスクがあります。
また、当社のインターネットメディア事業は、当社が運営するチラシ・買い物情報サービス「トクバイ」において、食品スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンター等、小売企業が取扱う多様な商品に係る最新の特売情報をリアルタイムでユーザーに提供しており、ユーザーからの信頼を基盤としたものであることから、ユーザーによるサービスの利用度合いは、当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
その他、当社が抱える事業等のリスクについての詳細は、「2 事業等のリスク」をご参照下さい。
以上を踏まえ、当社は常に市場動向には留意しつつ、ユーザーや小売企業に求められる機能やサービスを開発していくとともに、優秀な人材の採用、新規サービスの開拓、内部管理体制の強化をしていくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に備え、リスクの発生を抑え、適切に対応していく所存であります。
④ 資本の財源及び資金の流動性
資本政策につきましては、資本効率など当社にとって最適な資本構成を追求しながら、将来の成長のための内部留保の充実と、株主への利益還元との最適なバランスを考慮して実施してまいります。
当社においては、ユーザー獲得のための販売促進活動、優秀な人材を確保し育成する活動、また地域情報領域への取組みに係る活動への資金投下は継続的に実施する方針であります。運転資金については、自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。
将来の成長のための内部留保については、人材採用・育成、販売促進費、地域情報領域への取組みなど、将来の事業展開の財源のための投資に資源を優先的に充当してまいります。
⑤ 経営上の目標及び達成状況の分析並びに経営者の問題認識と今後の方針について
当社は、チラシ・買い物情報サービス「トクバイ」を軸に地域情報に関するサービスの提供を通じて、ユーザー利便性の向上を目指していくことを経営の基本方針としております。この基本方針を踏まえ、サービスの情報の網羅性及び充実度の向上等を通じてユーザー数の拡大、「トクバイ」を中心としたチラシ市場での収益構造の強化を通じて、2022年3月期のサービス月間利用ユーザー数2,400万ユーザー以上、有料契約店舗数37,000店舗以上到達をKPIとして目標設定しております。
第3期事業年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)
当事業年度においては、「トクバイ」では折込広告の代替となる販促施策として着実に認知を広げ、「ロコナビ」では、新たなサービス価値の向上に注力することで掲載情報数並びにユーザー数の拡大に努めてまいりました。この結果、当第3期事業年度末時点のサービス月間利用ユーザー数は994万人(前事業年度末比297万人増)、有料契約店舗数は20,328店舗(同10,162店舗増)となりました。ユーザーが買い物をしようと思った時、一番最初に思い浮かぶサービスとなるようにサイトの検索性の向上や情報の充実など、専門サービスとして進化できるようサービス開発に努めてまいります。
第4期第3四半期累計期間(自 2019年4月1日 至 2019年12月31日)
当第3四半期累計期間においては、主力事業であるチラシ・買物情報サービス「トクバイ」において更なるユーザー獲得を進めるために、店頭販促の実施等を継続的に行いました。また、掲載情報量の拡大に努め、専門小売業態でも導入を進めてまいりました。機能面では、タイムセール等のお得な情報をまとめて見ることができるコーナーを新設するなど、機能開発に取り組んでまいりました。この結果、当第3四半期会計期間末時点のサービス月間利用ユーザー数は979万人(前事業年度末比14万人減)、有料契約店舗数は24,660店舗(同4,332店舗増)となりました。なお、サービス月間利用ユーザー数については、2019年3月期の第3四半期から第4四半期にかけて、年末年始のセール情報等の掲載がとりわけ例年より高まったことによりテンポラリーな数値上昇がみられ、前年同期比では減少するものの、時系列でみれば堅調に推移しております。目標達成のために、ブランドの更なる知名度の向上や、利用者向けサービスの強化を通じて「トクバイ」の利用者の満足度を向上させサービス利用ユーザー数の拡大に努めてまいります。
当社が継続的に成長していくためには、経営者は「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「2 事業等のリスク」に記載の様々な課題に対応していくことが必要であると認識しております。それらの課題に対応するために経営者は常に外部環境の構造や変化に関する情報の入手及び分析を行い、現在及び将来における事業環境を確認し、その間の課題を認識すると同時に最適な解決策を実施していく方針であります。 なお、経営者の問題認識と今後の方針についての具体的な内容は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。