有価証券報告書-第17期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/28 14:04
【資料】
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【項目】
113項目
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産は3,629,291千円となり、前事業年度末に比べ163,443千円減少いたしました。これは、有価証券が300,943千円、仕掛品が163,123千円、売掛金が16,939千円増加した一方で、現金及び預金が657,597千円減少したことが主な要因であります。
固定資産は191,330千円となり、前事業年度末に比べ344,987千円減少いたしました。これは、有形固定資産が21,347千円、投資その他の資産が314,521千円減少したことが主な要因であります。
この結果、総資産は、3,820,622千円となり、前事業年度末に比べ508,431千円減少いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は455,599千円となり、前事業年度末に比べ34,014千円増加いたしました。これは、買掛金が26,620千円、未払金が6,281千円増加した一方で、預り金が1,235千円減少したことが主な要因であります。
固定負債は988,010千円となり、前事業年度末に比べ166,954千円減少いたしました。これは、退職給付引当金が5,825千円増加した一方で、長期借入金が160,008千円、長期未払金が12,771千円減少したことが要因であります。
この結果、負債合計は、1,443,610千円となり、前事業年度末に比べ132,940千円減少いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産は2,377,012千円となり、前事業年度末に比べ375,490千円減少いたしました。これは、減資による欠損填補として繰越利益剰余金が778,824千円、新株予約権の行使による新株の発行により資本金と資本準備金がそれぞれ195,722千円増加した一方で、減資による欠損填補として資本金が558,029千円、資本準備金が220,794千円減少し、当期純損失763,749千円を計上したことが主な要因であります。
この結果、自己資本比率は62.0%(前事業年度末は63.3%)となりました。
② 経営成績の状況
当事業年度における国内の医薬品業界は、新薬創出の難易度が高まる中、医療費を含む社会保障費の適正化政策の方針継続や薬価制度の改正の影響等により、厳しい事業環境の中で推移いたしました。
このような事業環境のもと、当社は、将来のBNCTの業容拡大を見据え、国立大学法人筑波大学が計画している初発膠芽腫を対象とした第Ⅰ相医師主導治験に関する契約を締結したほか、当社と三菱ケミカル株式会社及び国立大学法人東京大学との間で、ポリビニルアルコール※1とボロノフェニルアラニン※2から構成されるBNCT用製剤の実用化に向けた共同研究契約を締結いたしました。また、2024年2月には、BNCTの安全性と再発頭頸部癌に対する有効性に関する論文がCancersの電子版(論文題目「Safety of Boron Neutron Capture Therapy with Borofalan(10B) and Its Efficacy on Recurrent Head and Neck Cancer: Real-World Outcomes from Nationwide Post-Marketing Surveillance」)に掲載されました。BNCTの有効性について解析対象となった頭頸部癌患者155例のうち、頭頸部扁平上皮癌137例の最良奏効率は72.3%で、うち63例(46.0%)で完全奏効(CR)が認められました。また頭頸部非扁平上皮癌17例の最良奏効率は64.7%で、うち8例(47.1%)で完全奏効(CR)となりました。本論文掲載は頭頸部癌診療ガイドラインへの掲載に向けた大きな前進と考えております。
また、当社の開発パイプラインに関しては、2023年12月に「切除不能な皮膚血管肉腫」を対象として、希少疾病医薬品の指定を受けることができました。同指定を受けることにより、製造販売承認に向けた手続きにおける優先的な審査や国からの研究費の助成を受けることができるなどの優遇措置が付与されることになります。また、医師主導治験として開発を進めております「再発高悪性度髄膜腫」については、2024年2月に第Ⅱ相臨床試験の主要評価に関する観察期間が完了いたしました。今後は、本試験のデータ解析等の結果について慎重に評価を行った上で、製造販売承認に向けて最善を尽くしてまいります。
さらに、当社の海外事業に関しては、アジア市場への取り組みの一つとして、2025年から治療開始を予定している中華人民共和国における海南島医療特区への薬剤供給に向けて、現地当局や物流企業とともに輸出入手続きや当社における輸出取引開始に向けた社内組織の整備などを進めております。一方、欧米市場への取り組みに関しては、現地パートナー企業候補との協議を重ねておりますが、薬剤提供体制の構築に係る資金支出は、その投資効果が最大化される時期に調整を行い、引き続き医薬品受託製造会社やコンサルティング会社との協議を進めております。
BNCTの認知度向上に向けた取り組みに関しては、ライフサイエンス分野の最先端情報を提供するビジネス誌であるLife Sciences Reviewにおいて、BNCTの実用化を達成したこれまでの取り組みが評価され、当社が同誌のTop 10 Therapeutics Companies in APAC 2023 に選出されるとともに、医薬品の製造・開発に関する専門誌であるPHARM TECH JAPANにおける連載企画に寄稿を行いました。また2024年3月には、国際的な総合科学雑誌Nature(2024年3月21日号 Volume627 Issue 8004)の特集「RADIOLOGY IN JAPAN」に当社の記事広告 Japan pioneers a new cancer radiation treatment が掲載されました。これは当社代表取締役社長を含む3名のインタビューをもとに作成されております。本掲載では、BNCTの原理や特徴、日本で行われているBNCTの治療実施状況の解説に加え、BNCTの適応拡大に向けた取り組み状況に言及しており、この情報発信により国内外にある影響力のある研究者や医療機関、グローバル製薬企業に対するBNCTの認知度がさらに高まることが期待されます。さらに、在日フランス大使館において、当社のBNCTに関心を示すフランスのリヨンベラールがんセンター(Centre Léon Bérard)の研究所長と面談を行い、BNCTに関する認知度の向上に向けた取り組みを推進いたしました。
以上の結果、当事業年度の売上高は269,491千円(前年同期比17.6%増)、営業損失は760,300千円(前事業年度は営業損失806,775千円)、経常損失は760,208千円(前事業年度は経常損失775,974千円)、当期純損失は763,749千円(前事業年度は当期純損失778,824千円)となりました。
なお、当社は医薬品開発事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
<語句説明>※1「ポリビニルアルコール」
生体適合性に優れた無色無臭の水溶性高分子であり、医用材料として既に様々な形で利用されております。
※2「ボロノフェニルアラニン」
必須アミノ酸のフェニルアラニンと類似した構造を持ちながら、ホウ素原子を含有した化合物です。がん細胞に選択的かつ効率的に取り込まれることが知られており、熱中性子を当てると化合物中のホウ素原子が核反応を起こし、がん細胞を殺傷いたします。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,012,233千円(前事業年度末は
2,669,727千円)となり、前事業年度末に比べ657,493千円減少いたしました。
当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果使用した資金は876,837千円(前年同期は827,669千円の支出)となりました。これは主に、税引前当期純損失760,976千円を計上するとともに、棚卸資産が175,660千円増加、売上債権が16,939千円増加した一方で、仕入債務が26,620千円増加、減価償却費を35,039千円計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果使用した資金は9,010千円(前年同期は29,925千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出10,978千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果獲得した資金は228,353千円(前年同期は291,819千円の収入)となりました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入388,258千円があった一方で、長期借入金の返済による支出160,008千円があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
事業部門の名称当事業年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
医薬品事業494,709132.5

(注)金額は販売価格によっております。
b.受注実績
当社は、市場動向の予測に基づく見込み生産を行っており、受注生産は行っておりません。
c.販売実績
当社は、医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。
当事業年度の販売実績は以下のとおりであります。
事業部門の名称当事業年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
医薬品事業269,491117.6

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先前事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
当事業年度
(自 2023年4月1日
至 2024年3月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
株式会社エス・ディ・コラボ229,067100.0269,491100.0

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金は、新株式の発行と金融機関からの借入であります。当事業年度末における現金及び現金同等物は2,012,233千円であり、充分な流動性を確保しております。当社は、研究開発投資が資金需要の大部分を占めており、今後も継続して研究開発投資を実施する方針であります。必要な資金につきましては、自己資金のほか、新株式の発行や金融機関からの借入等により、資金調達を行う方針であります。
④ 経営戦略の現状と見通し
当社の経営上の目標は、BNCTの認知度の向上と上市後の安定的な収益の獲得及びそれに伴う事業基盤の確立であります。そこでBNCTの実施症例数の伸長に基づく月次売上高(ステボロニン®の受注数量)を上記目標の達成状況を判断するための主要な経営指標としております。
当事業年度の月次売上高の推移は次のとおりとなっております。
(単位:千円)
売上高4月5月6月7月8月9月年間累計
15,39923,09923,09930,79923,09938,498269,491
10月11月12月1月2月3月
15,39915,39915,39923,0997,69938,498

今後もBNCTの認知度の向上と上市後の安定的な収益獲得が実現できるよう経営資源を重点的に配分してまいります。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」をご参照下さい。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針
経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。

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