有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/03/05 15:00
【資料】
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【項目】
123項目
(1) 【コーポレート・ガバナンスの概要】
① コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、以下のとおりであります。
当社の細胞バンク事業はその性質上、一般社会、医療界よりの「持続的な信頼を得る事」が最も重要であり、そのためには、企業運営においても高い倫理観が求められます。
さらに、株主の権利を重視し、持続的に企業価値の最大化を目指すと同時に、健全かつ透明性の高い組織運営を維持していくことが重要であると認識しております。
その前提のもとで、コーポレート・ガバナンスの充実を重要な経営課題と認識し、経営管理体制の強化に努めております。
(親会社からの独立性の確保について)
当社の親会社である株式会社トリムメディカルホールディングスは、本書提出日現在当社の議決権の89.5%を有する支配株主であり、株式会社日本トリムの完全子会社であります。当社は、当社自らが上場会社となることでグローバルスタンダードに準拠した透明性のある経営システムを構築することを目指しております。
一方で当社の親会社である株式会社トリムメディカルホールディングスは、グループ全体としての企業価値の最大化の観点から、当社の上場後も引き続き当社の株式の過半数を所有する方針であると伺っております。
かかる状況において、親会社と一般株主との間に利益相反リスクが存在していることに鑑み、親会社等のグループ会社との利益相反取引を含む関連当事者取引については、関連当事者取引管理規程に基づき、当該取引の経済合理性等を確認し、取締役会の承認を得ることとしており、取引の健全性及び適正性を確保する体制を構築しております。
以上により、一般株主の保護を果たしながら、グループ経営を効率的に行い、企業価値を高める体制として、当社は、現在の体制が適切であると考えております。
② 企業統治に関する事項
(企業統治の体制の概要とその体制を採用する理由)
当社における、企業統治の体制は、株主総会、取締役会、監査役会、経営会議、倫理委員会、営業エリア長会議、内部監査担当者といった機関等を有機的かつ適切に機能させ、企業として会社法をはじめとした各種関連法令に則り適法に運営を行って参ります。また、コンプライアンスや重要な法令判断については、顧問弁護士と連携する体制を取っております。親会社グループからの独立性を確保する観点から、親会社グループとの取引を含む関連当事者取引を実施する場合には、関連当事者取引管理規程に基づき、取締役会にて事業上の必要性、取引条件の妥当性を検証するとともに、関連当事者取引を継続する場合にも年度初めの取締役会にて検証する体制を構築することによって、経営の健全性・効率性及び透明性が確保できるものと認識しているため、現状の企業統治体制を採用しております。
当社の取締役会は取締役3名(うち社外取締役1名)で構成されており、毎月1回開催する定時取締役会に加え、必要に応じて臨時取締役会を開催しております。取締役会は、経営上の意思決定機関として、法令又は定款に定める事項の他、経営方針に関する重要事項を審議・決定するとともに、各取締役の業務執行の監督を行っております。また、取締役会の意思決定及び監督機能の強化、業務執行の迅速化や責任の明確化を図り、コーポレート・ガバナンス体制の強化を目的に、執行役員制度を導入しております。取締役会により選任された執行役員は、取締役会にて決定された経営方針に従って、当社業務を執行いたします。
当社の監査役会は、常勤監査役1名及び非常勤監査役2名(社外監査役)で構成されております。毎月開催される定時監査役会に加え、必要に応じて臨時監査役会を開催しております。常勤監査役は取締役会その他重要な会議に出席するほか、監査計画に基づき重要な書類の閲覧、役職員への質問等を通じて、経営全般に関して幅広く監査を行っております。また、内部監査担当者及び会計監査人と連携して適正な監査の実施に努めております。
当社は、有限責任 あずさ監査法人と監査契約を締結しており、独立の立場から会計監査を受けております。
当社は、執行役員制度を導入しております。執行役員制度導入の目的は、経営の意思決定・監督機能と業務執行機能との分離により経営効率化を推進し、権限を移譲することで業務執行上の意思決定の迅速化及び業務執行の効率化を図ることにあります。執行役員の業務執行の相互調整は、取締役会を補佐する協議機関であります経営会議が行っております。経営会議へは、代表取締役、取締役、執行役員(各部門長)が出席し、月2回開催しております。経営会議では、当社の組織、運営、その他経営に関する重要な事項の審議を行い、取締役会への付議議案についての意思決定プロセスの明確化及び透明性の確保を図っております。また、必要に応じて監査役からの意見聴取を行っております。
当社は、社長の命を受けた内部監査担当者による定期的な内部監査を実施しており、当該結果について、代表取締役に報告され、後日、改善状況の確認を行っております。当社は、現在の組織規模を勘案し、独立した内部監査部門を設置しておらず、総合企画本部に所属する内部監査担当者及び管理本部に所属する内部監査担当者が内部監査を担当しております。内部監査担当者は監査役及び会計監査人と定期的に内部監査の実施状況や監査上の問題点、課題等について情報交換及び意見交換を実施し、三者間の連携を図っております。
当社は、幹細胞保管事業及び細胞治療研究に関連する倫理的諸事項について審議する倫理委員会を設置しており、年1回の定例会議に加え、必要に応じて臨時委員会を開催しております。倫理委員会は、会社における関連法規順守及び生命倫理基準等に適合した運営を確保することを目的として、会社委員及び外部委員による7名以内で構成され、審議を行っております。
当社の営業エリア長会議は、各営業拠点のエリア長により構成され、目標の共有や営業活動の改善、営業の進捗状況についての情報共有を目的として、毎月1回開催しております。
当社は、倫理委員会の適切な運営、企業倫理の醸成と法令順守、経営の意思決定における過程においての適切な助言と指導を目的に、各顧問と顧問契約を締結しております。なお、顧問の選解任については取締役会にて決議しております。
当社の取締役会及び監査役会、経営会議等は、以下のメンバーで構成されております。(◎は議長を表す。)
役職名氏名取締役会監査役会経営会議倫理委員会営業エリア長会議
代表取締役社長清水崇文--
取締役乃一進介--
社外取締役山田智男----
監査役坂井和夫※○-※○
社外監査役香山昭人---
社外監査役藤川義人--
執行役員石井衛※○---
執行役員土山覚史※○--
執行役員佐藤英明※○--
部長渡邊英伸※○---
次長木瀬雅崇----
課長平野真美----
課長池野雅英----
課長山川一志----
係長小﨑寛康----
課長北原純----
課長森勢健太郎----
係長松井晶生----
係長関幸子----
顧問幸道秀樹----
顧問徳増有治----

※オブザーバーとして出席しております。
当社の企業統治の体制の模式図は以下のとおりであります。

(企業統治に関するその他の事項)
a.内部統制システム
当社の内部統制システムは、業務の適正性を確保するための体制として、「内部統制システムの整備に関する基本方針」を定める決議を行っており、現在その基本方針に基づき内部統制システムの運用を行っております。その概要は次の通りであります。
[内部統制システム整備の状況]
1.取締役及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
(a)取締役会規程をはじめ社内諸規程の制定、適正な運用とともに必要に応じ発展的に改正等を行う。
(b)コンプライアンス管理規程を制定し、教育研修等の場を設けるなど、その修得を図るものとする。
(c)内部監査規程に基づき内部監査を実施する。内部監査担当者及び代表取締役は必要に応じて、会計監査人及び監査役会と連携し、情報交換等を行い、効率的な内部監査を実施する。
(d)取締役及び使用人が法令もしくは定款に抵触する行為が認められたとき、それを告発しても、当該告発者が不利益な扱いを受けない旨の、「社内通報制度」を制定する。
2.取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
当社は、職務執行にかかわる文書(電磁的記録を含む)の保存及び管理の取扱いについては、「文書管理規程」に基づき必要に応じて適時見直し整備、作成、保管及び廃棄等の取扱いを明確にするとともに、次のように定めております。
(a)取締役会議事録、株主総会議事録、社内規程、各種契約書などの重要文書は、電子媒体によるバックアップを併用し適切に保存管理する。
(b)文書管理所管部署は管理本部であるが、取締役及び監査役の閲覧請求に対して常に閲覧に供するものとする。
3.損失の危険の管理に関する規程その他の体制
経済活動におけるあらゆる損失の危険(リスク)を総合的かつ適切に認識し対応するため、リスク管理規程を制定し、多様なリスクを未然に防止するとともに、危機発生時にはそのリスクを極小化する管理体制を整備するものとしております。リスク管理部門としては、管理本部が統括し、担当取締役がそれを管掌することとしております。
4.取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
取締役の効率的な職務執行体制を確保するために次のように定めております。
(a)定例取締役会を毎月一回開催するほか、機動的な意思決定を行うため、臨時取締役会を開催するものとし、適切な職務執行体制を確保する。
(b)取締役会の決定に基づく職務執行を効率的に行うため、当社社内規程に基づく権限の委譲を行い、各レベルの責任者が意思決定ルールに則り業務を分担する。
(c)業務の効率化に必要となる情報インフラの整備・構築を図る。
5.当社における業務の適正を確保するための体制
当社は、上記に掲げた内部統制システムを整備しておりますが、その基本方針に基づき以下の具体的な
取り組みを行っております。
(a)内部監査による業務監査により、会社全般にわたる業務の適正性を確保し、公正で効率的な遂行を
図ることを目的とし、その結果を代表取締役社長に報告する。
(b)管理担当取締役は、効率的経営を促進するために、人材、資金及び情報等の統制環境を整備する。
(c)財務報告に係る内部統制の評価の基本方針に基づき、決算財務プロセス、重要性の大きいプロセス
を整備する。
6.監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項その使
用人の取締役からの独立性に関する事項
監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合、取締役会は監査役と協議の上、使用人を指名し、指名された使用人は補助者としてその職務に専念する。
(a)監査役の職務を補助すべき使用人は必要に応じてその人員を確保する。
(b)監査役が指定する補助期間中での指揮権は監査役に委譲されたものとし、取締役及び他の者の指揮命令は受けないものとする。
(c)当該使用人の人事異動及び人事考課については、監査役の同意を得るものとする。
7.取締役及び使用人が監査役に報告するための体制その他の監査役への報告に関する体制
取締役又は使用人は、法定の事項に加え、当社に重大な影響を及ぼす恐れのある事項、内部監査の実施状況、内部通報の事実を、速やかに監査役に報告する体制を整備する。
(a)監査役は取締役会のほか重要な会議に出席し、取締役及び使用人から職務執行状況の報告を求めることができる。
(b)取締役及び使用人は、法令に違反する事実、会社に損害を与えるおそれのある事実を発見した場合は速やかに監査役に報告する。
(c)取締役及び使用人は、監査役から業務執行に関する事項の理由を求められた場合には、速やかに報告する。
8.その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
監査役会は、社外監査役を含め公正かつ透明性を担保するための体制を整備する。
(a)監査役は代表取締役との意見交換を密にし、相互の意思疎通を図る。
(b)監査役会は内部監査担当者及び管理部と定期的に意見交換を行い相互の意思疎通を図る。
(c)監査役は業務に必要と判断した場合は、会社の費用負担にて、弁護士、公認会計士、その他専門家の意見を聴取する。
9.反社会的勢力を排除するための体制
反社会的勢力との関係を根絶するため、「反社会的勢力排除規程」に従い、主管部署たる管理本部が反社会的勢力に係わる社内各部門からの対応窓口業務、その他関連する業務を統括して対応しております。
b.リスク管理体制
当社のリスク管理体制は、市場、情報セキュリティ、環境、労務等あらゆる事業運営上のリスクに加え、地震、火災等の災害に適切に対処できるよう「リスク管理規程」を制定施行しております。また、必要に応じて、弁護士、公認会計士、税理士、社会保険労務士等の外部専門家の助言を受けられる体制を整えており、リスクの未然防止と早期発見に努めております。
c.責任限定契約
当社は、会社法第427条第1項に基づき、業務執行取締役等でない取締役及び監査役との間において、会社法
第423条第1項の損害賠償責任を限定する契約を締結しております。当該契約に基づく損害賠償責任限度額は、法令が定める額としております。なお、当該責任限定が認められるのは、当該業務執行取締役等でない取締役
及び監査役が責任の原因となった職務の遂行について善意でかつ重大な過失がないときに限られます。
d.取締役の任期
当社は、取締役の任期を1年とする旨を定款に定めております。
e.取締役の定数
当社は、取締役の定数を7名以内とする旨を定款に定めております。
f.取締役の選任決議
当社は、取締役の選任決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が
出席し、その議決権の過半数をもって行う旨を定款に定めております。
その他、取締役の選任決議は累積投票によらない旨も定款に定めております。
g.株主総会の特別決議要件
当社は、会社法第309条第2項に定める決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上
を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨を定款に定めております。
これは、株主総会における特別決議の定足数を緩和することにより、株主総会の円滑な運営を行うことを目
的とするものであります。
h.取締役及び監査役の責任免除
当社は、会社法第426条第1項の規定により、取締役会の決議によって、同法第423条第1項の取締役及び監
査役(取締役及び監査役であった者を含む)の損害賠償責任を法令の限度において免除することができる旨を
定款に定めております。当該責任免除が認められるのは、当該役員が責任の原因となった職務の遂行において
善意かつ重大な過失がないときに限られます。これは、取締役及び監査役が、期待される役割を十分に発揮す
ること等を目的とするものであります。
i.中間配当
当社は、株主への利益配分の機会を充実させるため、会社法第454条第5項の規定により、取締役会決議に
よって毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
j.自己株式の取得
当社は、機動的な資本政策の遂行を確保するため、会社法第165条第2項の規定により、取締役会決議によっ
て、市場取引等により自己株式を取得することができる旨を定款に定めております。