有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2022/05/16 15:00
【資料】
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【項目】
166項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
第32期連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,025,285千円増加し、38,344,072千円となりました。これは主に、販売用不動産の新規取得1,734,585千円を計上したことに伴う増加によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,249,928千円増加し、31,829,459千円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が1,300,654千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ775,356千円増加し、6,514,613千円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益803,577千円の計上等に伴い、利益剰余金が増加したことによるものであります。
第33期第3四半期連結累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年12月31日)
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,129,553千円減少し、37,214,519千円となりました。その主な要因は、売掛金が329,955千円増加したこと及び有形固定資産が431,703千円増加した一方で、借入金の返済及び買掛金の支払い等により現金及び預金が1,841,783千円減少したこと及び棚卸資産が80,715千円減少したことによるものであります。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて2,347,749千円減少し、29,481,709千円となりました。その主な要因は、未払法人税等が695,374千円増加した一方で、支払手形及び買掛金が2,771,704千円減少したこと及び借入金が568,306千円減少したことによるものです。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,218,196千円増加し、7,732,809千円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益1,261,029千円の計上等に伴い、利益剰余金が増加したことによるものであります。

②経営成績の状況
第32期連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当連結会計年度における我が国の経済は、2020年初頭から始まった新型コロナウイルス感染拡大の影響により、経済活動の自粛やインバウンド需要の急減、テレワークの推進、消費行動の変容等により、飲食業、イベント、観光業界など、多くの集客や密接を伴う業態にとって大きなマイナス影響がある一方で、巣ごもり需要を追い風とする電子商取引やデジタルトランスフォーメーション関連のサービスが躍進するなど「まだら模様」の景気動向を示しました。
近畿圏の不動産市況については、低金利環境を背景として都市部を中心に活発な不動産投資が行われ、価格が上昇しておりますが、コロナショックによるホテル用地需要の蒸発と商業地の活力低下により、今後の取引価格の動向が注目されます。
このような状況の下、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高15,024,559千円(前年同期比6.3%増)、営業利益1,891,115千円(前年同期比13.0%減)、経常利益1,515,178千円(前年同期比16.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益803,577千円(前年同期比36.7%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(不動産開発・賃貸事業)
当セグメントにおきましては、売上高は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済の停滞により、一部テナントビル等において賃料の減免措置などを実施したことによる減収の影響はありましたが、集合住宅2件(神戸市東灘区の集合住宅「アーデンコート住吉川」及び和歌山県和歌山市の集合住宅「セジュール弐番館」)を購入したことによる収益が寄与し、セグメント売上としては2,483,073千円(前年同期比2.0%増)、セグメント利益734,433千円(前年同期比1.8%減)となりました。
(不動産開発・販売事業)
当セグメントにおきましては、和歌山エリアの住宅用地の販売が76区画、建物引渡し棟数が71棟でした。また、兵庫県西宮市で完成した大型開発プロジェクト(夙川St Terrace秀麗の丘:夙川PJ)の集合住宅用地(約10,000㎡)の引渡しが増収に大きく寄与しました。これらの結果により、セグメント売上として5,673,906千円(前年同期比8.5%増)、セグメント利益としては1,135,683千円(前年同期比28.7%減)となりました。セグメント利益が前年同期比減となりましたが、主な要因として、前期は一過的に営業利益率が高い商品の販売があったことでセグメント利益が大幅に増加しており、その影響によるものです。
(マンション事業)
当セグメントにおきましては、全般的に販売活動が堅調に推移しました。物件別では、ユニハイムエクシア池田城南が11戸(完売)、ユニハイム豊中レジデンスが2戸(完売)、ユニハイム泉佐野駅前通りが70戸(完売)、ユニハイムあびこヴェスティが57戸(完売)、ユニハイム高田本郷が28戸(残35戸)、ユニハイム鳳ソレイユが38戸(残28戸)の引渡しとなり、計206戸を引渡しました。セグメント売上高としては、6,606,362千円(前年同期比6.8%増)、セグメント利益481,138千円(前年同期比21.1%増)となりました。
(その他の事業)
当セグメントにおきましては、シニア事業、レジャー事業、損害保険代理店業等から構成されており、シニア事業に関しては、期中において介護度の重症化による退去が発生し一時的に入居率が低下したものの、入居促進施策を行った結果、期末における入居率は前期末に引き続き90%を維持出来ました。しかしながら新型コロナウイルスの感染拡大による影響でレジャー事業の利用者が減少したことにより、減収となりました。結果として、セグメント売上高は261,216千円(前年同期比8.1%減)、セグメント利益72,107千円(前年同期比22.6%減)となりました。

第33期第3四半期連結累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年12月31日)
当第3四半期連結累計期間におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進み、また、9月には緊急事態宣言が解除されたことから、企業の景況感に改善傾向がみられ、サービス消費が持ち直すなど少しずつ経済活動と景気回復の動きが見られましたが、依然として先行きは不透明な状況であります。
このような状況の下、当社グループの当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高11,770,939千円、営業利益2,328,018千円、経常利益2,096,159千円、親会社株主に帰属する四半期純利益1,261,029千円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(不動産開発・賃貸事業)
当セグメントにおきましては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済の停滞により一部テナントビル等において、前期に引き続き賃料の減免措置などを実施しております。また、2021年12月に埼玉県所沢市の賃貸等不動産を購入しました。これらの結果、セグメント売上としては、1,805,696千円、セグメント利益614,638千円となりました。
(不動産開発・販売事業)
当セグメントにおきましては、京都市南区久世殿橋町の物流施設跡地の販売及び和歌山県和歌山市吐前の産業用地の引渡し、戸建住宅引渡しを行い、堅調に推移しました。これらの結果により、セグメント売上としては、5,249,011千円、セグメント利益1,870,547千円となりました。
(マンション事業)
当セグメントにおきましては、マンション在庫39戸(ユニハイム鳳ソレイユ25戸、ユニハイム高田本郷14戸)の引渡し及び竣工した新規分譲マンション97戸(ユニハイム住之江公園64戸、ユニハイム枚方牧野33戸)の引渡しを行い、セグメント売上としては、4,510,918千円、セグメント利益195,143千円となりました。
(その他の事業)
当セグメントにおきましては、主にレジャー事業に関して、上期においては前期より続いておりました新型コロナウイルスの感染拡大の影響による減収が落ち着き、徐々に客足も戻りつつ回復傾向にありましたが、変異株の発生の影響により、予断を許さない状況となりました。また、介護サービス利用者の需要は底堅く、シニア事業は堅調に進捗しています。結果として、セグメント売上としては、205,313千円、セグメント利益67,066千円となりました
③ キャッシュ・フローの状況
第32期連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ、495,750千円増加し、3,030,478千円(前事業年度末比19.6%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は781,014千円(前年同期は1,780,722千円の収入)となりました。主な増加要因は、仕入債務の増加額1,300,653千円及び税金等調整前当期純利益1,170,116千円であり、主な減少要因は、棚卸資産の増加額946,682千円及び法人税等の支払額767,740千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は880,193千円(前年同期は2,575,234千円の支出)となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得(主に賃貸用不動産の取得)による支出779,735千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、得られた資金は594,929千円(前年同期は1,142,784千円の収入)となりました。主な増加要因は、長期借入れによる収入6,471,405千円であり、主な減少要因は、短期借入金の純減額1,667,374千円及び長期借入金の返済による支出4,178,968千円であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社グループが営む事業では、生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載しておりません。
b. 受注実績
当社グループでは、受注生産として、注文建築の請負工事が該当しますが、金額の重要性が低いため「受注実績」としての記載は省略しております。
c. 販売実績
第32期連結会計年度及び第33期第3四半期連結累計期間の販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称第32期連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
第33期第3四半期連結累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年12月31日)
金額(千円)前年同期比(%)金額(千円)
不動産開発・賃貸事業2,483,073102.01,805,696
不動産開発・販売事業5,673,906108.55,249,011
マンション事業6,606,362106.84,510,918
その他の事業261,21691.9205,313
合計15,024,559106.311,770,939

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度及び第33期第3四半期連結累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第31期連結会計年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
第32期連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
第33期第3四半期
連結累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年12月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
株式会社プレジオ2,599,59017.3
日本電産グローバルサービス株式会社2,190,00018.6

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に下記の会計方針が連結財務諸表作成に係る重要な見積りの判断等に影響を及ぼすと考えております。
a.固定資産の減損
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損の要否を検討しております。将来の事業計画や市場環境の変化により、減損の兆候が発生した場合、減損損失を計上する可能性があります。
b. 繰延税金資産
当社グループの繰延税金資産については、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断し計上しております。市場環境の変化等により課税所得の見積り額が変動した場合や、税制改正により実効税率が変更された場合及び将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の会計上の見積りに対する影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討
第32期連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
(売上高)
当連結会計年度における売上高は15,024,559千円(前年同期比6.3%増)となりました。これは主に、マンション事業において、ワンルーム及びファミリー向けの分譲マンションを206戸(前期は178戸)引き渡したことによる売上高が6,606,362千円(前年同期比6.8%増)、不動産開発・販売事業において、和歌山エリアでの販売に加え、兵庫県西宮市で完成した大型開発プロジェクト(夙川St Terrace秀麗の丘:夙川PJ)の集合住宅用地(約10,000㎡)の引渡しをしたことによる売上高が5,673,906千円(前年同期比8.5%増)、不動産開発・賃貸事業において、新規購入した集合住宅が増収要因となり売上高が2,483,073千円(前年同期比2.0%増)へと増加したことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は10,842,002千円(前年同期比11.0%増)となりました。これは主に売上高の増加に伴う原価の増加によるものであります。
この結果、売上総利益は、4,182,556千円(前年同期比4.3%減)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は2,291,440千円(前年同期比4.4%増)となりました。これは主に、住宅・マンションの売上戸数に応じた広告宣伝費や販売促進費等の変動費用が増加したことによるものであります。
この結果、営業利益は、1,891,115千円(前年同期比13.0%減)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は67,703千円(前年同期比12.0%減)となりました。これは主に受取保険金の減少によるものであります。また、営業外費用は443,640千円(前年同期比0.7%減)となりました。これは主に、支払利息の減少によるものであります。
この結果、経常利益は、1,515,178千円(前年同期比16.0%減)となりました。
(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益は171千円(前年同期比96.4%減)となりました。これは主に、受取和解金の減少によるものであります。また、特別損失は345,234千円(前年同期は13,143千円)となりました。これは主に、減損損失の増加によるものであります。 当連結会計年度における法人税等合計は366,538千円(前年同期比30.4%減)となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益については、803,577千円(前年同期比36.7%減)となりました。
第33期第3四半期連結累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年12月31日)
(売上高)
当第3四半期連結累計期間における売上高は11,770,939千円となりました。主な要因は、マンション事業において前年度完成したマンション在庫並びに2021年8月に竣工した新規分譲マンションの引渡し(136戸)等によるセグメント売上高が4,510,918千円となったことによります。
(売上原価、売上総利益)
当第3四半期連結累計期間における売上原価は7,764,260千円となりました。これは売上の増加に伴う原価の増加によるものです。
この結果、売上総利益は、4,006,678千円となりました。これは、不動産開発・販売セグメントにおいて、京都市南区久世殿橋町の物流施設跡地の販売が大きく寄与した結果です。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当第3四半期連結累計期間における販売費及び一般管理費は1,678,660千円となりました。これは、マンション販売活動に伴う広告宣伝費等の増加によるものです。
この結果、営業利益は、2,328,018千円となりました。
(営業外損益、経常利益)
当第3四半期連結累計期間における営業外収益は84,470千円となりました。また、営業外費用は316,328千円となりました。
この結果、経常利益は、2,096,159千円となりました。
(特別損益、親会社株主に帰属する四半期純利益)
当第3四半期連結累計期間における特別利益は6,154千円となりました。また、特別損失は132,011千円となりました。
当第3四半期連結累計期間における法人税等合計は709,273千円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する四半期純利益については、1,261,029千円となりました。
b. 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要の主なものは、販売用及び賃貸用不動産の取得資金であります。その所用資金については自己資金、金融機関からの借入及び社債発行等により調達しており、案件ごとに調達条件を検討して決定しております。
③財政状態の分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。
④経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗状況について
当社グループは、不動産開発を基礎として、不動産の仕入から販売に至るまでをフルラインでカバーすることで高い収益性を達成することを目指しております。目標達成状況を判断する材料として、自己資本当期純利益率(ROE)を客観的な指標としております。2020年3月期については、高収益案件である夙川PJの宅地造成工事完成に伴い、顧客への宅地販売が短期間に集中した結果、一過的にROEが上昇しています。
なお、過去2年間の自己資本当期純利益率(ROE)は以下のとおりであります。
決算年月2020年3月期2021年3月期2022年3月期
第3四半期連結累計期間
自己資本当期純利益率(ROE)24.9%13.1%17.7%