有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/03/19 15:00
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130項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財務状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
また、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)を当事業年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前事業年度末の数値で比較を行っております。
① 財政状態の状況
第7期事業年度(自 平成30年4月1日 至 平成31年3月31日)
(資産)
当事業年度末の流動資産は、516,712千円となり、前事業年度末に比べ104,640千円増加いたしました。これは、主に、売掛金の増加100,119千円、商品及び製品の増加26,694千円、原材料及び貯蔵品の増加21,452千円及び現金及び預金の減少44,549千円によるものであります。固定資産は161,883千円となり、前事業年度末に比べ10,561千円減少いたしました。これは、主に、工具、器具及び備品の減少10,641千円、ソフトウエアの減少22,312千円、保険積立金の増加12,702千円及び繰延税金資産の増加10,252千円によるものであります。
この結果、総資産は678,596千円となり、前事業年度末に比べ94,078千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末の流動負債は、205,822千円となり、前事業年度末に比べ51,579千円増加いたしました。これは、主に、買掛金の増加32,837千円、短期借入金の増加15,000千円、未払法人税等の増加17,973千円及び1年内返済予定の長期借入金の減少10,272千円によるものであります。固定負債は、34,251千円となり、前事業年度末に比べ38,212千円減少いたしました。これは、主に、長期借入金の減少31,484千円によるものであります。
この結果、負債合計は、240,073千円となり、前事業年度末に比べ13,366千円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末の純資産は、438,522千円となり、前事業年度末に比べ80,711千円増加いたしました。これは、当期純利益80,711千円を計上したことによる利益剰余金の増加によるものであります。
第8期第3四半期累計期間(自 平成31年4月1日 至 令和元年12月31日)
(資産)
当第3四半期会計期間末の流動資産は、541,528千円となり、前事業年度末に比べ24,815千円増加いたしました。これは、主に現金及び預金の増加79,984千円及び売掛金の減少48,636千円によるものであります。固定資産は159,504千円となり、前事業年度末に比べ2,378千円減少いたしました。これは、主に有形固定資産の減少4,260千円及び無形固定資産の増加3,553千円によるものであります。
この結果、総資産は701,032千円となり、前事業年度末に比べ22,436千円増加いたしました。
(負債)
当第3四半期会計期間末の流動負債は、167,537千円となり、前事業年度末に比べ38,285千円減少いたしました。これは、主に未払法人税等の減少22,868千円及びその他流動負債に含まれる未払金の減少12,577千円によるものであります。固定負債は、18,466千円となり、前事業年度末に比べ15,784千円減少いたしました。これは、主に長期借入金の減少15,003千円によるものであります。
この結果、負債合計は186,003千円となり、前事業年度末に比べ54,069千円減少いたしました。
(純資産)
当第3四半期会計期間末の純資産は、515,028千円となり、前事業年度末に比べ76,506千円増加いたしました。これは、四半期純利益76,506千円を計上したことによる利益剰余金の増加によるものであります。
② 経営成績の状況
第7期事業年度(自 平成30年4月1日 至 平成31年3月31日)
当事業年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善により、緩やかな回復基調が続いておりますが、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響等、先行きは不透明な状況です。
当社は、主に企業向けにFeliCa/NFC搭載のICカード等やスマートフォンに特化した、非接触ICカード リーダ端末及び当社の独自音通信技術に対応した端末(双方併せて「Smart端末」)の販売並びに当社が提供するSmart端末と連携して運用する店舗向け販促サービスの提供及びSIerや付加価値サービス事業者への当社の独自音通信技術を用いた認証サービスである「TrustSoundサービス」のライセンス及びサービスの提供(SmartSoundサービス)を行っております。
Smart端末販売では、政府の働き方改革の推進及び昨今の労務管理の厳格化を背景に、特に勤怠管理用としての非接触ICカードリーダ端末の需要が増大しており、「Smart端末」の販売台数が堅調に推移しております。
一方で、SmartSoundサービスでは、大手顧客の販促取組み変更により旧来のサービスの売上が低下したことに加え、平成30年2月よりサービスを開始した「TrustSoundサービス」のライセンス及びサービスの販売では、顧客での試験導入は開始されていますが、収益化に時間を要しております。
また、費用面においては、前年同期比で人件費が増加しました。これは、当社のコアとなる技術本部及び営業力強化のための営業本部への人材投資等によるもので、当社事業を継続的に成長させるためには不可欠なものと認識しております。
この結果、当事業年度の業績は、売上高1,004,690千円(前年同期比22.3%増)、営業利益121,174千円(前年同期比64.1%増)、経常利益123,063千円(前年同期比65.5%増)、当期純利益80,711千円(前年同期比49.3%増)となりました。
なお、当社は、タッチポイントソリューション事業の単一セグメントであり、セグメントごとの記載をしておりません。サービス別の売上高の概況は以下のとおりです。
(Smart端末販売)
Smart端末販売におきましては、平成31年4月から大企業向けに適用が開始される働き方改革関連法の影響による非接触ICカードリーダ端末の需要拡大を背景に、販売代理店との関係性構築を図り当該ニーズを着実に捉えたことが功を奏し、当事業年度におけるSmart端末販売の売上高は797,760千円(前年同期比49.1%増)となりました。
(SmartSoundサービス)
SmartSoundサービスにおきましては、Zeetleカードサービスにおける新規の顧客獲得は進んだものの、旧来のサービスを利用する大口ユーザの解約の影響により、当事業年度におけるSmartSoundサービスの 売上高は206,930千円(前年同期比27.7%減)となりました。
第8期第3四半期累計期間(自 平成31年4月1日 至 令和元年12月31日)
当第3四半期累計期間における我が国経済は、政府の経済政策や金融政策の効果等により全体としては堅調な企業収益や雇用情勢の改善等緩やかな回復基調が続きました。しかしながら、海外経済の不確実性や金融資本市場の不確実性等により、先行きは不透明な状況です。
このような環境のもと、働き方改革関連法が平成31年4月から大企業向けに適用が開始され、令和2年4月から中小企業向けに順次適用が開始される影響による非接触ICカードリーダ端末の需要拡大を背景に、特に勤怠管理用としての非接触ICカードリーダ端末の需要が増大しており、「Smart端末」の販売台数が堅調に推移しております。
一方で、SmartSoundサービスでは、Zeetleカードサービのスのターゲットである飲食業界における人手不足、原材料価格の高騰、消費増税への対応等の影響により、当初見込んでいた案件の獲得に遅れが生じた一方、令和元年7月より開始したZeetleアプリ内広告による収入が順調に伸びております。
また、費用面においては、技術本部及び営業本部への人材投資等を行っており、当社事業を継続的に成長させるためには不可欠なものと認識しております。
この結果、当第3四半期累計期間の経営成績は、売上高802,377千円、営業利益115,881千円、経常利益115,849千円、四半期純利益76,506千円となりました。
なお、当社は、タッチポイントソリューション事業の単一セグメントであり、セグメントごとの記載をしておりません。サービス別の売上高の概況は以下のとおりです。
(Smart端末販売)
Smart端末販売におきましては、平成31年4月から順次適用が開始された働き方改革関連法の施行開始の影響により、当第3四半期累計期間におけるSmart端末販売の売上高は、667,446千円となりました。
(SmartSoundサービス)
SmartSoundサービスにおきましては、Zeetleカードサービスの新規案件の獲得に遅れが生じた一方、 令和元年7月より開始したZeetleアプリ内広告による収入の伸びにより、当第3四半期累計期間におけるSmartSoundサービスの売上高は、134,931千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
第7期事業年度(自 平成30年4月1日 至 平成31年3月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比べ44,549千円減少し、178,896千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果得られた資金は14,428千円(前年同期91,909千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益120,265千円に対し、売上債権の増加額100,119千円、たな卸資産の増加額48,147千円、仕入債務の増加額32,837千円及び法人税等の支払額31,832千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果使用した資金は26,980千円(前年同期42,107千円の使用)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出13,920千円及び保険積立金の積立による支出12,702千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果使用した資金は31,998千円(前年同期33,298千円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出41,756千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社製品につきましては、外部に製造委託を行っており、生産実績について特記すべき事項はありません。
b.受注実績
当社は見込生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
第7期事業年度及び第8期第3四半期累計期間における販売実績をサービス別に示すと、次のとおりであります。
なお、当社はタッチポイントソリューション事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。
サービスの名称第7期事業年度
(自 平成30年4月1日
至 平成31年3月31日)
第8期第3四半期累計期間
(自 平成31年4月1日
至 令和元年12月31日)
販売高(千円)前年同期比(%)販売高(千円)
Smart端末販売797,760149.1667,446
SmartSoundサービス206,93072.3134,931
合計1,004,690122.3802,377

(注)1.最近2事業年度及び第8期第3四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第6期事業年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
第7期事業年度
(自 平成30年4月1日
至 平成31年3月31日)
第8期第3四半期累計期間
(自 平成31年4月1日
至 令和元年12月31日)
金額
(千円)
割合
(%)
金額
(千円)
割合
(%)
金額
(千円)
割合
(%)
富士フイルムイメージングシステムズ株式会社--187,64418.7160,99020.1
株式会社ヒューマンテクノロジーズ--104,58310.489,01111.1

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.富士フイルムイメージングシステムズ株式会社と株式会社ヒューマンテクノロジーズは、第6期事業年度において総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成において、会計方針の選択・適用及び損益又は資産の状況に影響を与える見積りの判断は、一定の会計基準の範囲において、過去の実績や判断時点で入手可能な情報に基づき合理的に行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社の財務諸表で採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績
第7期事業年度(自 平成30年4月1日 至 平成31年3月31日)
(売上高)
当事業年度における売上高は、1,004,690千円(前年同期比22.3%増)となりました。これは主に、Smart端末販売の売上増によるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は、426,806千円(前年同期比32.0%増)となりました。これは主に、Smart端末の販売増による仕入及び外注加工費の増加によるものであります。
この結果、売上総利益は577,884千円(前年同期比16.0%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益及び売上高営業利益率)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、456,709千円(前年同期比7.7%増)となりました。これは主に、人件費の増加及び広告宣伝費の増加によるものであります。
この結果、営業利益は、121,174千円(前年同期比64.1%増)、売上高営業利益率は、12.1%(前年同期実績9.0%)となりました。(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
当事業年度における営業外収益は、2,465千円(前年同期比22.0%増)、営業外費用は、576千円(前年同期比61.6%減)となりました。
この結果、経常利益は123,063千円(前年同期比65.5%増)となりました。
(当期純利益)
特別利益にて、違約金収入を18,600千円、特別損失にて、固定資産除却損を21,398千円計上しております。
この結果、当事業年度における当期純利益は、80,711千円(前年同期比49.3%増)となりました。
第8期第3四半期累計期間(自 平成31年4月1日 至 令和元年12月31日)
当第3四半期累計期間の経営成績は、売上高802,377千円、営業利益115,881千円(売上高営業利益率14.4%)、経常利益115,849千円、四半期純利益76,506千円となりました。
b.キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
c.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の運転資金需要のうち主なものは、Smart端末の製品仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。
当社は、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は金融機関からの借入により資金調達することとしております。このうち、金融機関からの借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、生産設備などの長期資金は、固定金利の長期借入金で調達しております。
平成31年3月31日現在、長期借入金及び1年内返済予定の長期借入金の合計残高は41,654千円であります。また、当事業年度末において、金融機関との間で150,000千円の当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しております(借入実行残高15,000千円、借入未実行残高135,000千円)。
d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、持続的な成長と収益力を高めることで企業価値を向上させることを重視しており、「売上高」及び「売上高営業利益率」を重要な指標として位置付けております。これらの指標の状況は以下のとおりです。
第7期の売上高は1,004,690千円(前年同期比22.3%増)と順調に伸びております。売上高の内訳としましては、働き方改革関連法の影響によりSmart端末販売の売上高は797,760千円(前年同期比49.1%増)と大幅な伸びとなったものの、旧来のサービスを利用する大口ユーザの解約の影響によりSmartSoundサービスの売上高は206,930千円(前年同期比27.7%減)となっております。
第8期第3四半期累計期間の売上高は802,377千円となっております。売上高の内訳としましては、Smart端末販売の売上高は667,446千円、SmartSoundサービスの売上高は134,931千円となっております。
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、当社ではストック型の売上であるSmartSoundサービスの売上構成比を上げ、安定的な収益を上げていくことが重要であると認識しております。
売上高営業利益率につきまして、第7期は12.1%、第8期第3四半期累計期間は14.4%となっております。売上高営業利益率につきまして10%以上を維持しており一定の評価をしておりますが、当社では15%以上を目標としており、今後さらなる営業効率の向上を図る施策を推進してまいります。
売上高(千円)売上高営業利益率(%)
第7期(平成30年4月1日~平成31年3月31日)1,004,69012.1
第8期第3四半期累計期間
(平成31年4月1日~令和元年12月31日)
802,37714.4

e.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」をご参照下さい。
③ 経営者の問題意識と今後の方針
経営者の問題意識と今後の方針は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
  • 有価証券届出書(新規公開時)