有価証券届出書(新規公開時)

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2020/11/16 15:00
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153項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)事業に関するリスク
①少子化や待機児童減少について
チャイルドケアサービス事業(ナニーサービス、ベビーシッターサービス)においては、女性の社会進出やベビーシッター利用への社会的認知度の増大により、矢野経済研究所「ベビー関連市場マーケティング年鑑2019年版」によれば、ベビーシッター市場の年間売上高は、2013年度の257億円から2018年度は294億円へと拡大しております。当社グループでは、顧客ニーズの多様化や個別化に対応したチャイルドケアサービス事業の展開を行っており、さらなる事業拡大に努めてまいりますが、少子化の進行により、将来、待機児童が減少した場合には、ベビーシッターのニーズも減少する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
エデュケア事業においては、待機児童解消に向けた取組みを目的とした「待機児童解消加速化プラン」が2013年4月に安倍内閣により公表されて以降、新規参入を含む多数の事業者が保育所を開設して2017年度末までの5年間で約53.5万人分の保育の受け皿が拡大しております。また、2017年6月に「子育て安心プラン」が公表されるなど政府の対応が一段と積極化しております。こうした待機児童解消に向けた施策により、2018年4月1日時点での全国の待機児童数は19,895人(厚生労働省「「保育所等関連状況取りまとめ(2018年4月1日)」」と4年ぶりに減少しました。しかし、2019年10月から保育の無償化が開始されることで保育所への入所希望者が増える可能性があり、当面の待機児童数は高水準が続く見込みです。一方で、依然として少子化が進行しており、将来的には想定した園児数の獲得が困難となる可能性があります。エデュケア事業の収益は主に園児や児童の人数に応じて増減するため、想定した園児数等の獲得ができない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
人材紹介・派遣事業においては、将来待機児童が減少した場合、保育士等の紹介や派遣需要が減少する可能性があり、その場合には経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
②国や自治体による方針の改訂について
当社グループは、2020年10月現在8つの自治体から居宅訪問型保育事業(※)の認可を受け、ナニーサービスを提供しております。今後ベビーシッター事業に関連する国や自治体の方針が変わり、居宅訪問型保育事業が縮小された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(※)子ども・子育て支援法における地域型保育事業の一つとして位置づけられており、主に医療的ケアが必要な幼児の居宅において、保育者による1対1の保育を行うものあり、待機児童の多い都市部の保育では、この仕組みを利用した、待機児童対策が行われております。
当社グループのシルバーケアサービス(高齢者在宅ケア)事業のうち介護保険の対象となる訪問介護については、「介護保険法」の規制の対象となります。将来、介護保険法が改正され、介護保険適用対象になるサービス受給者ないし受給額が減少した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、家事支援サービスの一形態として“世界で一番ビジネスをしやすい環境”を作ることを目的に、地域や分野を限定することで、大胆な規制・制度の緩和や税制面の優遇を行う規制改革制度である国家戦略特区における地域限定のフィリピン人家事支援サービスを提供しております。フィリピン人家事支援サービスにつきましては、国が推進する国家戦略特区の政策のもと展開しているため、今後の政策動向等により、当社グループのサービスの展開や経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループのエデュケア事業のうち認可保育所及び認証保育所については、国あるいは地方自治体の許認可が必要であり、待機児童の動向等を考慮して、自治体ごとに年度の新設保育所の数が決定されます。したがって、国や自治体の政策変更により新規保育所募集の数が減少した場合には、当社グループの保育施設開設計画に影響を及ぼす可能性があります。また、既存の認可保育所及び認証保育所についても、将来、補助金の減額が行われることも考えられます。したがって、かかる政策変更が行われた場合には、当社グループにおける子育て支援事業の成長が止まり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
研修事業において現在、当社グループは、保育士の待遇向上と専門性の強化に向けて厚生労働省が定めた保育士等キャリアアップ研修や子育て支援員研修の国や自治体の研修委託を多数受けておりますが、今後待機児童問題が解消し、保育士不足の問題が一巡して国や自治体の方針が転換された場合、研修受託が減少し、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
③新規保育施設の開設施策及び賃貸借契約について
保育施設に適した物件の確保は、立地条件、環境、物件の質、広さ等の条件を満たすものでなければならず、物件の選定が他の業種と比較して困難であることから、絶対的な物件数が少ない状況にあります。また、各自治体や保育施設の運営を当社グループへ委託する法人顧客への提案は、新規開設に適した物件を確保しておくことが必要不可欠であり、物件確保は新規保育施設開設を計画どおりに進めていくための重要な課題であります。
当社グループにおいては、情報網の整備と、デベロッパーとの事業提携によりさらなる物件確保ルートの強化に努めておりますが、保育施設の環境とともに採算性を重視しており、保証金、賃借料等の開設条件に見合う物件が確保できない場合には、保育施設の開設計画が遅れることになり、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
また賃貸物件の契約が更新できない場合、又は契約更新時に賃借料が上昇した場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
④食の安全について
当社グループのエデュケア事業では、食育を重視しており、本社の栄養士チーム監修による献立に基づき、各施設にて素材にこだわった給食やおやつを手作りで提供しております。そのため、新鮮さ、栄養価、安全性など食材の品質に留意しております。また、「食品衛生法」に沿った厳正な食材管理及び衛生管理と食品アレルギー対策の徹底により、食中毒やアレルギー等の事故の防止に努めております。また、ナニー、ケアスタッフ、家事支援員がご家庭で調理を行う場合も同様の衛生管理の徹底を行っております。
しかしながら、何らかの原因により食の安全性に重大な問題が生じた場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(2)組織体制に関するリスク
①創業者への依存について
代表取締役会長である中村紀子(戸籍名:軣紀子)氏は、当社グループの創業者であり、長年の経営経験及び多様な人脈から、経営戦略、人材育成、企画立案、新規保育業態の開発等、当社グループの経営に重要な影響を与える事項及び意思決定において重要な役割を担っております。
当社グループでは、2020年4月に株式会社ポピンズホールディングス代表取締役社長として轟麻衣子(戸籍名:軣麻衣子)氏が就任し、同氏の下、各業務担当取締役及び執行役員を配置し、各々が参加する定期的な会議体にて、活発な意見交換を行うとともに情報共有などを積極的に進めております。また、適宜権限の委譲も行い、中村紀子(戸籍名:軣紀子)氏に依存しない組織体制・経営体質の強化を進めておりますが、何らかの理由により同氏の業務遂行が不可能あるいは困難になった場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②人材の確保、育成について
2020年1月の保育士の有効求人倍率は3.86倍と、業界の採用活動は困難を極める状況が続いております。当社グループでは、処遇改善のほか、働き方改革による残業削減や、働き甲斐のある職場づくりに努めてまいりますが、万一、予定した人材の確保に遅れ等が生じた場合、既存施設の運営計画や新規施設の開園計画に遅延等を及ぼす可能性があるため、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。そこで新たな施策として、2018年10月、保育士に「副業・兼業制度」を導入するとともに、保育士たちが保育施設で働きながら副業としてシッターとしても活躍できる「ベビーシッター付ナーサリー」を開始しております。
また、当社グループでは、ナニー及びベビーシッターやケアスタッフ、家事支援スタッフ等各事業サービスを運営する人材を確保する事は重要な経営課題であります。人手不足が深刻化する中で、各種人材の採用も年々難しくなる中、共働き世帯の増加による働く女性の拡大に伴い、当社グループが提供する各種サービスの利用ニーズは増える一方となっております。採用活動の強化やナニー検定、ナニースクール等に基づく人材育成を図っておりますが、万一欠員補充や新規人材の確保が計画どおり進まず、サービス提供体制の維持や人員基準を満たせなくなった場合や、ナニーやケアスタッフなどの稼働状況が想定を下回った場合には、サービス提供に影響を及ぼす可能性があります。
③内部管理態勢について
当社グループでは、業務上の人為的ミスや社員による不正行為等が発生することのないよう、教育研修強化及び内部牽制機能の強化に努めております。しかしながら、将来的に内部管理上の問題が発生した場合、ステークホルダーからの信頼性の低下が生じ、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④個人情報の流出について
当社グループでは、園児や児童から高齢者まで様々な年代のお客様及びその保護者・家族の氏名や住所に加えて人材紹介・派遣サービス登録者など多くの個人情報を保持しているため、個人情報を厳重に管理のうえ、慎重に取り扱う体制を整えております。万が一漏洩するようなことがあった場合には、利用者を含め広く社会的な信用を失うこととなります。その結果、ナニーサービス及びベビーシッターサービスやシルバーサービス利用者の退会、園児の退園、人材紹介・派遣登録者の減少、保育施設等の新規開設等に影響が出ることにより、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、2017年には、情報セキュリティマネジメントに関する国際品質規格ISO27001(品質マネジメントシステム)の認証を取得いたしました。事業の全ての領域において、積極的に情報セキュリティに取り組み、お客様の情報資産を安全に管理することが、経営課題であると自覚し、情報セキュリティを確保することで安全・信頼・最高水準のサービスという創業以来、当社グループが積み重ねてきたブランドイメージをさらに高め、顧客満足度を向上させてまいります。
⑤多様な人材の活用(外国人材、アクティブシニア等)について
当社グループでは、少子高齢化による人材不足の解消のため、女性とシニア、そして外国人材の活用に取り組んでおります。しかしながら、これらの多様な人材が十分確保できなかった場合は、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(3)外部環境に関するリスク
①法的規制等について
エデュケア事業では、各保育所の多くが認可保育所、東京都認証保育所、事業所内保育所など運営上、様々な法的規制のもとで運営されております。また、高齢者在宅ケア事業では介護保険対象外のVIPケアを主力としているものの、介護保険法等諸制度に基づいたサービスの提供も行っております。したがって、今後、法的規制が何らかの形で強化あるいは変更された場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、このような制度変更リスクから受ける影響をできる限り緩和するべく、保育所の運営形態を多様化するとともに、制度上の影響を受けないチャイルドケアサービス事業の強化育成など、事業ポートフォリオのバランスをとるべく努力しております。
なお、当社グループの事業に関連する主な法的規制等は以下のとおりであります。当社グループにとって主要な関連法令である児童福祉法においては、万一、関係法令の規定水準に達しない場合や、給付費の請求に関し不正があったとき、また、改善命令や事業の停止命令に従わず違反したときには、許認可が取り消される場合があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
ⅰ)チャイルドケアサービス事業
児童福祉法
ⅱ)シルバーケアサービス事業
介護保険法、食品衛生法
ⅲ)エデュケア事業
児童福祉法、児童福祉施設最低基準、食品衛生法
ⅳ)人材紹介・派遣事業
職業安定法
有料職業紹介事業の許可要件労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)
②雇用情勢の変化等について
人材紹介・派遣業界は、産業構造の変化、社会情勢、景気変動、法改正に伴う雇用情勢の変化等に影響を受けます。現状の需要は堅調に推移しておりますが、今後、様々な要因により雇用情勢もしくは市場環境が悪化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。景気後退に伴う新規人材需要の減少や既存の顧客企業における業務縮小・経費削減等により人材需要が大きく減退した場合、人材派遣における労働者派遣契約数の急激な減少、転職市場における求人需要の大幅減少に伴う人材紹介事業の事業規模縮小など、当社グループの事業運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(4)その他のリスク
①事故・安全管理について
当社グループのチャイルドケアサービス事業やエデュケア事業では0歳から学童までを対象としております。そのため、サービス提供の際に不測の事故等が発生する可能性を完全に排除することは困難であると考えております。また、昨今、小学校等において外部侵入者に対する危機管理の徹底が行われつつあります。保育施設でも同様な管理体制が不可欠ですが、保育事業は学童よりさらに低年齢の園児が対象であり、かつスタッフもまだまだ男性が少ないことからも、さらに徹底した対策が必要になります。
当社グループでは、定期的に行う全体会議や施設長ミーティング等で、起こりうる事故や起きてしまった事故の情報共有や対策検討を徹底しており、ISO9001による従業員への定期的教育及び業務マニュアルの遵守、また保険への加入等対応には万全を期しております。さらに、保育施設では、施錠の徹底や外部セキュリティ管理機関との契約等により、施設入出管理には徹底した配慮を行っており、当社グループは、施設の運営において園児や児童の安全に配慮し、万全の体制で臨んでおり、これまでに経営成績に大きな影響を与えるような事故等は発生しておりません。しかしながら、万一これらの事故が発生して当社グループの責任が問われるような事態が発生した場合には、当社グループへの信頼の低下、ブランド価値の毀損及び訴訟等の費用により、当社グループの今後の事業展開及び経営成績に影響を与える可能性があります。
シルバーケアサービス(高齢者在宅ケア)事業では、介護保険適用サービス対象の顧客は主に要介護認定を受けた高齢者を対象としていることから、サービス提供時には身体に負担を与えることも考えられ、その結果、顧客の体調悪化等が生じる可能性があるほか、介護サービス提供時における事故の可能性も否定できないと考えております。当社グループでは、定期的に行う全体会議等で、起こりうる事故や起きてしまった事故の情報共有や対策検討を徹底しており、ISO9001による従業員への定期的教育及び業務マニュアルの遵守、また保険への加入等対応には万全を期しております。しかしながら、万一これらの事故が発生して当社グループの責任が問われるような事態が発生した場合には、当社グループへの信頼の低下、ブランド価値の毀損及び訴訟等の費用により、当社グループの今後の事業展開及び業績に影響を与える可能性があります。
②自然災害について
当社グループでは、全国において保育施設、学童施設等運営のサービスを展開しております。地震や津波等の大規模な自然災害が発生した場合、当該エリアにおいて、スタッフ等の安全への懸念及び当社グループの事業所が稼動できない状況になると考えられます。当社グループでは、事業所機能の早期復旧や支援スタッフの派遣等、サービス提供態勢の維持に努めてまいりますが、サービス提供ができなくなる場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
本社・各支社・事業所において、緊急時における事業継続に係るリスク対策を総点検し、顧客の安全を最優先とした危機管理態勢の強化を図ってまいります。
③感染症について
当社グループでは、施設や居宅において子育てや介護支援のサービスを提供しており、顧客や従業員がインフルエンザやノロウィルスといった感染症に罹患する可能性があります。感染症対策として当社グループでは、安全・安心なサービス環境を確保するため、各事業において以下を実施しております。
ⅰ)チャイルドケアサービス事業:職員の予防接種や専門の病児スタッフ配置
ⅱ)シルバーケアサービス事業 :職員の予防接種や看護師チーム組成
ⅲ)エデュケア事業 :定期的な消毒や職員の予防接種等の実施
しかしながら、新型インフルエンザやコロナウイルス等、人類が免疫を持たない未知の感染症が流行した場合、従事する保育士や指導員、ベビーシッター、ケアタッフ等が多数欠勤することで施設の運営が困難となりうる他、感染症蔓延地域におけるベビーシッターのキャンセルなど、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
④競合他社の参入について
女性の社会進出拡大により実際に保育所への入所を希望する児童数(待機児童)は、首都圏を中心に引き続き高止まりの傾向にあります。このような状況下、エデュケア事業における保育所の受託競争は激化しており、一部の地域では価格競争になるケースもあります。また、既存の保育所においても、待機児童解消のため近隣に新たな認可保育所が開設される場合もあり、園児の獲得競争になるケースも発生しております。当社グループでは、価格競争の受託案件には参加せず、自治体や委託法人から「高品質の保育」の維持に対する理解を得ることにより、高付加価値サービスの提供に努めておりますが、今後多様な業種からの参入が相次ぎ、競合他社との競争がさらに激化した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
チャイルドケアサービス事業においては、当社グループでは自社開発システムであるポピンズシステムを活用した顧客情報の管理とスタッフによる適切な登録ナニーのマッチング体制を整えております。当社グループは、ベビーシッター事業者最大手として長年蓄積してきた実績とブランド力に加えて、顧客に最高水準のサービスを提供できるナニーを育成する充実した教育体制を備えており、これは一朝一夕でできるものではないため、高付加価値を求める顧客層向けのナニーサービスにおける参入障壁は高いと考えておりますが、他業界から大手企業が新規参入した場合もしくは価格競争が激化した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
シルバーケアサービス(高齢者在宅ケア)事業においては、当社グループは介護保険適用外のVIPケアサービスを事業の主力としており、現状では同様のニーズを満たしたサービスを提供する事業者には限りがありますが、今後同様のサービスを提供する競合他社が参入し、競合他社との競争がさらに激化した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤資金調達について
当社グループにおきましては、保育施設の新規開設に関する設備資金、新規事業もしくはM&Aに関する投資資金は、金融機関からの借入等により調達しており、総資産に対する有利子負債合計の割合は、2018年12月期53.5%、2019年12月期47.4%、2020年12月期第3四半期45.8%と高い比率で推移しております。今後、新規開設に伴い借入が増加する可能性があり、金利の急激な変動や金融情勢の変化によって計画どおり資金調達ができなかった場合には、設備投資や新規事業が制約されるなど当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
⑥減損会計が適用されるリスクについて
当社グループの保育施設は、土地及び建物を賃借しておりますが、一部の保育施設については内装設備等を資産計上しております。今後、固定資産を保有する保育施設の収益性が低下する等、固定資産の減損に係る会計基準及び固定資産の減損に係る会計基準の適用指針により減損損失を認識する事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑦季節変動について
保育施設の運営費等の精算は、国及び自治体の年度末である3月に集中するため、第1四半期(1月~3月)の利益率が大きくなる傾向があります。また、当社グループにおける保育施設等は4月に新規開設されるものが多くなります。加えて自治体より受託している保育士研修事業等は6月以降に開始され翌年3月まで実施されることが多い傾向があります。そのため、第2四半期連結会計期間(4月~6月)において、備品等の新規開設費用が計上されることや一部事業で売上が減少することにより利益率が一時的に低下する傾向にあります。
⑧グローバル展開について
今後は海外の事業者との戦略的提携によるグローバル展開や、海外での保育施設運営を目指してまいりたいと考えておりますが、海外特有の法的規制やカントリーリスク、為替リスクなど様々なリスクがあり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑨新規事業への取組みについて
当社グループでは、有望な新規事業として、全国の保育施設を運営する事業者等に向けた経営支援コンサルティング業務の展開を視野に入れております。しかしながら、新規事業の取組みには不確実な要素が多く、市場環境の大きな変化や競合他社の動向など様々な要因により、計画通り新規事業を拡大することが困難な可能性があります。
⑩案件を厳選したM&Aの推進について
当社グループでは案件を厳選したM&Aにより事業の拡大を図る場合がありますが、それに見合った収益が得られない場合や、資金の回収が滞る可能性があります。
⑪デジタルトランスフォーメーション(ICT、AIの活用による生産性向上とビジネスの拡大)について
当社グループでは、デジタルトランスフォーメーション部を設置し、情報のデジタル化とデータの有効活用に取り組んでいますが、ICTやAIを活用したビジネス拡大や生産性向上が計画通り進展しない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑫レピュテーションリスクについて
従業員による不正・不祥事や、個人情報等の業務上の機密情報の不適切な取り扱い・流出により、当社グループの信頼性・企業イメージが低下し、業績に悪影響を与える可能性があります。
⑬一般社団法人日本女性エグゼクティブ協会(JAFE)との関係について
当社代表取締役会長である中村紀子(戸籍名:軣紀子)氏が理事長を務める当社グループの外郭団体として、一般社団法人日本女性エグゼクティブ協会(JAFE)があります。当社グループとしましては、CSR活動の一環としてJAFEの活動方針に賛同し、様々な支援(寄付の実施、人材支援等)を行ってまいりました。今後は寄付を行わない方針であります。
具体的な法人の活動内容、当社グループからの支援状況は次のとおりであります。
外郭団体名活動目的・内容当社株式
保有状況
当社グループからの
支援の内容 (注)
一般社団法人日本女性エグゼクティブ協会(JAFE)(目的)
女性管理職の育成とネットワーキングの支援及び、子育てをする親及び在宅で援助が必要な高齢者やその家族に対して、支えあいの精神による市民参加のもとに、地域に根ざした
子育て支援と介護サービスを提供し、男女共同参画社会の形成、子どもの健全育成、及びすべての人々が健やかに安心して暮らせる地域社会づくりに寄与することを目的とする。
(内容)
・会員向けセミナー(女性管理職)
・一般向けセミナー(子育て・介護等)
なし寄付金
2018年12月期 10百万円

(注)当社グループからの支援の内容については、2020年10月31日現在の情報を記載しております。
当該団体への寄付金額については、当社グループとしてのCSR活動の一環として、活動資金の運用状況を勘案して必要金額を個別に見積って拠出しております。
⑭大株主について
当社の代表取締役会長である中村紀子(戸籍名:軣紀子)及び代表取締役社長である轟麻衣子(戸籍名:軣麻衣子)は、両氏の資産管理会社である株式会社スピネカの所有株式数を含めると、本書提出日現在で発行済株式総数の82.9%を所有しております。本売出しによって所有株式の一部を売却する予定ではありますが、引き続き大株主となる見込みです。
両氏は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求すると共に、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。当社といたしましても、両氏は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、大株主である両氏の持分比率が低下した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。