有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/08/27 15:00
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【項目】
129項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
第29期事業年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
当事業年度末における資産合計は2,042,166千円となり前事業年度に比べ117,880千円増加しております。これは、主に現金及び預金が138,240千円、繰延税金資産が21,118千円増加した一方、売掛金が29,629千円減少したことによります。
負債合計は571,273千円となり前事業年度に比べ13,324千円減少しております。これは、主に預り金が12,248千円、退職給付引当金が18,957千円増加した一方、長期借入金及び1年内返済予定の長期借入金が59,451千円、買掛金が20,752千円減少したことによります。
純資産合計は1,470,893千円となり前事業年度に比べ131,204千円増加しております。これは、当期純利益を131,204千円計上したことによります。この結果、自己資本比率は72.0%となり、前事業年度に比べ2.4%増加しております。
第30期第2四半期累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年6月30日)
当第2四半期会計期間末の資産合計は、前事業年度末と比較して284,002千円増加し、2,326,168千円となりました。その主な要因は、現金及び預金が291,526千円、繰延税金資産等の投資その他の資産合計が45,579千円増加し、売掛金が60,491千円減少したことによるものです。
負債合計は前事業年度末と比較して152,761千円増加し、724,035千円となりました。その主な要因は、賞与引当金が109,737千円増加したことによるものです。
純資産合計は前事業年度末と比較して、131,240千円増加し、1,602,133千円となりました。その主な要因は、四半期純利益を131,240千円計上したことによるものです。
② 経営成績の状況
第29期事業年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
当事業年度におけるわが国経済は、米国と中国による通商交渉の先行き不透明感、英国のEU離脱、中国の景気減速懸念、中東情勢の不確実性の高まり等の影響もあり、景況感は悪化しておりますが、深刻な人手不足や働き方改革への対応等を背景に設備投資には底堅さもあり、日銀短観2019年12月調査によると、当社の売上の過半を占める業種である金融機関を含む全産業のソフトウェア投資額は2019年度計画では10.6%と増加しており、設備投資が堅調に推移することが期待されます。
このような当社を取り巻く環境の中、2018年期初からの中期事業計画の達成に向け、当社の創業以来の事業であるシステムインテグレーション事業及び2018年度から開始したクラウドサービス事業において、顧客からの信頼を獲得し持続的にサービスを提供することができるよう、様々な要望に対応したサービス提供を行うとともに、デジタルトランスフォーメーション等のデジタル社会の変化をビジネスのチャンスとするために、多数の先端技術の吸収を積極的に行うと同時に、業容拡大に向けた人材の積極採用を行ってまいりました。
この結果、当事業年度の売上高3,410,572千円(前年同期比6.1%増)、営業利益は167,091千円(前年同期比37.8%減)、経常利益は184,161千円(前年同期比33.0%減)、当期純利益は131,204千円(前年同期比31.9%減)となりました。
なお、当社は、システムインテグレーション事業の割合が高く、開示情報としての重要性が乏しいと考えられることから、セグメント情報の記載を省略しております。
事業のサービス別売上高については、以下のとおりです。
a システムインテグレーション事業
当事業年度においては、依然としてIT技術者不足の状況にあり、人材の確保を図ることは依然として厳しい状況ではありますが、人材の積極採用に向けての取り組み、ビジネスパートナーとの協力関係の強化及び新規のビジネスパートナーの開拓を行い、さらなる受注の獲得を行える体制の構築を進めてまいりました。
その結果、当事業年度の売上高は3,211,062千円(前年同期比1.1%増)となりました。
b クラウドサービス事業
当事業年度においては、積極的に広告宣伝を行い、クラウドサービス事業の認知度を上げたことにより新規契約を順調に獲得し、累計契約台数が着実に増加しております(2019年12月末時点の累計契約台数6,476台(前年同期比1,719台増))。
その結果、当事業年度の売上高は199,510千円(前年同期比423.8%増)となりました。
第30期第2四半期累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年6月30日)
当第2四半期累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気減速懸念等の影響もあり、景況感は急速に悪化しておりますが、日銀短観6月調査によると、当社の売上の過半を占める業種である金融機関を含む全産業のソフトウェア投資額は2020年度計画が前年度比2.4%となっており、IT投資への影響は限定的となっております。
このような当社を取り巻く環境の中、2018年期初からの中期事業計画の達成に向け、当社の創業以来の事業であるシステムインテグレーション事業及び2018年度から開始したクラウドサービス事業において、顧客からの信頼を獲得し持続的にサービスを提供することができるよう、様々な要望に対応したサービス提供を行うとともに、デジタルトランスフォーメーション等のデジタル社会の変化をビジネスのチャンスとするために、多数の先端技術の吸収を積極的に行うと同時に、業容拡大に向けた人材の積極採用を行ってまいりました。
この結果、当第2四半期累計期間の売上高1,879,592千円、営業利益は192,101千円、経常利益は204,423千円、四半期純利益は131,240千円となりました。
なお、当社は、システムインテグレーション事業の割合が高く、開示情報としての重要性が乏しいと考えられることから、セグメント情報の記載を省略しております。
事業のサービス別売上高については、以下のとおりです。
a システムインテグレーション事業
当第2四半期累計期間においては、依然としてIT技術者不足の状況にあり、人材の確保を図ることは依然として厳しい状況ではありますが、人材の積極採用に向けての取り組み、ビジネスパートナーとの協力関係の強化及び新規のビジネスパートナーの開拓を行い、さらなる受注の獲得を行える体制の構築を進めてまいりました。
その結果、当第2四半期累計期間の売上高は1,767,064千円となりました。
b クラウドサービス事業
当第2四半期累計期間においては、積極的な広告宣伝を行い、クラウドサービス事業の認知度を上げることにより新規契約を順調に獲得し、累計契約台数が着実に増加しております(2020年6月末時点の累計契約台数7,170台)。
その結果、当第2四半期累計期間の売上高は112,528千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
第29期事業年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
当事業年度における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末に比べ138,240千円増加し、1,211,684千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動による資金の増加は、208,864千円となりました。これは、主な増加の要因として税引前当期純利益172,509千円、減価償却費26,102千円、売上債権の減少額29,629千円、退職給付引当金の増加額18,957千円、主な減少要因として仕入債務の減少額20,752千円、法人税等の支払額74,305千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動による資金の減少は、11,014千円となりました。これは、主に関係会社株式の取得による支出4,382千円、敷金及び保証金の差入による支出4,207千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動による資金の減少は、59,451千円となりました。これは、長期借入金の返済によるものであります。
第30期第2四半期累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年6月30日)
当第2四半期累計期間における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末に比べ291,526千円増加し、1,503,210千円となりました。
当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期累計期間における営業活動による資金の増加は、314,985千円となりました。これは、主な増加の要因として税引前四半期純利益204,423千円、減価償却費12,707千円、売上債権の減少額60,491千円、退職給付引当金の増加額11,197千円、主な減少要因として仕入債務の減少額13,336千円、法人税等の支払額21,250千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期累計期間における投資活動による資金の減少は、3,187千円となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出1,130千円、無形固定資産の取得による支出1,759千円、敷金及び保証金の差入による支出282千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期累計期間における財務活動による資金の減少は、20,056千円となりました。これは、長期借入金の返済によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社が行う事業では、提供サービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b 受注実績
第29期事業年度及び第30期第2四半期累計期間のシステムインテグレーション事業の受注状況を示すと、次のとおりであります。
事業の名称第29期事業年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
第30期第2四半期累計期間
(自 2020年1月1日
至 2020年6月30日)
受注高(千円)前期比(%)受注残高(千円)前期比(%)受注高(千円)受注残高(千円)
システムインテグレーション事業3,181,410△0.69,443△75.81,777,07919,458
合計3,181,410△0.69,443△75.81,777,07919,458

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c 販売実績
第29期事業年度及び第30期第2四半期累計期間の販売実績を事業ごとに示すと、次のとおりであります。
事業の名称第29期事業年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
前年同期比(%)第30期第2四半期累計期間
(自 2020年1月1日
至 2020年6月30日)
システムインテグレーション事業3,211,062+1.11,767,064
クラウドサービス事業199,510+423.8112,528
合計3,410,572+6.11,879,592

(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先第28期事業年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
第29期事業年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
第30期第2四半期累計期間
(自 2020年1月1日
至 2020年6月30日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
富士通株式会社692,03221.5432,67312.7214,60211.4
株式会社JSOL423,02112.4252,31913.4
日本ユニシス株式会社347,73310.2211,85611.3

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.第28期事業年度の株式会社JSOL及び日本ユニシス株式会社に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満のため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を合理的に勘案し判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
第29期事業年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)
当事業年度の経営成績は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しておりますが、その主な要因は以下のとおりであります。
(売上高、売上原価及び売上総利益)
当事業年度における売上高は、3,410,572千円(前年同期比6.1%増)となりました。これは主に、2018年10月に取得したクラウドサービス事業が提供するKITAROサービスによる売上高が年間を通して計上され、また、新規契約の獲得により累計契約台数が増加したことによるものであります。
当事業年度における売上原価は、2,645,950千円(前年同期比6.6%増)となりました。これは主に、システムインテグレーション事業の従業員の増加等に伴う人件費の増加及びクラウドサービス事業で発生するコストが年間を通じて発生したことによるものであります。
この結果、売上総利益は764,621千円(前年同期比4.4%増)となりました。
(販売費及び一般管理費並びに営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、597,529千円(前年同期比28.9%増)となりました。これは主に、管理体制の強化に伴う間接部門の従業員が増加したこと等に伴う人件費が増加したこと及びクラウドサービス事業で発生するコストが年間を通じて発生したことによるもの等によるものであります。
この結果、営業利益は167,091千円(前年同期比37.8%減)となりました。
(営業利益率)
当社では売上と売上を獲得するために費やしたコストを管理するために営業利益率を主要なKPIとして管理しております。
当事業年度における営業利益率は、人件費等の増加に伴い売上原価率が上昇したため売上総利益率が0.4%減(前年同期は22.8%)となったことに加え、間接部門の人件費等の増加に伴い販管費率が3.1%増(前年同期は14.4%)となったために、4.9%(前年同期は8.4%)となりましたが、売上高の拡大及び原価低減を図ることにより営業利益率の改善を見込みます。
なお、当社の最近5年間の営業利益率の推移は以下のとおりです。
2015年12月期2016年12月期2017年12月期2018年12月期2019年12月期
営業利益率(%)7.6%10.6%12.4%8.4%4.9%

2015年12月期から2017年12月期にかけては、平均受注単価の上昇に伴う売上高の増加が人件費等の増加に伴う売上原価や販売費及び一般管理費の増加を吸収していたため、売上原価率や販管費率が低下し営業利益率が増加しておりましたが、2018年12月期においては、平均受注単価が減少したことに加え、人件費等の増加に伴い売上原価や販売費及び一般管理費が増加したために、売上原価率や販管費率が増加し営業利益率は低下いたしました。
(営業外損益及び経常利益)
当事業年度の営業外損益の主な内訳は、営業外収益として助成金収入12,626千円、営業外費用として支払利息176千円、為替差損177千円となり、経常利益は184,161千円(前年同期比33.0%減)となりました。
(特別損益及び当期純利益)
当事業年度の特別損益の内訳は、特別損失として関係会社株式評価損9,831千円及び関係会社整理損失引当金繰入額1,821千円となりました。
法人税、住民税及び事業税は62,423千円、法人税等調整額は△21,118千円となりました。この結果、当期純利益は131,204千円(前年同期比31.9%減)となりました。
第30期第2四半期累計期間(自 2020年1月1日 至 2020年6月30日)
当第2四半期累計期間の経営成績は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しておりますが、その主な要因は以下のとおりであります。
(売上高、売上原価及び売上総利益)
当第2四半期累計期間における売上高は、1,879,592千円となりました。これは主に、システムインテグレーション事業において平均受注単価が上昇したことによるものであります。
当第2四半期累計期間における売上原価は、1,386,476千円となりました。これは主に、システムインテグレーション事業の従業員の増加等に伴う人件費の増加によるものであります。
この結果、売上総利益は493,116千円となりました。
(販売費及び一般管理費並びに営業利益)
当第2四半期累計期間における販売費及び一般管理費は、301,015千円となりました。これは主に、人材紹介料の減少に伴い採用費が減少したこと等によるものであります。
この結果、営業利益は192,101千円となりました。
(営業利益率)
当社では売上と売上を獲得するために費やしたコストを管理するために営業利益率を主要なKPIとして管理しております。当第2四半期累計期間における営業利益率は、人件費等が増加したものの、平均受注単価の増加等の要因により売上高が増加したため、10.2%となりました。継続的に売上高の拡大及び原価低減を図ることにより営業利益率の向上を見込みます。
(営業外損益及び経常利益)
当第2四半期累計期間の営業外損益の主な内訳は、営業外収益として助成金収入9,511千円、営業外費用として為替差損219千円となり、経常利益は、204,423千円となりました。
(当期純利益)
法人税、住民税及び事業税は121,268千円、法人税等調整額は△48,085千円となりました。この結果、四半期純利益は131,240千円となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の資金需要のうち主なものは、外注費、労務費、販売費及び一般管理費に係る運転資金であります。これらの所要資金については、自己資金により充当しておりますが、資金調達が必要な場合には、主に銀行借入により資金を調達する方針であります。