有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/10/19 15:00
【資料】
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【項目】
141項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、以下を経営理念として、全てのステークホルダーの更なる発展に貢献して参ります。
経営理念
企業価値向上に貢献する
Vitalize Company グループ
我々企業グループ全社は知的アスリート集団を目指します。
当社グループは常にもてる知識を結集し、創造力を発揮し、最高品質のサービスでイノベーションとビタミンを社会に提供し続けます。

共通施策・コンセプト
当社グループの共通施策として、①ビジネスモデルの変革への対応、②提案力の強化、③人材育成に努めてまいります。また、当連結会計年度では、グループ共通コンセプト「Pro’s TeQ(プロズテック)」を掲げ、収益力(Profit)、営業力(Sales)、技術力(Technology)、品質力(Quality)を高めるために取り組んで参ります。
(2)経営戦略等
当社グループは、独立系のシステムインテグレーターとして、30年の実績を積み重ねて参りました。
システムインテグレーションサービスにおいては、大手メーカー、大手システムインテグレーターから各種の社会インフラ系基幹システム開発及び、ネットワーク基盤構築の受注を柱にしております。特に、公共(中央省庁、自治体)、通信(携帯キャリア)、金融(銀行、クレジット、保険)の分野における開発実績とノウハウの蓄積を強みに、顧客との長期的な継続取引により安定した受注を確保しており、今後も安定的な成長を見込むことが可能であります。また、大手システムインテグレーターでは対応できない多くの中小規模事業者に向けて、生産性向上につながるシステム化コンサルティングサービスを提供し、事業拡大を目指して参ります。
ソリューションサービスにおいては、CADソリューションサービス及びデジタルマーケティングサービスにおける保守料、サービス利用料収入により、高い利益率と安定したストックビジネスを確立させつつ、新たな製品の研究開発、新サービス提供に繋げていくことが可能であります。また、ワークスタイルの変化と共に、クラウドサービスの利用拡大、ペーパーレス化、デジタルカタログ・電子ブックの配信、図面電子化などの流れが加速し、ソリューションサービスの需要拡大を見込んでおります。営業拠点としては、千葉、東京、大阪、秋田、金沢、広島、高松、福岡に拠点を置いており、全国規模でのサービス提供が可能であります。
(3)経営環境
企業収益や雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調が継続しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大の影響により、大幅に下押しされ、先行きに不透明感が増しております。当社グループが属する情報サービス産業におきましては、AI、IoT、RPA、ブロックチェーンなどの新たな技術を活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが加速しており、あらゆる産業において、企業の競争力強化、業務プロセスの再構築、ビジネスモデルの変革に向けたIT需要は拡大していくことが見込まれております。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、利益の株主の皆様への還元と社員への還元を図るために収益力の向上を目標としており、当期の目標達成状況を判断するため、システムインテグレーションサービスにおいて、売上高と人月工数を重要な経営指標としております。
上記指標を重視する理由としては、期首に月次での売上目標を社員に提示しており、進捗状況の把握が容易であり未達の場合の度合いがわかりやすい点であります。また、工数については月次工数が増加することにより業務の拡大が明確になるためであります。
(5)対処すべき課題
当社グループが属する情報サービス産業においては、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進の拡大に伴い、IT投資は今後も拡大していくものと予測しております。
一方で、IT技術者不足はさらに深刻化し、外注単価の上昇や労働環境の悪化が懸念されており、働き方改革関連法の施行に伴い長時間労働の削減への取り組み、法令遵守及びコンプライアンス教育の徹底が重要になっております。
そのような状況の下、当社グループは、より一層お客様の企業価値向上に貢献するため、グループ企業の競争力強化を図ると共に、以下の施策を重点的に取り組んでまいります。
① 利益率の向上
従来の派遣型中心の受注から、より粗利率の高い請負型での受注にシフトし、派遣型は専門高度技術者を中心とした高単価での受注を目指すことで一人当たり売上高の増大を図るとともに、CADソリューションサービスやデジタルマーケティングサービスにおけるストックビジネスの収益拡大により、グループ全体の利益率向上を図ってまいります。
② 新規取引先及び、新規ビジネスの拡大
グループ全社営業の最適化と成果主義の徹底、自社製品のブランド力強化及び、パートナー企業との連携強化による開発体制の充実を図り、新規取引先の拡大に取り組んでまいります。また、クラウドサービスのシステム構築案件及び、RPA(注1)等の新技術を活用した開発案件に注力し、新規ビジネスの拡大に取り組んでまいります。
③ 人材育成
新卒採用からの技術者育成と併せて、即戦力としてのキャリア採用の他、定年退職後のシルバー技術者や、出産・育児休業後の女性システムエンジニアの登用も積極的に行うとともに、技術者不足解消に向けた中途未経験者の通年採用と技術者教育制度により、人材育成の強化に取り組んでまいります。また、PMP(注2)資格取得者の増加とマネジメント教育の充実に加え、RPA等の新技術に対応できる人材の育成に注力してまいります。
④ 品質・コンプライアンスの強化
請負型ビジネス拡大に対応するため、開発案件ごとに品質パトロールを実施し、組織的なリスクマネジメントや品質管理体制の再構築を図るとともに、グループガバナンスと内部統制管理の強化、コンプライアンス教育に重点的に取り組んでまいります。
(注)1.RPAとは、Robotic Process Automationの略称で、ソフトウエア・ロボットにより、オフィスワークを自動化・効率化する技術のことであります。
2.PMPとは、Project Management Professionalの略称であり、アメリカに本部を置く非営利団体PMI(Project Management Institute)が認定しているプロジェクトマネジメントに関する国際資格であります。