訂正有価証券届出書(新規公開時)
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
製薬業界におきましては、高齢化に伴う医療費の増大に対応したジェネリック医薬品による代替が進むとともに、薬価改定期間が短縮され、高額医薬品の薬価が著しく低下しております。また、臨床試験の大規模化等に起因する新薬開発のためのコスト増大により、国内外での製薬企業の合従連衡が進みM&Aによる企業規模が拡大するとともに、自社創薬開発において重点領域の絞込みが行われており、社外から開発品目を導入する動きも活発化しております。
一方、新薬開発については、対象患者が多く、将来安定した多額の収益が得られるいわゆるブロックバスター医薬品から、特定の患者群に効果的な治療が行える医薬品の開発に移行しており、経営資源が特定分野に集中し、短期に意思決定が行われる創薬ベンチャーがその中心的役割を担うといわれております。これに対応すべく、政府は、厚生労働省や経済産業省の中央省庁を中心に、日本発の創薬を積極的に支援するため、特に、創薬ベンチャー支援の取り組みとして、医療系ベンチャー・トータルサポート事業(MEDISO)の開始や「伊藤レポート2.0 バイオメディカル産業版」が作成されております。また、日本国内での創薬を促進するため、医薬品について「条件付き早期承認制度」が導入されました。
このような事業環境下、当社は、組換えヒトHGFタンパク質の研究開発によって創薬イノベーションを起こすことが事業機会の創出・獲得につながると考え、組換えヒトHGFタンパク質プロジェクトに経営資源を集中して、以下の各事業活動を展開しました。
第18期事業年度(自 2018年10月1日 至 2019年9月30日)
1.医薬開発活動について
(ア)脊髄損傷(SCI)急性期
慶應義塾大学整形外科中村雅也教授を治験調整医師とする治験実施体制のもとで、2014年6月より第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始しておりましたが、当事業年度におきましては、2018年10月に治験終了届を提出、2019年1月に治験総括報告書を発行しました。当該治験により安全性と有効性を示唆する結果が得られ、その概要は、2019年3月に第18回日本再生医療学会総会(於神戸国際会議場)において、中村雅也教授によって発表されました。
2019年9月には、患者数が少ない希少疾病に対して臨床的に治療薬となる可能性が高く、その開発に係る計画が妥当であること等を条件とする希少疾病用医薬品指定を厚生労働省より受けました。現在、第Ⅲ相試験について、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下、「PMDA」という。)と協議を行っております。
(イ)筋萎縮性側索硬化症(ALS)
2016年5月より東北大学神経内科青木正志教授による医師主導治験として開始された第Ⅱ相試験が、現在、東北大学病院及び大阪大学医学部附属病院で行われております。当該治験は当社が製造した治験薬を使用しており、有効なデータが得られた際の事業化は当社によって行われることとされています。
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの2018年度及び2019年度の補助金が削減されたことに伴う当該治験の停滞を回避するため、前事業年度より、医薬品開発業務受託機関(CRO)等治験費用の填補を目的として支出を開始いたしました。
また、2019年1月には、ALSに対する第Ⅰ相試験の結果が論文発表されました(J Clin Pharmacol.11 DEC 2018, DOI: 10.1002/jcph.1355)。
(ウ)声帯瘢痕(VFS)
声帯粘膜が硬く変性(線維化)する疾患であるVFSを対象とした医師主導による第Ⅰ/Ⅱ相試験(実施医療機関:京都大学医学部附属病院及び先端医療センター病院(現 神戸市立医療センター中央市民病院・南館))が実施され(2014年11月~2016年11月)、当社は治験薬の提供と運営支援を行いました。当該治験によってKP-100製剤の声帯内投与の安全性が確認され、声帯の機能回復を示す症例も確認されました。VFSに対する有効性を示唆する当該治験結果は、前事業年度に論文として発表されており(J Tissue Eng Regen Med. 2017;1–8.)、次相試験についてPMDAと協議しております。
2.事業開発活動について
脊髄損傷(SCI)急性期患者を対象としたKP-100ITの第Ⅰ/Ⅱ相試験のデータが得られたことから、製薬会社や医薬品卸の会社との事業提携協議を開始しております。一部企業については、CDA(秘密保持契約)を締結し、先方企業内で臨床試験データの評価が進められております。
その他、声帯瘢痕(VFS)の開発を促進するため、製薬企業との提携及び補助金等の資金確保の活動を行いました。
以上の結果、当事業年度の経営成績は以下のとおりとなりました。
営業損失は371,741千円(前事業年度は営業損失223,605千円)となりました。これは主に販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費が109,093千円増加したことによるものであります。
当事業年度の営業外収益は、前事業年度と比較して90,116千円減少(前年同期比56.2%減)の70,111千円 となりました。これは、主に補助金収入の減少によるものであります。また、前事業年度に757千円計上していた営業外費用は、株式の発行がなかったこと等により当事業年度は計上しておりません。
この結果、当事業年度の経常損失は301,630千円(前事業年度は経常損失64,134千円)となり、当期純損失は302,050千円(前事業年度は当期純損失64,554千円)となりました。
なお、当社は医薬品開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
第19期第3四半期累計期間(自 2019年10月1日 至 2020年6月30日)
1.医薬開発活動について
(ア) 脊髄損傷(SCI)急性期
慶應義塾大学整形外科中村雅也教授を治験調整医師とする治験実施体制のもとで、2014年6月より第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始しており、当該治験により安全性を確認するとともに有効性を示唆する結果を得ており、当該第Ⅰ/Ⅱ相試験の結果は、国際医学雑誌Journal of Neurotraumaに論文発表されております。
この試験で得られたPOC(Proof Of Concept:新薬候補物質の有用性・効果が、患者を対象とする臨床試験によって確認され、治療薬になり得るという仮説(コンセプト)が実証されること)を検証する目的で次の第Ⅲ相試験の計画を策定し、2020年6月9日付で独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に治験計画届書を提出しました。
(イ) 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
2016年5月より東北大学神経内科青木正志教授による医師主導治験として開始された第Ⅱ相試験について、東北大学病院及び大阪大学医学部附属病院において患者組入れを継続しております。当社は、当該治験の運営・推進支援、治験薬の安定性試験等を継続して実施しました。
当該期間においても、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの補助金が削減されたことに伴う当該治験の停滞を回避するため、当社より医薬品開発業務受託機関(CRO)等治験費用の填補を継続しました。
(ウ) 声帯瘢痕(VFS)
声帯粘膜が硬く変性(線維化)する疾患であるVFSを対象とした医師主導による第Ⅰ/Ⅱ相試験によって、KP-100製剤の声帯内投与の安全性が確認され、声帯の機能回復を示す症例も確認されました(J Tissue Eng Regen Med. 2017;1–8.)。当該期間においては、2019年7月に実施したPMDAとの事前面談を踏まえ、POCの取得を目的とする次相試験(プラセボ対照二重盲検比較試験)計画の細部について、京都府立医科大学と協議を重ねております。
2.事業開発活動について
脊髄損傷(SCI)急性期患者を対象としたKP-100ITの第Ⅰ/Ⅱ相試験のデータが得られたことから、製薬会社や医薬品卸の会社との事業提携協議を継続しておりましたが、2020年3月に医薬品卸の会社である東邦ホールディングス株式会社と資本業務提携を行いました。本提携により、当社が開発するHGFタンパク質性医薬品(KP-100IT、対象:脊髄損傷(SCI)急性期)が製造販売承認された後、日本国内における卸売販売流通を東邦ホールディングス株式会社が一手に担うことになりました。
また、一部企業については、CDA(秘密保持契約)を締結し、先方企業内で臨床試験データの評価が進められており、販売提携協議を行っております。
その他、声帯瘢痕(VFS)の開発を促進するため、製薬企業との提携及び補助金等の資金確保の活動を引き続き行いました。
また、2020年4月には、米国のバイオベンチャー企業クラリス・バイオセラピューティクス社との間で眼科領域におけるKP-100のライセンス及び供給契約を締結しております。
以上の結果、当第3四半期累計期間の経営成績は以下のとおりとなりました。
売上高は61,566千円となりました。これは、クラリス・バイオセラピューティクス社との原薬供給契約による契約売上であります。また、研究開発費を中心とした販売費及び一般管理費284,490千円が生じたことにより、営業損失は222,923千円となりました。
補助金収入62,236千円を獲得したこと等による営業外収益が63,354千円発生し、株式交付費6,004千円を計上したこと等によって営業外費用が6,477千円発生したことにより経常損失は166,046千円となり、四半期純損失は167,163千円となりました。
なお、当社は医薬品開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
② 財政状態の状況
第18期事業年度(自 2018年10月1日 至 2019年9月30日)
(資産)
当事業年度末の流動資産は前事業年度末と比較して315,060千円減少し、250,837千円となりました。これは、現金及び預金が338,801千円減少していることを主な要因とするものであります。
当事業年度末の固定資産は、前事業年度末と同額の1,031千円となりました。
この結果、当事業年度末の資産合計は、前事業年度末と比較して315,060千円減少し、251,868千円となりました。
(負債)
当事業年度末の流動負債は前事業年度末と比較して13,052千円減少し、33,283千円となりました。これは、製造関連開発費用の支払いが増加したことにより、未払金が10,023千円増加しているものの、補助金の入金からその額が確定するまで計上されている前受金が24,740千円減少したことを主な要因とするものであります。
当事業年度末の固定負債は、前事業年度末より大きな変動はなく、前事業年度末より42千円増加し、2,191千円となりました。
この結果、当事業年度末の負債合計は、前事業年度末と比較して13,010千円減少し、35,475千円となりました。
(純資産)
当事業年度末の純資産は、前事業年度末と比較して302,050千円減少し、216,393千円となりました。これは、当期純損失が計上されたことにより、繰越利益剰余金が302,050千円減少していることを要因とするものであります。
第19期第3四半期累計期間(自 2019年10月1日 至 2020年6月30日)
(資産)
当第3四半期会計期間末の流動資産は、前事業年度末と比較して1,582,572千円増加し、1,833,409千円となりました。これは、現金及び預金が1,311,831千円、原材料及び貯蔵品が150,226千円、前渡金が109,614千円それぞれ増加していることを主な要因とするものであります。
当第3四半期会計期間末の固定資産は、前事業年度末と同額の1,031千円となりました。
この結果、当第3四半期会計期間末の資産合計は、前事業年度末と比較して1,582,572千円増加し、1,834,440千円となりました。
(負債)
当第3四半期会計期間末の流動負債は、前事業年度末と比較して59,743千円増加し、93,027千円となりました。これは、前受金が45,568千円増加していることを主な要因とするものであります。
当第3四半期会計期間末の固定負債は、前事業年度末より大きな変動はなく、前事業年度末より32千円増加し、2,223千円となりました。
この結果、当第3四半期会計期間末の負債合計は、前事業年度末と比較して59,776千円増加し、95,251千円となりました。
(純資産)
当第3四半期会計期間末の純資産は、前事業年度末と比較して1,522,796千円増加し、1,739,189千円となりました。これは、四半期純損失の計上により利益剰余金が167,163千円減少したものの、C種優先株式発行により資本金が844,980千円、資本剰余金が844,980千円それぞれ増加していることを主な要因とするものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
第18期事業年度(自 2018年10月1日 至 2019年9月30日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、166,476千円となり、前事業年度末と比較して338,801千円減少しました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの概況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、338,801千円の支出(前年同期は202,416千円の支出)となりました。主な要因は、税引前当期純損失301,630千円による資金減少によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローはありません(前年同期は1千円の収入)。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローはありません(前年同期は199,274千円の収入)。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
該当事項はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。また、財務諸表の作成に当たっては、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性のある見積りや予測を行っており、見積りの不確実性による実績との差異が生じる場合があります。
当社の財務諸表の作成に係る重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。
② 経営成績の状況の分析
第18期事業年度(自 2018年10月1日 至 2019年9月30日)
当事業年度におきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、営業損失は371,741千円(前事業年度は営業損失223,605千円)、経常損失は301,630千円(前事業年度は経常損失64,134千円)、当期純損失は302,050千円(前事業年度は当期純損失64,554千円)となりました。
なお、当社は医薬品開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
(販売費及び一般管理費)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、371,741千円(前事業年度223,605千円、前年同期比66.2%増)となりました。主に製造関連に係る研究開発費が109,093千円増加したことにより148,135千円増加しております。これは、医薬品の製造販売承認申請に必要な製造関連に係る開発費用が増加したためであります。
(営業外収益)
当事業年度の営業外収益は、70,111千円(前事業年度160,228千円、前年同期比56.2%減)となりました。補助金収入が92,397千円減少したことにより90,116千円減少しております。これは、主としてALS関連の補助金収入の減少によるものであります。
(営業外費用)
前事業年度では株式交付費等により757千円の営業外費用が発生しておりましたが、当事業年度は、営業外費用は発生しておりません。
第19期第3四半期累計期間(自 2019年10月1日 至 2020年6月30日)
当第3四半期累計期間におきましては、(1)「経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、売上高は61,566千円、営業損失は222,923千円、経常損失は166,046千円、四半期純損失は167,163千円となりました。
なお、当社は医薬品開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
(売上高)
当第3四半期累計期間の売上高61,566千円は、クラリス・バイオセラピューティクス社との原薬供給契約による契約売上であります。
(販売費及び一般管理費)
当第3四半期累計期間の販売費及び一般管理費は、脊髄損傷(SCI)急性期に係る第Ⅲ相試験を開始したことや製造販売承認に必要な製造関連に係る研究開発を実施したこと等により研究開発費175,016千円が発生したこと等により、284,490千円となりました。
(営業外収益)
当第3四半期累計期間の営業外収益は、希少疾病用医薬品に係る助成金の交付を受けたこと等により63,354千円となりました。
(営業外費用)
当第3四半期累計期間の営業外費用は、主として株式交付費6,004千円が発生したことにより6,477千円となりました。
③ 財政状態の状況の分析
財政状態の状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に含めて記載しております。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
第18期事業年度(自 2018年10月1日 至 2019年9月30日)
当社は研究開発費の発生が先行する創薬バイオベンチャーであるため、税引前当期純損失から生じる営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなる状況が継続しております。
当事業年度においては、税引前当期純損失が301,630千円発生しており、その他、脊髄損傷急性期における組換えヒトHGFタンパク質を医薬品としての製造販売承認申請を行うために必要な製造開発関連のためのたな卸資産の増加19,163千円及び前渡金の増加21,941千円により営業活動によるキャッシュ・フローが減少しております。
また、当事業年度においては、投資活動によるキャッシュ・フロー及び財務活動によるキャッシュ・フローは発生しておりません。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照下さい。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は、複数のパイプラインの開発を行っておりますが、POCが確認されている脊髄損傷急性期の開発に優先的に資金を充当しております。脊髄損傷急性期関連の研究開発費は、その製品化に必要な製造関連研究開発費を含めて、第18期事業年度においては185,029千円、第19期第3四半期累計期間においては123,377千円を計上しております。また、医師主導治験であるALSについても、計画に遅延が生じないように支援を継続しており、第18期事業年度においては30,062千円、第19期第3四半期累計期間においては17,008千円を計上しております。
当社は、事業上必要な資金については、手元資金で賄う方針としており、売上高や営業外収益による収入が現時点では限定的であるため、第三者割当増資により調達を行っております。手元資金については、資金需要に迅速かつ確実に対応するため、流動性の高い銀行預金により確保しております。
今後は、第三者割当増資や事業提携等による収入 が生じることによる一定の財源は確保できる予定ですが、研究開発費の全額を賄うことは困難であるため、主要なパイプラインである神経疾患を中心に資金配分を行い、事業の黒字化を早急に達成するよう開発を進捗させる計画であります。
① 経営成績の状況
製薬業界におきましては、高齢化に伴う医療費の増大に対応したジェネリック医薬品による代替が進むとともに、薬価改定期間が短縮され、高額医薬品の薬価が著しく低下しております。また、臨床試験の大規模化等に起因する新薬開発のためのコスト増大により、国内外での製薬企業の合従連衡が進みM&Aによる企業規模が拡大するとともに、自社創薬開発において重点領域の絞込みが行われており、社外から開発品目を導入する動きも活発化しております。
一方、新薬開発については、対象患者が多く、将来安定した多額の収益が得られるいわゆるブロックバスター医薬品から、特定の患者群に効果的な治療が行える医薬品の開発に移行しており、経営資源が特定分野に集中し、短期に意思決定が行われる創薬ベンチャーがその中心的役割を担うといわれております。これに対応すべく、政府は、厚生労働省や経済産業省の中央省庁を中心に、日本発の創薬を積極的に支援するため、特に、創薬ベンチャー支援の取り組みとして、医療系ベンチャー・トータルサポート事業(MEDISO)の開始や「伊藤レポート2.0 バイオメディカル産業版」が作成されております。また、日本国内での創薬を促進するため、医薬品について「条件付き早期承認制度」が導入されました。
このような事業環境下、当社は、組換えヒトHGFタンパク質の研究開発によって創薬イノベーションを起こすことが事業機会の創出・獲得につながると考え、組換えヒトHGFタンパク質プロジェクトに経営資源を集中して、以下の各事業活動を展開しました。
第18期事業年度(自 2018年10月1日 至 2019年9月30日)
1.医薬開発活動について
(ア)脊髄損傷(SCI)急性期
慶應義塾大学整形外科中村雅也教授を治験調整医師とする治験実施体制のもとで、2014年6月より第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始しておりましたが、当事業年度におきましては、2018年10月に治験終了届を提出、2019年1月に治験総括報告書を発行しました。当該治験により安全性と有効性を示唆する結果が得られ、その概要は、2019年3月に第18回日本再生医療学会総会(於神戸国際会議場)において、中村雅也教授によって発表されました。
2019年9月には、患者数が少ない希少疾病に対して臨床的に治療薬となる可能性が高く、その開発に係る計画が妥当であること等を条件とする希少疾病用医薬品指定を厚生労働省より受けました。現在、第Ⅲ相試験について、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下、「PMDA」という。)と協議を行っております。
(イ)筋萎縮性側索硬化症(ALS)
2016年5月より東北大学神経内科青木正志教授による医師主導治験として開始された第Ⅱ相試験が、現在、東北大学病院及び大阪大学医学部附属病院で行われております。当該治験は当社が製造した治験薬を使用しており、有効なデータが得られた際の事業化は当社によって行われることとされています。
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの2018年度及び2019年度の補助金が削減されたことに伴う当該治験の停滞を回避するため、前事業年度より、医薬品開発業務受託機関(CRO)等治験費用の填補を目的として支出を開始いたしました。
また、2019年1月には、ALSに対する第Ⅰ相試験の結果が論文発表されました(J Clin Pharmacol.11 DEC 2018, DOI: 10.1002/jcph.1355)。
(ウ)声帯瘢痕(VFS)
声帯粘膜が硬く変性(線維化)する疾患であるVFSを対象とした医師主導による第Ⅰ/Ⅱ相試験(実施医療機関:京都大学医学部附属病院及び先端医療センター病院(現 神戸市立医療センター中央市民病院・南館))が実施され(2014年11月~2016年11月)、当社は治験薬の提供と運営支援を行いました。当該治験によってKP-100製剤の声帯内投与の安全性が確認され、声帯の機能回復を示す症例も確認されました。VFSに対する有効性を示唆する当該治験結果は、前事業年度に論文として発表されており(J Tissue Eng Regen Med. 2017;1–8.)、次相試験についてPMDAと協議しております。
2.事業開発活動について
脊髄損傷(SCI)急性期患者を対象としたKP-100ITの第Ⅰ/Ⅱ相試験のデータが得られたことから、製薬会社や医薬品卸の会社との事業提携協議を開始しております。一部企業については、CDA(秘密保持契約)を締結し、先方企業内で臨床試験データの評価が進められております。
その他、声帯瘢痕(VFS)の開発を促進するため、製薬企業との提携及び補助金等の資金確保の活動を行いました。
以上の結果、当事業年度の経営成績は以下のとおりとなりました。
営業損失は371,741千円(前事業年度は営業損失223,605千円)となりました。これは主に販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費が109,093千円増加したことによるものであります。
当事業年度の営業外収益は、前事業年度と比較して90,116千円減少(前年同期比56.2%減)の70,111千円 となりました。これは、主に補助金収入の減少によるものであります。また、前事業年度に757千円計上していた営業外費用は、株式の発行がなかったこと等により当事業年度は計上しておりません。
この結果、当事業年度の経常損失は301,630千円(前事業年度は経常損失64,134千円)となり、当期純損失は302,050千円(前事業年度は当期純損失64,554千円)となりました。
なお、当社は医薬品開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
第19期第3四半期累計期間(自 2019年10月1日 至 2020年6月30日)
1.医薬開発活動について
(ア) 脊髄損傷(SCI)急性期
慶應義塾大学整形外科中村雅也教授を治験調整医師とする治験実施体制のもとで、2014年6月より第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始しており、当該治験により安全性を確認するとともに有効性を示唆する結果を得ており、当該第Ⅰ/Ⅱ相試験の結果は、国際医学雑誌Journal of Neurotraumaに論文発表されております。
この試験で得られたPOC(Proof Of Concept:新薬候補物質の有用性・効果が、患者を対象とする臨床試験によって確認され、治療薬になり得るという仮説(コンセプト)が実証されること)を検証する目的で次の第Ⅲ相試験の計画を策定し、2020年6月9日付で独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に治験計画届書を提出しました。
(イ) 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
2016年5月より東北大学神経内科青木正志教授による医師主導治験として開始された第Ⅱ相試験について、東北大学病院及び大阪大学医学部附属病院において患者組入れを継続しております。当社は、当該治験の運営・推進支援、治験薬の安定性試験等を継続して実施しました。
当該期間においても、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)からの補助金が削減されたことに伴う当該治験の停滞を回避するため、当社より医薬品開発業務受託機関(CRO)等治験費用の填補を継続しました。
(ウ) 声帯瘢痕(VFS)
声帯粘膜が硬く変性(線維化)する疾患であるVFSを対象とした医師主導による第Ⅰ/Ⅱ相試験によって、KP-100製剤の声帯内投与の安全性が確認され、声帯の機能回復を示す症例も確認されました(J Tissue Eng Regen Med. 2017;1–8.)。当該期間においては、2019年7月に実施したPMDAとの事前面談を踏まえ、POCの取得を目的とする次相試験(プラセボ対照二重盲検比較試験)計画の細部について、京都府立医科大学と協議を重ねております。
2.事業開発活動について
脊髄損傷(SCI)急性期患者を対象としたKP-100ITの第Ⅰ/Ⅱ相試験のデータが得られたことから、製薬会社や医薬品卸の会社との事業提携協議を継続しておりましたが、2020年3月に医薬品卸の会社である東邦ホールディングス株式会社と資本業務提携を行いました。本提携により、当社が開発するHGFタンパク質性医薬品(KP-100IT、対象:脊髄損傷(SCI)急性期)が製造販売承認された後、日本国内における卸売販売流通を東邦ホールディングス株式会社が一手に担うことになりました。
また、一部企業については、CDA(秘密保持契約)を締結し、先方企業内で臨床試験データの評価が進められており、販売提携協議を行っております。
その他、声帯瘢痕(VFS)の開発を促進するため、製薬企業との提携及び補助金等の資金確保の活動を引き続き行いました。
また、2020年4月には、米国のバイオベンチャー企業クラリス・バイオセラピューティクス社との間で眼科領域におけるKP-100のライセンス及び供給契約を締結しております。
以上の結果、当第3四半期累計期間の経営成績は以下のとおりとなりました。
売上高は61,566千円となりました。これは、クラリス・バイオセラピューティクス社との原薬供給契約による契約売上であります。また、研究開発費を中心とした販売費及び一般管理費284,490千円が生じたことにより、営業損失は222,923千円となりました。
補助金収入62,236千円を獲得したこと等による営業外収益が63,354千円発生し、株式交付費6,004千円を計上したこと等によって営業外費用が6,477千円発生したことにより経常損失は166,046千円となり、四半期純損失は167,163千円となりました。
なお、当社は医薬品開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
② 財政状態の状況
第18期事業年度(自 2018年10月1日 至 2019年9月30日)
(資産)
当事業年度末の流動資産は前事業年度末と比較して315,060千円減少し、250,837千円となりました。これは、現金及び預金が338,801千円減少していることを主な要因とするものであります。
当事業年度末の固定資産は、前事業年度末と同額の1,031千円となりました。
この結果、当事業年度末の資産合計は、前事業年度末と比較して315,060千円減少し、251,868千円となりました。
(負債)
当事業年度末の流動負債は前事業年度末と比較して13,052千円減少し、33,283千円となりました。これは、製造関連開発費用の支払いが増加したことにより、未払金が10,023千円増加しているものの、補助金の入金からその額が確定するまで計上されている前受金が24,740千円減少したことを主な要因とするものであります。
当事業年度末の固定負債は、前事業年度末より大きな変動はなく、前事業年度末より42千円増加し、2,191千円となりました。
この結果、当事業年度末の負債合計は、前事業年度末と比較して13,010千円減少し、35,475千円となりました。
(純資産)
当事業年度末の純資産は、前事業年度末と比較して302,050千円減少し、216,393千円となりました。これは、当期純損失が計上されたことにより、繰越利益剰余金が302,050千円減少していることを要因とするものであります。
第19期第3四半期累計期間(自 2019年10月1日 至 2020年6月30日)
(資産)
当第3四半期会計期間末の流動資産は、前事業年度末と比較して1,582,572千円増加し、1,833,409千円となりました。これは、現金及び預金が1,311,831千円、原材料及び貯蔵品が150,226千円、前渡金が109,614千円それぞれ増加していることを主な要因とするものであります。
当第3四半期会計期間末の固定資産は、前事業年度末と同額の1,031千円となりました。
この結果、当第3四半期会計期間末の資産合計は、前事業年度末と比較して1,582,572千円増加し、1,834,440千円となりました。
(負債)
当第3四半期会計期間末の流動負債は、前事業年度末と比較して59,743千円増加し、93,027千円となりました。これは、前受金が45,568千円増加していることを主な要因とするものであります。
当第3四半期会計期間末の固定負債は、前事業年度末より大きな変動はなく、前事業年度末より32千円増加し、2,223千円となりました。
この結果、当第3四半期会計期間末の負債合計は、前事業年度末と比較して59,776千円増加し、95,251千円となりました。
(純資産)
当第3四半期会計期間末の純資産は、前事業年度末と比較して1,522,796千円増加し、1,739,189千円となりました。これは、四半期純損失の計上により利益剰余金が167,163千円減少したものの、C種優先株式発行により資本金が844,980千円、資本剰余金が844,980千円それぞれ増加していることを主な要因とするものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
第18期事業年度(自 2018年10月1日 至 2019年9月30日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、166,476千円となり、前事業年度末と比較して338,801千円減少しました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの概況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、338,801千円の支出(前年同期は202,416千円の支出)となりました。主な要因は、税引前当期純損失301,630千円による資金減少によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローはありません(前年同期は1千円の収入)。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローはありません(前年同期は199,274千円の収入)。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
該当事項はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。また、財務諸表の作成に当たっては、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性のある見積りや予測を行っており、見積りの不確実性による実績との差異が生じる場合があります。
当社の財務諸表の作成に係る重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。
② 経営成績の状況の分析
第18期事業年度(自 2018年10月1日 至 2019年9月30日)
当事業年度におきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、営業損失は371,741千円(前事業年度は営業損失223,605千円)、経常損失は301,630千円(前事業年度は経常損失64,134千円)、当期純損失は302,050千円(前事業年度は当期純損失64,554千円)となりました。
なお、当社は医薬品開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
(販売費及び一般管理費)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、371,741千円(前事業年度223,605千円、前年同期比66.2%増)となりました。主に製造関連に係る研究開発費が109,093千円増加したことにより148,135千円増加しております。これは、医薬品の製造販売承認申請に必要な製造関連に係る開発費用が増加したためであります。
(営業外収益)
当事業年度の営業外収益は、70,111千円(前事業年度160,228千円、前年同期比56.2%減)となりました。補助金収入が92,397千円減少したことにより90,116千円減少しております。これは、主としてALS関連の補助金収入の減少によるものであります。
(営業外費用)
前事業年度では株式交付費等により757千円の営業外費用が発生しておりましたが、当事業年度は、営業外費用は発生しておりません。
第19期第3四半期累計期間(自 2019年10月1日 至 2020年6月30日)
当第3四半期累計期間におきましては、(1)「経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、売上高は61,566千円、営業損失は222,923千円、経常損失は166,046千円、四半期純損失は167,163千円となりました。
なお、当社は医薬品開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
(売上高)
当第3四半期累計期間の売上高61,566千円は、クラリス・バイオセラピューティクス社との原薬供給契約による契約売上であります。
(販売費及び一般管理費)
当第3四半期累計期間の販売費及び一般管理費は、脊髄損傷(SCI)急性期に係る第Ⅲ相試験を開始したことや製造販売承認に必要な製造関連に係る研究開発を実施したこと等により研究開発費175,016千円が発生したこと等により、284,490千円となりました。
(営業外収益)
当第3四半期累計期間の営業外収益は、希少疾病用医薬品に係る助成金の交付を受けたこと等により63,354千円となりました。
(営業外費用)
当第3四半期累計期間の営業外費用は、主として株式交付費6,004千円が発生したことにより6,477千円となりました。
③ 財政状態の状況の分析
財政状態の状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に含めて記載しております。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
第18期事業年度(自 2018年10月1日 至 2019年9月30日)
当社は研究開発費の発生が先行する創薬バイオベンチャーであるため、税引前当期純損失から生じる営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなる状況が継続しております。
当事業年度においては、税引前当期純損失が301,630千円発生しており、その他、脊髄損傷急性期における組換えヒトHGFタンパク質を医薬品としての製造販売承認申請を行うために必要な製造開発関連のためのたな卸資産の増加19,163千円及び前渡金の増加21,941千円により営業活動によるキャッシュ・フローが減少しております。
また、当事業年度においては、投資活動によるキャッシュ・フロー及び財務活動によるキャッシュ・フローは発生しておりません。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照下さい。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は、複数のパイプラインの開発を行っておりますが、POCが確認されている脊髄損傷急性期の開発に優先的に資金を充当しております。脊髄損傷急性期関連の研究開発費は、その製品化に必要な製造関連研究開発費を含めて、第18期事業年度においては185,029千円、第19期第3四半期累計期間においては123,377千円を計上しております。また、医師主導治験であるALSについても、計画に遅延が生じないように支援を継続しており、第18期事業年度においては30,062千円、第19期第3四半期累計期間においては17,008千円を計上しております。
当社は、事業上必要な資金については、手元資金で賄う方針としており、売上高や営業外収益による収入が現時点では限定的であるため、第三者割当増資により調達を行っております。手元資金については、資金需要に迅速かつ確実に対応するため、流動性の高い銀行預金により確保しております。
今後は、第三者割当増資や事業提携等による収入 が生じることによる一定の財源は確保できる予定ですが、研究開発費の全額を賄うことは困難であるため、主要なパイプラインである神経疾患を中心に資金配分を行い、事業の黒字化を早急に達成するよう開発を進捗させる計画であります。