有価証券届出書(新規公開時)

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2021/02/10 15:00
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事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)事業環境に関するリスク
① シェアリングエコノミー市場について
当社が事業を展開する国内シェアリングエコノミー市場は、今後も継続的な拡大が見込まれています。これは、副業や兼業といった「働き方改革」というトレンドに後押しされるためと考えております。シェアリングエコノミーにおけるサービス領域は一般社団法人シェアリングエコノミー協会によると5つのサービス領域があり、シェア×スキル、シェア×モノ、シェア×お金、シェア×移動及びシェア×空間といった幅広い市場が存在します。このうち当社のサービスが属するシェア×スキルのサービス領域は、「働き方改革」を通して潜在労働力となっている専業主婦やシニア、失業者などの新たな収入源として拡大する余地があると考えております。
ただし、市場自体が未成熟であると考えられることから、今後、法令整備の進展、当業界におけるトラブルや取引の安全性等にかかる問題等の発生、利用者ニーズの変化等、シェアリングエコノミー市場における様々な環境変化が生じる可能性があります。当社の事業はこれらの市場動向の影響を受ける可能性があり、上記の予測通りにシェアリングエコノミー市場が拡大しなかった場合や、当社サービスが当該市場及び利用者ニーズの変化に応じた適切な対応が取れない場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合について
当社が事業展開する国内の「スキルシェア」にかかるサービス領域においては、今後の市場規模拡大に伴い、新規参入が相次ぐ可能性があります。
クラウドソーシングについては、取引は依頼者が提案依頼したカテゴリに限定されることや受託側の価格交渉の余地が小さいといったことがある一方で、当社が運営するマッチング型のプラットフォームの場合は、出品者側が提供できるスキルを先に出品し購入者がサービス一覧から選択する購入形態により潜在需要の顕在化による需要創造につながり、出品者側が自分で値付けできることで高いモチベーションにつながる等、棲み分けができている状況であると考えております。
また、当社サービスについて、現時点における当社及び他社サービスにおける出品数及び評価件数等を踏まえると、「スキルシェア」サービスにおけるカテゴリーリーダー的なポジションを構築しているものと認識しており、当該要素が一定の参入障壁になっているものと考えております。また、海外の類似サービスによる日本市場への参入についても、日本語対応が求められる商慣習が強いことを考慮すると、出品者の属性として外国籍が主である海外の類似サービスを購入者側は受け入れにくいと考えられ、当社サービスへの影響は小さいものと考えております。
今後もユーザー目線に立ってサービスをより充実させていくと同時に、知名度向上に向けた取り組みを積極的に行ってまいりますが、海外大手事業者の個人間取引プラットフォームにおける本格的な日本進出や、他社の新規参入により競争が激化した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ インターネット関連ビジネスについて
当社のサービスは、主にインターネットを媒体としておりますが、インターネットやスマートデバイスの更なる普及・利用拡大、関連市場の拡大等を背景として、従来オフラインで提供されてきたサービスがオンラインに置き換わっており、インターネットサービスがより生活において身近な存在になっております。
しかしながら、インターネット通信環境の悪化、スマートデバイスの普及の著しい鈍化、不正使用等の弊害の発生等、予期せぬ要因により今後の当社サービスの拡大を阻害するような状況が生じた場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 新型コロナウイルス感染症の影響について
当社が展開するオンラインでのサービス提供市場は、新型コロナウイルス感染症に対する企業における働き方の変化や個人の余暇の過ごし方の変化によって需要が増加しており、今後も新型コロナウイルス感染症に対する社会的な変化に後押しされる可能性があります。
しかし、国内及び海外主要各国において新型コロナウイルス感染症の感染拡大が終息に向かわず、今後数年にわたり拡大が続いた場合には、深刻な経済的影響が生じ、市場の縮小や個人消費の冷え込みに繋がることが予想されます。今後、事態がさらに深刻化、長期化した場合や、その他の想定し得ない状況の変化があった場合には、当社サービスへの需要の減少や当社サービスに関連する活動への支障など、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)当社事業に関するリスク
① 「ココナラ」における特定カテゴリの高いシェアについて
「ココナラ」では、多様な知識・スキル・経験の販売を可能としており、相談系カテゴリでは「占い」、「恋愛・結婚」といったものから、制作・ビジネス系カテゴリには「Webサイト制作・Webデザイン」、「動画・写真・画像」といったカテゴリが存在しております。
「ココナラ」において「占い」カテゴリのサービス全体に占める割合は高い状況にあり、2019年8月期通期、2020年8月期通期及び2021年8月期第1四半期における同カテゴリの当社流通高全体に占める割合はそれぞれ41.6%、32.2%及び28.8%(同営業収益に占める割合は51.2%、40.7%及び36.6%)となっております。
「占い」カテゴリに関しては、文字情報提供が基本となるサービスであり、従来からインターネット上のコンテンツとして普及していたこと、また、個人間で相談ができること、購入者は匿名で利用できること、「ココナラ」が500円から利用できるため価格帯がマッチしたことなど、当社サービスとの親和性が高いと考えられることから、他の分野よりも構成比が高くなっているものと考えております。
当社としては、近年のプロダクト機能の開発において、主に制作・ビジネス系カテゴリの出品及び取引拡大を企図した施策を導入しており、例えば、2018年2月に制作・ビジネス系カテゴリにおいて「PRO認定制度」及びビデオチャット機能の導入、2018年5月に「見積り・カスタマイズ相談機能」の導入、2018年11月に「出品者検索」の導入、2019年4月に法人アカウントの導入等の施策を実施しております。その結果、「占い」カテゴリのシェアは低下傾向にあるものと考えておりますが、今後も「占い」カテゴリのシェアが高い状態が継続された場合は、購入ユーザーの嗜好の変化等に係る顧客離れや、競合他社の存在による急激な「占い」カテゴリのユーザー離脱が生じた場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 当社サービス及びサイト運営について
(a)サイト利用にかかる安全性について
当社が運営する「ココナラ」では、21カテゴリにおいて多種多様なサービスが出品及び取引されております。当社は、ユーザー間の取引の安全性のため、利用規約及びサービス利用にかかるガイドライン等において禁止行為や出品禁止サービスを詳細に定め、定期的に見直しを実施しております。また、違反報告機能によりユーザーによる問題サービス等の通報体制の構築、サービスの健全化専任の担当人員配置及び社内マニュアル・基準等の策定により、出品サービス及び取引内容にかかる監視体制の構築及び継続的な運用を実施しております。
なお、「ココナラ」で売買されるサービスは、主としてトークルーム(サービス購入後に出品者と購入者のみが見られる非公開ページ)上において、購入者と出品者がコミュニケーションをとることで、役務が提供されていることから、出品サービス及びその取引について適宜かつ適時に網羅的な監視等を行うことには限界があるものと認識しております。そのため「ココナラ」では、購入者の支払代金について取引完了まで当社内に留保する仕組み(エスクロー機能)を提供することにより、不適切取引に対する牽制を図り、ユーザー間取引にかかる安全性向上に努めております。
しかしながら、「ココナラ」では無形商材である「知識・スキル・経験」を売買することから、ユーザー間のサービス品質等にかかる認識相違が生じる可能性があり、ユーザーの悪意の有無に関わらず、トラブル等が生じる可能性があります。当社監視体制が有効に機能しない、又は有効性が低下した結果、当社サービスにおいて重大なトラブルが発生又は増加した場合には、「ココナラ」の安全性に懸念が生じ、信頼性の低下により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社は、利用規約において売買契約の当事者となるものではない旨及びトラブル等については当事者間で解決する旨を定めておりますが、当社がユーザーからプラットフォーム運営者としての責任を問われることにより、損害賠償請求やその他対応費用等が発生する可能性があり、その場合にも当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(b)出品サービスの健全性について
当社に出品されているサービスは、多種多様なサービスがあり、カテゴリ又は出品内容に応じて様々な法規制を受けており、これらに違反するものや、社会通念上は望ましくないと考えられるサービスが出品される可能性があります。当社においては、上記の通り、禁止行為や出品禁止サービスを定めるとともに、社内ガイドライン等を整備し、不適切と考えられる出品サービスについて監視及び排除を行っております。以下は、出品サービスにおいて当社が留意すべき分野として監視対応等を行っている項目となります。
「ココナラ」内の「占い」カテゴリ等において、多様な占い分野に関するサービスが出品されており、その一部には「エネルギーワーク」や「ヒーリング」等といった行為(以下、「施術」という)が含まれるサービスがあります。当社は、「施術」サービスについて、占い業界においては1ジャンルとして認知されているものと考えておりますが、一般的には不適切な行為やトラブル等が生じ易いサービス形態と考えられているサービスであると認識しております。ただし、当社は、「施術」サービスについて、過去の取扱実績において、高い購入満足度が示されている傾向があること等も鑑み、当該サービスは、購入者の悩みや課題等に対して十分なアドバイス行為(鑑定・アドバイス・カウンセリング等)が提供されていると考えられる出品サービスのみを取り扱うこととし、施術行為のみで完結するサービス等については排除に努めております。
「ココナラ」内の「マネー・副業・アフィリエイト」カテゴリを中心として、主に副業のやり方や、お金の稼ぎ方等のノウハウ提供やツールの販売等(いわゆる「情報商材」と称される分野)といった多様なサービスが出品されております。当社は、金融商品取引法や景品表示法等の各種法規制に違反している可能性のあるサービスを排除するため、弁護士がレビューをしたガイドラインに基づいてサービス内容を確認し、必要に応じて、サービス内容を変更させるまたはサービスの取下げをするなどの体制を構築することにより、不適切な行為及びトラブル等の発生防止に努めております。
上記以外にも、一般的に公序良俗に反するものとして猥褻・出会い系・犯罪につながるもの、サービス内での誹謗中傷行為や医療行為に準ずるもの、第三者の著作権侵害や、当社利用規約等に反して、個人情報を取得し、当社の監視が及ばない外部へ誘導するサービス等といった、当社の利用者のみならず、第三者の権利を侵害する又は不利益を生じさせる可能性が高いサービス、暗号資産やICOに関するサービスといった当社の方針によって出品禁止としているサービスなどを詳細に定め、監視対応を実施することにより、不適切行為及びトラブル等の発生防止に努めております。
しかしながら、これらの取組みにもかかわらず、当社サービス内において重大なトラブル等が発生した場合には、当社が責任を問われる可能性があるほか、当社出品サービスに関連する業界等において社会的批判や風評等が生じるような事件・事象等が発生するなど、当社サービスの信頼性を損なう状況が発生した場合、当社サービスに対して監視対応の強化や出品基準の厳格化に関する要請が強まる可能性があるほか、ユーザーの離脱が生じる可能性があります。これらの要因により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ ユーザーの獲得及び継続性の維持について
当社の事業が成長していくためには、ユーザーの継続的な獲得及びユーザーによる継続的な利用が重要であると考えております。これらを促進するためには、安心・安全に利用できる取引環境の提供に加えて、ユーザーニーズに応じた出品サービスの獲得に注力すると共に、新規ユーザーの獲得、既存ユーザーのリテンション強化のためのマーケティング活動を継続的に推進してまいります。
今後、ニーズに応じたサービスを獲得できない場合やマーケティング効果が十分に得られない場合に、新規ユーザーの獲得、ユーザーの継続利用が低迷する可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、広告宣伝活動の一環としてテレビCMを2017年8月期、2019年8月期及び2020年8月期に日本全国を対象として実施しており、ユーザーの新規獲得及び当社サービスの知名度向上について一定の効果が出ているものと認識しております。今後のテレビCMについては、費用対効果等を考慮し、慎重に検討した上で、実施する方針であります。しかし、想定通りの広告効果が得られる保証はなく、収益増加に繋がらなかった場合や想定以上の広告宣伝費を投下することが必要になった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 事業領域拡大への投資について
当社は、今後もサービス、案件、ユーザー、コンテンツなどの各種マッチング経路の拡充などプロダクト機能の開発や、対面サービスの「ココナラミーツ」などの新事業領域の拡大への取り組みを進めていく予定であり、これによる事業規模の拡大及び収益力の向上に努めてまいりますが、これらの実現には、人材の採用、サービス・システム開発費用等の追加的な支出が発生し、さらに、事業領域の拡大が目論見通りに推移しないことで、追加的な支出についての回収が行えず、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 特定のプラットフォーム事業者の動向について
当社の事業は、スマートフォン向けアプリケーションを提供しており、Apple Inc.及びGoogle Inc.の両社にアプリケーションを提供することが現段階の当社の事業の重要な前提条件であります。これらプラットフォーム事業者の事業戦略の転換並びに動向によっては、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)事業体制に関するリスク
① 特定人物への依存について
当社の代表取締役である南章行は、当社の創業者であり、設立以来、代表取締役として、企業理念、経営方針及び事業戦略の決定において重要な役割を果たしておりました。また、当社の代表取締役である鈴木歩は、2017年3月以来、取締役として経営方針や事業戦略の立案・決定及びその遂行において重要な役割を果たしておりました。
当社では、2020年9月に、代表取締役を2名体制とし、南章行を代表取締役会長に、それまで取締役であった鈴木歩を代表取締役社長CEOに選任しております。また、執行役員制度のもと新たに2名を選任し合計3名の執行役員の体制とするなど、特定人物に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、何らかの理由により南章行または鈴木歩が当社の業務を継続することが困難となった場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 人材の確保と育成について
当社は、継続的な事業拡大や事業領域の拡大のためには、優秀な人材の確保、育成及び定着が最も重要であると認識しております。現在も、将来的な事業拡大を踏まえた先行的な人員増強を行っており、主にプロダクト開発や、各種ユーザー対応、ユーザー獲得や継続にかかるスタッフの増員を計画し、積極的に採用を進めております。
しかしながら、当社が求める優秀な人材が必要な時期に十分に確保・育成できなかった場合や、人材流出が進んだ場合には、経常的な業務運営及び事業領域の拡大等に支障が生じ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 小規模組織であることについて
当社は、本書提出日現在、取締役4名、監査役3名、従業員115名で事業を運営しておりますが、現在の人員構成における最適と考えられる内部管理体制及び業務執行体制を構築しております。
当社は、今後の事業の成長に応じて、人材の採用・育成を行うと共に、内部管理体制及び業務執行体制の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適切なタイミングで実施できなかった場合、又は人材が社外に流出した場合は、内部管理体制及び業務執行体制が有効に機能せず、当社の事業展開に支障が生じ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ システムトラブルについて
当社の全てのサービスはインターネットを介して提供されております。安定的なサービスの運営を行うために、サーバー設備の増強、セキュリティの強化、システム管理体制の構築等により、システム障害に対する取り組みを継続的に実施しております。しかし、大規模なプログラム不良や自然災害、事故、不正アクセス、想定以上のアクセス増加による一時的な負荷増大、その他何らかの要因によりシステム障害やネットワークの切断等予測不能なトラブルが発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)法的規制に関するリスク
① インターネットにおける法的規制について
当社が運営するサービスでは、「電気通信事業法」、「資金決済法」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「プロバイダ責任制限法」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」、「消費者契約法」、「特定商取引に関する法律」、「不当景品類及び不当表示防止法」、「弁護士法」といった法規制の対象となっております。
これらの法規制を遵守した運営を行ってきており、今後も社内教育や体制の構築などを行っていく予定であります。また、2016年1月には業界団体となる「一般社団法人シェアリングエコノミー協会」の立ち上げに参画し、業界として独自規制の制定を検討するなど、業界全体の健全性向上に努めております。しかし、今後新たな法令の制定や、既存法令の強化などが行われ、当社が運営する事業が規制の対象となるなど制約を受ける場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 著作権、商標権、知的財産権等について
当社は、著作権、商標権、知的財産権等の法令等の下、事業活動を行っており、現段階において事業及び業績に重大な影響を及ぼす訴訟を提起されている事実はありません。また、出品者に対しても当社はガイドラインを掲載し、サービスを掲載する際は権利に関する確認を行う対応を求めております。
しかしながら、そうした対応にも関わらず、権利侵害が発生し、訴訟等の紛争に至った場合、社会的信用の失墜、対応にかかる多額の経費発生等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 個人情報保護について
当社が運営する「ココナラ」では、メールアドレスをはじめとする利用者本人を識別することができる個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」の適用を受けております。これらの個人情報については、個人情報保護方針に基づき適切に管理するとともに、社内規程として個人情報保護規程を定めており、社内教育の徹底と管理体制の構築を行っております。
しかしながら、何らかの理由でこれらの個人情報が外部に流出し不正に悪用されるといった事態が発生した場合には、当社の業績及び企業としての社会的信用力に影響を及ぼす可能性があります。
④ 弁護士法および同法の関連法規
当社が運営する「ココナラ法律相談」では、弁護士へのマーケティング支援サービスを提供しており、弁護士法、同法の関連法規、および各単位弁護士会の規則・ガイドラインなどの規制の対象となっております。例えば、弁護士法第72条において報酬を得る目的での弁護士に対する訴訟事件等の周旋は禁止されておりますが、「ココナラ法律相談」の運営においては、弁護士法及び同法の関連法規等を遵守するために、適宜顧問弁護士に相談し、問題がないことを確認して事業運営を行っております。
しかしながら、同法の内容又は解釈が変更された場合には、「ココナラ法律相談」の事業が制約を受ける可能性があり、その場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)経営成績及び財政状態について
① 過年度業績等について
当社の過去5期間における主要な経営成績の推移は以下の通りであります。過年度においては、当社サービスの利用者及び取引拡大に伴い、営業収益は増加傾向で推移しておりましたが、事業の立ち上げ及び拡大に伴う社内体制の整備やユーザー獲得のためのマーケティング費用等の計上が先行してきたことから、過去5期間においては2018年8月期を除き当期純損失を計上しております。特に2017年8月期、2019年8月期及び2020年8月期においては、各第4四半期にユーザー獲得を目的として日本全国を対象としたテレビCMを展開したことによる広告宣伝費負担の増加が各期の赤字要因の多くを占めております。
なお、当社業績については、テレビCMが未実施となった2018年8月期には通期において当期純利益を計上しているほか、同第2四半期以降においては、テレビCMを実施しない四半期においては継続的に営業利益を計上するに至っております。
2020年8月期は、継続的な流通高の拡大による営業収益増加の一方で、事業成長を図るための先行投資的な人員拡充等及び第4四半期におけるテレビCMの展開等から、第1四半期から第3四半期は営業利益を計上したものの低水準に留まり、通期においては営業損失及び当期純損失を計上しております。
また、2021年8月期第1四半期は、前期実施のテレビCMの効果もあり、営業収益の拡大及び営業利益を計上しておりますが、同通期決算においては、テレビCM展開は計画していないものの、継続的な人材投資等による費用増加を見込んでおり、第2四半期以降の利益水準は第1四半期と比較して低水準に留まる可能性があります。
今後における当社業績について、想定する新規ユーザーの獲得、購入転換、単価の上昇等による収益拡大が進まない場合には、当社が策定する利益計画達成に支障が生じる可能性があり、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(単位:千円)
回次第5期第6期第7期第8期第9期
決算年月2016年8月2017年8月2018年8月2019年8月2020年8月
営業収益215,161385,785766,8361,138,4671,775,555
営業利益又は営業損失(△)△204,367△784,91041,543△1,038,135△80,864
経常利益又は経常損失(△)△195,048△785,38940,039△1,052,674△83,767
当期純利益又は当期純損失(△)△195,340△785,65646,845△1,054,356△94,001

(注)1.第5期から第7期については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を受けておりません。
2.第8期及び第9期の財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツにより監査を受けております。
また、2019年8月期以降における四半期の重要な経営成績の推移は以下の通りであります。
(単位:千円)
回次第8期(2019年8月期)
決算年月第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期
営業収益249,651254,511298,625335,678
営業費用216,435223,034264,3271,472,806
(内、広告宣伝費)(36,754)(35,107)(46,310)(1,167,285)
営業損益(△は損失)33,21631,47734,298△1,137,127

(注)第8期の各四半期会計期間の数値については、有限責任監査法人トーマツによる四半期レビューを受けておりません。

(単位:千円)
回次第9期(2020年8月期)
決算年月第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期
営業収益378,979397,030446,107553,438
営業費用316,732361,461417,084761,141
(内、広告宣伝費)(49,907)(49,345)(69,455)(318,240)
営業損益(△は損失)62,24635,56829,022△207,702

(注)第9期の各四半期会計期間の数値については、有限責任監査法人トーマツによる四半期レビューを受けておりません。
(単位:千円)
回次第10期
(2021年8月期)
決算年月第1四半期
営業収益612,976
営業費用543,366
(内、広告宣伝費)(72,408)
営業損益(△は損失)69,609

② 繰越欠損金について
当社は、事業拡大のための積極的な人材投資、広告宣伝等を行ってきたことから、第9期事業年度末時点において税務上の繰越欠損金が存在しております。今後、利益計上が継続した場合には、繰越欠損金が解消されることにより、法人税、住民税及び事業税の金額が増加することとなり、当期純損益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
(6)その他
① ベンチャーキャピタル等の持株比率について
本書提出日現在において、当社発行済株式総数20,474,000株のうち、計10,381,200株はベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合(以下、「VC等」という。)が所有しており、VC等が保有する当社株式の公募増資前の発行済株式総数に対する割合は50.7%と高い水準となっております。一般にVC等による未公開企業の株式所有目的は、株式公開後に売却を行いキャピタルゲインを得ることであります。今回当社が計画している上場後において、VC等が所有する当社株式を市場にて売却した場合には、当社株式の需給バランスが短期的に損なわれ、株価形成に影響を及ぼす可能性があります。
② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、取締役、監査役及び従業員に対して、業績向上に対する意欲を高めることを目的としたストック・オプション(新株予約権)を発行しております。また、今後もストック・オプション制度などの株式報酬型のインセンティブを活用することが考えられることから、現在付与している新株予約権に加え、今後株式が付与された場合、または、今後付与される新株予約権について、権利が行使された場合には、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日現在、新株予約権による潜在株式数は、2,595,500株であり、発行済株式総数20,474,000株の12.7%に相当しております。
③ 調達資金の使途について
当社が予定している公募増資による調達資金については、テレビCMをはじめとする認知度の向上や、新規ユーザー数の増加及び既存ユーザーの利用率の向上などを目的とした広告宣伝費、優秀な人材確保のための採用費及び人件費等の費用、流通高及び人員の増加など事業の拡大に伴うシステム費、通信費や、借入金の返済等に充当する予定であります。しかしながら、当初の計画に沿って調達資金を使用した場合でも、想定した投資効果が得られない可能性があります。