有価証券報告書-第86期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/26 13:37
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【項目】
153項目
① コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、株主をはじめ、顧客・従業員等当社を取巻くステークホルダー及び社会からの信頼関係を構築し、企業価値の最大化を図るためには、コーポレート・ガバナンスの強化が必要であり、経営上の重要課題であると認識しております。意思決定の迅速化・業務執行に対する監督機能の強化、取締役に対する経営監視機能の強化等に努めております。
そのような中、当社は2019年6月27日開催の定時株主総会決議により、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行しております。これにより、社外取締役を含む監査等委員が取締役会の議決権を保有することとなり、取締役会の監督機能が強化され、経営の健全性、透明性の向上を図っております。
② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由
a.企業統治の体制の概要
当社は、取締役会及び過半数の社外取締役により構成される監査等委員会により、業務の執行と監督、監査を行っております。さらに、役員等の業務執行について適切なタイミングで評価し、持続的な成長に寄与できる役員等の選任及び報酬の審議を行うため、2021年4月に取締役会の諮問機関として任意の指名報酬委員会を設置しております。さらに、企業統治の体制を補完するものとしてリスク管理委員会及びコンプライアンス委員会を設置しております。
また、2021年9月にはESG課題への対応としてサステナビリティ委員会を設置し、同課題への取組みのガバナンスとリスク管理機能の役割を果たすこととしております。
1)取締役会
取締役会は、監査等委員を除いた取締役8名と監査等委員である取締役4名の合計12名(うち社外取締役5名)で構成され、当社グループ及び当社取締役の業務執行を決定し、取締役の職務の執行を監督する権限を有しております。なお、取締役会議長は、取締役会長 落合 正行氏であります。
2)監査等委員会
監査等委員会は、監査等委員である取締役4名で構成され、ガバナンスの在り方とその運営状況を監視し、取締役の職務の執行を含む日常の活動の監査を行っております。監査等委員4名のうち3名は法曹界と会計士業界から招聘した社外取締役であり、それぞれ弁護士としての企業法務に関する豊富な経験と見識、公認会計士としての財務報告に関する幅広い知識と見識から、会社全般の監視を行うことで経営のチェック機能の充実を図っております。なお、同委員会の議長は、常勤の取締役(監査等委員)の岩佐 義龍氏であります。
3)指名報酬委員会
当社は、取締役、執行役員、シニアアドバイザー・アドバイザー(以下、「取締役等」という。)の指名・報酬等に関する手続きの公正性・透明性・客観性を確保し、コーポレート・ガバナンスの一層の充実を図るため、取締役会の諮問機関として任意の指名報酬委員会を設置しております。同委員会は、取締役会の諮問に応じて取締役等の候補の選任及び報酬の決定等について審議し、取締役会はその答申を最大限尊重することとしております。なお、同委員会の委員長は、社外取締役(監査等委員)の松本 榮一氏であり、その他には社外取締役1名、監査等委員である取締役2名(いずれも社外取締役)、取締役会長1名、代表取締役社長1名の計6名で構成しております。
4)内部統制室
内部統制室は、他の業務部門から独立した代表取締役社長直轄の組織として設置し、会計や各業務の適正性等、当社及び関係会社の業務全般について内部監査を行っております。なお、内部統制室長は、勝倉 正敏氏であります。
5)リスク管理委員会
リスク管理委員会は、毎期、当社グループに係るリスク状況の把握と再評価を行い、「リスクマップ」の作成・見直しを行い、その中から「優先対応リスク」を選定しております。これに対応する部署門又は会社が、「リスク管理基本計画」を策定又は更新し、取締役会の承認を受けた後、その計画に沿ったリスク低減に向けた活動を実行しております。なお、同委員会の委員長は、代表取締役社長 堤 裕氏であります。
6)コンプライアンス委員会
コンプライアンス委員会は、委員長を取締役会において選定し、委員長により指名される者が委員となり委員長と共に委員会を構成して、行動規範・行動指針の策定をはじめとするコンプライアンス施策の策定と遵守状況の確認を行っております。なお、同委員会の委員長は、代表取締役社長 堤 裕氏であります。
7)サステナビリティ委員会
サステナビリティ委員会は、委員長を代表取締役社長とし、議論するテーマに応じて事業部門の責任者を招集して委員会を構成しております。サステナビリティ課題を横断的に検討・議論していく体制を整え、サステナビリティ経営の基本方針の策定や、経営方針や経営計画に対するサステナビリティ視点での検証を行うとともに、取締役会に報告・提言を行っております。なお、同委員会の委員長は、代表取締役社長 堤 裕氏であります。
[当社における会社の機関・内部統制等の関係]
当社の経営組織及びコーポレート・ガバナンスの体制を図示すると、次のとおりであります。
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[当社における会社の各機関の構成員(内部統制室を除く)]
役名氏名取締役会監査等委員会指名報酬委員会リスク管理委員会コンプライアンス委員会サステナビリティ委員会
取締役会長落合 正行--
代表取締役社長堤 裕-
取締役副社長弓削 渉--
取締役國松 浩---
取締役上野 勝--
取締役飯嶋 雄次-----
取締役稲川 文雄----
取締役河田 格-----
取締役(監査等委員)岩佐 義龍----
取締役(監査等委員)松本 榮一---
取締役(監査等委員)飯野 浩一---
取締役(監査等委員)金子 浩子---

(注)1.稲川 文雄氏、河田 格氏、松本 榮一、飯野 浩一氏、金子 浩子氏は社外取締役であります。
2.表中の「◎」は、各機関における議長・委員長であることを表しております。
b.当該体制を採用する理由
当社は、監査等委員会設置会社であり、社外取締役を過半数とする監査等委員を会社運営の意思決定機関である取締役会の構成員とし、取締役会内でのより中立的な監視機能を持たせております。また、社外取締役数が全取締役数の3分の1以上であり、かつ1名の女性取締役も選任されていることから、当社取締役会におけるダイバーシティは相応に確保されており、コーポレート・ガバナンス体制は整備されているものと考えております。
業務執行については、取締役会による監督と監査等委員会による監査の二重の監視機能を有すること、監査等委員が取締役会の議決権を保有することによる取締役会の監督強化を図っております。また、会社法で除外する事項を除く重要な業務執行の決定の一部を代表取締役に委任し、迅速な経営判断のもとに機動的な会社運営を可能とすることで企業価値のさらなる向上に資するものとして、現状のコーポレート・ガバナンス体制を選択しております。
③ 企業統治に関するその他の事項
a.会社の内部統制システムの整備状況
当社は、2006年5月1日に施行された「会社法」に則り、2006年5月15日に開催した取締役会において、当社の業務の適正を確保するための体制整備を目的として「内部統制システムの構築に係る基本方針」を決議いたしました。その後、2015年4月16日及び2019年6月27日開催の取締役会において改訂されており、その要旨は以下のとおりであります。
1)取締役及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
・法令・定款・社内規則・社会規範を遵守するための紀文グループ行動規範・行動指針を設け、当社及びグループ各社の取締役及び使用人に周知、徹底を図る。
・取締役会は、法令に定めるもののほか取締役会に付議・報告すべき事項その他取締役会の運営に関する事項を定めた規程を整備し、当該規程に則り、意思決定を行い、また取締役の職務執行を監督する。
・取締役会の監督機能を充実させるため、当社は当社の定める社外役員の独立性基準に則した独立社外取締役を選任する。
・法令遵守及び財務報告の信頼性を確保するために必要な組織体制と諸規程を整備する。
・内部監査担当を設け、内部監査を実施することにより、業務の遵法性を確保する。
・当社監査等委員会は当社の監査を行うとともに、グループ各社監査役との定期的な情報交換を行い、グループ全体の法令・定款・社内規則・社会規範の遵守状況を確認する。
・弁護士等外部の専門家への照会と指導・助言を得られる体制を整備する。
・法令違反等の発生抑止と早期の是正を図るため、ヘルプライン(内部通報窓口)を設置する。
2)取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
・保存・管理すべき文書(情報)及びその保存期間等を定めた規程を整備し、当該規程に則った管理を行う。
・ITを活用し、必要な情報が適時・適切に伝達され、また、必要な情報にアクセスできる体制を構築する。
3)損失の危険の管理に関する規程その他の体制
・購買・生産・品質管理・販売等の主要な業務に付随し発生が予想されるリスクについては、その発生の抑止と対処の基本方針を定めた規程を整備し、当該リスクに対するマネジメント(コントロール)を行うことを基本とする。
・会社の存立の基盤に影響を及ぼしうるリスクその他突発的な事態等については、必要に応じ、役員・部署門長等から成る委員会等を設置し、当該リスクに対するマネジメント(コントロール)を行う。
4)取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
・組織機構に関する規程並びに職務の分掌及び権限に関する規程を定め、効率的な業務執行体制を構築する。
・取締役会の業務執行の決定権限の一部を取締役に委任し、会社の意思決定の迅速化を図る。
・中期経営計画及び年度事業計画の策定を行うとともに、計画の進捗を適時・的確に把握できる管理体制を構築する。
・計画に重大な影響を及ぼす事項を検討・審議するため、必要に応じて、役員・部署門長等から成る会議体を設置する。
・ITを活用し、必要な情報が適時・適切に伝達され、また、必要な情報にアクセスできる体制を構築する。
5)当社及び子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
・当社は、円滑なグループ運営を図るための規程を整備し、グループ各社との間で経営の管理に係る契約等を締結して、企業集団として適切な内部統制システムが構築され運用されるよう管理する。
・グループ各社は、当社が示す方針・規程等に準拠し、それぞれの会社の規模・事業内容に適した内部統制システムを構築し運用する。
・当社は、グループ各社の業務執行の状況その他グループ各社を管理するうえで必要な情報が当社へ適切に報告されるよう情報の伝達体制を整備するとともに、グループ各社が参画する会議等を定期的に開催する。
・当社は、グループ各社に対して必要に応じ、当社の内部監査担当による監査を実施する。
6)監査等委員がその職務を補助すべき取締役及び使用人を置くことを求めた場合における当該取締役及び使用人に関する事項
・(要請のあるときは)監査等委員会の職務を補助すべき取締役及び使用人として、監査等委員付を置く。
・監査等委員付は、監査等委員会の職務を補助することを専業とし、他の職務を管掌(兼務)しない。
7)監査等委員会の職務の補助をする取締役及び使用人の取締役(監査等委員である取締役を除く)からの独立性に関する事項
・監査等委員会の職務を補助すべき取締役及び使用人(監査等委員付)の任命、異動、人事考課(業績評価)等人事権に係る事項の決定に際しては、監査等委員会と事前協議を行う。
8)監査等委員会の職務を補助する取締役及び使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項
・監査等委員会を補助すべき取締役及び使用人(監査等委員付)が、その職務を遂行するにあたり必要な協力を得られるよう関係規程等にその旨を定め社内に周知する。
9)取締役(監査等委員である取締役を除く)及び使用人が監査等委員会に報告をするための体制その他の監査等委員会への報告に関する体制
・代表取締役及び業務執行を担当する取締役は、取締役会等監査等委員が出席する会議において、随時報告を行う。
・取締役(監査等委員である取締役を除く)及び使用人等は、監査等委員会規程及び監査等委員会監査等基準に従い、監査等委員の要請に応じ、必要な報告を行う。
・稟議書等の重要文書は、これを監査等委員会に回覧する。
・グループ各社は、当社が示す方針・規程等に準拠し、それぞれの会社の取締役、監査役等から当社の監査等委員会へ必要な情報が報告される体制を整備し社内に周知するとともに、グループ各社の監査役と当社の監査等委員が参画する会議等を定期的に開催する。
10)前号の報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制
・監査等委員会へ報告したことを理由として不利な取扱いは行わない旨を関係規程等に定め社内に周知する。
11)監査等委員会の職務の執行について生ずる費用の前払又は償還の手続その他の職務の執行について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関する事項
・監査等委員の職務の執行(監査等委員会の職務の執行に関するものに限る。)に要する費用については、監査等委員会と協議のうえ当期の活動予算を付与し、当該予算を超える緊急かつ臨時に生じた費用や債務があるときは、監査等委員の請求により当該費用又は債務を速やかに支払う。
12)その他監査等委員会の監査が実効的に行われることを確保するための体制
・取締役会その他重要な会議への出席など、監査等委員会規程及び監査等委員会監査等基準に従い、監査等委員の会社の重要な情報へのアクセスを確保する。
・内部統制担当は、当社の監査等委員及びグループ各社の監査役との間に定期的な情報交換等を行うなど、監査の実効性を向上すべく連携の充実を図る。
上記基本方針のもと、社内諸規則に則り、適正に業務を遂行しております。
b.リスク管理体制の整備の状況
当社は、内部統制システムの中核とされるリスク管理体制について、「リスク管理規程」を定め、リスク管理委員会を中心に経営上の様々なリスクの俯瞰的な把握と、それらリスクへの対応の監視を行う仕組みを構築しております。そこで把握したリスクへの対応に係る計画を「リスク管理基本計画」として取締役会承認のもとに策定し、毎期更新することとしております。
また、当社グループのリスク管理への取組み方針につきましては、「紀文グループ リスク管理への取組み方針」をリスク管理委員会が制定し、グループ各社がリスクを把握し自己管理することとしております。
c.子会社の業務の適正を確保するための体制の整備
当社の内部監査部門が定期的にグループ会社の内部監査を実施し、各社の業務執行を調査し代表取締役にその結果を報告しております。
また、グループ会社に関する重要な事項については、当社において事前承認を必要とし、あるいは報告を受けることで、グループ会社の業務の適正に努めております。