有価証券報告書-第1期(令和3年1月1日-令和3年12月31日)

【提出】
2022/03/29 12:53
【資料】
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【項目】
132項目
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当社は、2021年7月1日に単独株式移転により株式会社マーキュリアインベストメントの完全親会社として設立されましたが、連結の範囲に実質的な変更はないため、前連結会計年度と比較を行っている項目については、株式会社マーキュリアインベストメントの2020年12月期連結会計年度(2020年1月1日から2020年12月31日まで)と、前連結会計年度末と比較を行っている項目については、株式会社マーキュリアインベストメントの2020年12月期連結会計年度末(2020年12月31日)と比較しております。
また、当連結会計年度(2021年1月1日から2021年12月31日まで)の連結財務諸表は、単独株式移転により完全子会社となった株式会社マーキュリアインベストメントの連結財務諸表を引き継いで作成しております。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し経済活動の抑制が続く中、一部では持ち直しの動きもみられるものの、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような環境の下で、当社グループでは中長期的な成長を目指し、既存ファンドにおいては、当社が投資助言を行う「En Fund L.P.」、及び管理運営を行う「あすかDBJ投資事業有限責任組合(グロース1号ファンド)」等において、保有株式の売却による投資回収を行うことで、成功報酬を計上しました。
また、株式会社日本政策投資銀行及び三井住友信託銀行株式会社を中心に組成した「マーキュリア日本産業成長支援投資事業有限責任組合(バイアウト1号ファンド)」において、保有する株式を売却したことにより、当該ファンドに対するセイムボート投資を通じたファンド投資持分利益を計上するとともに、同ファンドより、事業会社への新たな投資も行いました。
新規ファンドにおいては、伊藤忠エネクス株式会社及び三井住友信託銀行株式会社などの事業パートナーと共同で組成した、エネクス・インフラ投資法人への太陽光発電施設の組入を基本戦略とするインフラ・ウェアハウジングファンドが、当初想定を上回る投資家コミットメント総額にて組成完了したことに加え、航空機リース事業において、コロナ後の航空機投資に対応すべく、航空機リースの組成・管理を専門とするAirborne Capital Limitedとの合弁会社として株式会社マーキュリアエアボーンキャピタルを設立するなど、マクロ環境に沿った投資戦略に基づく事業企画を行ってまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の営業収益は4,169,925千円(前連結会計年度比32.6%減)、営業利益は1,763,367千円(前連結会計年度比128.3%増)、経常利益は1,816,815千円(前連結会計年度比139.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,304,427千円(前連結会計年度比148.4%増)となりました。
なお、当社グループは投資運用事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
②キャッシュ・フローの状況
(単位:千円)
2020年12月期実績2021年12月期実績
営業活動によるキャッシュ・フロー△176,087178,603
投資活動によるキャッシュ・フロー△389,852227,561
財務活動によるキャッシュ・フロー△149,8551,345,556
換算差額他△22,29130,195
現金及び現金同等物の期末残高2,810,2624,604,764

当社グループでは2016年12月期の東京証券取引所への上場時及び2017年12月期の東京証券取引所市場第一部への市場変更時の公募増資により調達した資金について、当社が運営するファンドへのセイムボート投資及び先行投資(タイミングブリッジ投資)に充当して参りました。
また、当連結会計年度に実施した新株発行による調達資金の使途は、バイアウトファンドへの自己投資(セイムボート投資)資金及びインフラファンドへの自己投資(セイムボート投資)資金として充当する方針であります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末から1,794,503千円増加し、4,604,764千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローについては、当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は178,603千円となりました(前期は176,087千円の使用)。主な要因としては、税金等調整前当期純利益1,816,815千円を計上したものの、営業投資有価証券が847,303千円増加し、法人税等の支払額810,913千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローについては、主に、海外進出を目指す事業会社等に対する戦略的ソリューションとして共同投資を行うべく、関係会社(非連結子会社)にて対して行っていた貸付(292,400千円)を回収したことにより、当連結会計年度において投資活動の結果獲得した資金は227,561千円となりました(前期は389,852千円の使用)。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローについては、主に、新株の発行による資金調達(2,104,281千円)、及び配当基本方針に従い配当金の支払い(342,268千円)により、当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は1,345,556千円となりました(前期は149,855千円の使用)。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループで行う事業につきましては、投資運用事業の単一セグメントであり、生産、受注、販売実績を定義することが困難であるため、これらに代わるものとして、投資残高、営業収益及び営業総利益を記載しております。
a. 投資業務の実績
投資残高
科目当連結会計年度末
(2021年12月31日現在)
前年同期比(%)
運用資産残高 (千円)217,074,65019.0

b. 営業収益及び営業総利益
① 営業収益
科目当連結会計年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
前年同期比(%)
ファンド運用事業 (千円)2,623,64513.4
自己投資事業 (千円)1,367,307△63.3
その他 (千円)178,97422.5
合計(千円)4,169,925△32.6

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の営業収益及び当該営業収益の総営業収益に対する割合は次のとおりであります。
営業収益計上先前連結会計年度
(自 2020年1月1日
至 2020年12月31日)
当連結会計年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
Spring Real Estate Investment Trust1,095,71517.7910,79721.8
En Fund L.P.228,9603.7872,78820.9
マーキュリア日本産業成長支援投資事業有限責任組合382,0006.2779,57018.7
SR Focus L.P.2,869,06846.4441,26710.6
あすかDBJ投資事業有限責任組合549,1308.979,3361.9

② 営業総利益
科目当連結会計年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
前年同期比(%)
ファンド運用事業 (千円)2,623,64513.4
自己投資事業 (千円)835,753-
その他 (千円)178,97422.5
合計(千円)3,638,37150.0

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」及び「重要な会計上の見積り」に記載のとおりでありますが、営業投資有価証券及び営業貸付金に係る重要な会計方針及び見積りが連結財務諸表に大きな影響を及ぼす場合があります。
当社グループでは、運営するファンドに対するセイムボート投資として、営業投資有価証券及び営業貸付金を保有しております。
時価のある営業投資有価証券については、時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。時価を把握することが極めて困難と認められる営業投資有価証券については、投資先の財政状態の悪化による実質価額の著しい低下の有無等により減損処理の要否を、営業貸付金については、回収可能性の判断に基づき貸倒引当金の要否を検討しております。
減損処理の要否を検討する際の投資先の実質価額の見積り、及び貸倒引当金の要否を検討する際の回収可能性の見積りについては、投資先の財政状態、損益の状況、投資時事業計画との乖離状況、将来キャッシュ・フローの状況等を勘案して、検討を行っております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、常態化するとの想定により、現時点においては、営業投資有価証券及び営業貸付金の評価を通した短期的な業績への影響はあるものの、長期的な業績への影響は限定的であるものと判断しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)経営成績の分析
(単位:千円)
2020年12月期
実績
2021年12月期
実績
対前期比2021年12月期
業績予想
対業績
予想比
ファンド運用事業2,313,2812,623,645113%
管理報酬1,750,0421,893,927108%
成功報酬563,239729,718130%
自己投資事業3,724,4301,367,30737%
その他146,154178,974122%
営業収益6,183,8664,169,92567%3,800,000110%
営業原価3,757,575531,55414%
営業総利益2,426,2903,638,371150%
販売費及び一般管理費1,653,8511,875,004113%
営業利益772,4391,763,367228%1,800,00098%
経常利益757,5891,816,815240%1,800,000101%
親会社株主に帰属する当期純利益525,1261,304,427248%1,200,000109%

当社グループの当連結会計年度の業績は、営業収益4,169,925千円となりました。対前連結会計年度比については、当連結会計年度では、ファンド運用事業において成功報酬を計上するとともに、自己投資事業において、バイアウト1号ファンドの保有株式売却に係るファンド持分利益、及び太陽光発電施設のエネクス・インフラ投資法人への組入に係る営業収益を計上したものの、前連結会計年度には、当社グループが保有していたSpring REITユニットの譲渡取引を行い多額の営業収益を計上していた反動から、32.6%の減少となりました。
一方で、経常利益は、ファンド運用事業における成功報酬及び自己投資事業における営業収益計上に伴い利益が生じたこと、並びに前連結会計年度には前述のSpring REITユニットの譲渡取引において損失が生じていたことから、前連結会計年度から139.8%増加し、1,816,815千円となりました。
これにより、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期から148.4%増加し、1,304,427千円となりました。
(b)財政状態の分析
(単位:千円)
資産2020年12月末
残高
2021年12月末残高2021年12月末構成比負債/純資産2020年12月末残高2021年12月末残高2021年12月末構成比
現金及び預金2,880,2624,674,76426%借入金1,296,750873,5005%
営業未収入金373,914541,0753%その他負債1,286,9081,315,1807%
営業投資有価証券/営業貸付金10,270,01611,143,08662%負債合計2,583,6582,188,68012%
投資有価証券305,185280,9652%自己資本11,908,43215,108,36284%
その他資産1,223,2381,370,2368%その他純資産560,524713,0834%
資産合計15,052,61518,010,126100%純資産合計12,468,95615,821,44588%

(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して2,957,511千円増加して18,010,126千円となりました。
これは主に、新株発行による資金調達等により現金及び預金が1,794,503千円、並びに、バイアウト1号ファンドの出資約束金額履行による増加及び保有有価証券に係る時価評価の影響等により、営業投資有価証券が983,431千円増加したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末の負債総額は、前連結会計年度末と比較して394,978千円減少して2,188,680千円となりました。
これは主に、返済により短期借入金が293,250千円減少したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産額は、前連結会計年度末と比較して3,352,489千円増加して15,821,445千円となりました。
これは主に、新株発行による資金調達等により、資本金が1,031,483千円、資本剰余金が1,207,514千円増加したこと、及び利益剰余金が959,072千円増加したことによるものです。
(c)キャッシュ・フローの状況
第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況に記載のとおりであります。
(d)資本の財源及び資金の流動性の状況
当社グループの資金需要のうち主なものは、投資対象への自己投資資金(間接投資やファンド経由の出資となる場合を含みます)及び人件費をはじめとした販売費及び一般管理費等であります。
これらの資金需要に対応するための財源は、営業活動によるキャッシュ・フローで得られる自己資金、及び新株発行により調達した資金とすることを基本方針としておりますが、必要に応じて金融機関からの借入等により調達していく考えであります。