有価証券届出書(新規公開時)

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2021/05/07 15:00
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(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
経営成績の状況は次のとおりであります。
第25期連結会計年度(自 2019年6月1日 至 2020年5月31日)
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな回復基調で推移しました。一方、消費増税による消費の落ち込みに加え、新型コロナウイルス感染症の影響による国内外の経済活動の制限により、先行き不透明な状況が継続しております。
当社グループが属する情報サービス業界においては、生産性の向上、業務の効率化や自動化に対するシステムの需要が高まり、IoT(Internet of Things)やAI(Artificial Intelligence・人工知能)に代表される新技術の普及により、企業の競争力強化に向けたIT投資需要は増加傾向にあります。また、情報サービスの利用環境における企業のニーズは、クラウド化の進展が顕著となっております。
このような経営環境のもと、当社グループの主力事業であるITソリューション事業では、競争優位の確立を目指し、最優先計画としてAIやクラウドを活かした業務効率化・自動化の実現を掲げ、ワークスタイル変革に伴うニーズ変化に合わせ、新製品や既存製品につきまして、体系的に機能の充実を図ってまいりました。
オンラインゲーム事業においては、機能やデザイン性の高度化とともに市場の成熟化が進みつつあり、ゲームタイトル毎の収益格差が拡大傾向にあります。一方、当社グループの主力とする特定ゲームプラットフォームにおいては、開発からプラットフォーム運営までを行うことで優位性をとることを目指しております。また、中期的な視点に基づいて、新ゲームエンジンの取得へ向けた活動や自社IPの開発・取得への活動を開始しております。一方、リスクの低いビジネスモデルとして、新タイトルの開発からプラットフォーム運営までを、IP所有者から受託するビジネスを展開しております。
以上の結果、売上高3,193百万円(前連結会計年度比25.3%増)、営業利益292百万円(前連結会計年度比76.7%増)、経常利益298百万円(前連結会計年度比78.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益205百万円(前連結会計年度比85.2%増)と増収増益になりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(ITソリューション事業)
ITソリューション事業につきましては、製品関連については、マニュアル自動作成ツール「Dojo」が業務効率化・自動化の実現を必要としている企業を軸として、業種を問わずニーズが高まった事と提案力や営業体制を強化したことが相まって、売上高が前連結会計年度361百万円から561百万円と55.6%増となったこと、受託開発関連については、中規模のシステム受託開発が堅調に推移したことやIT技術者不足などにより前連結会計年度1,637百万円から1,999百万円と22.1%増となりました。
その結果、売上高2,561百万円(前連結会計年度比28.2%増)、セグメント利益666百万円(前連結会計年度比37.5%増)となりました。
(オンラインゲーム事業)
オンラインゲーム事業につきましては、自社タイトルゲーム「からくりサーカス ~Larmes d’un Clown~」の配信を前連結会計年度から開始し、当連結会計年度においては、ヤマダゲームやMobage、TSUTAYAオンラインゲーム等、10プラットフォームにわたるソーシャルゲームプラットフォームへの横展開を行ったことが通年で実績に繋がり83百万円の売上増となりました。既存タイトルにおきましても種々の施策を行った結果、売上高632百万円(前連結会計年度比15.1%増)、セグメント利益143百万円(前連結会計年度比20.1%増)となりました。
事業毎売上高
区 分第24期
(2019年5月期)
第25期
(当連結会計年度)
(2020年5月期)
前連結会計年度末比増減
金額
(千円)
構成比
(%)
金額
(千円)
構成比
(%)
金額
(千円)
比率
(%)
ITソリューション事業1,998,48278.42,561,05680.2562,57328.2
オンラインゲーム事業549,59721.6632,74419.883,14715.1
合 計2,548,080100.03,193,801100.0645,72025.3

第26期第3四半期連結累計期間(自 2020年6月1日 至 2021年2月28日)
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、2020年初頭から世界的に感染が拡大した新型コロナウイルス感染症の拡大の影響下にありました。2021年1月には首都圏、近畿圏などの人口密集地域に二度目の緊急事態宣言が発出され依然として経済の不透明感が継続しております。
当社グループを取り巻く経営環境は、ITソリューション事業及びビジネスプロダクト事業においては、コロナ禍において一時的な需要の足踏み感はありましたが全体としてはDX(デジタルトランスフォーメーション)への移行が加速しており、これらの需要に対応していくことでビジネスチャンスが創出できる状況にあります。ゲームコンテンツ事業は、モバイル端末の高機能化や、5G回線網の整備などによりゲームコンテンツの今後の展開が期待されております。
このような状況のもと、ITソリューション事業においてはラボ型(お客様の状況に応じて必要な人材を必要な期間だけ契約する型式)契約の推進や受託プロジェクトの管理徹底、ビジネスプロダクト事業においては、展示会における新規顧客の獲得の強化、オンライン展示会やオンライン営業等の新しい集客・成約方法の確立、ゲームコンテンツ事業においては新規タイトルの開発と既存タイトルの販促諸施策の実施に取り組みました。
この結果、当社グループの当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高は2,175百万円、営業利益は251百万円、経常利益は250百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は167百万円となりました。
各セグメントの経営成績は次のとおりであります。
(ITソリューション事業)
ITソリューション事業においては、新型コロナウィルス感染症の影響で顧客企業のIT投資が抑制され、大型案件の規模縮小や受注延期などが発生しましたが、ラボ型契約による受注が堅調に推移したことなどから、売上高は1,339百万円、セグメント利益は399百万円となりました。
(ビジネスプロダクト事業)
ビジネスプロダクト事業においては、Dojo等の製品販売が好調であったことなどから、売上高は384百万円、セグメント利益は118百万円となりました。
(ゲームコンテンツ事業)
ゲームコンテンツ事業においては、外出自粛によるゲーム需要の拡大などにより、売上高は452百万円となったものの、新規タイトルのリリース遅延によりセグメント利益は84百万円となりました。
なお、当社は2020年5月期連結会計年度まで報告セグメントの事業区分を「ITソリューション事業」「オンラインゲーム事業」の2区分としておりましたが、2021年5月期第1四半期連結会計期間より「ITソリューション事業」、「ビジネスプロダクト事業」、「ゲームコンテンツ事業」の3区分に変更しております。詳細は「第5 経理の状況 注記事項(セグメント情報等)2 報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。
新しいセグメント区分に基づく2019年5月期連結会計年度及び2020年5月期連結会計年度における外部顧客への売上高及びセグメント利益を、参考情報として以下記載いたします。
区 分第24期
(2019年5月期)
第25期
(2020年5月期)
第26期第3四半期
(2021年5月期)
外部顧客への売上高
(千円)
セグメント利益
(千円)
外部顧客への売上高
(千円)
セグメント利益
(千円)
外部顧客への売上高
(千円)
セグメント利益
(千円)
ITソリューション事業1,637,240389,3711,999,118432,5261,337,534399,121
ビジネスプロダクト事業361,24295,816561,937219,345384,938118,007
ゲームコンテンツ事業549,597119,265632,744143,233452,91484,888
調整額(注1)△438,746△502,260△350,107
合 計2,548,080165,7073,193,801292,8432,175,387251,910

(注)1.セグメント利益の調整額は、主に各報告セグメントに配分していない全社費用であります。全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。
2.2019年5月期連結会計年度及び2020年5月期連結会計年度の新セグメント区分に基づく外部顧客への売上高・セグメント利益は、EY新日本有限責任監査法人の監査を受けておりません。
財政状態につきましては次のとおりであります。
第25期連結会計年度(自 2019年6月1日 至 2020年5月31日)
ⅰ 資産の部
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ691百万円増加し、1,828百万円となりました。
(流動資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ630百万円増加し、1,559百万円となりました。これは、主として金融機関からの借入や営業活動による資金獲得に伴う現金及び預金673百万円の増加及び債権回収による売掛金55百万円の減少などによります。
(固定資産)
固定資産は、前連結会計年度末に比べ61百万円増加し、269百万円となりました。これは、主として本社移転による敷金及び保証金の増加48百万円、建物の増加12百万円及び減価償却費30百万円による減少などによります。
ⅱ 負債の部
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ416百万円増加し、1,019百万円となりました。
(流動負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ150百万円増加し、595百万円となりました。これは、主として短期借入金が50百万円増加したこと、消費税増税により未払消費税等が41百万円増加したこと及び債務の弁済による買掛金の減少14百万円などによります。
(固定負債)
固定負債は、前連結会計年度末に比べ266百万円増加し、423百万円となりました。これは、金融機関から長期借入金400百万円を行ったこと及び長期借入金の返済を130百万円行ったことによります。
ⅲ 純資産の部
純資産は、前連結会計年度末に比べ274百万円増加し、809百万円となりました。これは、主として親会社株主に帰属する当期純利益205百万円を計上したことによる利益剰余金の増加及び自己株式の処分を71百万円行ったことなどによります。
第26期第3四半期連結累計期間(自 2020年6月1日 至 2021年2月28日)
ⅰ 資産の部
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ3百万円増加し、1,832百万円となりました。
(流動資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ4百万円増加し、1,563百万円となりました。これは、前連結会計年度末に比べ、主として営業活動による売上債権の増加が38百万円あったこと、受託開発ゲームの完成等による仕掛品の減少が19百万円あったこと、現金及び預金の減少が28百万円あったことなどによります。
(固定資産)
固定資産は、前連結会計年度末に比べ0百万円減少し269百万円となりました。これは、前連結会計年度末に比べ、主としてソフトウエアの増加が36百万円あったこと、固定資産の減価償却費を33百万円計上したことなどによります。
ⅱ 負債の部
当第3四半期連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ130百万円減少し、889百万円となりました。
(流動負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ14百万円減少し、580百万円となりました。これは、前連結会計年度末に比べ、主として1年内返済予定の長期借入金の増加が35百万円あったこと、前受収益の減少が21百万円あったこと、未払消費税等の減少が19百万円あったことなどによります。
(固定負債)
固定負債は、前連結会計年度末に比べ115百万円減少し、308百万円となりました。これは、前連結会計年度末に比べ、金融機関からの長期借入金の返済が115百万円あったことによります。
ⅲ 純資産の部
当第3四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べ134百万円増加し、943百万円となりました。これは、前連結会計年度末に比べ、主として親会社株主に帰属する当期純利益167百万円を計上したこと、剰余金の配当を36百万円行ったことなどによります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
第25期連結会計年度(自 2019年6月1日 至 2020年5月31日)
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比べ673百万円増加し1,204百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ382百万円増加し418百万円となりました。資金の増加の主な要因は、税金等調整前当期純利益298百万円(前年同期比131百万円の増加)、売掛金の減少55百万円(前年同期比50百万円の減少)、未払消費税等の増加41百万円(前年同期比69百万円の増加)となっております。資金の減少の主な要因は、法人税等の支払額86百万円(前年同期比32百万円の増加)となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、135百万円となりました。前連結会計年度においては、213百万円の獲得であります。資金使用の主な要因は、本社移転に伴う敷金及び保証金の差入れによる支出94百万円(前年同期比94百万円の増加)及び有形固定資産の取得による支出38百万円(前年同期比34百万円の増加)となっております。資金の獲得の主な要因は、本社移転に伴う旧本社退去による敷金の返還31百万円(前年同期比31百万円の増加)となっております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、390百万円となりました。前連結会計年度においては519百万円の使用であります。資金の増加の主な要因は、自己株式の処分による収入87百万円(前年同期比87百万円の増加)、長期借入れによる収入400百万円(前年同期比400百万円の増加)となっております。資金の減少の主な要因は、長期借入金の返済130百万円(前年同期比30百万円の減少)となっております。
③ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b 受注実績
第25期連結会計年度(自 2019年6月1日 至 2020年5月31日)
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前期比(%)受注残高(千円)前期比(%)
ITソリューション事業2,438,685116.088,85242.1
オンラインゲーム事業632,744115.1
合計3,071,430115.888,85242.1

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.ITソリューション事業におきましては、受注から売上までに一定の期間が必要な受託開発分野のみ受注残を記載しております。また、オンラインゲーム事業におきましては、ゲーム自体を無償で提供、お客様がゲーム内でコンテンツ等の入手時に課金し、これが当社の収入となるため、受注残はございません。
第26期第3四半期連結累計期間(自 2020年6月1日 至 2021年2月28日)
当第3四半期連結累計期間における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、当社は第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの事業区分を「ITソリューション事業」、「ビジネスプロダクト事業」、「ゲームコンテンツ事業」の3区分に変更しております。
セグメントの名称当第3四半期連結累計期間
(自2020年6月1日
至2021年2月28日)
受注高
(千円)
受注残高(千円)
ITソリューション事業1,389,589141,183
ビジネスプロダクト事業384,875
ゲームコンテンツ事業453,132
合計2,227,596141,183

(注) ITソリューション事業におきましては、受注から売上までに一定の期間が必要な受託開発分野のみ受注残を記載しております。ビジネスプロダクトに事業におきましては、受注から納品まで期間が2か月以内が殆どのため受注残の管理をしておりません。また、ゲームコンテンツ事業におきましては、ゲーム自体を無償で提供、お客様がゲーム内でコンテンツ等の入手時に課金し、これが当社の収入となるため、通常は受注残がございません。
c 販売実績
第25期連結会計年度(自 2019年6月1日 至 2020年5月31日)
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前期比(%)
ITソリューション事業2,561,056128.2
オンラインゲーム事業632,744115.1
合計3,193,801125.3

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
なお、当社は第25期連結会計年度まで報告セグメントの事業区分を「ITソリューション事業」「オンラインゲーム事業」の2区分としておりましたが、第26期第1四半期連結会計期間より「ITソリューション事業」、「ビジネスプロダクト事業」、「ゲームコンテンツ事業」の3区分に変更しております。詳細は「第5 経理の状況 注記事項 (セグメント情報等)2 報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。
新しいセグメント区分に基づく販売実績を、参考情報として以下記載いたします。
セグメントの名称金額(千円)前期比(%)
ITソリューション事業1,999,118122.1
ビジネスプロダクト事業561,937155.6
オンラインゲーム事業632,744115.1
合計3,193,801125.3

第26期第3四半期連結累計期間(自 2020年6月1日 至 2021年2月28日)
当第3四半期連結累計期間における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)
ITソリューション事業1,337,534
ビジネスプロダクト事業384,938
ゲームコンテンツ事業452,914
合計2,175,387

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来生じる実際の結果と異なる可能性がありますのでご留意ください。
① 重要な会計方針及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、当連結会計年度における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
連結財務諸表作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a. 工事進行基準の進捗率
当社グループでは、受注制作のソフトウエアのうち、当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる契約においては工事進行基準を適用しており、進捗率の見積りは原価比例法を採用しております。
当社グループでは工事収益総額、工事原価総額、及び連結会計年度末時点における工事進捗度を合理的に見積り、これに応じて当期の工事収益及び工事原価を計上しておりますが、見積りが実際の発生と異なる可能性があります。
b. 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。
収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰戻・繰越期間における課税所得を見積っております。課税所得は、中期経営計画の前提となった数値を、経営環境等の外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(過去における中期経営計画の達成状況、予算など)と整合的に修正し見積っております。
当該見積りについて、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
c. 受注損失引当金の算定
受注業務に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末の未成業務のうち、損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積もることができる業務については損失見込額を計上することとしております。損失見込額が多額となる場合には、当連結グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
d. 新型コロナウイルス感染症の影響について
新型コロナウイルス感染症の影響により旅客業や観光業、イベント関連業など著しく停滞している業界もあり、全体として厳しい状況にある経済活動は、2021年に入っても第3波の拡がりにより継続すると予想されるものの、当社グループの主な事業であるITソリューション事業においては、テレワークやリモート業務をサポートする製品やサービスへの引き合いは活発であります。オンラインゲーム事業は、新型コロナウイルス感染症の影響をほとんど受けない個人向けの事業であります。
このような状況により、本感染症は翌連結会計年度の業績までは影響はあると考えておりますが、当社の連結財務諸表に与える影響は軽微であるとの仮定のもと、繰延税金資産の回収可能性の判断等の会計上の見積りを行っております。
他方、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収束せず、世界経済の低迷が2021年以降も長期化した場合は、当社グループの製品、サービスの需要減少をもたらし、連結財務諸表に影響を与える可能性があります。
なお、連結財務諸表の作成のための基本となる重要な会計基準等は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度(自 2019年6月1日 至 2020年5月31日)
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、中規模のシステム受託開発が堅調に推移したことやIT技術者の不足、Dojo等の製品販売が好調だったこと、2018年12月リリースの新作ゲーム「からくりサーカス」を10ソーシャルゲームプラットフォームに展開するなどのため、3,193百万円(前年同期比25.3%増加)となりました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、売上増を外注の増加により対応したことなどのため、1,927百万円(前年同期比26.8%増加)となりました。
その結果、売上総利益は1,266百万円(前年同期比23.1%増加)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、営業体制の充実や内部管理体制の拡充のため人件費が増加したことなどのため、973百万円(前年同期比12.8%増)となりました。
その結果、営業利益は292百万円(前年同期比76.7%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益については、助成金収入が増加したことや海外連結子会社との取引による為替差益の発生などのため、7百万円(前年同期比50.6%増)となりました。
当連結会計年度の営業外費用については、支払利息が減少したことなどのため、2百万円(前年同期比42.9%減)となりました。
その結果、経常利益は298百万円(前年同期比78.5%増)となりました。
(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度においては特別利益及び特別損失の計上はありません。
その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、205百万円(前年同期比85.2%増)となりました。
2021年5月期第3四半期累計期間(自 2020年6月1日 至 2021年2月28日)
(売上高)
当第3四半期連結累計期間の売上高については、技術者支援(SES)の売上が堅調に推移する一方で、新型コロナウイルス感染拡大による先行き不透明感により、大企業向けの開発案件などが低調に推移し、製品販売においては、緊急事態宣言などに伴い、営業活動、イベントやセミナーの開催などの活動が制限されたこと、オンラインゲーム受託新タイトル「新選組 ~桜華妖乱~」の開発に一部人員を割り当てたこともあり、既存の自社タイトルゲームの売上がやや低調に推移したことなどにより、2,175百万円となりました。
(売上原価、売上総利益)
当第3四半期連結累計期間の売上原価については、利益確保に向けて外注から社内内製化への推進及びリモートワーク推進による業務効率化により売上原価の圧縮を実施したことなどにより、1,249百万円となりました。
その結果、売上総利益は、925百万円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当第3四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費については、研究開発の計画を一部変更し、各セグメントの研究開発人員を受託開発に投入したことにより研究開発費が削減されたこと、新型コロナウイルス感染症の影響により一部展示会の中止、リモートワーク推進による通勤費等の経費削減により673百万円となりました。
その結果、営業利益は、251百万円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当第3四半期連結累計期間の営業外収益については、助成金収入などにより4百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間の営業外費用については、支払利息や海外連結子会社との取引による為替差損の発生により6百万円となりました。
その結果、経常利益は、250百万円となりました。
(特別利益、特別損失、親会社株主に帰属する四半期純利益)
当連第3四半期連結累計期間においては特別利益及び特別損失の計上はありません。
その結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は167百万円となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、研究開発、人材投資、マーケティング費用に資金を要しており、株式上場時の公募及び自己株式処分による資金を充てることとしております。事業上必要な流動性については、自己資金で確保できていると考えておりますが、一時的な資金需要については銀行等の金融機関からの借入により対応できるものと考えております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境の変化をはじめ、様々なリスク要因が当社グループの成長及び経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社グループは、常に市場動向等に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保及び育成に努め、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因の低減を図ってまいります。
⑤ 経営者の問題意識と今後の対応について
当社グループは、更なる成長と強固な経営基盤を確立するため、以下の事項を今後の事業展開における対処すべき課題として認識し、重点的に取り組んでまいります。
(1) 経営管理体制及び内部管理体制の強化
経営の健全性・適切性の確保に向け経営管理体制を有効に機能させると同時に、適時開示体制やコンプライアンス体制、リスク管理体制などの内部管理体制の充実に努めてまいります。
(2) 優秀な人材の確保と育成
継続的な成長の原資である人材は当社グループにとって最も重要な経営資源と認識しております。当社グループビジョンと共鳴し、主体的に課題解決ができる優秀な人材の確保と成長を支える人材育成を重要課題として、採用体制の強化、採用ルートの拡大、教育・育成、研修制度及び人事評価制度の充実等、各種施策を進めてまいります。
(3) 主要事業の拡大
強い経営体制の会社として持続的に成長し社会貢献を行うために、既存事業の拡大及び新サービスの創出により、収益の拡大を目指してまいります。
ITソリューション事業においては、大手SIerからの大型案件受注の流れをさらに確実なものにしていくため、顧客視点に立った提案力の強化を図ってまいります。
ビジネスプロダクト事業においては、2020年5月期連結会計年度において2つの製品をリリースいたしました。今後、さらにお客様の課題解決に役立つ機能を搭載し、バージョンアップさせていくことで拡販を目指してまいります。同時に、技術シーズの発掘や市場ニーズを的確に捉え、次期製品の研究・開発を進めてまいります。
ゲームコンテンツ事業においては、提供するゲームのクオリティ向上等を目的に既存メンバーの育成に重点をおき、企画・開発・運営等、すべての面で底上げによる体制強化を図ってまいります。
(4) ビジネスパートナー企業との協業強化と拡大
当社グループは、お客様のご要望に機動的に対応するためにビジネスパートナーとの協業強化が不可欠と認識しております。近年の技術者不足を踏まえ、ビジネスパートナーとの連携をより強固なものに発展させると同時に、新たなビジネスパートナーの発掘を積極的に行い、開発体制を強化してまいります。
⑥ 目標とする経営指標(連結売上高、営業利益、自己資本利益率)に対する今後の方針と対策
当社グループは、事業規模の拡大と収益性の向上を重要な課題と認識しております。そのため、今後の目標とする指標を連結売上高では、前期比10%以上の成長、営業利益では、前期比20%以上の成長としております。この目標を実現することにより利益率の向上を図り、結果として資本効率の指標である自己資本利益率(ROE)を向上させる方針であります。
事業の拡大につきましては、新型コロナウイルス感染症の発生により今後さらに企業におけるワークスタイル変革は加速すると考えており、時代に合ったワークスタイル変革ソリューションを企業に提供し続け、変革の推進と加速を支援していくことにより事業を拡大してまいります。
具体的には、働き方の改善を主目的としてIT活用を行うソリューション・サービス・製品を「ワークスタイル変革ソリューション」と定義し、働き方の改善に向けコンサルティング提案し、企画・設計、システム開発、保守・運用に至るまでトータル的にサポートを行いお客様の課題解決に貢献してまいります。
また、コンサルティング提案の中でお客様の状況に応じて、より良いプロダクトを提供できるように、当社グループのプロダクト群の機能アップを体系的に図り、より付加価値の高いサービスを提供し続けてまいります。
そのために2022年5月期を初年度とする中期経営計画の中で人材育成や優秀な人材の採用によるコンサルティング力の向上や顧客企業のニーズに応じた新製品の開発を計画しております。