有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/06/01 15:00
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134項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
経営成績の状況は次のとおりであります。
第7期事業年度(自 2019年10月1日 至 2020年9月30日)
当事業年度におけるわが国経済は、企業規模や雇用環境において緩やかな回復基調が続いておりましたが、2020年1月に国内で初めて感染が確認された新型コロナウイルス感染症の影響により急速に悪化し、かつてない規模での社会混乱が発生しました。緊急事態宣言の解除後は徐々に経済活動も再開しつつあるものの、日本経済の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社事業を取り巻く環境につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響が及んでおりますが、IT業界では、感染拡大をきっかけにオンライン会議を中心としたリモートでのコミュニケーション機会の拡大や、オンラインを前提とした業務継続の取組み等、コロナ禍におけるニューノーマルを模索する企業においてIT活用が求められております。又、介護業界においては介護施設における新型コロナウイルス感染症対策の対応により現場の負担感が増す中で、人材不足感は依然として高い状況が続いております。
このような環境のもと、当社はIT営業アウトソーシング事業とヘルスケアビジネス事業の2つの事業に注力しております。これまで培ってきた介護従事者・自治体及び大手IT企業とのネットワークを生かし、超高齢社会の到来による医療費・介護費等の社会保障費の増加や介護を必要としない健康寿命の延伸という社会課題の解決を目的としてヘルスケアDXの構築及びDX推進・データ分析ができる人材育成に取り組んでまいりました。
IT営業アウトソーシング事業のうち営業アウトソーシング事業につきましては、派遣人員の拡大に向け、若年層を中心とした採用と教育に注力し、派遣及び業務委託の人員116名を達成し、売上高、売上総利益とともに事業開始から過去最高額を更新しました。
ヘルスケアビジネス事業のうち介護レクリエーション事業につきましては、「レクリエーション介護士」2級の認定者は累計30千人を超えました。
又、自治体等と連携したヘルスケア関連施設の運営受託業務につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により当該施設を一時期休館していたものの、感染予防対策を徹底することで早期に再開させることができ影響を最小限に抑えることができました。介護レクリエーションの普及とヘルスケア関連施設の運営受託業務を通じてシニアプラットフォームを拡充していくとともに、ヘルスケア・リビングラボの取組みを推進しております。
以上の結果、当事業年度の売上高は、1,031,042千円(前期比2.6%増)を計上することができました。
利益面につきましては、営業利益38,427千円(前期比10.7%減)、経常利益45,074千円(前期比7.2%増)、当期純利益は、税効果会計による法人税等調整額を13,173千円計上し、30,791千円(前期比40.1%減)となりました。
セグメント別の業績は、IT営業アウトソーシング事業の売上高は879,336千円(前期比5.9%増)、営業利益は242,526千円(前期比8.3%増)となりました。ヘルスケアビジネス事業の売上高は151,705千円(前期比13.1%減)、営業損失は80,113千円(前期は57,676千円の営業損失)となりました。
第8期第2四半期累計期間(自 2020年10月1日 至 2021年3月31日)
当第2四半期累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に伴う緊急事態宣言発令を機に、外出自粛や各自治体からの営業自粛要請等により個人消費が急速に減少する等、経済活動が大幅に落ち込み、非常に厳しい状況が続きました。又、当該宣言は解除されたものの、回復に向けた動きは鈍く、依然として感染再拡大の懸念は拭えず、当面の間は経済を下押しする圧力が残る等、厳しい状況が続くと見込まれます。
このような環境のもと、当社は更なる事業間のシナジーを発揮することで経営効率を高め、事業に注力してまいりました。その結果、当第2四半期累計期間の売上高は、574,262千円を計上することができました。
利益面につきましては、営業利益96,581千円、経常利益94,219千円、四半期純利益は61,830千円となりました。
セグメント別の業績は、IT営業アウトソーシング事業のうち営業アウトソーシング事業につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響もありましたが、堅実な事業運営を続け、派遣及び業務委託の人員115名(前年同期末より13名増)を達成しました。又、ソリューション事業につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響も含め、顧客のIT投資が増加したことによりネットワーク関連の売上が増加した結果、売上高は498,399千円、営業利益は167,456千円となりました。
ヘルスケアビジネス事業のうち介護レクリエーション事業につきましては、「レクリエーション介護士」2級の認定者は累計31千人を超えました。又、ヘルスケア支援事業につきましては、ATCエイジレスセンター、おおさかATCグリーンエコプラザの運営、高石健幸リビング・ラボの運営等、引き続き自治体と連携し事業を展開するとともに、介護レクプログラムの開発を行った結果、売上高は75,862千円、営業利益は824千円となりました。
財政状態につきましては次のとおりであります。
第7期事業年度(自 2019年10月1日 至 2020年9月30日)
(資産)
当事業年度末における資産合計は467,360千円となり、前事業年度末に比べ5,568千円増加しました。
流動資産は396,352千円となり、前事業年度末に比べ19,465千円増加しました。主な増加要因は現金及び預金の増加、売掛金の増加であります。
固定資産は71,008千円となり、前事業年度末に比べ13,897千円減少しました。主な減少要因は投資その他の資産の繰延税金資産の減少であります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は257,722千円となり、前事業年度末に比べ25,223千円減少しました。
流動負債は206,195千円となり、前事業年度末に比べ7,392千円増加しました。主な増加要因は賞与引当金の増加であります。
固定負債は51,527千円となり、前事業年度末に比べ32,616千円減少しました。主な減少要因は長期借入金の減少であります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は209,638千円となり、前事業年度末に比べ30,791千円増加しました。主な増加要因は、当期純利益の計上による利益剰余金の増加であります。
第8期第2四半期累計期間(自 2020年10月1日 至 2021年3月31日)
(資産)
当第2四半期会計期間末における資産合計は503,751千円となり、前事業年度末に比べ36,390千円増加しました。
流動資産は429,919千円となり、前事業年度末に比べ33,566千円増加しました。主な増加要因は現金及び預金の増加、売掛金の増加、たな卸資産の減少及びその他の流動資産の減少であります。
固定資産は73,832千円となり、前事業年度末に比べ2,824千円増加しました。主な増加要因は無形固定資産の取得及び繰延税金資産の増加であります。
(負債)
当第2四半期会計期間末における負債合計は232,282千円となり、前事業年度末に比べ25,439千円減少しました。
流動負債は215,267千円となり、前事業年度末に比べ9,072千円増加しました。主な増加要因は賞与引当金の増加であります。
固定負債は17,015千円となり、前事業年度末に比べ34,512千円減少しました。主な減少要因は長期借入金の減少であります。
(純資産)
当第2四半期会計期間末における純資産合計は271,469千円となり、前事業年度末に比べ61,830千円増加しました。主な増加要因は、四半期純利益の計上による利益剰余金の増加であります。

② キャッシュ・フローの状況
第7期事業年度(自 2019年10月1日 至 2020年9月30日)
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前事業年度末に比べ17,173千円増加し、264,358千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により増加した資金は、62,149千円(前期は67,982千円の資金の増加)となりました。これは主に、税引前当期純利益を45,074千円計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により減少した資金は、10,220千円(前期は12,991千円の資金の増加)となりました。これは主に、固定資産の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により減少した資金は、34,756千円(前期は45,997千円の資金の減少)となりました。これは、長期借入金の返済によるものであります。
第8期第2四半期累計期間(自 2020年10月1日 至 2021年3月31日)
当第2四半期累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前事業年度末に比べ20,445千円増加し、284,804千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により増加した資金は、67,293千円となりました。これは主に、税引前四半期純利益を94,219千円計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により減少した資金は、1,321千円となりました。これは主に、固定資産の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により減少した資金は、45,526千円となりました。これは主に、長期借入金の返済によるものであります。

③ 生産、受注及び販売の実績
第7期事業年度(自 2019年10月1日 至 2020年9月30日)
a. 生産実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b. 受注実績
上記「a. 生産実績」と同様の理由により、記載を省略しております。
c. 販売実績
第7期事業年度及び第8期第2四半期累計期間における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第7期事業年度
(自 2019年10月1日
至 2020年9月30日)
第8期第2四半期累計期間
(自 2020年10月1日
至 2021年3月31日)
販売高(千円)前期比(%)販売高(千円)
IT営業アウトソーシング事業879,336+5.9498,399
ヘルスケアビジネス事業151,705△13.175,862
合計1,031,042+2.6574,262

(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先第6期事業年度
(自 2018年10月1日
至 2019年9月30日)
第7期事業年度
(自 2019年10月1日
至 2020年9月30日)
第8期第2四半期累計期間
(自 2020年10月1日
至 2021年3月31日)
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
株式会社インターネットイニシアティブ137,07713.6163,11715.891,16115.9
日本電気株式会社189,71518.9147,84814.372,17212.6
日鉄ソリューションズ株式会社122,99012.2127,73012.463,46711.1

上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 財政状態
財政状態の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b. 経営成績
第7期事業年度(自 2019年10月1日 至 2020年9月30日)
(売上高)
当事業年度における売上高は1,031,042千円(前期比2.6%増)となりました。これは主に新型コロナウイルス感染症による影響を受けたものの、IT営業アウトソーシング事業の配属人数の増加(2020年9月末時点116名で10名増)によるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は595,553千円(前期比0.1%増)となり、売上高の増加率に比べて緩やかなものとなりました。売上原価を構成するものとして主にIT営業アウトソーシング事業の人件費がありますが、配属人数の増加により社員給与、法定福利費の増加及び2020年4月からの同一労働同一賃金の対応により賞与引当金繰入額が増加したものの、売上高が増加したことにより、売上総利益は435,488千円(前期比6.2%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は397,061千円(前期比8.2%増)となりました。そのうち、人件費は、新型コロナウイルス感染症の影響によるIT営業アウトソーシング事業の配属開始前の待機期間の増加等により264,593千円(前期比14.6%増)となりました。この結果、営業利益は38,427千円(前期比10.7%減)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当事業年度における営業外収益は9,029千円(前期比1,229.2%増)、営業外費用は2,381千円(前期比42.6%増)となりました。営業外収益は助成金収入8,785千円、営業外費用は支払利息909千円及び固定資産圧縮損1,300千円によるものであります。この結果、経常利益は45,074千円(前期比7.2%増)となりました。
(特別利益、特別損失、当期純利益)
当事業年度は特別利益、特別損失は発生しておりませんが、法人税、住民税及び事業税を1,110千円、税効果会計による法人税等調整額を13,173千円計上した結果、当期純利益は30,791千円(前期比40.1%減)となりました。
第8期第2四半期累計期間(自 2020年10月1日 至 2021年3月31日)
当第2四半期累計期間における売上高は574,262千円となりました。これは主に新型コロナウイルス感染症による影響を受けたものの、IT営業アウトソーシング事業の営業アウトソーシング事業の需要が堅調であることによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当第2四半期累計期間における売上原価は314,074千円となりました。これは主にIT営業アウトソーシング事業の人件費によるものであります。この結果、売上総利益は260,187千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当第2四半期累計期間における販売費及び一般管理費は163,605千円となりました。これは主に人件費によるものであります。この結果、営業利益は96,581千円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当第2四半期累計期間において営業外収益は241千円となり、これは主に助成金収入によるものであります。営業外費用は2,604千円となり、これは主に支払手数料によるものであります。この結果、経常利益は94,219千円となりました。
(特別利益、特別損失、四半期純利益)
当第2四半期累計期間は特別利益、特別損失は発生しておりませんが、法人税、住民税及び事業税を37,210千円、税効果会計による法人税等調整額を△4,821千円計上した結果、四半期純利益は61,830千円となりました。


② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の運転資金需要のうち主たるものは、人件費、借入金の返済等であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。
当社は、事業活動に必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、運転資金及び設備投資は、自己資金及び金融機関からの長期借入により調達しております。
なお、当事業年度における借入金残高は82,743千円となっております。又、当事業年度末の現金及び現金同等物の残高は264,358千円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。当財務諸表を作成するに当たり、重要となる当社の会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。
又、財務諸表の作成に当たっては、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性のある見積りや予測を行っており、見積りの不確実性による実績との差異が生じる場合があります。なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 追加情報」に記載のとおりであります。