有価証券報告書-第24期(令和2年10月1日-令和3年9月30日)
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末の流動資産は2,779,493千円となり、前事業年度末と比較して1,297,449千円増加いたしました。これは主に、2021年7月8日付で東京証券取引所マザーズへ新規上場したことに伴う、公募による新株発行の手取額の入金に加え、2021年8月に実施した第三者割当増資により、現金及び預金が1,038,187千円増加したこと及び電子記録債権が76,169千円、売掛金が53,407千円、製品が49,169千円、仕掛品が36,129千円、原材料及び貯蔵品が35,061千円、それぞれ増加したことによるものであります。
固定資産は838,915千円となり、前事業年度末と比較して2,488千円減少いたしました。これは主に、建物が10,280千円、建設仮勘定が8,510千円、ソフトウエアが12,191千円、それぞれ減少した一方、繰延税金資産が34,391千円増加したことによるものであります。
以上の結果、当事業年度末の資産合計は3,618,408千円となり、前事業年度末と比較して1,294,960千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末の流動負債は1,107,820千円となり、前事業年度末と比較して110,244千円増加いたしました。これは主に、短期借入金が250,000千円減少した一方、電子記録債務が97,634千円、未払金が154,443千円、未払法人税等が98,962千円、それぞれ増加したことによるものであります。
固定負債は270,479千円となり、前事業年度末と比較して169,358千円減少いたしました。これは主に、社債が35,000千円、長期借入金が132,388千円、それぞれ減少したことによるものであります。
以上の結果、当事業年度末の負債合計は1,378,299千円となり、前事業年度末と比較して59,114千円減少いたしました。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は2,240,108千円となり、前事業年度末と比較して1,354,075千円増加いたしました。これは、当期純利益の計上により利益剰余金が420,505千円増加したことに加え、2021年7月8日付で東京証券取引所マザーズへ新規上場したことに伴う、公募による新株発行により資本金及び資本準備金がそれぞれ303,600千円増加したこと、2021年8月に実施した第三者割当増資より資本金及び資本準備金がそれぞれ163,185千円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う緊急事態宣言解除後、段階的な経済活動の再開とともに景気回復の兆しも見られましたが、新規感染者数の増加により緊急事態宣言が再発出される等、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
当社の営んでいる事業につきましても、外出自粛による消費活動の鈍化、入国制限によるインバウンド購買の消滅、さらに当社の強みであるスポーツ市場における活動制限など厳しい状況で推移いたしました。
このような経営環境の中、「本気の笑顔の実現」という経営理念のもと、社会的課題であるQOLの向上に貢献するための事業を展開し、社会的価値と同時に企業価値の向上に取り組んでおります。
当事業年度につきましては、新製品の積極的な市場投入と当社の強みであるギフト需要(クリスマス、母の日、父の日)への施策がヒットしたこと、さらにテレビCMや当社契約選手の東京オリンピック・パラリンピックでの活躍等によりブランド認知度が大きく向上したことが売上の増加に大きく貢献いたしました。また、SNSを活用したマーケティング活動を強化したことで20代以下の若年層への認知度を向上することができました。
このような全社での経営強化策の下、ホールセール部門につきましては、国内卸販売は引き続き重要取引先に対して様々な施策を行うキー・アカウント・マネジメント(重要取引先管理)による販売強化に努めました。その結果、スポーツ量販業態及びインターネットやテレビ、ラジオ等の通販業態との取引が好調に推移いたしました。海外卸販売は、主要取引先国の政情不安やコロナ禍の影響による市場の冷え込みが依然続いており厳しい結果となりました。以上の結果、売上高は2,856,208千円(前期比22.4%増)となりました。
リテール部門につきましては、緊急事態宣言により一部の店舗が休業または時短営業となるなど厳しい状況でありましたが、テレビCMの効果もあり6月以降客数の回復が見られ、さらに東京オリンピック・パラリンピックでの契約選手の活躍効果により認知度が向上したことで大きく客数が増加し、売上高は305,546千円(前期比21.7%増)となりました。
イーコマース部門につきましては、国内ECは新型コロナウイルス感染症の影響による外出自粛状況によって生まれた「巣ごもり消費」現象がニューノーマルとして定着してきたことに加え、Yahoo!ショッピング、楽天市場へ自社店舗の出店と積極的な認知向上から「刈り取り」のマーケティング施策を行いました。テレビCMや東京オリンピック・パラリンピックとの相乗効果もあり、大幅に訪問客数とCV率(コンバージョン率の略で、購入客数を訪問客数で割った数値)が伸びたことで、好調に推移いたしました。一方、越境ECにつきましては、2021年1月に出店しました中国の「Tmall」が好調に推移しており、その結果、売上高は590,754千円(前期比95.4%増)となりました。
以上の結果、当事業年度の売上高につきましては、新型コロナウイルス感染症の再拡大による影響があったものの、3,752,508千円(前期比30.0%増)となりました。利益面につきましては、以前より強化してきたイーコマース部門が好調に推移し、原価率の改善に大きく貢献したこと及び業務の効率化に取り組んだ結果、営業利益は646,382千円(前期比28.1%増)、経常利益は629,319千円(前期比28.3%増)、当期純利益は420,505千円(前期比29.5%増)となりました。
なお、当社は、コラントッテ事業とCSS事業を営んでおりますが、コラントッテ事業以外のセグメントは重要性が乏しく、コラントッテ事業の単一セグメントとみなせるため、セグメント別の記載を省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、投資活動によるキャッシュ・フローが51,452千円の支出となったものの、営業活動によるキャッシュ・フローが637,266千円の収入、財務活動によるキャッシュ・フローが452,403千円の収入となったため、前事業年度末に比べ1,038,699千円増加し、当事業年度末には1,534,024千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は637,266千円(前事業年度は378,765千円の収入)となりました。これは主に、売上債権の増加額130,835千円、たな卸資産の増加額120,360千円があったものの、税引前当期純利益617,622千円、仕入債務の増加額111,173千円、未払金の増加額159,292千円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は51,452千円(前事業年度は59,485千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出38,664千円、無形固定資産の取得による支出1,237千円、差入保証金の差入による支出9,891千円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は452,403千円(前事業年度は236,522千円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の純減少額250,000千円、長期借入金の返済による支出183,670千円、社債の償還による支出35,000千円があったものの、2021年7月8日付で東京証券取引所マザーズへ新規上場したことに伴う公募による新株発行及び2021年8月に実施した第三者割当増資に伴う株式の発行による収入924,656千円があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社は、コラントッテ事業とCSS事業を営んでおりますが、コラントッテ事業以外のセグメントは重要性が乏しく、コラントッテ事業の単一セグメントとみなせるため、セグメント別の記載を省略しております。
イ.生産実績
当事業年度の生産実績は次のとおりであります。
(注)1.金額は製造原価によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ロ.受注実績
当社は受注生産ではなく市場見込生産を行っているため、受注実績の記載を省略しております。
ハ.販売実績
当事業年度の販売実績は次のとおりであります。
a 部門別販売実績
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.ホールセール部門の国内卸については、CSS事業(当事業年度は1,986千円)が含まれております。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
b 製品群別販売実績
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.その他については、CSS事業(当事業年度は1,986千円)が含まれております。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.財政状態の状況の分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載しております。
ロ.経営成績の状況の分析
(売上高)
売上高につきましては、新製品の積極的な市場投入と当社の強みであるギフト需要(クリスマス、母の日、父の日)への施策がヒットしたこと、さらにテレビCMや当社契約選手の東京オリンピック・パラリンピックでの活躍等によりブランド認知度が大きく向上したことが売上の増加に大きく貢献いたしました。
ホールセール部門につきましては、国内卸販売は引き続き重要取引先に対して様々な施策を行うキー・アカウント・マネジメント(重要取引先管理)による販売強化に努め、スポーツ量販業態及びインターネットやテレビ、ラジオ等の通販業態との取引が好調に推移いたしました。海外卸販売は、主要取引先国の政情不安やコロナ禍の影響による市場の冷え込みが依然続いており厳しい結果となりました。
リテール部門である直営店につきましては、緊急事態宣言により一部の店舗が休業または時短営業となるなど厳しい状況でありましたが、テレビCM効果と東京オリンピック・パラリンピックでの当社契約選手の活躍効果により認知度が向上したことで大きく客数が増加いたしました。
イーコマース部門につきましては、国内ECは新型コロナウイルス感染症の影響による外出自粛状況によって生まれた「巣ごもり消費」現象がニューノーマルとして定着してきたことに加え、ECモールへの出店及びテレビCMや東京オリンピック・パラリンピックでの認知度向上により大幅に訪問客数とCV率が伸びたことで、好調に推移いたしました。一方、越境ECにつきましては、2021年1月に出店しました中国の「Tmall」が好調に推移いたしました。また、売上高に占めるEC売上高の構成比は、前事業年度の10.5%から当事業年度は15.7%となりました。
以上の結果、当事業年度の売上高につきましては、新型コロナウイルス感染症の再拡大による影響があったものの、3,752,508千円(前期比30.0%増)となりました。
(売上原価、売上総利益)
売上原価(返品調整引当金考慮後)は、自社ECサイトの好調により直販比率が増加したことにより、原価率が前事業年度の37.0%から34.5%に改善し、差引売上総利益につきましては、2,459,266千円(前期比35.2%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
好調な業績のもと、積極的な中途採用を行ったことで人件費が前期と比較して増加いたしました。また、テレビCMによるブランド認知度の向上施策や販促活動として新聞、雑誌、SNSなどの媒体を活用し新製品の紹介やマーケティング活動の強化を積極的に行った結果、販売費及び一般管理費は1,812,883千円(前期比37.9%増)となりました。これらの結果、営業利益は646,382千円(前期比28.1%増)と増益となりましたが、営業利益率は前事業年度の17.5%から、当事業年度は17.2%となりました。
(営業外損益、経常利益)
営業外収益として主に、雇用調整助成金等の収入が4,783千円、営業外費用として主に、支払利息2,505千円、売上割引5,591千円、株式公開費用等に伴う株式交付費8,913千円が発生いたしましたが、経常利益は629,319千円(前期比28.3%増)となりました。
(特別損失、当期純利益)
特別損失として、主に直営店舗の固定資産の減損損失10,980千円、法人税、住民税及び事業税が231,509千円、法人税等調整額が△34,391千円となったことから、当期純利益は420,505千円(前期比29.5%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
資本政策につきましては、経営基盤の強化及び積極的な事業展開のために内部留保を図り、財務体質の強化と事業拡大のための投資に充当するとともに、配当についても安定的に実施してまいります。
また、当社における資金需要の主なものは、既存事業の持続的成長の投資資金や原材料費・労務費・外注費・販売費及び一般管理費等の事業に係る運転資金であります。
当社は必要となった資金については、主として内部留保資金及び営業活動によるキャッシュ・フロー、また金融機関からの借入金も併せて対応してまいります。
資金の流動性に関しましては、取引金融機関3行との間で合計600,000千円の当座貸越契約及びコミットメントライン契約(借入未実行残高600,000千円)を締結しており、急な資金需要や不測の事態に備えております。
なお、当事業年度末における有利子負債残高は439,837千円、現金及び現金同等物の残高は1,534,024千円であります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、合理的判断に基づき一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映しております。また、これらの見積りについては将来事象の結果に特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
当社の採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表注記事項(追加情報)(新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積り)」に記載しております。
なお、財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
イ. たな卸資産の評価
当社は、期末において個別品目ごとに回転期間を計算し、一定の期間を超える場合に、原則として収益性の低下が認められると判断し、回転期間の区分に応じた一定の評価減割合に基づき規則的に帳簿価額を切り下げた価額をもって貸借対照表価額としております。
ただし、未発売の製品等の理由により回転期間が一定の期間を超える場合であっても、将来の販売予測等に基づき収益性の低下が認められないと判断した場合は、取得原価をもって貸借対照表価額としております。
在庫水準の適正化等により収益力の強化を図ってまいりますが、市場のニーズや販売戦略等の変化を要因として実際の販売や生産状況等が変化することにより、たな卸資産の評価の見積りに重要な影響を与える可能性があります。
ロ.繰延税金資産の回収可能性
当社は、繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
ハ. 固定資産の減損
当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討を行っておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
ニ. 返品調整引当金
当社は、販売した製品の返品に備えるため、過年度の返品実績率及び売上総利益率に基づき計算された返品損失額のうち、当事業年度の負担額を計上しております。そのため、返品実績率の悪化及び市場環境の変化等により、繰入額の増額が必要となる可能性があります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に含めて記載しております。
⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
⑥ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
当社は、経営上の目標の達成状況を売上高成長率、売上高営業利益率、EC売上高構成比の経営指標を重視して判断しております。
当事業年度における売上高成長率は、前事業年度の2,886,212千円に対して売上高が3,752,508千円となり、30.0%増と大幅な増収率となりました。売上高営業利益率については、前事業年度で17.5%、当事業年度で17.2%となり、EC売上高構成比については、前事業年度で10.5%、当事業年度で15.7%となりました。売上高については新型コロナウイルス感染症の影響があったものの、新製品の積極的な市場投入やギフト需要(クリスマス、母の日、父の日)への施策がヒットしたこと、さらにテレビCMによるブランド認知度の向上、東京オリンピック・パラリンピックでの当社契約選手の活躍等もあり大幅な増収となりました。EC売上高構成比については、自社EC及びECモール等が好調に推移したこと等により上昇いたしました。
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末の流動資産は2,779,493千円となり、前事業年度末と比較して1,297,449千円増加いたしました。これは主に、2021年7月8日付で東京証券取引所マザーズへ新規上場したことに伴う、公募による新株発行の手取額の入金に加え、2021年8月に実施した第三者割当増資により、現金及び預金が1,038,187千円増加したこと及び電子記録債権が76,169千円、売掛金が53,407千円、製品が49,169千円、仕掛品が36,129千円、原材料及び貯蔵品が35,061千円、それぞれ増加したことによるものであります。
固定資産は838,915千円となり、前事業年度末と比較して2,488千円減少いたしました。これは主に、建物が10,280千円、建設仮勘定が8,510千円、ソフトウエアが12,191千円、それぞれ減少した一方、繰延税金資産が34,391千円増加したことによるものであります。
以上の結果、当事業年度末の資産合計は3,618,408千円となり、前事業年度末と比較して1,294,960千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末の流動負債は1,107,820千円となり、前事業年度末と比較して110,244千円増加いたしました。これは主に、短期借入金が250,000千円減少した一方、電子記録債務が97,634千円、未払金が154,443千円、未払法人税等が98,962千円、それぞれ増加したことによるものであります。
固定負債は270,479千円となり、前事業年度末と比較して169,358千円減少いたしました。これは主に、社債が35,000千円、長期借入金が132,388千円、それぞれ減少したことによるものであります。
以上の結果、当事業年度末の負債合計は1,378,299千円となり、前事業年度末と比較して59,114千円減少いたしました。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は2,240,108千円となり、前事業年度末と比較して1,354,075千円増加いたしました。これは、当期純利益の計上により利益剰余金が420,505千円増加したことに加え、2021年7月8日付で東京証券取引所マザーズへ新規上場したことに伴う、公募による新株発行により資本金及び資本準備金がそれぞれ303,600千円増加したこと、2021年8月に実施した第三者割当増資より資本金及び資本準備金がそれぞれ163,185千円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う緊急事態宣言解除後、段階的な経済活動の再開とともに景気回復の兆しも見られましたが、新規感染者数の増加により緊急事態宣言が再発出される等、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
当社の営んでいる事業につきましても、外出自粛による消費活動の鈍化、入国制限によるインバウンド購買の消滅、さらに当社の強みであるスポーツ市場における活動制限など厳しい状況で推移いたしました。
このような経営環境の中、「本気の笑顔の実現」という経営理念のもと、社会的課題であるQOLの向上に貢献するための事業を展開し、社会的価値と同時に企業価値の向上に取り組んでおります。
当事業年度につきましては、新製品の積極的な市場投入と当社の強みであるギフト需要(クリスマス、母の日、父の日)への施策がヒットしたこと、さらにテレビCMや当社契約選手の東京オリンピック・パラリンピックでの活躍等によりブランド認知度が大きく向上したことが売上の増加に大きく貢献いたしました。また、SNSを活用したマーケティング活動を強化したことで20代以下の若年層への認知度を向上することができました。
このような全社での経営強化策の下、ホールセール部門につきましては、国内卸販売は引き続き重要取引先に対して様々な施策を行うキー・アカウント・マネジメント(重要取引先管理)による販売強化に努めました。その結果、スポーツ量販業態及びインターネットやテレビ、ラジオ等の通販業態との取引が好調に推移いたしました。海外卸販売は、主要取引先国の政情不安やコロナ禍の影響による市場の冷え込みが依然続いており厳しい結果となりました。以上の結果、売上高は2,856,208千円(前期比22.4%増)となりました。
リテール部門につきましては、緊急事態宣言により一部の店舗が休業または時短営業となるなど厳しい状況でありましたが、テレビCMの効果もあり6月以降客数の回復が見られ、さらに東京オリンピック・パラリンピックでの契約選手の活躍効果により認知度が向上したことで大きく客数が増加し、売上高は305,546千円(前期比21.7%増)となりました。
イーコマース部門につきましては、国内ECは新型コロナウイルス感染症の影響による外出自粛状況によって生まれた「巣ごもり消費」現象がニューノーマルとして定着してきたことに加え、Yahoo!ショッピング、楽天市場へ自社店舗の出店と積極的な認知向上から「刈り取り」のマーケティング施策を行いました。テレビCMや東京オリンピック・パラリンピックとの相乗効果もあり、大幅に訪問客数とCV率(コンバージョン率の略で、購入客数を訪問客数で割った数値)が伸びたことで、好調に推移いたしました。一方、越境ECにつきましては、2021年1月に出店しました中国の「Tmall」が好調に推移しており、その結果、売上高は590,754千円(前期比95.4%増)となりました。
以上の結果、当事業年度の売上高につきましては、新型コロナウイルス感染症の再拡大による影響があったものの、3,752,508千円(前期比30.0%増)となりました。利益面につきましては、以前より強化してきたイーコマース部門が好調に推移し、原価率の改善に大きく貢献したこと及び業務の効率化に取り組んだ結果、営業利益は646,382千円(前期比28.1%増)、経常利益は629,319千円(前期比28.3%増)、当期純利益は420,505千円(前期比29.5%増)となりました。
なお、当社は、コラントッテ事業とCSS事業を営んでおりますが、コラントッテ事業以外のセグメントは重要性が乏しく、コラントッテ事業の単一セグメントとみなせるため、セグメント別の記載を省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、投資活動によるキャッシュ・フローが51,452千円の支出となったものの、営業活動によるキャッシュ・フローが637,266千円の収入、財務活動によるキャッシュ・フローが452,403千円の収入となったため、前事業年度末に比べ1,038,699千円増加し、当事業年度末には1,534,024千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は637,266千円(前事業年度は378,765千円の収入)となりました。これは主に、売上債権の増加額130,835千円、たな卸資産の増加額120,360千円があったものの、税引前当期純利益617,622千円、仕入債務の増加額111,173千円、未払金の増加額159,292千円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は51,452千円(前事業年度は59,485千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出38,664千円、無形固定資産の取得による支出1,237千円、差入保証金の差入による支出9,891千円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は452,403千円(前事業年度は236,522千円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の純減少額250,000千円、長期借入金の返済による支出183,670千円、社債の償還による支出35,000千円があったものの、2021年7月8日付で東京証券取引所マザーズへ新規上場したことに伴う公募による新株発行及び2021年8月に実施した第三者割当増資に伴う株式の発行による収入924,656千円があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社は、コラントッテ事業とCSS事業を営んでおりますが、コラントッテ事業以外のセグメントは重要性が乏しく、コラントッテ事業の単一セグメントとみなせるため、セグメント別の記載を省略しております。
イ.生産実績
当事業年度の生産実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当事業年度 (自 2020年10月1日 至 2021年9月30日) | |
生産高(千円) | 前年同期比(%) | |
コラントッテ事業 | 1,304,805 | 119.2 |
合計 | 1,304,805 | 119.2 |
(注)1.金額は製造原価によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
ロ.受注実績
当社は受注生産ではなく市場見込生産を行っているため、受注実績の記載を省略しております。
ハ.販売実績
当事業年度の販売実績は次のとおりであります。
a 部門別販売実績
部門の名称 | 当事業年度 (自 2020年10月1日 至 2021年9月30日) | ||
販売高(千円) | 前年同期比(%) | ||
リ テ ー ル 部門 | 305,546 | 121.7 | |
ホールセール部門 | 国 内 卸 | 2,814,503 | 123.3 |
海 外 卸 | 41,704 | 81.8 | |
計 | 2,856,208 | 122.4 | |
イーコマース部門 | 国 内 卸 | 536,017 | 177.3 |
海 外 卸 | 54,736 | - | |
計 | 590,754 | 195.4 | |
合 計 | 3,752,508 | 130.0 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.ホールセール部門の国内卸については、CSS事業(当事業年度は1,986千円)が含まれております。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
b 製品群別販売実績
品目 | 当事業年度 (自 2020年10月1日 至 2021年9月30日) | |
販売高(千円) | 前年同期比(%) | |
ネックレス類 | 3,232,161 | 133.3 |
ループ類 | 237,055 | 130.0 |
サポーター類 | 46,476 | 101.1 |
ウエア類 | 100,915 | 125.1 |
その他 | 135,899 | 89.1 |
合 計 | 3,752,508 | 130.0 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.その他については、CSS事業(当事業年度は1,986千円)が含まれております。
3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.財政状態の状況の分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載しております。
ロ.経営成績の状況の分析
(売上高)
売上高につきましては、新製品の積極的な市場投入と当社の強みであるギフト需要(クリスマス、母の日、父の日)への施策がヒットしたこと、さらにテレビCMや当社契約選手の東京オリンピック・パラリンピックでの活躍等によりブランド認知度が大きく向上したことが売上の増加に大きく貢献いたしました。
ホールセール部門につきましては、国内卸販売は引き続き重要取引先に対して様々な施策を行うキー・アカウント・マネジメント(重要取引先管理)による販売強化に努め、スポーツ量販業態及びインターネットやテレビ、ラジオ等の通販業態との取引が好調に推移いたしました。海外卸販売は、主要取引先国の政情不安やコロナ禍の影響による市場の冷え込みが依然続いており厳しい結果となりました。
リテール部門である直営店につきましては、緊急事態宣言により一部の店舗が休業または時短営業となるなど厳しい状況でありましたが、テレビCM効果と東京オリンピック・パラリンピックでの当社契約選手の活躍効果により認知度が向上したことで大きく客数が増加いたしました。
イーコマース部門につきましては、国内ECは新型コロナウイルス感染症の影響による外出自粛状況によって生まれた「巣ごもり消費」現象がニューノーマルとして定着してきたことに加え、ECモールへの出店及びテレビCMや東京オリンピック・パラリンピックでの認知度向上により大幅に訪問客数とCV率が伸びたことで、好調に推移いたしました。一方、越境ECにつきましては、2021年1月に出店しました中国の「Tmall」が好調に推移いたしました。また、売上高に占めるEC売上高の構成比は、前事業年度の10.5%から当事業年度は15.7%となりました。
以上の結果、当事業年度の売上高につきましては、新型コロナウイルス感染症の再拡大による影響があったものの、3,752,508千円(前期比30.0%増)となりました。
(売上原価、売上総利益)
売上原価(返品調整引当金考慮後)は、自社ECサイトの好調により直販比率が増加したことにより、原価率が前事業年度の37.0%から34.5%に改善し、差引売上総利益につきましては、2,459,266千円(前期比35.2%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
好調な業績のもと、積極的な中途採用を行ったことで人件費が前期と比較して増加いたしました。また、テレビCMによるブランド認知度の向上施策や販促活動として新聞、雑誌、SNSなどの媒体を活用し新製品の紹介やマーケティング活動の強化を積極的に行った結果、販売費及び一般管理費は1,812,883千円(前期比37.9%増)となりました。これらの結果、営業利益は646,382千円(前期比28.1%増)と増益となりましたが、営業利益率は前事業年度の17.5%から、当事業年度は17.2%となりました。
(営業外損益、経常利益)
営業外収益として主に、雇用調整助成金等の収入が4,783千円、営業外費用として主に、支払利息2,505千円、売上割引5,591千円、株式公開費用等に伴う株式交付費8,913千円が発生いたしましたが、経常利益は629,319千円(前期比28.3%増)となりました。
(特別損失、当期純利益)
特別損失として、主に直営店舗の固定資産の減損損失10,980千円、法人税、住民税及び事業税が231,509千円、法人税等調整額が△34,391千円となったことから、当期純利益は420,505千円(前期比29.5%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
資本政策につきましては、経営基盤の強化及び積極的な事業展開のために内部留保を図り、財務体質の強化と事業拡大のための投資に充当するとともに、配当についても安定的に実施してまいります。
また、当社における資金需要の主なものは、既存事業の持続的成長の投資資金や原材料費・労務費・外注費・販売費及び一般管理費等の事業に係る運転資金であります。
当社は必要となった資金については、主として内部留保資金及び営業活動によるキャッシュ・フロー、また金融機関からの借入金も併せて対応してまいります。
資金の流動性に関しましては、取引金融機関3行との間で合計600,000千円の当座貸越契約及びコミットメントライン契約(借入未実行残高600,000千円)を締結しており、急な資金需要や不測の事態に備えております。
なお、当事業年度末における有利子負債残高は439,837千円、現金及び現金同等物の残高は1,534,024千円であります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、合理的判断に基づき一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映しております。また、これらの見積りについては将来事象の結果に特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
当社の採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表注記事項(追加情報)(新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積り)」に記載しております。
なお、財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
イ. たな卸資産の評価
当社は、期末において個別品目ごとに回転期間を計算し、一定の期間を超える場合に、原則として収益性の低下が認められると判断し、回転期間の区分に応じた一定の評価減割合に基づき規則的に帳簿価額を切り下げた価額をもって貸借対照表価額としております。
ただし、未発売の製品等の理由により回転期間が一定の期間を超える場合であっても、将来の販売予測等に基づき収益性の低下が認められないと判断した場合は、取得原価をもって貸借対照表価額としております。
在庫水準の適正化等により収益力の強化を図ってまいりますが、市場のニーズや販売戦略等の変化を要因として実際の販売や生産状況等が変化することにより、たな卸資産の評価の見積りに重要な影響を与える可能性があります。
ロ.繰延税金資産の回収可能性
当社は、繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
ハ. 固定資産の減損
当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討を行っておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
ニ. 返品調整引当金
当社は、販売した製品の返品に備えるため、過年度の返品実績率及び売上総利益率に基づき計算された返品損失額のうち、当事業年度の負担額を計上しております。そのため、返品実績率の悪化及び市場環境の変化等により、繰入額の増額が必要となる可能性があります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に含めて記載しております。
⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
⑥ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
当社は、経営上の目標の達成状況を売上高成長率、売上高営業利益率、EC売上高構成比の経営指標を重視して判断しております。
当事業年度における売上高成長率は、前事業年度の2,886,212千円に対して売上高が3,752,508千円となり、30.0%増と大幅な増収率となりました。売上高営業利益率については、前事業年度で17.5%、当事業年度で17.2%となり、EC売上高構成比については、前事業年度で10.5%、当事業年度で15.7%となりました。売上高については新型コロナウイルス感染症の影響があったものの、新製品の積極的な市場投入やギフト需要(クリスマス、母の日、父の日)への施策がヒットしたこと、さらにテレビCMによるブランド認知度の向上、東京オリンピック・パラリンピックでの当社契約選手の活躍等もあり大幅な増収となりました。EC売上高構成比については、自社EC及びECモール等が好調に推移したこと等により上昇いたしました。