有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/08/16 15:00
【資料】
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【項目】
134項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりです。
① 経営成績の状況
第12期事業年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
当事業年度におけるわが国の経済は、国内外での新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、個人消費や輸出、設備投資が低迷するとともに、雇用情勢も弱含みとなるなど、厳しい状況が続きました。
このような経済環境の中、新型コロナウイルス感染症の影響度により企業業績やIT投資は産業ごと、企業ごとにまだら模様となりましたが、デジタル化投資やDX関連投資は増加傾向にあり、当社の事業環境は比較的良好な状態です。
このような状況のもと、当社は、「CCT-DX Method」及び「Orizuru」を活用した「DX実現サービス」の拡大に注力しました。
この結果、当事業年度の経営成績は以下のとおりとなりました。なお、当社はDX関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
(売上高)
当事業年度における売上高は、前事業年度と比べ767,663千円増加し、5,534,604千円(前年同期比16.1%増)となりました。これは主に、上記の経営環境において、新型コロナウイルス感染症拡大で見込んでいた受注の遅れやプロジェクト納期が伸びるといった影響はあったものの、計画外の中堅・中小企業へのアプローチによる受注等により最小限に抑えるとともに、DX需要を順調に取り込み、主に製造業・建設業向けのDX実現やITエンジニア調達支援で売上を大きく伸ばすことができたためです。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は、前事業年度と比べ467,960千円増加し、4,415,335千円(同11.9%増)となりました。これは主に売上増加に伴う外注費の増加によるものです。この結果、当事業年度における売上総利益は、前事業年度と比べ299,702千円増加し、1,119,268千円(同36.6%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度と比べ284,911千円増加し、938,496千円(同43.6%増)となりました。これは主に、本社移転に伴い賃借料が大きく増加したことや、人員増加に伴う人件費の増加によるものです。この結果、当事業年度における営業利益は、前事業年度と比べ14,790千円増加し、180,772千円(同8.9%増)となった一方で、当社の重要な経営指標である売上高営業利益率はやや低下し、3.3%(前年同期は3.5%)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当事業年度の営業外収益は、主に保険解約返戻金の増加により、前事業年度と比べ17,990千円増加し、38,124千円(同89.4%増)となりました。営業外費用は上場関連費用の増加により、前事業年度と比べ27,941千円増加し、30,406千円(同1,133.5%増)となりました。この結果、当事業年度における経常利益は、前事業年度と比べ4,839千円増加し、188,490千円(同2.6%増)となりました。
(特別損益、法人税等、当期純利益)
当事業年度の特別利益は、主に前事業年度における、関係会社であるアンドロボコアテクノロジー社の株式売却益の影響により、前事業年度と比べ3,112千円減少し、300千円(同91.2%減)となりました。特別損失は前事業年度の本社移転損失引当金繰入額の影響により、前事業年度と比べ13,664千円減少し、9,315千円(同59.5%減)となりました。法人税等は、前事業年度と比べ8,504千円増加し、54,686千円(同18.4%増)となりました。この結果、当事業年度における当期純利益は、前事業年度と比べ6,887千円増加し、124,789千円(同5.8%増)となりました。
第13期第2四半期累計期間(自 2021年1月1日 至 2021年6月30日)
当第2四半期累計期間におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあります。
このような経済環境の中、新型コロナウイルス感染症の影響度により企業業績やIT投資は産業ごと、企業ごとにまだら模様となりました。デジタル化投資やDX関連投資は増加傾向にあり、当社の事業環境は比較的良好な状態です。
このような状況のもと、当社は、「CCT-DX Method」及び「Orizuru」を活用したDX実現支援に注力しました。
当第2四半期累計期間の経営成績は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言の影響は受けたものの、DX需要を順調に取り込むことができた結果、売上高3,443,687千円、営業利益222,876千円、経常利益224,780千円、四半期純利益146,931千円となりました。
なお、当社はDX関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
② 財政状態の状況
第12期事業年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
(資産)
当事業年度末における資産合計は2,184,164千円となり、前事業年度末に比べ345,027千円増加いたしました。これは主に、売上の増加に伴い売掛金が249,481千円、新オフィス入居に伴い建物(純額)が178,060千円及び工具、器具及び備品(純額)が39,226千円、ソフトウエアの自社開発に伴いソフトウエアが41,879千円、賞与引当金の増加等の影響で繰延税金資産が49,229千円増加し、当座貸越枠利用による資金効率化を目的とした借入の圧縮等により現金及び預金が79,623千円、オフィス退去に伴い敷金及び保証金が105,166千円、関係会社である㈱GNNテクノロジーの株式を売却したことにより関係会社株式が6,000千円、同社から貸付金の返済を受けたことにより長期貸付金が11,000千円減少したことによるものです。
(負債)
当事業年度末における負債合計は1,467,913千円となり、前事業年度末に比べ195,188千円増加いたしました。これは主に、買掛金が70,048千円、支給対象期間の変更に伴い賞与引当金が103,905千円、オフィス移転に伴い未払金・長期未払金が127,185千円及び資産除去債務が41,643千円増加し、当座貸越枠利用による資金効率化を目的とした借入の圧縮により短期借入金が100,000千円減少したことによるものです。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は716,250千円となり、前事業年度末に比べ149,839千円増加いたしました。これは主に、増資に伴い資本金が12,000千円及び資本準備金が12,000千円、当期純利益が124,789千円増加したことによるものです。この結果、自己資本比率は32.7%(前事業年度末は30.8%)となりました。
第13期第2四半期累計期間(自 2021年1月1日 至 2021年6月30日)
(資産)
当第2四半期会計期間末における資産合計は2,268,353千円となり、前事業年度末に比べ84,189千円増加いたしました。これは主に、大型の投資等がなく支出が抑えられたことから現金及び預金が154,231千円増加し、決算月の売上が前期末と比較して小さかったため売掛金が65,884千円減少したことによるものです。
(負債)
当第2四半期会計期間末における負債合計は1,405,171千円となり、前事業年度末に比べ62,742千円減少いたしました。これは主に、外注費の増加に伴い買掛金が44,125千円増加し、手元資金の増加に伴う借入金の圧縮により短期借入金が110,000千円減少したことによるものです。
(純資産)
当第2四半期会計期間末における純資産合計は863,181千円となり、前事業年度末に比べ146,931千円増加いたしました。これは、四半期純利益によるものです。この結果、自己資本比率は38.0%(前事業年度末は32.7%)となりました。

③ キャッシュ・フローの状況
第12期事業年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ79,623千円減少し、307,338千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、業績が順調に拡大した結果、136,293千円(前年同期は4,384千円の収入)となりました。
収入の主な内訳は、税引前当期純利益179,475千円、減価償却費63,168千円、引当金の増加額78,183千円、仕入債務の増加額70,048千円、未払金の増加額121,361千円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加額230,842千円、法人税等の支払額81,612千円です。
前年同期より131,911千円増加した要因は、主に当期のオフィス移転に伴う未払金の増加によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、主にオフィス移転による影響で112,813千円(前年同期は245,756千円の支出)となりました。
収入の主な内訳は、旧オフィス退去に伴う敷金及び保証金の払戻による収入102,637千円、役員生命保険の見直しに伴う保険積立金の解約による収入37,459千円であり、支出の主な内訳は、新オフィス入居に伴う有形固定資産の取得による支出254,659千円です。
上記に加え、前年同期に新オフィスの契約に伴う敷金及び保証金の差入による支出238,557千円が発生した影響で、前年同期と比較すると132,943千円の増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は、103,104千円(前年同期は126,785千円の収入)となりました。
主な内訳は、当座貸越枠利用による資金効率化を目的とした借入の圧縮による短期借入金の減少100,000千円です。
当期の借入金返済による減少と比較して、前年同期のオフィス移転に伴い借入による収入が大きかった影響で、前年同期と比較すると229,889千円の減少となりました。
第13期第2四半期累計期間(自 2021年1月1日 至 2021年6月30日)
当第2四半期累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、461,570千円となりました。
当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、業績が順調に拡大した結果、320,136千円となりました。
収入の主な内訳は、税引前四半期純利益224,780千円、減価償却費28,586千円、売上債権の減少75,636千円、仕入債務の増加額44,125千円、補助金の受取額19,738千円、源泉税還付額13,507千円であり、支出の主な内訳は、仕掛品の増加額11,183千円、法人税等の支払額71,439千円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、35,935千円となりました。
主な内訳は、PCの購入等に伴う有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出36,305千円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は、129,969千円となりました。
主な内訳は、手元資金の増加に伴う借入金の圧縮による短期借入金の減少110,000千円、約定による社債の償還による支出12,000千円です。
④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b 受注実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c 販売実績
当事業年度における販売実績は、次のとおりです。
セグメントの名称販売高(千円)前期比(%)
DX関連事業5,534,60416.1

(注) 1.当社の事業セグメントは、DX関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載はしておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先前事業年度当事業年度
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
株式会社ミスミ842,50917.7847,76115.3
シンプレクス株式会社499,32610.5574,96110.4

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者により会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく見込み数値に反映させることが難しい要素もありますが、期末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
(工事進行基準)
当社は受注制作のソフトウエアに係る収益の計上基準は、当事業年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる契約については工事進行基準を適用し、その他の契約については、工事完成基準を適用しております。なお、工事進行基準を適用する契約の当事業年度末における進捗度の見積りは、原価比例法によっております。
仮定の不確実性の要素としましては、進捗度の見積りの基礎となる見積原価総額を想定しております。
見積原価総額に関して、開発の進捗状況は月次でモニタリングしておりますが、計画どおりに進捗せず、プロジェクトの期間が伸びたり、想定より工数が増加することにより、期中において原価の著しい増加が見込まれる場合には、見積原価総額の見直しを行います。また、事業年度末では全ての工事進行基準対象のプロジェクトについて、見積原価総額の見直しを行います。
見積原価総額を見直した場合には、財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」及び「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりです。
なお、主な経営指標として売上高成長率及び営業利益率を重視しており、各指標の推移は以下のとおりです。
当事業年度の売上高成長率はおおむね2割程度を見込んでおりましたが、主に新型コロナウイルス感染症の影響により、想定よりは低い結果となりました。
営業利益率は当事業年度のオフィス移転に伴う費用発生の影響で、前事業年度より低下しております。
前事業年度当事業年度
売上高成長率41.4%16.1%
営業利益率3.5%3.3%

③ キャッシュ・フローの状況の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社は、事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、主として内部資金を活用し、不足分は金融機関からの借入により資金調達を行っております。設備投資をする場合等、必要に応じてエクイティファイナンスも検討する方針です。
当社の資金需要のうち主なものは、人件費及び外注費です。この資金需要に対する財源は、営業活動で得られる自己資金と、銀行との当座貸越契約による短期借入金です。
また、当事業年度末における手元資金307,338千円に加え、取引銀行5行と当座貸越契約を締結して資金調達手段を確保することにより、資金の流動性をコントロールしております。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況2 事業等のリスク」に記載のとおりです。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
「第2 事業の状況1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。