有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/11/16 15:00
【資料】
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【項目】
125項目

対処すべき課題

文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループに関連する見通し、計画、目標等の将来に関する記述は、当社グループが現在入手している情報に基づき本書提出日時点における予測等を基礎としてなされたものであり、その達成を保証するものではありません。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、企業理念として「おいしさの中心、安心の先頭へ。」を掲げております。“おいしさのスタンダード”と“確かな安全性”を追求し、朝起きてから夜眠るまで、毎日のあらゆるシーンで選んでいただける味と品質を持った商品をお届けし、赤ちゃんからご高齢の方まで、すべての人の“いつも”に寄り添い、日々の生活を支える存在でありたいと考えております。
このような企業理念に基づき、当社の社会的価値を高めるとともに、自社飲料(自社生産の飲料)の成長及び収益性改善、また非連続な成長に向けた取り組みを通じて、企業価値・株主価値の最大化を図ってまいる所存であります。
(2)経営環境
国内飲料市場全体では、少子高齢化や人口減少、原材料費や人件費等の生産コストの上昇、物流費の高騰等を背景として、厳しい環境が続いております。一方で、当社の取扱製品である水飲料、茶系飲料、炭酸飲料の市場については、ライフスタイルの変化(水道水利用からペットボトル飲料水利用への変化や健康志向の高まりを背景にした無糖飲料の飲用機会の増加)等により、今後も安定的な拡大が見込まれるとともに、EC等の販売チャネルの多様化等による競争環境の変化も見込まれております。
(3)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
当社は原材料調達から販売までの内製化及び工場の全国展開により、無駄を徹底排除し、「高品質・低価格・安定供給」の飲料の提供を強みとしたドリンク・リーフ事業を主たる事業として展開しております。
上記の経営方針及び経営環境を踏まえて、主たる事業であるドリンク・リーフ事業のうち自社飲料(自社生産の飲料)の生産能力増強及び収益性改善への注力により、売上成長及び売上成長を上回る利益成長を目指します。
Ⅰ. 自社飲料におけるMax生産Max販売の進化
2020年3月期より自社飲料工場における一本当たりコストの極小化を目的としたフル生産化(=Max生産)及びMax生産に対応した販売先の確保(=Max販売)の実現に向けて、栃木工場の再稼働や各工場における人材採用の強化、新規取引先の開拓等、様々な取り組みを進めてまいりました。
今後は自社飲料における「Max生産Max販売」の進化に向けて、自社飲料工場の設備更新や設備改良等による生産能力の増強、製造設備のメンテナンスの徹底による工場稼働率の向上を進めてまいります。また、新工場建設等による生産能力増強等を計画しております。これらの取り組みにより、中期経営計画の最終年度である2024年3月期に57百万ケース※(2021年3月期比約130%)の生産を可能とする生産体制の確立を目指しております。また、生産能力増強に伴う生産数量増加に対応した販売先の確保のために、小売各社とのパートナーシップの深化・パートナー業態の拡大を進めてまいります。
※ケース:当社は一本当たりの容量に関わらず、1ケース=12Lとしています。
Ⅱ.製造ラインの省人化投資や物流拠点見直しによるコスト削減
「Max生産Max販売」の推進により、自社飲料における生産量及び販売量が拡大しております。次の段階として、製造ラインの省人化投資による生産性の向上や工場敷地内の倉庫建設等による物流関連費用の削減等、コスト体質の強化を図ってまいります。
Ⅲ.EC等の新しい販売チャネルの開拓
当社はEC専用の主力商品として強炭酸水「ZAO SODA」とミネラルウォーター「彩水」を楽天市場、amazon、PayPayモールで販売しております。「ZAO SODA」は楽天上半期ランキング2021で総合3位、水・ソフトドリンク部門1位に入賞するなど急速に市場へ浸透しております。
今後も、消費者のECシフト(購買場所としてのEC利用割合の増加)など購買行動の変化に対応して、外部プラットフォームを活用したECチャネルの育成やD2C※モデルを通じた定期購買サービスといった新しい販売チャネル及びビジネス開拓を進めてまいります。
※D2C:「Direct to Consumer」の略。消費者に対して製品を直接販売するビジネスモデルのことを指します。
Ⅳ.質の向上
「Max生産Max販売」の推進により、工場人員数、生産量及び販売量が拡大しております。そのような中で、人材の質、製品の品質といった質の向上は、事業の安定的な運営にあたり必要不可欠な継続的課題と認識しております。人材の質向上は採用基準の明確化や研修等の育成プログラムの実施を通じて実現し、品質向上は品質体制の強化、従業員の意識向上、PDCAサイクルの磨き上げを通じて実現してまいります。
Ⅴ.M&Aを活用した非連続な成長
当社はこれまで現耳納工場の買収をはじめとしてM&Aによる非連続な成長にも取り組んできました。今後も、M&Aを活用した生産能力の増強や商流の拡充、物流機能の強化等に取り組んでまいります。
Ⅵ.ESGへの取り組みについて
当社はすべての人の“いつも”に寄り添い、日々の生活を支える存在でありたいという考えのもと、ESGについて積極的に取り組んでおります。
具体的には、主に①ペットボトル容器の軽量化による1本あたりのレジン使用量の削減②ラベルレス商品への切り替え等に取り組んでおります。今後もリサイクルペットボトルへの対応をはじめとしたESGへの取り組みに注力し、社会的価値の最大化を図ってまいる所存であります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社は、経営方針・経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、本業の業績指標を示す営業利益と一過性の償却費負担に過度に左右されることがない業績指標を示すEBITDA(営業利益+減価償却費)を用いております。