有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/11/17 15:00
【資料】
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【項目】
132項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
第7期事業年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
(資産)
当事業年度末における流動資産は1,921百万円となり、前事業年度末に比べ1,622百万円増加いたしました。これは主に、新株の発行、新規の借入及び当期純利益の創出等により現金及び預金が1,579百万円、営業活動による収入の増加により売掛金が27百万円増加したことによるものであります。
また、当事業年度末における固定資産は50百万円となり、前事業年度末に比べ10百万円増加いたしました。これは主に、Web会議用の備品や業務用パソコンの購入等により工具、器具及び備品が9百万円増加したことによるものです。
この結果、資産合計は1,972百万円となり、前事業年度末に比べ1,633百万円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は320百万円となり、前事業年度末に比べ185百万円増加いたしました。これは主に、手元運転資金の確保を目的として取引金融機関より借入を行ったことにより短期借入金が35百万円、1年内返済予定の長期借入金が23百万円、本社オフィスの増床に伴う工事費用等により未払金が38百万円増加したことによるものであります。
また、当事業年度末における固定負債は273百万円となり、前事業年度末に比べ257百万円増加いたしました。これは主に、手元運転資金の確保を目的として取引金融機関より借入を行ったことにより長期借入金が256百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は594百万円となり、前事業年度末に比べ443百万円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は1,377百万円となり、前事業年度末に比べ1,190百万円増加いたしました。これは主に、第三者割当増資による資本金の増加499百万円及び資本準備金の増加499百万円、減資による資本金の減少827百万円及びその他資本剰余金の増加827百万円、欠損填補によるその他資本剰余金の減少649百万円及び繰越利益剰余金の増加649百万円、当期純利益計上による繰越利益剰余金の増加190百万円によるものであります。
第8期第2四半期累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年9月30日)
(資産)
当第2四半期会計期間末における流動資産は1,308百万円となり、前事業年度末に比べ612百万円減少いたしました。これは主に四半期純損失の計上、敷金の差入等により、現金及び預金が733百万円減少した一方で、営業活動による収入の増加により売掛金が47百万円、その他流動資産が73百万円増加したことによるものであります。固定資産は268百万円となり、前事業年度末に比べ217百万円増加いたしました。これは本社オフィス移転により、有形固定資産が112百万円、投資その他の資産が105百万円増加したことによるものであります。
この結果、資産合計は、1,577百万円となり、前事業年度末に比べ394百万円減少いたしました。
(負債)
当第2四半期会計期間末における流動負債は421百万円となり、前事業年度末に比べ100百万円増加いたしました。これは主に手元運転資金の確保を目的として取引金融機関より借入を行ったことにより1年内返済予定の長期借入金が66百万円、その他流動負債が69百万円増加した一方で、取引金融機関に返済を行ったことにより短期借入金が50百万円減少したことによるものであります。固定負債は276百万円となり、前事業年度末に比べ2百万円増加いたしました。これは手元運転資金の確保を目的として取引金融機関より借入を行ったことにより長期借入金が3百万円増加したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は、697百万円となり、前事業年度末に比べ102百万円増加いたしました。
(純資産)
当第2四半期会計期間末における純資産合計は879百万円となり、前事業年度末に比べ497百万円減少いたしました。これは四半期純損失497百万円によるものであります。
この結果、自己資本比率は55.8%(前事業年度末は69.8%)となりました。
②経営成績の状況
第7期事業年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当事業年度におけるわが国の経済は、新型コロナウィルス感染症の拡大により、経済活動が大きく制約されるなか、企業収益や個人消費の減退など、極めて厳しい環境が続いております。一方で、生活環境の変化により巣ごもり消費等が増加していることを受け、各企業においてはECの強化や転換等が進んでおり、これに伴い当社サービスの需要も大きく拡大しているものと認識しております。
このような経済環境の下、当社は、「おもてなし革命」を掲げ、「チャットコマース」という新たな概念を打ち立てた「ジールス」を展開してまいりました。チャットコマース事業は、インターネット広告市場の堅調な拡大を背景に、通販・コスメ、サロン・フィットネス・来店系、人材といった業種の大手各企業様にご利用いただき、着実に事業の裾野を広げて、大幅な成長を実現してまいりました。
この結果、売上高は1,377百万円(前年同期比85.6%増)、営業利益は200百万円(前年同期は営業損失327百万円)、経常利益は194百万円(前年同期は経常損失328百万円)、当期純利益は190百万円(前年同期は当期純損失328百万円)となりました。
なお、当社はチャットコマース事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
第8期第2四半期累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年9月30日)
当第2四半期累計期間におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症による個人消費の減退や企業活動への影響が続き、依然として厳しい環境が続いております。ワクチン接種の普及に伴い経済活動の持ち直しが期待されるものの、先行きは不透明な状況が続いております。一方で、生活環境の変化により巣ごもり消費等が増加していることを受け、各企業においてはECの強化や転換等が進んでおり、これに伴い当社サービスの需要も拡大しているものと認識しております。
このような経済環境の下、当社は、「おもてなし革命」を掲げ、「チャットコマース」という新たな概念を打ち立てた「ジールス」を展開してまいりました。チャットコマース事業は、インターネット広告市場の堅調な拡大を背景に、通販・コスメ、サロン・フィットネス・来店系、人材といった業種の大手各企業様にご利用いただき、着実に事業の裾野を広げて、大幅な成長を実現してまいりました。一方で今後の事業の拡大と収益源の多様化を実現するために優秀な人材の確保やマーケティング費用等の先行投資を積極的に行っております。
この結果、売上高は871百万円、営業損失は491百万円、経常損失は497百万円、四半期純損失は497百万円となりました。
なお、当社はチャットコマース事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
③キャッシュ・フローの状況
第7期事業年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ1,579百万円増加し、1,734百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は278百万円(前年同期は351百万円の使用)となりました。これは主に、税引前当期純利益を194百万円(前年同期は税引前当期純損失328百万円)計上したこと、減価償却費を15百万円(前年同期は減価償却費9百万円)計上したこと、未払金の増加額24百万円(前年同期は未払金の減少額27百万円)、未払費用の増加額13百万円(前年同期は未払費用の増加額24百万円)等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は13百万円(前年同期は26百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出11百万円(前年同期は21百万円の支出)等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は1,314百万円(前年同期は33百万円の獲得)となりました。これは主に、株式の発行による収入999百万円、長期借入れによる収入300百万円(前年同期は20百万円の収入)等によるものであります。
第8期第2四半期累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年9月30日)
当第2四半期会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ733百万円減少し、1,000百万円となりました。
当第2四半期累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は516百万円となりました。これは主に、税引前四半期純損失を497百万円計上したこと、売上債権の増加額47百万円、仕入債務の増加額12百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は237百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出126百万円、敷金及び保証金の差入による支出111百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は19百万円となりました。これは主に、長期借入れによる収入100百万円、短期借入金の純減少額50百万円等によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度のサービス区分ごとの販売実績は、次のとおりであります。
サービス区分当事業年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
前年同期比(%)第8期第2四半期累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年9月30日)
成果報酬モデル(千円)1,162,781342.1813,071
広告運用モデル(千円)159,03440.558,218
その他(千円)55,989570.789
合計(千円)1,377,805185.6871,379

(注)1.当社はチャットコマース事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
2.最近2事業年度及び第8期第2四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前事業年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当事業年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
第8期第2四半期累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年9月30日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
株式会社ワンスター52,0217.0346,76525.2133,70515.3
株式会社東京コンシューマーシステム1,3600.2143,16510.472,7618.4
株式会社サイバーエージェント34,0424.6139,28310.1101,49411.6
株式会社セプテーニ74,28410.065,2434.746,9815.4

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績の分析
第7期事業年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
(売上高)
売上高は1,377百万円(前年同期比85.6%増)となりました。これは主に、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う当社サービスの需要増加や、積極的な人材投資によりシステム開発力及び販売の強化を行ったこと等により、当社サービスを導入する顧客が大きく増加したことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は、401百万円(前年同期比9.6%増)となりました。これは主に、売上原価率の高い広告運用モデルから売上原価率の低い成果報酬モデルへのシフトが進んだことによるものです。この結果、売上総利益は、976百万円(前年同期比159.5%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、776百万円(前年同期比10.2%増)となりました。これは主に、優秀な人材の確保による人件費の増加等があった一方で、前年同期は事業拡大のために特に広告宣伝に積極的に投資していたため、当期は広告宣伝費が前年同期より減少したことによります。この結果、営業利益は、200百万円(前年同期は327百万円の損失)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
経常利益は、株式交付費、支払利息等の営業外費用6百万円が発生した結果、194百万円(前年同期は328百万円の損失)となりました。
(法人税等合計、当期純利益)
当期純利益は、法人税等合計3百万円が発生した結果、190百万円(前年同期は328百万円の損失)となりました。
第8期第2四半期累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年9月30日)
(売上高)
売上高は、871百万円となりました。新型コロナウイルス感染症により当社サービスの需要が継続しております。また、引き続き積極的な人材投資を行っており、組織体制の強化により着実に事業の裾野を広げて、順調に顧客数を伸ばしていることによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は、277百万円となりました。これは主に、媒体費、外注費及び人件費によるものです。その結果、売上総利益は、593百万円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業損失)
販売費及び一般管理費は、1,084百万円となりました。これは主に、人件費、採用費及び人材派遣費によるものです。その結果、営業損失は、491百万円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
経常損失は、支払利息等の営業外費用6百万円が発生した結果、497百万円となりました。
(法人税等合計、四半期純損失)
四半期純損失は、経常損失により、497百万円となりました。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、当社はチャットコマース事業の単一事業であるため、記載を省略しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の事業年度のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローの増加630百万円、投資活動によるキャッシュ・フローの増加12百万円、財務活動によるキャッシュ・フローの増加1,280百万円により、当事業年度では前事業年度と比較して1,923百万円の資金の増加となりました。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
当社の資金需要のうち主なものは、運転資金及び設備投資であります。
運転資金及び設備投資に必要な資金については、自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本としております。
これらの資金需要に対し、第7期事業年度末における現金及び預金残高は1,734百万円であり、現状の当社の資金需要に対して十分な流動性を確保しております。
なお、2022年3月期第2四半期累計期間においては、先行的な人員採用や新規展開業界に係る先行投資等により営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなっております。当社が現在は成長フェーズにあると認識していることから、高い売上高成長率及び売上総利益成長率を重視しております。当面は事業基盤の拡充に投資して市場占有率と競争優位性の更なる強化を図ることで、高い売上高成長率及び売上総利益成長率を継続することにより、中長期的にはフリー・キャッシュフローの最大化を図ってまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現在の状況下で合理的と考えられる前提等に基づいて判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。
④経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析・検討内容
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載の通り。当社は売上高成長率及び売上総利益成長率を重視した経営を行っており、特に売上総利益の成長のため、アカウント数の拡大及びARPA(1契約当たりの売上高)を重視しております。
契約アカウント数は2021年3月期末において228件、2022年3月期第2四半期末において245件と順調に拡大しております。また、ARPA(課金発生ベース)についても2021年3月期第4四半期においては約70万円、2022年3月期第2四半期においては76万円と伸長しております。
足元では、カーディーラーなどの新規業界への展開に加え、既存クライアントとの取引深耕を図るため、Instagramを活用したチャットコマースサービスの開始や店舗に設置するデジタルサイネージとチャットボットを融合させたバーチャルチャットボットの開発など、マルチ・チャネル及びマルチ・プラットフォームにおいてチャットコマースサービスを提供する取り組みを進めております。今後も新規業界への展開を進めるとともに、既存のエンタープライズクライアントにおける取り扱いブランド数(アカウント数)を拡大し、複数のチャネル・プラットフォームにおいてマーケティングの全てのフェーズをサポートする多様なサービスを提供すること等により、ARPA拡大を図ってまいります。