有価証券報告書-第9期(2023/07/01-2024/06/30)

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2024/09/27 15:01
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115項目
(1) 経営成績等の状況
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、経済活動の正常化が進み、景気は緩やかな持ち直しの動きがみられた一方、不安定な海外情勢の長期化を背景とする物価上昇や海外景気の下振れリスクなどにより、依然として先行きの不透明な状況が続いております。
国内の医療用医薬品市場においては、ドラッグ・ラグや後発医薬品の供給不足で医薬品供給の土台が揺らぐ中、 薬価制度の抜本的見直しも議論されています。また、ドラッグ・ラグやドラッグ・ロスの観点からは医薬品の開発に要する膨大な時間とコストが課題とされており、最先端のICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)をはじめとしたデジタル技術の活用によって、新薬の研究や開発に必要となる期間やコストを圧縮することが期待されています。
こうした中、当社は「持続可能な医療(Sustainable Medicine)の実現」というビジョンを掲げ、自社構築のデジタル医療プラットフォームを活用した治療用アプリ開発を行う「DTx(デジタル治療:Digital Therapeutics)プロダクト事業」、並びに汎用臨床試験システム、機械学習自動分析システムの提供及びこれらシステムを活用したDTx開発支援から構成される「DTxプラットフォーム事業」を展開し、ブロックチェーン技術やAI(人工知能)技術の応用で業界に新たな価値を生み出し社会課題を解決することを目指して事業を推進しています。
DTxプロダクト事業では、医薬品に依存しない不眠障害治療の選択肢として欧米で推奨されている認知行動療法を実施する不眠障害治療用アプリを開発しております。本アプリについては、2023年2月15日付で厚生労働省より医療機器製造販売承認を取得し、保険収載の手続きを進めておりましたが、令和6年度診療報酬改定において保険医療材料制度の見直しが行われたことから、2024年8月に製造販売承認事項一部変更承認を申請し、保険適用と製品の上市に向けた準備を進めております。今後は、塩野義製薬株式会社との間で締結した本アプリに関する販売提携契約に基づき、開発進展などに応じたマイルストン収入として総額最大41億円の受領を予定するとともに、製品上市後はその販売額に応じたロイヤリティの受領を予定しております。また、杏林製薬株式会社と共同開発を行っている耳鳴治療用アプリにおいては、特定臨床研究を開始し、最初の被験者により本アプリの使用が開始されたことによるマイルストン1億円を受領いたしました。今後は、共同研究開発及び販売に関する契約に基づき、開発進展などに応じたマイルストン収入として総額最大5億円の受領を予定するとともに、製品上市後はその販売額に応じたロイヤリティを受領する予定です。さらに、2023年9月にあすか製薬株式会社との間で産婦人科領域における治療用アプリの共同研究開発及び製品上市後の販売に関する契約を締結し、契約一時金として2億円を受領しました。今後は開発段階などに応じたマイルストン収入として総額最大25億円の受領を予定するとともに、製品上市後はその販売額に応じたロイヤリティを受領する予定です。その他のパイプラインにつきましても、進行がん患者向けのアドバンス・ケア・プランニングを支援するアプリでは、探索的試験(第Ⅱ相臨床試験に相当)を完了し、その結果が米国臨床腫瘍学会(ASCO)のオーラルセッションに採択され、2024年6月2日に発表が行われました。本アプリについては、東京慈恵会医科大学と産学連携講座を開設し、社会実装を目指していくこととしています。また、慢性腎臓病患者向けの腎臓リハビリアプリでも、探索的試験(第Ⅱ相臨床試験に相当)を完了しております。さらに、持続性知覚性姿勢誘発めまいに対して新潟大学と共同開発を行っている治療用アプリに関して日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会総会・学術講演会で発表を行い、新たにパイプラインに追加するなど、開発は順調に進捗しております。今後も長期的視点での収益の最大化のために、財務指標に先行する開発パイプラインの件数や、臨床試験の進捗を重要な経営指標と位置付けて事業運営を行ってまいります。
DTxプラットフォーム事業では、当社のブロックチェーン技術を活用した治験管理システム(SUSMED SourceDataSync®)を利用し、アキュリスファーマ株式会社において、ナルコレプシー患者を対象としたヒスタミン H3 受容体拮抗薬/逆作動薬 Pitolisant の国内第Ⅲ相臨床試験及び閉塞性睡眠時無呼吸症候群に伴う日中の過度の眠気が残存する患者を対象としたヒスタミン H3 受容体拮抗薬/逆作動薬 Pitolisant の国内第Ⅲ相臨床試験が実施されております。また、杏林製薬株式会社との共同開発において開始された耳鳴治療用アプリの特定臨床研究についても、SUSMED SourceDataSync®を活用しております。さらに、国立大学法人東北大学との間ではSUSMED SourceDataSync®を活用した静脈疾患レジストリの構築に関する契約を締結しました。今後も医療分野においてブロックチェーン技術を活用することで、医療データの信頼性向上及び臨床開発コストの適正化の実現を目指してまいります。
アカデミアとの取り組みにつきましては、国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学と「視線解析技術による疾患バイオマーカーの探索」に関する取り組みを開始し、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)の「産学官共同mission-oriented型創薬技術研究プロジェクト」として採択されております。今後もアンメットニーズや医療の持続可能性に寄与する研究開発活動を引き続き強化してまいります。
こうした事業活動の結果、当事業年度における業績は、事業収益342,577千円(前事業年度比35.4%減)、営業損失364,981千円(前事業年度は48,316千円の損失)、経常損失357,222千円(前事業年度は44,318千円の損失)、当期純損失357,415千円(前事業年度は50,749千円の損失)となりました。
なお、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)に採択された研究事業の精算金額確定などによる「助成金等収入」6,784千円を営業外収益に計上しております。
また、当社の全社資産について将来の回収可能性を検討した結果、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回ると判断し、減損損失2,726千円を認識しております。減損損失の金額の内訳は建物附属設備740千円、工具器具備品1,986千円となります。
セグメント別の概況は、以下のとおりです。
(DTxプロダクト事業)
当セグメントは、治療用アプリ開発で構成されております。治療用アプリ開発では、不眠障害治療用アプリにおいて、保険適用と製品の上市に向けた準備を進めております。また、杏林製薬株式会社と共同開発を行っている耳鳴治療用アプリにおいては、特定臨床研究を開始し、最初の被験者により本アプリの使用が開始されたことによるマイルストン1億円を受領いたしました。当該マイルストンについては、本契約締結時に受領し契約負債に計上しておりました契約一時金1億円と併せて収益計上しております。さらに、あすか製薬株式会社との間で産婦人科領域における治療用アプリの共同研究開発及び製品上市後の販売に関する契約を締結し、契約一時金として2億円を受領しております。販売段階にあるプロダクトはまだありません。
この結果、本事業の事業収益200,000千円(前年同期は400,000千円)、セグメント利益55,618千円(前年同期は256,989千円の利益)となりました。
(DTxプラットフォーム事業)
当セグメントは、汎用臨床試験システム及び機械学習自動分析システムの提供、並びにこれらシステムを活用したDTx開発の支援で構成されております。汎用臨床試験システムの提供に関しては、アキュリスファーマ株式会社との間で締結した、治験実施に関する契約に基づき、企業治験としては世界初となるブロックチェーン技術を活用した治験を実施しております。さらに、杏林製薬株式会社との共同開発において開始された耳鳴治療用アプリの特定臨床研究においても、SUSMED SourceDataSync®を活用しております。機械学習自動分析システムの提供及びDTx開発の支援に関する活動につきましては、継続利用に支えられ、収益は安定的に推移しております。
この結果、本事業の事業収益142,577千円(前年同期は130,654千円)、セグメント損失11,227千円(前年同期は66,118千円の利益)となりました。
(資産)
当事業年度末における流動資産合計は、4,898,414千円となり、187,045千円減少いたしました。これは主に現金及び預金が201,918千円減少した一方、未収消費税等が9,846千円、前払費用が4,881千円増加したこと等によるものであります。
当事業年度末における固定資産合計は、33,672千円となり、前事業年度末に比べ18,007千円増加いたしました。これは主に投資その他の資産が17,091千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当事業年度末における流動負債合計は、321,399千円となり、前事業年度末に比べ96,721千円増加いたしました。これは主に契約負債が111,219千円、未払金が12,536千円増加した一方、未払消費税等が27,759千円減少したこと等によるものであります。
当事業年度末における固定負債合計は、6,390千円となり、前事業年度末に比べ740千円増加いたしました。これは、資産除去債務が740千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は4,604,297千円となり、前事業年度末に比べ266,500千円減少いたしました。これは主に当期純損失の計上に伴い利益剰余金が357,415千円減少した一方、譲渡制限付株式報酬としての新株発行、並びにストック・オプションの行使により、資本金が40,011千円、資本剰余金が39,985千円増加したほか、新株予約権が10,924千円増加したこと等によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は4,846,920千円(前事業年度は5,048,838千円)となりました。当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果支出した資金は230,762千円(前事業年度は100,591千円の収入)となりました。主な増加要因としては、契約負債の増加111,219千円、株式報酬費用24,868千円、未払金の増加12,986千円等、主な減少要因としては、税引前当期純損失356,205千円、未払消費税等の減少27,759千円等があったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は8,528千円(前事業年度は18,189千円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出6,717千円及び有形固定資産の取得による支出2,560千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果増加した資金は37,372千円(前事業年度は62,362千円の収入)となりました。これは主に、新株式の発行による収入37,380千円等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社は受注生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b 受注実績
当社は受注生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
c 販売実績
当事業年度における販売実績は、以下のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前年同期比(%)
DTxプロダクト事業200,00050.0
DTxプラットフォーム事業142,577109.1
合計342,57764.6

(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
相手先前事業年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
当事業年度
(自 2023年7月1日
至 2024年6月30日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
塩野義製薬株式会社400,00075.4--
杏林製薬株式会社--200,00058.4
株式会社コラボプレイス76,74014.584,88024.8
アキュリスファーマ株式会社24,2604.639,11411.4

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針および見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。その作成において、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を及ぼす見積りの判断は、一定の会計基準の範囲内において、過去の実績や判断時点で入手可能な情報に基づき合理的に行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(固定資産の減損)
当社は、固定資産の減損について、事業用資産においては管理会計上の区分を基準に、本社等に関しては共用資産としてグルーピングし、減損の兆候の有無を判定しております。減損の兆候があった場合、将来キャッシュ・フローを見積り、減損の要否を判定しております。判定の結果、減損が必要と判断された資産については、帳簿価格を回収可能価格まで減損処理をしております。
② 経営成績等に関する分析
(事業収益)
当事業年度の事業収益は、342,577千円(前事業年度は530,654千円)となりました。これは主に、DTxプロダクト事業において、耳鳴治療用アプリの契約締結に伴う契約一時金及び、探索的試験において当該アプリの利用が開始されたことに伴うマイルストンを収益計上したこと、並びにDTxプラットフォーム事業における汎用臨床試験システムの採用件数が増加したこと等によるものです。
(事業費用、営業損失)
当事業年度の事業原価については11,727千円(前事業年度は7,988千円)となりました。これは主に、DTxプラットフォーム事業における機械学習自動分析システムの受託分析による事業収益の増加に伴い事業原価が増加したこと等によるものです。当事業年度の研究開発費は243,352千円(前事業年度は176,311千円)となりました。これは主に、DTxプラットフォーム事業における汎用臨床試験システムの追加開発等によるものです。当事業年度の販売費及び一般管理費は、452,478千円(前事業年度は394,671千円)となりました。これは主に、事業規模の拡大による人件費の増加等によるものです。
その結果、営業損失は364,981千円(前事業年度は48,316千円)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
当事業年度の営業外収益は、8,071千円(前事業年度は4,421千円)となりました。これは主に、助成金等収入6,784千円等によるものです。また、当事業年度の営業外費用は312千円(前事業年度は422千円)となりました。
その結果、経常損失は357,222千円(前事業年度は44,318千円)となりました。
(特別利益、特別損失、法人税等合計、当期純損失)
当事業年度の特別利益は、3,771千円(前事業年度は634千円)となりました。これは、新株予約権戻入益3,365千円、投資有価証券売却益406千円によるものです。また、当事業年度の特別損失は、2,754千円(前事業年度は5,854千円)となりました。これは主に、固定資産の減損損失2,726千円等を計上したことによるものです。当事業年度における法人税等合計は1,210千円(前事業年度は1,210千円)となりました。
その結果、当期純損失は357,415千円(前事業年度は50,749千円)となりました。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因に関しては、「3 事業等のリスク」をご参照ください。
④ 資本の財源及び資金の流動性について
当社の最重要課題は不眠障害治療用アプリの販売を確実に実現させることです。また、治療用アプリ開発のプラットフォームを活用し複数のパイプラインを組成し治療用アプリ開発に取り組むと同時に、汎用臨床試験システム、機械学習自動分析システムの開発も継続して行っていきます。これらの研究開発での必要資金に関しては、自己資金にて充当する方針であります。加えて将来的には不眠障害治療用アプリの販売利益の再投資も行うことで、企業価値の最大化を目指してまいります。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針
経営者の問題意識と今後の方針に関しては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

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