有価証券報告書-第10期(2024/07/01-2025/06/30)

【提出】
2025/09/26 15:31
【資料】
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【項目】
115項目
(1) 経営成績等の状況
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社は、治療用アプリ開発を行う「DTx(デジタル治療:Digital Therapeutics)プロダクト事業」、並びに汎用臨床試験システム、機械学習自動分析システムの提供及びこれらシステムを活用したDTx開発支援から構成される「DTxプラットフォーム事業」の2つの事業を展開し、ブロックチェーン技術やAI(人工知能)技術の応用で業界に新たな価値を生み出し社会課題を解決することを目指して事業を推進しています。
DTxプロダクト事業では、不眠障害の治療支援を行うプログラム医療機器として不眠障害用アプリを開発しております。本アプリについては、2023年2月15日付で厚生労働省より医療機器製造販売承認を取得し、保険収載の手続きを進めておりましたが、令和6年度診療報酬改定において保険医療材料制度の見直しが行われたことから、2024年8月に製造販売承認事項一部変更承認申請(以下、「本申請」といいます。)を行い、2025年9月2日付で厚生労働省より本申請の承認を受け、9月4日に保険適用希望書を提出いたしました。現在、保険収載と製品の上市に向けた準備を並行して進めております。本アプリに関しては、塩野義製薬株式会社との間で締結した販売提携契約に基づき、開発進展などに応じたマイルストン収入として総額最大41億円の受領を予定するとともに、製品上市後はその販売額に応じたロイヤリティの受領を予定しております。また、杏林製薬株式会社と共同開発を行っている耳鳴治療用アプリにおいては、特定臨床研究を完了しております。今後は、共同研究開発及び販売に関する契約に基づき、開発進展などに応じたマイルストン収入として総額最大5億円の受領を予定するとともに、製品上市後はその販売額に応じたロイヤリティを受領する予定です。さらに、あすか製薬株式会社と共同開発を行っている月経前症候群・月経前不快気分障害を対象とした治療用アプリにおいては、特定臨床研究を開始し、最初の被験者により当該アプリの使用が開始されたことによるマイルストン1億円を受領いたしました。今後は開発段階などに応じたマイルストン収入として総額最大24億円の受領を予定するとともに、製品上市後はその販売額に応じたロイヤリティを受領する予定です。進行がん患者向けのアドバンス・ケア・プランニングを支援するアプリでは、企業治験(第Ⅱ相臨床試験に相当)における被験者登録を開始しております。当該アプリについては、東京慈恵会医科大学と産学連携講座を開設し、社会実装を目指していくこととしています。その他のパイプラインにつきましても、慢性腎臓病患者向けの腎臓リハビリアプリでは、探索的試験(第Ⅱ相臨床試験に相当)を完了し、次の試験に向けて準備を進めております。さらに、持続性知覚性姿勢誘発めまいに対して国立大学法人新潟大学と共同開発を行っている治療用アプリに関して臨床研究において被験者登録を開始するなど、開発は順調に進捗しております。今後も長期的視点での収益の最大化のために、財務指標に先行する開発パイプラインの件数や、臨床試験の進捗を重要な経営指標と位置付けて事業運営を行ってまいります。
DTxプラットフォーム事業では、当社のブロックチェーン技術を活用した治験管理システム(SUSMED SourceDataSync®)を利用し、アキュリスファーマ株式会社において実施されていた、ナルコレプシー患者を対象としたヒスタミン H3 受容体拮抗薬/逆作動薬 Pitolisant の国内第Ⅲ相臨床試験及び閉塞性睡眠時無呼吸症候群に伴う日中の過度の眠気が残存する患者を対象としたヒスタミン H3 受容体拮抗薬/逆作動薬 Pitolisant の国内第Ⅲ相臨床試験で良好な解析結果を示したことが報告されました。また、国立大学法人東北大学と進めていたSUSMED SourceDataSync®の活用による統合型静脈疾患レジストリシステムの構築が完了し、企業への提供を開始しました。本レジストリシステムを医療機器の使用成績調査で利活用することにより、効率的に医療機器の使用成績の評価や適正使用の推進が可能となり、医療現場での作業負荷が大幅に軽減することが期待されます。さらに、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センターが実施する筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群を対象とした医師主導治験及びあすか製薬株式会社との共同開発において開始された月経前症候群・月経前不快気分障害を対象とした治療用アプリの特定臨床研究においても、SUSMED SourceDataSync®を活用しております。今後も医療分野においてブロックチェーン技術を活用することで、医療データの信頼性向上及び臨床開発コストの適正化の実現を目指してまいります。
アカデミアとの取り組みにつきましては、今後もアンメットニーズや医療の持続可能性に寄与する研究開発活動を引き続き強化してまいります。
こうした事業活動の結果、当事業年度における業績は、事業収益462,988千円(前事業年度比35.1%増)、営業損失299,479千円(前事業年度は364,981千円の損失)、経常損失294,673千円(前事業年度は357,222千円の損失)、当期純損失298,404千円(前事業年度は357,415千円の損失)となりました。
なお、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)に採択された研究事業の精算金額確定などによる「助成金等収入」11,409千円を営業外収益に計上しております。
また、譲渡制限付株式報酬の割当対象者が、本譲渡制限期間が満了する前に当社の取締役を退任したことに伴い、譲渡制限付株式割当契約書に基づき割当てた当社普通株式の全てを、当社が無償取得したことにより「譲渡制限付株式報酬償却損」6,595千円を営業外費用に計上しております。
さらに、当社は全社資産(工具器具備品)について営業キャッシュ・フローが継続してマイナスとなったこと、及び事業用資産(ソフトウェア)について将来の回収可能性を検討したことにより、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回ることが見込まれるため、「減損損失」4,706千円を特別損失に計上しております。
セグメント別の概況は、以下のとおりです。
(DTxプロダクト事業)
当セグメントは、治療用アプリ開発で構成されております。治療用アプリ開発では、不眠障害用アプリにおいて、保険収載と製品の上市に向けた準備を進めております。また、杏林製薬株式会社と共同開発を行っている耳鳴治療用アプリにおいては、特定臨床研究を完了しております。さらに、あすか製薬株式会社と共同開発を行っている月経前症候群・月経前不快気分障害を対象とした治療用アプリにおいては、特定臨床研究を開始し、最初の被験者により本アプリの使用が開始されたことによるマイルストン1億円を受領いたしました。当該マイルストンについては、本契約締結時に受領し契約負債に計上しておりました契約一時金2億円と併せて収益計上しております。進行がん患者向けのアドバンス・ケア・プランニングを支援するアプリでは、企業治験(第Ⅱ相臨床試験に相当)における被験者登録を開始しております。その他のパイプラインにつきましても、慢性腎臓病患者向けの腎臓リハビリアプリでは、探索的試験(第Ⅱ相臨床試験に相当)を完了し、次の試験に向けて準備を進めております。また、国立大学法人新潟大学と共同開発を行っている持続性知覚性姿勢誘発めまいに対する治療用アプリにおいては、臨床研究における被験者登録を開始しております。販売段階にあるプロダクトはまだありません。
この結果、本事業の事業収益は300,000千円(前年同期は200,000千円)、セグメント利益は118,092千円(前年同期は55,618千円)となりました。
(DTxプラットフォーム事業)
当セグメントは、汎用臨床試験システム及び機械学習自動分析システムの提供、並びにこれらシステムを活用したDTx開発の支援で構成されております。汎用臨床試験システムの提供に関しては、アキュリスファーマ株式会社との間で締結した、治験実施に関する契約に基づき、企業治験としては世界初となるブロックチェーン技術を活用した治験を実施しております。また、国立大学法人東北大学との間ではSUSMED SourceDataSync®を用いた統合型静脈疾患レジストリシステムを構築し、医療機器の使用成績調査で活用されております。その他、SUSMED SourceDataSync®を活用した臨床試験の実施に関する提案活動を積極的に展開しております。機械学習自動分析システムの提供に関する活動につきましては、継続利用に支えられ、収益は安定的に推移しております。
この結果、本事業の事業収益は162,988千円(前年同期は142,577千円)、セグメント利益は33,133千円(前年同期は11,227千円の損失)となりました。
(資産)
当事業年度末における流動資産合計は、4,462,629千円となり、435,784千円減少いたしました。これは主に前払費用が17,181千円、売掛金及び契約資産が5,028千円増加した一方、現金及び預金が448,782千円、未収消費税等が9,846千円減少したこと等によるものであります。
当事業年度末における固定資産合計は、40,343千円となり、前事業年度末に比べ6,671千円増加いたしました。これは主に無形固定資産が7,747千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当事業年度末における流動負債合計は、125,940千円となり、前事業年度末に比べ195,458千円減少いたしました。これは主に未払消費税等が15,921千円増加した一方、契約負債が196,280千円、未払金が11,362千円減少したこと等によるものであります。
当事業年度末における固定負債合計は、6,390千円となり、前事業年度末からの変動はありませんでした。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は4,370,641千円となり、前事業年度末に比べ233,655千円減少いたしました。これは主に譲渡制限付株式報酬としての新株発行等により、資本金が18,264千円、資本剰余金が18,210千円、新株予約権が28,295千円増加した一方、当期純損失の計上に伴い利益剰余金が298,404千円減少したこと等によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は4,398,137千円(前事業年度は4,846,920千円)となりました。当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果支出した資金は432,477千円(前事業年度は230,762千円の支出)となりました。この主な減少要因としては、税引前当期純損失297,194千円、契約負債の減少196,280千円、未払金の減少11,814千円、助成金等収入11,409千円等、主な増加要因としては、株式報酬費用50,250千円、未払消費税等の増加15,921千円、その他12,583千円等があったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は19,970千円(前事業年度は8,528千円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出15,653千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果増加した資金は3,665千円(前事業年度は37,372千円の増加)となりました。これは主に、新株式の発行による収入4,017千円等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社は受注生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b 受注実績
当社は受注生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
c 販売実績
当事業年度における販売実績は、以下のとおりであります。
セグメントの名称金額(千円)前年同期比(%)
DTxプロダクト事業300,000150.0
DTxプラットフォーム事業162,988114.3
合計462,988135.1

(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
相手先前事業年度
(自 2023年7月1日
至 2024年6月30日)
当事業年度
(自 2024年7月1日
至 2025年6月30日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
あすか製薬株式会社--300,00064.8
杏林製薬株式会社200,00058.4--
株式会社コラボスクエア84,88024.892,32519.9
アキュリスファーマ株式会社39,11411.424,7045.3

(注) 株式会社コラボプレイスは、2025年4月をもって株式会社コラボスクエアに商号変更をしております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針および見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。その作成において、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を及ぼす見積りの判断は、一定の会計基準の範囲内において、過去の実績や判断時点で入手可能な情報に基づき合理的に行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは固定資産の減損損失であり、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (損益計算書関係) ※5 減損損失」に記載しております。
② 経営成績等に関する分析
(事業収益)
当事業年度の事業収益は、462,988千円(前事業年度は342,577千円)となりました。これは主に、DTxプロダクト事業において、月経前症候群・月経前不快気分障害を対象とした治療用アプリの契約締結に伴う契約一時金及び、特定臨床研究において当該アプリの利用が開始されたことによるマイルストン収入を収益計上したこと、並びにDTxプラットフォーム事業における汎用臨床試験システムの採用件数が増加したこと等によるものです。
(事業費用、営業損失)
当事業年度の事業原価については12,264千円(前事業年度は11,727千円)となりました。これは主に、DTxプラットフォーム事業における臨床試験システムの提供・利用による事業収益の増加に伴い事業原価が増加したこと等によるものです。当事業年度の研究開発費は273,634千円(前事業年度は243,352千円)となりました。これは主に、DTxプロダクト事業における既存パイプラインの開発にかかる人件費が増加したこと等によるものです。当事業年度の販売費及び一般管理費は、476,569千円(前事業年度は452,478千円)となりました。これは主に、事業規模の拡大による人件費の増加等によるものです。
その結果、営業損失は299,479千円(前事業年度は364,981千円)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常損失)
当事業年度の営業外収益は、11,815千円(前事業年度は8,071千円)となりました。これは主に、助成金等収入11,409千円等によるものです。また、当事業年度の営業外費用は7,009千円(前事業年度は312千円)となりました。これは主に、譲渡制限付株式報酬償却損6,595千円等によるものです。
その結果、経常損失は294,673千円(前事業年度は357,222千円)となりました。
(特別利益、特別損失、法人税等合計、当期純損失)
当事業年度の特別利益は、2,234千円(前事業年度は3,771千円)となりました。これは、新株予約権戻入益2,234千円によるものです。また、当事業年度の特別損失は、4,755千円(前事業年度は2,754千円)となりました。これは主に、固定資産の減損損失4,706千円等によるものです。当事業年度における法人税等合計は1,210千円(前事業年度は1,210千円)となりました。
その結果、当期純損失は298,404千円(前事業年度は357,415千円)となりました。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因に関しては、「3 事業等のリスク」をご参照ください。
④ 資本の財源及び資金の流動性について
当社の最重要課題は不眠障害用アプリの販売を確実に実現させることです。また、治療用アプリ開発のプラットフォームを活用し複数のパイプラインを組成し治療用アプリ開発に取り組むと同時に、汎用臨床試験システム、機械学習自動分析システムの開発も継続して行っていきます。これらの研究開発での必要資金に関しては、自己資金にて充当する方針であります。加えて将来的には不眠障害用アプリの販売利益の再投資も行うことで、企業価値の最大化を目指してまいります。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針
経営者の問題意識と今後の方針に関しては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

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