有価証券報告書-第5期(2023/01/01-2023/12/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に比べて、4,433百万円増加し23,255百万円となりました。これは主に、売上の拡大に伴う営業債権及びその他の債権が2,112百万円及び契約債権が527百万円増加したことによるものです。その他、PT. Digital Distribusi Indonesia (以下、「DDI」という。)の事業買収に伴うのれんが767百万円増加したことと棚卸資産が509百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて、2,344百万円増加し9,651百万円となりました。これは主に、営業債務及びその他の債務が2,025百万円増加したこと及びDDIの買収に伴いその他金融負債が299百万円増加したことによるものであります。
(資本)
当連結会計年度末の資本は、前連結会計年度末に比べて、2,089百万円増加し、13,604百万円となりました。これは主に、新株発行による増資859百万円によるものです。また、在外営業活動体の換算差額の増加等によりその他の資本の構成要素が540百万円増加、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により利益剰余金が559百万円増加いたしました。
② 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、企業収益が総じて改善するなど、緩やかな回復の兆しが見られました。しかしながら、世界的な金融引き締めや物価上昇、円安による国内物価の上昇、中東・東欧における地政学的緊張など、世界経済の先行きは不透明な状況が続きました。このような状況の中、当社グループは様々な地域で多様な事業を展開していることから、こうした市場変化の影響を緩和することができました。当期は一部のセグメントで課題があったものの、すべての事業において売上収益及び売上総利益が成長いたしました。マーケティング事業におけるインフルエンサーマーケティングプラットフォーム「AnyTag」、パートナーグロース事業におけるパブリッシャーグロースプラットフォーム「AnyManager」及びクリエイターグロースプラットフォーム「AnyCreator」が引き続きグループ全体の成長に寄与したことに加え、D2C・Eコマース事業においても、国内外の法人向けEコマースが堅調に成長しました。
当社グループは、既存事業に加え引き続きD2CプラットフォームのEC領域に注力しており、特に法人向けEC支援は日本だけではなくアジア各国における高い需要を取り込むべく体制強化を継続しております。また、マーケティング、パートナーグロース及びD2Cの既存事業に加えて、越境ECを含むEC支援においても、代理店や競争力のあるブランドを有するメーカー各社との協業を進めることで継続的な事業拡大及び成長に注力しております。これに関連して、当社グループは、2023年9月25日にインドネシア国内において法人向けにEC支援事業を展開している、ECイネーブラー(IT、流通及びマーケティング機能を複合的に備えECバリューチェーン全体を支援する企業)であるPT Digital Distribusi Indonesia(以下「DDI社」)の全株式の取得手続きを完了し、同社を完全子会社化いたしました。本件子会社化に伴い、2023年12月期第3四半期より同社を連結しております。本件子会社化により、当社グループのEC関連プロダクトとテクノロジー開発体制やグローバルネットワークと、DDI社のインドネシアにおけるECオペレーションチームやクライアントネットワークを相互に連携することにより、アジアにおけるEC支援事業の基盤を確立させていきたいと考えております。
第4四半期連結会計期間においては、韓国、サウジアラビアという新たな市場への進出を果たし、アジア全域に構築したネットワークを活用し効率的な事業拡大を図ってまいりました。このような状況の中、2024年1月4日に韓国・フィリピン・タイにおける新役員体制の決定を発表いたしました。経営陣に経験豊かな人材を迎え入れることで、当社グループの将来のさらなる成長に向けた体制を強化するものです。
当社グループは、新機能の開発やプラットフォームの利便性向上のために積極的に投資を継続しています。国際配送プラットフォーム「AnyLogi」においては、大手国際輸送会社DHLとの統合によるグローバル配送ニーズに対応した物流ネットワークの拡充、インフルエンサーマーケティングプラットフォーム「AnyTag」においては、パフォーマンス重視のインフルエンサーマーケティングとモバイルアプリマーケティングを連携させた「AnyTag Performance for Apps」の提供を開始いたしました。また、AnyMind LLM Labを通じて、人工知能(AI)及び大規模言語モデリング(LLM)技術の研究開発を強化しています。これらの継続的な機能改善・向上は、当社グループが提供するサービスの付加価値の増大に貢献し、当連結会計年度の成長のみならず、今後の継続的な成長に資すると考えております。
これらの結果、当連結会計年度の売上収益は33,460百万円(前連結会計年度比35.0%増)、売上総利益が12,699百万円(前連結会計年度比36.7%増)営業利益は747百万円(前連結会計年度比2,353.5%増)、税引前利益は628百万円(前連結会計年度比92.4%増)、当期利益は562百万円(前連結会計年度比129.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は559百万円(前連結会計年度比133.8%増)となりました。
なお、当社グループは、インターネット関連事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
(参考)当社グループの売上収益の推移
当社グループは2017年12月期以降、安定した成長を実現しており2023年12月期までの売上収益の年平均成長率は51%となっております。2017年12月期の東南アジアにおけるマーケティングプラットフォーム「AnyTag」、「AnyDigital」中心の収益構造から、2018年12月期は日本及び中華圏においてパブリッシャーグロースプラットフォーム「AnyManager」を積極的に展開し、2019年12月期にはクリエイターグロースプラットフォーム「AnyCreator」をグローバルに展開開始したことに加え日本における「AnyTag」の事業の強化を行っております。
2020年12月期にはインド及び中東において企業買収を経て事業展開したことに加えて、D2Cプラットフォームのソリューション展開を積極的に行うことで事業拡大を実現してまいりました。企業買収も活かして短期間で既存事業の周辺領域へ事業展開していくこと、東南アジアを中心とした安定した市場成長が期待できる市場に事業基盤を持っていること、エンジニアによりプラットフォーム開発や機能拡大をタイムリーに行えていることが足元までの高い成長性を支えていると考えております。
2022年12月期においてはD2Cプラットフォームからの収益貢献の拡大もあり、収益モデルの分散が更に進んでおり、広告主からのマーケティング報酬(マーケティング支出)に加えて、D2Cプラットフォームにおいて、商品販売収益、法人クライアントとの売上シェア(レベニューシェア)、月額固定報酬(サブスクリプション)、利用料に応じた従量課金等の重要性が高まっております。また、パートナーグロースプラットフォームにおいてもパブリッシャーやクリエイターとの広告収益に基づいた売上シェアだけでなく、各種サービス提供による月額固定報酬を受ける収益形態もございます。
2023年12月期においてはD2C/EC事業におけるEC領域の拡大に取り組みました。2023年9月25日のDDI社の取得も追い風となりD2C/EC事業は前年同期比で過去最高の成長を記録しました。クロスボーダービジネスを含めた法人EC支援を推進することで、日本をはじめとするアジア諸国の旺盛な需要を取り込み、継続的な事業成長を達成しております。
(注)2019年12月期の売上収益については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に準じて、PwC Japan有限責任監査法人により監査を受けております。また、2020年12月期、2021年12月期及び2022年12月期の売上収益については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、PwC Japan有限責任監査法人により監査を受けております。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末比125百万円増加し6,266百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末において、営業活動によるキャッシュ・フローは1,028百万円の収入となりました(前年同期比では1,730百万円の収入の増加)。これは、税引前利益628百万円を計上したことに加え、減価償却費及び償却費の計上1,060百万円があった一方で、運転資金の増加による支出693百万円等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末において、投資活動によるキャッシュ・フローは1,261百万円の支出となりました(前年同期比では1,159百万円の支出の増加)。これは主に、DDI社株式の取得により706百万円の支出があったこと、子会社の株式会社LYFTがLÝFT GÝM(リフト ジム)を東京・表参道ヒルズに開店したこと及び子会社のオフィス移転等による固定資産の取得等により422百万円の支払があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末において、財務活動によるキャッシュ・フローは204百万円の収入となりました(前年同期比では3,119百万円の収入の減少)。オフィスに係るリース負債の返済により771百万円の支出があったものの、新株の発行による収入859百万円があったことによるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、提供するサービスの性格上、生産活動を行っておりませんので、記載しておりません。
b.受注実績
当社グループは、受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注実績に関する記載はしておりません。
c.販売実績
第4期連結会計年度及び第5期連結会計年度の主要なプラットフォームごとにおける販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはインターネット関連事業の単一セグメントであります。
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っておりますが、前提条件やその後の環境等に変化がある場合には、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要性がある会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」に記載しております。
また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度においては、全事業部門において前年同期比で増収増益となりました。マーケティング事業におけるインフルエンサーマーケティングプラットフォーム「AnyTag」、パブリッシャー成長プラットフォーム「AnyManager」、パートナーグロース事業におけるクリエイター成長プラットフォーム「AnyCreator」が引き続きグループ全体の成長に寄与しました。また、D2C/EC事業のEC領域も積極的に拡大し、前年同期比55.9%の増収となりました。
経営成績等の分析・検討内容は以下のとおりであります。
a.売上収益
売上収益は、全事業において取引社数が増加し33,460百万円(前連結会計年度比8,670百万円増)となりました。2023年12月期における地域別売上収益比率(注)は、日本が46.4%、東南アジアが38.2%、インド・中華圏等のその他地域が15.4%(前連結会計年度は、日本が47.0%、東南アジアが36.5%、インド・中華圏等のその他地域が16.5%)となっております。
(注)地域別売上収益比率は、子会社の所在地における内部取引消去前の売上収益に基づいて算定しております。
b.売上原価、売上総利益
売上原価は、主に売上収益増加に伴うマーケティング原価、パブリッシャー及びクリエイターへの支払の増加等により20,761百万円(前連結会計年度比5,262百万円増)となりました。この結果、当連結会計年度の売上総利益は12,699百万円(前連結会計年度比3,407百万円増)となりました。また、当連結会計年度の売上総利益率は、38.0%(前連結会計年度は37.5%)となりました。
c.販売費及び一般管理費、営業利益
販売費及び一般管理費は、主に事業拡大に伴う人件費、業務委託料及び販売促進費等の増加により11,880百万円(前連結会計年度比2,580百万円増)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は747百万円(前連結会計年度比717百万円増)となりました。
d.金融収益・金融費用、税引前利益
金融費用は、主に為替差損の影響により134百万円となりました。金融収益は、主に利息収入により15百万円となりました。この結果、税引前利益は628百万円(前連結会計年度比301百万円増)となりました。
e.親会社の所有者に帰属する当期利益
法人所得税費用66百万円及び非支配株主持分3百万円を計上した結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は559百万円(前連結会計年度比320百万円増)となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性の分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループの業容拡大のための運転資金と人件費等の営業費用であります。当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金の調達は自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、6,266百万円であり、十分な流動性を確保しております。当社グループはM&Aを行う場合等に投資活動によるキャッシュ・フローが支出超過となる場合がありますが、投資からの想定回収期間が中長期に亘る場合、当該タイミングにおける金利及び資本コスト、資金需要の額を考慮した上でエクイティファイナンスを行う場合があります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に影響を与えるおそれがあることを認識しております。そのため、当社グループは常に外部環境の変化に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保及び育成等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。売上収益及び売上総利益は市場成長も背景に堅調に成長が続く中、「優秀な人材の確保」が足元の事業成長を継続するために重要と考えており、当社グループの知名度向上による採用力の強化とグループ内の従業員に対する育成について優先的に対応を行っていく予定です。
(参考情報)
当社グループは、経営成績を評価するために売上収益及び売上総利益に加えて、調整後EBITDAを重要な経営指標と考えております。売上収益及び売上総利益の伸長の背景については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。その事業規模の拡大に伴い調整後EBITDAについては継続的に改善しております。
① 売上収益及び売上総利益
② 調整後EBITDA
(注)1.調整後EBITDA=営業利益又は営業損失(△)+減価償却費及び償却費+株式報酬費用
2.調整後EBITDAはIFRSにより規定された指標ではなく、当社グループが、投資家にとって当社グループの業績を評価するために有用であると考える財務指標です。当社グループにおける調整後EBITDAは、同業他社の同指標あるいは類似の指標とは算定方法が異なるために、他社における指標とは比較可能でない場合があり、その結果、有用性が減少する可能性があります。
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に比べて、4,433百万円増加し23,255百万円となりました。これは主に、売上の拡大に伴う営業債権及びその他の債権が2,112百万円及び契約債権が527百万円増加したことによるものです。その他、PT. Digital Distribusi Indonesia (以下、「DDI」という。)の事業買収に伴うのれんが767百万円増加したことと棚卸資産が509百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べて、2,344百万円増加し9,651百万円となりました。これは主に、営業債務及びその他の債務が2,025百万円増加したこと及びDDIの買収に伴いその他金融負債が299百万円増加したことによるものであります。
(資本)
当連結会計年度末の資本は、前連結会計年度末に比べて、2,089百万円増加し、13,604百万円となりました。これは主に、新株発行による増資859百万円によるものです。また、在外営業活動体の換算差額の増加等によりその他の資本の構成要素が540百万円増加、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により利益剰余金が559百万円増加いたしました。
② 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、企業収益が総じて改善するなど、緩やかな回復の兆しが見られました。しかしながら、世界的な金融引き締めや物価上昇、円安による国内物価の上昇、中東・東欧における地政学的緊張など、世界経済の先行きは不透明な状況が続きました。このような状況の中、当社グループは様々な地域で多様な事業を展開していることから、こうした市場変化の影響を緩和することができました。当期は一部のセグメントで課題があったものの、すべての事業において売上収益及び売上総利益が成長いたしました。マーケティング事業におけるインフルエンサーマーケティングプラットフォーム「AnyTag」、パートナーグロース事業におけるパブリッシャーグロースプラットフォーム「AnyManager」及びクリエイターグロースプラットフォーム「AnyCreator」が引き続きグループ全体の成長に寄与したことに加え、D2C・Eコマース事業においても、国内外の法人向けEコマースが堅調に成長しました。
当社グループは、既存事業に加え引き続きD2CプラットフォームのEC領域に注力しており、特に法人向けEC支援は日本だけではなくアジア各国における高い需要を取り込むべく体制強化を継続しております。また、マーケティング、パートナーグロース及びD2Cの既存事業に加えて、越境ECを含むEC支援においても、代理店や競争力のあるブランドを有するメーカー各社との協業を進めることで継続的な事業拡大及び成長に注力しております。これに関連して、当社グループは、2023年9月25日にインドネシア国内において法人向けにEC支援事業を展開している、ECイネーブラー(IT、流通及びマーケティング機能を複合的に備えECバリューチェーン全体を支援する企業)であるPT Digital Distribusi Indonesia(以下「DDI社」)の全株式の取得手続きを完了し、同社を完全子会社化いたしました。本件子会社化に伴い、2023年12月期第3四半期より同社を連結しております。本件子会社化により、当社グループのEC関連プロダクトとテクノロジー開発体制やグローバルネットワークと、DDI社のインドネシアにおけるECオペレーションチームやクライアントネットワークを相互に連携することにより、アジアにおけるEC支援事業の基盤を確立させていきたいと考えております。
第4四半期連結会計期間においては、韓国、サウジアラビアという新たな市場への進出を果たし、アジア全域に構築したネットワークを活用し効率的な事業拡大を図ってまいりました。このような状況の中、2024年1月4日に韓国・フィリピン・タイにおける新役員体制の決定を発表いたしました。経営陣に経験豊かな人材を迎え入れることで、当社グループの将来のさらなる成長に向けた体制を強化するものです。
当社グループは、新機能の開発やプラットフォームの利便性向上のために積極的に投資を継続しています。国際配送プラットフォーム「AnyLogi」においては、大手国際輸送会社DHLとの統合によるグローバル配送ニーズに対応した物流ネットワークの拡充、インフルエンサーマーケティングプラットフォーム「AnyTag」においては、パフォーマンス重視のインフルエンサーマーケティングとモバイルアプリマーケティングを連携させた「AnyTag Performance for Apps」の提供を開始いたしました。また、AnyMind LLM Labを通じて、人工知能(AI)及び大規模言語モデリング(LLM)技術の研究開発を強化しています。これらの継続的な機能改善・向上は、当社グループが提供するサービスの付加価値の増大に貢献し、当連結会計年度の成長のみならず、今後の継続的な成長に資すると考えております。
これらの結果、当連結会計年度の売上収益は33,460百万円(前連結会計年度比35.0%増)、売上総利益が12,699百万円(前連結会計年度比36.7%増)営業利益は747百万円(前連結会計年度比2,353.5%増)、税引前利益は628百万円(前連結会計年度比92.4%増)、当期利益は562百万円(前連結会計年度比129.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は559百万円(前連結会計年度比133.8%増)となりました。
なお、当社グループは、インターネット関連事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
(参考)当社グループの売上収益の推移
当社グループは2017年12月期以降、安定した成長を実現しており2023年12月期までの売上収益の年平均成長率は51%となっております。2017年12月期の東南アジアにおけるマーケティングプラットフォーム「AnyTag」、「AnyDigital」中心の収益構造から、2018年12月期は日本及び中華圏においてパブリッシャーグロースプラットフォーム「AnyManager」を積極的に展開し、2019年12月期にはクリエイターグロースプラットフォーム「AnyCreator」をグローバルに展開開始したことに加え日本における「AnyTag」の事業の強化を行っております。
2020年12月期にはインド及び中東において企業買収を経て事業展開したことに加えて、D2Cプラットフォームのソリューション展開を積極的に行うことで事業拡大を実現してまいりました。企業買収も活かして短期間で既存事業の周辺領域へ事業展開していくこと、東南アジアを中心とした安定した市場成長が期待できる市場に事業基盤を持っていること、エンジニアによりプラットフォーム開発や機能拡大をタイムリーに行えていることが足元までの高い成長性を支えていると考えております。
2022年12月期においてはD2Cプラットフォームからの収益貢献の拡大もあり、収益モデルの分散が更に進んでおり、広告主からのマーケティング報酬(マーケティング支出)に加えて、D2Cプラットフォームにおいて、商品販売収益、法人クライアントとの売上シェア(レベニューシェア)、月額固定報酬(サブスクリプション)、利用料に応じた従量課金等の重要性が高まっております。また、パートナーグロースプラットフォームにおいてもパブリッシャーやクリエイターとの広告収益に基づいた売上シェアだけでなく、各種サービス提供による月額固定報酬を受ける収益形態もございます。
2023年12月期においてはD2C/EC事業におけるEC領域の拡大に取り組みました。2023年9月25日のDDI社の取得も追い風となりD2C/EC事業は前年同期比で過去最高の成長を記録しました。クロスボーダービジネスを含めた法人EC支援を推進することで、日本をはじめとするアジア諸国の旺盛な需要を取り込み、継続的な事業成長を達成しております。
2017年 12月期 | 2018年 12月期 | 2019年 12月期 | 2020年 12月期 | 2021年 12月期 | 2022年 12月期 | 2023年 12月期 | 年平均 成長率 | |
売上収益 (百万円) | 2,820 | 5,285 | 6,502 | 11,080 | 19,252 | 24,790 | 33,460 | 51% |
(注)2019年12月期の売上収益については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に準じて、PwC Japan有限責任監査法人により監査を受けております。また、2020年12月期、2021年12月期及び2022年12月期の売上収益については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、PwC Japan有限責任監査法人により監査を受けております。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末比125百万円増加し6,266百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末において、営業活動によるキャッシュ・フローは1,028百万円の収入となりました(前年同期比では1,730百万円の収入の増加)。これは、税引前利益628百万円を計上したことに加え、減価償却費及び償却費の計上1,060百万円があった一方で、運転資金の増加による支出693百万円等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末において、投資活動によるキャッシュ・フローは1,261百万円の支出となりました(前年同期比では1,159百万円の支出の増加)。これは主に、DDI社株式の取得により706百万円の支出があったこと、子会社の株式会社LYFTがLÝFT GÝM(リフト ジム)を東京・表参道ヒルズに開店したこと及び子会社のオフィス移転等による固定資産の取得等により422百万円の支払があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度末において、財務活動によるキャッシュ・フローは204百万円の収入となりました(前年同期比では3,119百万円の収入の減少)。オフィスに係るリース負債の返済により771百万円の支出があったものの、新株の発行による収入859百万円があったことによるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、提供するサービスの性格上、生産活動を行っておりませんので、記載しておりません。
b.受注実績
当社グループは、受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注実績に関する記載はしておりません。
c.販売実績
第4期連結会計年度及び第5期連結会計年度の主要なプラットフォームごとにおける販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはインターネット関連事業の単一セグメントであります。
第4期連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) | 第5期連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) | |||
金額(百万円) | 前期比(%) | 金額(百万円) | 前期比(%) | |
マーケティングプラットフォーム | 13,115 | +37.9 | 16,762 | +27.8 |
パートナーグロースプラットフォーム | 8,612 | +6.9 | 12,052 | +39.9 |
D2Cプラットフォーム | 2,898 | +86.8 | 4,518 | +55.9 |
その他 | 162 | +26.1 | 127 | -21.9 |
合計 | 24,790 | +28.8 | 33,460 | +35,0 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります
第4期連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) | 第5期連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) | |||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
Google Ireland limited | 1,607 | 6 | 3,888 | 12 |
Google Asia Pacific Pte. Ltd | 3,285 | 13 | 2,146 | 6 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っておりますが、前提条件やその後の環境等に変化がある場合には、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要性がある会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」に記載しております。
また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度においては、全事業部門において前年同期比で増収増益となりました。マーケティング事業におけるインフルエンサーマーケティングプラットフォーム「AnyTag」、パブリッシャー成長プラットフォーム「AnyManager」、パートナーグロース事業におけるクリエイター成長プラットフォーム「AnyCreator」が引き続きグループ全体の成長に寄与しました。また、D2C/EC事業のEC領域も積極的に拡大し、前年同期比55.9%の増収となりました。
経営成績等の分析・検討内容は以下のとおりであります。
a.売上収益
売上収益は、全事業において取引社数が増加し33,460百万円(前連結会計年度比8,670百万円増)となりました。2023年12月期における地域別売上収益比率(注)は、日本が46.4%、東南アジアが38.2%、インド・中華圏等のその他地域が15.4%(前連結会計年度は、日本が47.0%、東南アジアが36.5%、インド・中華圏等のその他地域が16.5%)となっております。
(注)地域別売上収益比率は、子会社の所在地における内部取引消去前の売上収益に基づいて算定しております。
b.売上原価、売上総利益
売上原価は、主に売上収益増加に伴うマーケティング原価、パブリッシャー及びクリエイターへの支払の増加等により20,761百万円(前連結会計年度比5,262百万円増)となりました。この結果、当連結会計年度の売上総利益は12,699百万円(前連結会計年度比3,407百万円増)となりました。また、当連結会計年度の売上総利益率は、38.0%(前連結会計年度は37.5%)となりました。
c.販売費及び一般管理費、営業利益
販売費及び一般管理費は、主に事業拡大に伴う人件費、業務委託料及び販売促進費等の増加により11,880百万円(前連結会計年度比2,580百万円増)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は747百万円(前連結会計年度比717百万円増)となりました。
d.金融収益・金融費用、税引前利益
金融費用は、主に為替差損の影響により134百万円となりました。金融収益は、主に利息収入により15百万円となりました。この結果、税引前利益は628百万円(前連結会計年度比301百万円増)となりました。
e.親会社の所有者に帰属する当期利益
法人所得税費用66百万円及び非支配株主持分3百万円を計上した結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は559百万円(前連結会計年度比320百万円増)となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性の分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループの業容拡大のための運転資金と人件費等の営業費用であります。当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金の調達は自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、6,266百万円であり、十分な流動性を確保しております。当社グループはM&Aを行う場合等に投資活動によるキャッシュ・フローが支出超過となる場合がありますが、投資からの想定回収期間が中長期に亘る場合、当該タイミングにおける金利及び資本コスト、資金需要の額を考慮した上でエクイティファイナンスを行う場合があります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に影響を与えるおそれがあることを認識しております。そのため、当社グループは常に外部環境の変化に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保及び育成等により、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。売上収益及び売上総利益は市場成長も背景に堅調に成長が続く中、「優秀な人材の確保」が足元の事業成長を継続するために重要と考えており、当社グループの知名度向上による採用力の強化とグループ内の従業員に対する育成について優先的に対応を行っていく予定です。
(参考情報)
当社グループは、経営成績を評価するために売上収益及び売上総利益に加えて、調整後EBITDAを重要な経営指標と考えております。売上収益及び売上総利益の伸長の背景については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。その事業規模の拡大に伴い調整後EBITDAについては継続的に改善しております。
① 売上収益及び売上総利益
(単位:百万円) | ||||
決算期 | 国際会計基準 | |||
第2期 (2020年12月期) | 第3期 (2021年12月期) | 第4期 (2022年12月期) | 第5期 (2023年12月期) | |
売上収益 | 11,080 | 19,252 | 24,790 | 33,460 |
売上総利益 | 3,860 | 6,272 | 9,291 | 12,699 |
② 調整後EBITDA
(単位:百万円) | ||||
決算期 | 国際会計基準 | |||
第2期 (2020年12月期) | 第3期 (2021年12月期) | 第4期 (2022年12月期) | 第5期 (2023年12月期) | |
営業利益又は営業損失(△) | △524 | △213 | 30 | 747 |
+減価償却費及び償却費 | 620 | 766 | 893 | 1,060 |
+株式報酬費用 | 8 | 1 | 81 | 50 |
調整後EBITDA | 104 | 554 | 1,005 | 1,858 |
(注)1.調整後EBITDA=営業利益又は営業損失(△)+減価償却費及び償却費+株式報酬費用
2.調整後EBITDAはIFRSにより規定された指標ではなく、当社グループが、投資家にとって当社グループの業績を評価するために有用であると考える財務指標です。当社グループにおける調整後EBITDAは、同業他社の同指標あるいは類似の指標とは算定方法が異なるために、他社における指標とは比較可能でない場合があり、その結果、有用性が減少する可能性があります。