有価証券報告書-第12期(2023/07/01-2024/06/30)

【提出】
2024/09/30 15:00
【資料】
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【項目】
126項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、インバウンド需要の回復も含め景気は緩やかに回復しているものの、円安の進行やエネルギー価格の高止まり、物価上昇による景気の下振れリスクの懸念もあり、先行き不透明な状況が続いています。そのような中、各企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進は、データ活用による業務効率化やAIアルゴリズム実装に対する需要を高めていると考えております。また、政府が人工知能(AI)等の最先端技術を社会課題解決に生かす「Society5.0」の一環として、DX推進を目的としたデジタル庁の創設等もあり、ビッグデータの活用やAIアルゴリズム技術等の社会実装を目指す機運がますます高まっております。そうした流れの中で、当社グループのデータインフォームド事業が内包されるビッグデータアナリティクス(BDA)・テクノロジー市場、及びそれを含むAI市場は拡大し続けております。この中でも特に関連の深い国内ビッグデータ/アナリティクス市場は、IT専門調査会社 IDC Japan株式会社によると、企業のビジネスの可視化需要によるビジネスインテリジェンス(BI)市場の継続的拡大、データ活用環境整備に即した構造化データウェアハウス/非構造化データストア等の成長を背景として、2027年までの年間平均成長率(CAGR)は14.3%で、2027年には支出額が3兆541億円に達すると予測されています。(出典:2024年3月21日IDC Japan 国内ビッグデータ/アナリティクス市場 ユーザー支出額予測:産業分野セクター別、2022年の実績と2023年~2027年の予測)
このような環境の下、当社グループは「あらゆる判断を、Data-Informed(データインフォームド)に。」をパーパスとして掲げ、業績拡大を目指しております。当社グループの掲げる「データインフォームド」は、データを用いて論理的に考え合理的に判断することで、人間による意思決定の精度を高め、事業運営における再現性を高めることを狙いとしております。当社グループは、このような“人間が判断の主体となる”ことを前提にしたデータ活用を推進する「データインフォームド市場(DI市場)」をターゲット市場と定義し、クライアント企業のニーズに合わせてDIコンサルティング・DIプラットフォーム・DIプロダクトの3つのサービス(総称:DIサービス)を柔軟に組み合わせて提供しております。データインフォームドな判断をクライアント企業の各種業務に組み込むことで、業務における判断の精度が向上し、経営課題解決及び競争力強化が実現されます。昨今の不安定な社会情勢や経済環境においては、データインフォームドに対するニーズは日々高まっております。
当連結会計年度も「データインフォームド」の思想に共感する多くのクライアント企業から価値提供の機会を頂戴しました。前事業年度に引き続き、特に大手既存クライアント企業において、既取引部門・取り組み中の領域におけるDIサービスの利用継続・拡大(縦展開)及び、同社内の新規領域へのDIサービスの提供(横展開)が順調に進展いたしました。また、並行して強化しております既存及び新規プロダクトの推進につきましても、JR東海グループの駅商業施設で使える共通ポイントサービス「TOKAI STATION POINT」と「マイグル」の連携や、トヨタモビリティパーツ株式会社と共同開発した「AI整備見積りシステム」の提供開始等、順調に進捗いたしました。売上成長の実現にあたっては、①縦横展開を加速するための、人材育成及びアセット活用の継続的な強化活動、②協業を核としたデータインフォームド思想の啓発活動及び営業体制・デリバリー体制の強化、③DIプロダクトサービス「マイグル」の拡販及び機能強化、の3つの領域に注力しました。①に関しては、前事業年度に引き続き、プロジェクト推進で培った当社グループ独自のノウハウをマニュアル、ツール、プログラム等の形式でアセット化し、再利用性を高めています。また、当該ノウハウを基にした人材育成に関しても、日々ブラッシュアップを重ね、効率性を高めています。データサイエンティスト及びエンジニアの採用活動の強化も順調に進捗しており、期初想定以上の人材採用も実現しています。②に関しては、2023年9月、西日本旅客鉄道株式会社との合弁会社設立を発表し、同年10月2日に合弁会社である「株式会社TRAILBLAZER(トレイルブレイザー)」を設立しました。将来的に不足が懸念されている高度デジタル人材を確保・育成し、JR西日本グループの業務プロセス改革及びビジネスモデル変革を一層強化してまいります。③につきましては、DIプロダクトサービス「マイグル」が順調に拡大している中、2023年8月、サービス価値の向上を目的としてブランディング/クリエイティブデザイン事業を行う完全子会社「株式会社ギディア」を設立しました。また、本年1月には「SCビジネスフェア2024」に出展、5月にはLINEヤフー株式会社主催イベント「Hello Friends! W!th LINEヤフー」に出展しイベントコンテンツにも採用される等、積極的な拡販施策に取り組んでいます。加えて、「マイグル」を活用したスマートシティ向けサービスを共同開発することを目的に、本年3月、三井不動産株式会社、一般社団法人UDCKタウンマネジメントと業務提携契約を締結いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は2,117,723千円、営業利益は133,830千円、経常利益は132,984千円、親会社株主に帰属する当期純利益は88,195千円となりました。
なお、当社グループはData-Informed事業のみの単一セグメントであることから、セグメントごとの記載を省略しております。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は2,226,616千円となりました。この主な内訳は、現金及び預金が1,772,349千円、売掛金及び契約資産が409,844千円であります。固定資産は125,831千円となりました。この主な内訳は、投資その他の資産76,679千円であります。
この結果、総資産は、2,352,448千円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は305,384千円となりました。この主な内訳は、未払金147,535千円であります。固定負債は35,240千円となりました。この内訳は、資産除去債務が35,240千円であります。
この結果、負債合計は、340,625千円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は2,011,822千円となりました。この主な内訳は、資本剰余金1,158,459千円であります。
この結果、自己資本比率は84.1%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は1,772,349千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は62,514千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が133,909千円であったものの、法人税等の支払額が182,150千円、売掛金及び契約資産の増加が102,971千円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は14,407千円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出6,554千円、事業譲受による支出4,720千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は50,074千円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出50,004千円等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループはData-Informed事業を営んでおり、該当事項はありません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績を示すと、次のとおりであります。なお、当社グループはData-Informed事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
当連結会計年度
(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)
受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
2,219,198-582,297-

(注)金額は販売価格によっております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績を示すと、次のとおりであります。なお、当社グループはData-Informed事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
当連結会計年度
(自2023年7月1日 至2024年6月30日)
販売高(千円)前年同期比(%)
2,117,723-

(注)当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先当連結会計年度
(自2023年7月1日
至2024年6月30日)
金額
(千円)
割合
(%)
西日本旅客鉄道㈱1,121,14352.9
アサヒグループジャパン㈱452,36121.4

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
③資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財政状況を目指し、安定的なキャッシュ・フローの創出に努めております。運転資金需要のうち主なものは、当社グループのサービス提供のための人件費や外注費等の営業費用によるものの他、納税資金等であります。運転資金は、手持資金、銀行借入及び新株発行により資金調達を行っております。今後も事業活動を支える資金調達については、低コストかつ安定的・機動的な資金の確保を主眼にして多様な資金調達方法に取り組んでまいります。なお、事業拡大に伴う研究開発投資の増大や人件費投資の増大といった多額の先行投資が見込まれる場合、これら資金需要に対応するため、自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で調達することを予定しております。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠し作成しております。この財務諸表作成における見積りにつきましては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で行われている部分があります。これらの見積りにつきましては、継続して検証し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがあります。なお、この財務諸表の作成に関する重要な会計方針につきましては「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
「3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
⑥経営者の問題意識と今後の方針について
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
⑦経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、より高い成長性を確保する観点から、売上高成長率を重要な経営指標と捉えております。さらに、売上高を個別課題解決サービスと共通課題解決サービスに分解し、それぞれ「フロント人員数」、「実施キャンペーン数」を、各サービスにおける売上高を構成する重要な指標として設定しております。加えて、全社的な指標として「取引先別年間取引高構成」を設定しております。これらの指標の推移は以下の通りです。
決算情報等前事業年度
(自2022年7月1日
至2023年6月30日)
当連結会計年度
(自2023年7月1日
至2024年6月30日)
売上高(千円)1,686,0612,117,723
各種指標前事業年度
(自2022年7月1日
至2023年6月30日)
当連結会計年度
(自2023年7月1日
至2024年6月30日)
前期比売上高成長率(%)159.5-
個別課題解決サービス:フロント人員数(名)2029
共通課題解決サービス:実施キャンペーン数(件)259406
全社:取引先別年間取引高構成(社)
A区分(1億円以上)
33
B区分(10,000千円以上1億円未満)69
C区分(10,000千円未満)3957

(注)当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前期比売上高成長率は記載しておりません。
個別課題解決サービスにおける重要指標である「フロント人員数」については、将来の事業拡大に向けた人材採用を強化しており、当連結会計年度末は前事業年度末と比べて9名増の29名となりました。新規採用者向け教育への工数振り向けや、案件の性質等により、1人当たり売上高は一時的に低下しましたが、中期視点での人員増強であり、将来の売上貢献を予定しております。
また、共通課題解決サービスにおける重要指標である「実施キャンペーン数」につきましても、前事業年度の259件から、当連結会計年度は406件となり、商業施設や行政における採用・導入が順調に拡大しております。
全社指標である「取引先別年間取引高構成」につきましては、年間1億円以上の取引高がある「A区分」は前事業年度の3社から変化がなかったものの、年間取引高が10,000千円以上1億円未満の「B区分」は6社から9社、10,000千円未満の「C区分」も39社から57社と拡大しております。A、B、Cそれぞれの区分におけるクライアント数を増やすとともに、CからBへ、BからAへ移行させることを目指す方針の元、活動を推進しております。
なお、当該指標に関する有限責任監査法人トーマツの監査及びレビューは受けておりません。