有価証券報告書-第20期(2024/04/01-2025/03/31)
(2)戦略
①人的資本に関する戦略
a.雇用の場の創出と働き手の待遇改善
当社は、PDハウスの全国展開により、開設地域に雇用の場を創出してまいります。同時に、働き手の待遇改善を積極的に行い、定着率向上に取り組んでおります。
継続している取り組みとして、定期的に従業員アンケートを実施して従業員の意見を収集し、労働環境・福利厚生制度への反映を行い、働きやすい職場環境づくりに活かしてきました。当該年度においては、2024年9月の報道以降、特別調査委員会による調査の実施を鑑みて同アンケートを見送りましたが、新年度の2025年4月に実施しております。
また、経営理念「自らが輝き、人を元気にする」を体現すべく、健康経営への取り組みを行い、2025年3月10日付で「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」の認定を受けております。お客様を元気にするには、まず何よりサンウェルズの仲間一人ひとりが健康で元気に働けること、すなわちウェルビーイングの向上が何よりも大切だと考えております。理念に共感する従業員が相互に信頼しあい、お客様に良質なサービスを提供していくことを目指しております。お客様の健康に関わる企業として絶えず進化していけるよう、従業員が自ら輝くための基礎となる健康増進施策や働く環境整備に継続的に取り組み、お客様をはじめとするステークホルダーの皆様の期待にお応えしてまいります。
b.人材採用
優秀な人材の確保が当社の今後の事業拡大および成長において重要な課題であると認識しております。
2025年3月期は、1,354名の人員を確保することができました。主な取り組みとして、就職説明会開催回数の増加、従業員からの友人・知人紹介による「リファラル採用」の継続、YouTubeチャンネル内容の拡充を図りました。就職説明会参加人数、リファラル採用人数は前事業年度より増加しており、YouTubeチャンネル登録者も1年間で1.7倍に増加しました。また、新たにタレントプール採用の取り組みを始め、成果が出ております。今後の採用活動にもこれらの取り組みを継続しつつ、安定的な人材確保を進めてまいります。
c.人材育成
当社が安定的かつ持続的な事業を運営していくためには、利用者が安心・安全に生活できるサービスを提供できる人材の育成が重要と考えます。
そのため人材育成については、役職別の研修プログラムを整備しております。特に新規役職者の養成に関しては、2024年より新たに業務指導やマネジメント研修などの内容補強を行い、開設数増加にも耐えうるリーダー育成を進めております。
また、専門性向上に対しては、順天堂大学、福岡大学とのオンラインセミナーを継続的に開催し、PDハウスで勤務するリハビリ職、看護職、介護職のパーキンソン病患者に対するケアスキル向上を図っているほか、パーキンソン病ケアの専門家育成のために社内資格「PDライセンス(1級~3級)」制度を導入し、PDハウスで勤務する全従業員(介護職・看護職・リハビリ職)が初級にあたる3級を取得必須とし、パーキンソン病ケアのスペシャリスト集団を目指す仕組みづくりを行っております。専門的なケアの均質化・高水準化に注力するとともに、知識・技術の向上が評価される体制づくりを行うことで、従業員が自ら学び成長する職場環境づくりに取り組んでおります。
これらの取り組みの一方で、特別調査委員会の調査結果では、業務マニュアルの整備および管理の不備が指摘され、誠に遺憾ながら従業員教育の不徹底があったと言わざるを得ない状況が確認されました。本件を真摯に反省し、適正な業務マニュアルの制定、管理、運用の徹底のための再発防止策を策定し、改善への取り組みを開始いたしました。
また経営陣を含む従業員教育において、コンプライアンス・倫理研修を毎年実施することとし、コンプライアンス意識の醸成を行ってまいります。
人材育成は一夜にしてはならないことを理解し、引き続き、利用者様に良質な介護サービスを提供すべく、人材の育成に注力してまいります。
②環境に関する取組
当社は、介護サービスを提供する事業者として、高齢者やその家族に対する安心と支援を提供し、社会全体の福祉向上に寄与しています。今後ますます進んでいく高齢化社会において、今後の事業の安定的な継続と企業価値の向上および持続可能なサービス提供の観点から、気候変動に関する対応を踏まえ、事業活動の幅を広げることが喫緊の経営課題であると認識しております。
そこで気候変動が将来いかなる進行を遂げた場合においても事業継続が可能となるよう、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)のフレームワークに則り、気候変動に関するシナリオ分析を実施いたしました。異なる気温上昇幅(1.5℃、4℃)ごとの影響を想定し、2050年までの事業環境および当社の事業活動に及ぼすリスクと機会を精査いたしました。以下は、2024年度中に実施したシナリオ分析の条件設定とその結果、並びにシナリオ分析を通じて識別した気候変動に関するリスク機会の評価結果となります。
また、気候変動のリスクと機会について、サステナビリティ委員会にて事業活動への影響を検討し、以下のリスクと機会を特定しています。
※1:時間軸の定義
短期…直近会計期 / 中期…1年~5年後 / 長期…5年後以降
※2:重要度評価の基準
大…営業利益対比1%以上 / 中…営業利益対比1%未満 / 小…営業利益対比0.1%未満
当社事業に重大な財務影響を及ぼす可能性のある気候変動関連リスクに関する、4℃シナリオ、1.5℃シナリオそれぞれの仮説に基づく考察結果は以下のとおりです。
a.4℃シナリオ
気候変動課題の対応が従来通りであり、気温が4℃上昇してしまう将来世界を想定し、分析を行った結果、当社事業においては物理リスクの増加が特定されました。当社は、「PDハウス」をはじめとした住居型福祉施設を日本全国に展開しています。新規拠点の開設に際しては、ハザードマップを活用した水害リスク評価を全ての候補地で実施し、リスクの低い土地を選定の上で開設しております。しかしながら、気温が4℃上昇するシナリオにおいては、既存拠点においても洪水による資産被害リスクおよび営業停止損害リスクが顕在化し、その想定被害総額が当社の重大リスク閾値を超える可能性があると評価されました。また、異常気象の激甚化によるライフラインやサプライチェーンの寸断も想定され、営業の停止やそれに伴う売り上げの減少も見込まれます。
b.1.5℃シナリオ
気温上昇を1.5℃に抑えるべく、気候変動関連の政策や規制などが高度化した将来世界においては、移行リスクの増加が特定されました。当社は、住居型福祉施設を運営し、利用者が常時居住可能な環境を提供しております。気温上昇に伴い、熱中症リスクの高まりが懸念される中、利用者の安全確保の観点から、空調設備の継続的な使用は不可欠であり、また、施設運営上、一定の電力消費は避けられません。そのため、将来的にカーボンプライシングの導入や再生可能エネルギーの普及による電力価格の上昇が進行した場合、当社の事業運営におけるコスト負担が増加する可能性があります。カーボンプライシングの導入によるコストは衛生用品や食料品など原材料価格への転嫁という形で、高騰分は直接操業コストの増加として影響が想定されます。
また廃棄物規制の高度化による影響も想定されます。当社が展開する福祉事業はし尿を含んだ紙おむつの廃棄が避けられません。しかしながら使用済みオムツは焼却処分する際に大きな環境負荷がかかることが指摘されており、今後は廃棄量の削減を目的とした処理費用の高騰やリサイクルのための回収の対応コストなどが想定されます。
以上のようなシナリオ分析結果を踏まえ、当社サービスの利用者の皆様が今後も安心してサービスをご利用いただける環境を確保するため、リスクの低減を図るべく各種対応を進めてまいります。
なお、シナリオ分析で特定したリスクや機会に対応していくための現在の取り組み状況として、以下のような取り組みがあります。
①人的資本に関する戦略
a.雇用の場の創出と働き手の待遇改善
当社は、PDハウスの全国展開により、開設地域に雇用の場を創出してまいります。同時に、働き手の待遇改善を積極的に行い、定着率向上に取り組んでおります。
継続している取り組みとして、定期的に従業員アンケートを実施して従業員の意見を収集し、労働環境・福利厚生制度への反映を行い、働きやすい職場環境づくりに活かしてきました。当該年度においては、2024年9月の報道以降、特別調査委員会による調査の実施を鑑みて同アンケートを見送りましたが、新年度の2025年4月に実施しております。
また、経営理念「自らが輝き、人を元気にする」を体現すべく、健康経営への取り組みを行い、2025年3月10日付で「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」の認定を受けております。お客様を元気にするには、まず何よりサンウェルズの仲間一人ひとりが健康で元気に働けること、すなわちウェルビーイングの向上が何よりも大切だと考えております。理念に共感する従業員が相互に信頼しあい、お客様に良質なサービスを提供していくことを目指しております。お客様の健康に関わる企業として絶えず進化していけるよう、従業員が自ら輝くための基礎となる健康増進施策や働く環境整備に継続的に取り組み、お客様をはじめとするステークホルダーの皆様の期待にお応えしてまいります。
b.人材採用
優秀な人材の確保が当社の今後の事業拡大および成長において重要な課題であると認識しております。
2025年3月期は、1,354名の人員を確保することができました。主な取り組みとして、就職説明会開催回数の増加、従業員からの友人・知人紹介による「リファラル採用」の継続、YouTubeチャンネル内容の拡充を図りました。就職説明会参加人数、リファラル採用人数は前事業年度より増加しており、YouTubeチャンネル登録者も1年間で1.7倍に増加しました。また、新たにタレントプール採用の取り組みを始め、成果が出ております。今後の採用活動にもこれらの取り組みを継続しつつ、安定的な人材確保を進めてまいります。
c.人材育成
当社が安定的かつ持続的な事業を運営していくためには、利用者が安心・安全に生活できるサービスを提供できる人材の育成が重要と考えます。
そのため人材育成については、役職別の研修プログラムを整備しております。特に新規役職者の養成に関しては、2024年より新たに業務指導やマネジメント研修などの内容補強を行い、開設数増加にも耐えうるリーダー育成を進めております。
また、専門性向上に対しては、順天堂大学、福岡大学とのオンラインセミナーを継続的に開催し、PDハウスで勤務するリハビリ職、看護職、介護職のパーキンソン病患者に対するケアスキル向上を図っているほか、パーキンソン病ケアの専門家育成のために社内資格「PDライセンス(1級~3級)」制度を導入し、PDハウスで勤務する全従業員(介護職・看護職・リハビリ職)が初級にあたる3級を取得必須とし、パーキンソン病ケアのスペシャリスト集団を目指す仕組みづくりを行っております。専門的なケアの均質化・高水準化に注力するとともに、知識・技術の向上が評価される体制づくりを行うことで、従業員が自ら学び成長する職場環境づくりに取り組んでおります。
これらの取り組みの一方で、特別調査委員会の調査結果では、業務マニュアルの整備および管理の不備が指摘され、誠に遺憾ながら従業員教育の不徹底があったと言わざるを得ない状況が確認されました。本件を真摯に反省し、適正な業務マニュアルの制定、管理、運用の徹底のための再発防止策を策定し、改善への取り組みを開始いたしました。
また経営陣を含む従業員教育において、コンプライアンス・倫理研修を毎年実施することとし、コンプライアンス意識の醸成を行ってまいります。
人材育成は一夜にしてはならないことを理解し、引き続き、利用者様に良質な介護サービスを提供すべく、人材の育成に注力してまいります。
②環境に関する取組
当社は、介護サービスを提供する事業者として、高齢者やその家族に対する安心と支援を提供し、社会全体の福祉向上に寄与しています。今後ますます進んでいく高齢化社会において、今後の事業の安定的な継続と企業価値の向上および持続可能なサービス提供の観点から、気候変動に関する対応を踏まえ、事業活動の幅を広げることが喫緊の経営課題であると認識しております。
そこで気候変動が将来いかなる進行を遂げた場合においても事業継続が可能となるよう、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)のフレームワークに則り、気候変動に関するシナリオ分析を実施いたしました。異なる気温上昇幅(1.5℃、4℃)ごとの影響を想定し、2050年までの事業環境および当社の事業活動に及ぼすリスクと機会を精査いたしました。以下は、2024年度中に実施したシナリオ分析の条件設定とその結果、並びにシナリオ分析を通じて識別した気候変動に関するリスク機会の評価結果となります。
| 想定シナリオ | 1.5℃シナリオ | 4℃シナリオ |
| 世界観 | 世界の平均気温上昇が産業革命前と比べて1.5℃までに抑えるシナリオ。脱炭素を目指した政策や規制が強化されるとともに、低炭素製品・サービスの需要が拡大する。 | 世界の平均気温が産業革命前と比べて最大4℃上昇するシナリオ。 世界的に気候変動対策が十分に進展せず、物理的な被害が顕著に拡大する。 |
| 参照シナリオ | IEA 『WEO2024』NZEシナリオ, APSシナリオ IEA 『WEO2019』SDSシナリオ | IEA 『WEO2024』 STEPSシナリオ |
| IPCC 『第5次報告書』RCP2.6シナリオ | IPCC 『第5次報告書』RCP8.5シナリオ |
また、気候変動のリスクと機会について、サステナビリティ委員会にて事業活動への影響を検討し、以下のリスクと機会を特定しています。
| 分類項目 | 時間軸 (※1) | 種別 | 事業への影響 | 重要度評価(※2) | |
| 移行 | カーボンプライシングの導入 | 中期 | リスク | ・炭素税徴収や関連エネルギーのコストの増加 ・食料品価格や原材料価格の炭素税額転嫁による調達コストの増加 | 大 |
| エネルギーコストの変化 | 長期 | リスク | ・電力などの価格上昇による、運営コストの増加 | 小 | |
| 政策・規制の高度化 | 中期~短期 | リスク | ・省エネ政策の進展に伴う新規施設建設・増改築時の省エネ性能基準の強化への対応費用の増加 | 中 | |
| 廃棄物規制 | 中期~長期 | リスク | ・廃棄物処理費用の高騰による対応コストの増加 | 小 | |
| 物理 | 自然災害の激甚化 | 短期~長期 | リスク | ・拠点の被災による売上高の減少 ・拠点の被災による資産価値の低下 | 大 |
| 長期 | 機会 | ・災害レジリエンス性の高い福祉施設の需要増加 | 小 | ||
| 平均気温の上昇 | 長期 | リスク | ・熱中症予防のための空調利用にかかるエネルギーコストの増加 | 小 | |
| 長期 | リスク | ・農産物の不作などによる、食品価格の高騰 | 中 | ||
| 長期 | リスク | ・ウイルスを媒介する虫の生息域拡大による感染症リスクの増加および予防・営業停止損失の発生 | 中 | ||
| 短期 | リスク | ・内装材や家財道具のカビ発生頻度の増加による清掃・改修対応コストの増加 | 中 | ||
※1:時間軸の定義
短期…直近会計期 / 中期…1年~5年後 / 長期…5年後以降
※2:重要度評価の基準
大…営業利益対比1%以上 / 中…営業利益対比1%未満 / 小…営業利益対比0.1%未満
当社事業に重大な財務影響を及ぼす可能性のある気候変動関連リスクに関する、4℃シナリオ、1.5℃シナリオそれぞれの仮説に基づく考察結果は以下のとおりです。
a.4℃シナリオ
気候変動課題の対応が従来通りであり、気温が4℃上昇してしまう将来世界を想定し、分析を行った結果、当社事業においては物理リスクの増加が特定されました。当社は、「PDハウス」をはじめとした住居型福祉施設を日本全国に展開しています。新規拠点の開設に際しては、ハザードマップを活用した水害リスク評価を全ての候補地で実施し、リスクの低い土地を選定の上で開設しております。しかしながら、気温が4℃上昇するシナリオにおいては、既存拠点においても洪水による資産被害リスクおよび営業停止損害リスクが顕在化し、その想定被害総額が当社の重大リスク閾値を超える可能性があると評価されました。また、異常気象の激甚化によるライフラインやサプライチェーンの寸断も想定され、営業の停止やそれに伴う売り上げの減少も見込まれます。
b.1.5℃シナリオ
気温上昇を1.5℃に抑えるべく、気候変動関連の政策や規制などが高度化した将来世界においては、移行リスクの増加が特定されました。当社は、住居型福祉施設を運営し、利用者が常時居住可能な環境を提供しております。気温上昇に伴い、熱中症リスクの高まりが懸念される中、利用者の安全確保の観点から、空調設備の継続的な使用は不可欠であり、また、施設運営上、一定の電力消費は避けられません。そのため、将来的にカーボンプライシングの導入や再生可能エネルギーの普及による電力価格の上昇が進行した場合、当社の事業運営におけるコスト負担が増加する可能性があります。カーボンプライシングの導入によるコストは衛生用品や食料品など原材料価格への転嫁という形で、高騰分は直接操業コストの増加として影響が想定されます。
また廃棄物規制の高度化による影響も想定されます。当社が展開する福祉事業はし尿を含んだ紙おむつの廃棄が避けられません。しかしながら使用済みオムツは焼却処分する際に大きな環境負荷がかかることが指摘されており、今後は廃棄量の削減を目的とした処理費用の高騰やリサイクルのための回収の対応コストなどが想定されます。
以上のようなシナリオ分析結果を踏まえ、当社サービスの利用者の皆様が今後も安心してサービスをご利用いただける環境を確保するため、リスクの低減を図るべく各種対応を進めてまいります。
なお、シナリオ分析で特定したリスクや機会に対応していくための現在の取り組み状況として、以下のような取り組みがあります。
| 気候変動対策取り組み状況・拠点周辺におけるハザードマップを活用した水害リスク分析の継続的な実施 ・飲食料品、衛生用品等の必要資材の備蓄拡充 ・自家発電設備および予備電源の導入、整備 ・自家発電設備の導入による電力供給の安定化 ・省電力型空調機器の導入による消費電力の抑制 ・新設拠点のLED照明化(既存拠点については既に導入済み) ・Scope 1・2(自社事業における温室効果ガス排出量)の算定およびモニタリングの実施 |