有価証券報告書-第21期(2025/04/01-2026/03/31)
(2)戦略
①人的資本に関する戦略
a.企業戦略と人的資本戦略
当社は、パーキンソン病専門施設「PDハウス」の全国展開を推進しております。今後の持続的成長においては、専門性の高いケア品質を維持しながら、多拠点展開を可能とする人材基盤の構築が重要課題であると認識しております。
特に、新規開設拠点の増加に伴い、パーキンソン病ケアに関する専門知識を有する人材、及び施設運営を担うマネジメント人材の計画的育成が必要不可欠であると考えております。また、サービス品質の均質化及び適切な組織統制を実現するためには、専門性のみならず、高い倫理観及びコンプライアンス意識を有する組織づくりが重要であると認識しております。
このような認識のもと、当社では「専門性向上」「中核人材育成」「組織基盤強化」を人的資本戦略の中核に位置付け、人材への継続的な投資を実施してまいります。
また、経営理念「自らが輝き、人を元気にする」を体現すべく、健康経営への取り組みを行っております。お客様を元気にするには、まず何よりサンウェルズの仲間一人ひとりが健康で元気に働けること、すなわちウェルビーイングの向上が何よりも大切だと考えております。
理念に共感する従業員が相互に信頼しあい、お客様に良質なサービスを提供していくことを目指しております。お客様の健康に関わる企業として絶えず進化していけるよう、従業員が自ら輝くための基礎となる健康増進施策や働く環境整備に継続的に取り組み、お客様をはじめとするステークホルダーの皆様の期待にお応えしてまいります。
b.人材確保
採用面においては、「自らが輝き人を元気にする」という経営理念への共感性及び専門ケアへの適性を重視し、リファラル採用やタレントプール採用を通じて、定着につながる人材確保を進めております。
c.人材育成
人材育成面では、社内資格制度「PDライセンス(1級~3級)」を導入し、PDハウス勤務従業員に対して3級取得を必須化しております。当該制度を通じて、専門ケアの均質化及び高水準化を図り、多拠点展開においても一定品質のサービス提供が可能な体制構築を進めております。
また、役職別研修体系を整備し、新規役職者に対するマネジメント教育を強化することで、新規開設拠点の増加に対応可能な運営人材の育成を進めております。
d.給与・報酬決定方針
従業員の処遇については、役割・責任・専門性等を踏まえて決定しており、専門資格取得、専門知識・技術向上、マネジメント能力向上等を適切に評価へ反映しております。
また、人材確保競争の激化や労働市場環境の変化等も踏まえ、中長期的な人材定着及び従業員エンゲージメント向上を目的として、継続的な待遇改善に取り組んでおります。これらの取り組みを通じて、専門ケア品質の均質化、多拠点展開に対応可能な運営体制構築、及び持続的な企業価値向上を図ってまいります。
加えて、業務マニュアルの整備・管理体制の適正化、及びコンプライアンス教育の強化を進めております。適切なガバナンス体制及び高い倫理観を有する組織づくりを通じて、持続的な企業価値向上に取り組んでまいります。
②環境に関する取組
当社は、介護サービスを提供する事業者として、高齢者やその家族に対する安心と支援を提供し、社会全体の福祉向上に寄与しています。今後ますます進んでいく高齢化社会において、今後の事業の安定的な継続と企業価値の向上および持続可能なサービス提供の観点から、気候変動に関する対応を踏まえ、事業活動の幅を広げることが喫緊の経営課題であると認識しております。
そこで気候変動が将来いかなる進行を遂げた場合においても事業継続が可能となるよう、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)のフレームワークに則り、気候変動に関するシナリオ分析を実施いたしました。異なる気温上昇幅(1.5℃、4℃)ごとの影響を想定し、2050年までの事業環境および当社の事業活動に及ぼすリスクと機会を精査いたしました。以下は、2024年度中に実施したシナリオ分析の条件設定とその結果、並びにシナリオ分析を通じて識別した気候変動に関するリスク機会の評価結果となります。
また、気候変動のリスクと機会について、サステナビリティ委員会にて事業活動への影響を検討し、以下のリスクと機会を特定しています。
※1:時間軸の定義
短期…直近会計期 / 中期…1年~5年後 / 長期…5年後以降
※2:重要度評価の基準
大…営業利益対比1%以上 / 中…営業利益対比1%未満 / 小…営業利益対比0.1%未満
当社事業に重大な財務影響を及ぼす可能性のある気候変動関連リスクに関する、4℃シナリオ、1.5℃シナリオそれぞれの仮説に基づく考察結果は以下のとおりです。
a.4℃シナリオ
気候変動課題の対応が従来通りであり、気温が4℃上昇してしまう将来世界を想定し、分析を行った結果、当社事業においては物理リスクの増加が特定されました。当社は、「PDハウス」をはじめとした住居型福祉施設を日本全国に展開しています。新規拠点の開設に際しては、ハザードマップを活用した水害リスク評価を全ての候補地で実施し、リスクの低い土地を選定の上で開設しております。しかしながら、気温が4℃上昇するシナリオにおいては、既存拠点においても洪水による資産被害リスクおよび営業停止損害リスクが顕在化し、その想定被害総額が当社の重大リスク閾値を超える可能性があると評価されました。また、異常気象の激甚化によるライフラインやサプライチェーンの寸断も想定され、営業の停止やそれに伴う売り上げの減少も見込まれます。
b.1.5℃シナリオ
気温上昇を1.5℃に抑えるべく、気候変動関連の政策や規制などが高度化した将来世界においては、移行リスクの増加が特定されました。当社は、住居型福祉施設を運営し、利用者が常時居住可能な環境を提供しております。気温上昇に伴い、熱中症リスクの高まりが懸念される中、利用者の安全確保の観点から、空調設備の継続的な使用は不可欠であり、また、施設運営上、一定の電力消費は避けられません。そのため、将来的にカーボンプライシングの導入や再生可能エネルギーの普及による電力価格の上昇が進行した場合、当社の事業運営におけるコスト負担が増加する可能性があります。カーボンプライシングの導入によるコストは衛生用品や食料品など原材料価格への転嫁という形で、高騰分は直接操業コストの増加として影響が想定されます。
また廃棄物規制の高度化による影響も想定されます。当社が展開する福祉事業はし尿を含んだ紙おむつの廃棄が避けられません。しかしながら使用済みオムツは焼却処分する際に大きな環境負荷がかかることが指摘されており、今後は廃棄量の削減を目的とした処理費用の高騰やリサイクルのための回収の対応コストなどが想定されます。
以上のようなシナリオ分析結果を踏まえ、当社サービスの利用者の皆様が今後も安心してサービスをご利用いただける環境を確保するため、リスクの低減を図るべく各種対応を進めてまいります。
なお、シナリオ分析で特定したリスクや機会に対応していくための現在の取り組み状況として、以下のような取り組みがあります。
①人的資本に関する戦略
a.企業戦略と人的資本戦略
当社は、パーキンソン病専門施設「PDハウス」の全国展開を推進しております。今後の持続的成長においては、専門性の高いケア品質を維持しながら、多拠点展開を可能とする人材基盤の構築が重要課題であると認識しております。
特に、新規開設拠点の増加に伴い、パーキンソン病ケアに関する専門知識を有する人材、及び施設運営を担うマネジメント人材の計画的育成が必要不可欠であると考えております。また、サービス品質の均質化及び適切な組織統制を実現するためには、専門性のみならず、高い倫理観及びコンプライアンス意識を有する組織づくりが重要であると認識しております。
このような認識のもと、当社では「専門性向上」「中核人材育成」「組織基盤強化」を人的資本戦略の中核に位置付け、人材への継続的な投資を実施してまいります。
また、経営理念「自らが輝き、人を元気にする」を体現すべく、健康経営への取り組みを行っております。お客様を元気にするには、まず何よりサンウェルズの仲間一人ひとりが健康で元気に働けること、すなわちウェルビーイングの向上が何よりも大切だと考えております。
理念に共感する従業員が相互に信頼しあい、お客様に良質なサービスを提供していくことを目指しております。お客様の健康に関わる企業として絶えず進化していけるよう、従業員が自ら輝くための基礎となる健康増進施策や働く環境整備に継続的に取り組み、お客様をはじめとするステークホルダーの皆様の期待にお応えしてまいります。
b.人材確保
採用面においては、「自らが輝き人を元気にする」という経営理念への共感性及び専門ケアへの適性を重視し、リファラル採用やタレントプール採用を通じて、定着につながる人材確保を進めております。
c.人材育成
人材育成面では、社内資格制度「PDライセンス(1級~3級)」を導入し、PDハウス勤務従業員に対して3級取得を必須化しております。当該制度を通じて、専門ケアの均質化及び高水準化を図り、多拠点展開においても一定品質のサービス提供が可能な体制構築を進めております。
また、役職別研修体系を整備し、新規役職者に対するマネジメント教育を強化することで、新規開設拠点の増加に対応可能な運営人材の育成を進めております。
d.給与・報酬決定方針
従業員の処遇については、役割・責任・専門性等を踏まえて決定しており、専門資格取得、専門知識・技術向上、マネジメント能力向上等を適切に評価へ反映しております。
また、人材確保競争の激化や労働市場環境の変化等も踏まえ、中長期的な人材定着及び従業員エンゲージメント向上を目的として、継続的な待遇改善に取り組んでおります。これらの取り組みを通じて、専門ケア品質の均質化、多拠点展開に対応可能な運営体制構築、及び持続的な企業価値向上を図ってまいります。
加えて、業務マニュアルの整備・管理体制の適正化、及びコンプライアンス教育の強化を進めております。適切なガバナンス体制及び高い倫理観を有する組織づくりを通じて、持続的な企業価値向上に取り組んでまいります。
②環境に関する取組
当社は、介護サービスを提供する事業者として、高齢者やその家族に対する安心と支援を提供し、社会全体の福祉向上に寄与しています。今後ますます進んでいく高齢化社会において、今後の事業の安定的な継続と企業価値の向上および持続可能なサービス提供の観点から、気候変動に関する対応を踏まえ、事業活動の幅を広げることが喫緊の経営課題であると認識しております。
そこで気候変動が将来いかなる進行を遂げた場合においても事業継続が可能となるよう、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)のフレームワークに則り、気候変動に関するシナリオ分析を実施いたしました。異なる気温上昇幅(1.5℃、4℃)ごとの影響を想定し、2050年までの事業環境および当社の事業活動に及ぼすリスクと機会を精査いたしました。以下は、2024年度中に実施したシナリオ分析の条件設定とその結果、並びにシナリオ分析を通じて識別した気候変動に関するリスク機会の評価結果となります。
| 想定シナリオ | 1.5℃シナリオ | 4℃シナリオ |
| 世界観 | 世界の平均気温上昇が産業革命前と比べて1.5℃までに抑えるシナリオ。脱炭素を目指した政策や規制が強化されるとともに、低炭素製品・サービスの需要が拡大する。 | 世界の平均気温が産業革命前と比べて最大4℃上昇するシナリオ。 世界的に気候変動対策が十分に進展せず、物理的な被害が顕著に拡大する。 |
| 参照シナリオ | IEA 『WEO2024』NZEシナリオ, APSシナリオ IEA 『WEO2019』SDSシナリオ | IEA 『WEO2024』 STEPSシナリオ |
| IPCC 『第5次報告書』RCP2.6シナリオ | IPCC 『第5次報告書』RCP8.5シナリオ |
また、気候変動のリスクと機会について、サステナビリティ委員会にて事業活動への影響を検討し、以下のリスクと機会を特定しています。
| 分類項目 | 時間軸 (※1) | 種別 | 事業への影響 | 重要度評価(※2) | |
| 移行 | カーボンプライシングの導入 | 中期 | リスク | ・炭素税徴収や関連エネルギーのコストの増加 ・食料品価格や原材料価格の炭素税額転嫁による調達コストの増加 | 大 |
| エネルギーコストの変化 | 長期 | リスク | ・電力などの価格上昇による、運営コストの増加 | 小 | |
| 政策・規制の高度化 | 中期~短期 | リスク | ・省エネ政策の進展に伴う新規施設建設・増改築時の省エネ性能基準の強化への対応費用の増加 | 中 | |
| 廃棄物規制 | 中期~長期 | リスク | ・廃棄物処理費用の高騰による対応コストの増加 | 小 | |
| 物理 | 自然災害の激甚化 | 短期~長期 | リスク | ・拠点の被災による売上高の減少 ・拠点の被災による資産価値の低下 | 大 |
| 長期 | 機会 | ・災害レジリエンス性の高い福祉施設の需要増加 | 小 | ||
| 平均気温の上昇 | 長期 | リスク | ・熱中症予防のための空調利用にかかるエネルギーコストの増加 | 小 | |
| 長期 | リスク | ・農産物の不作などによる、食品価格の高騰 | 中 | ||
| 長期 | リスク | ・ウイルスを媒介する虫の生息域拡大による感染症リスクの増加および予防・営業停止損失の発生 | 中 | ||
| 短期 | リスク | ・内装材や家財道具のカビ発生頻度の増加による清掃・改修対応コストの増加 | 中 | ||
※1:時間軸の定義
短期…直近会計期 / 中期…1年~5年後 / 長期…5年後以降
※2:重要度評価の基準
大…営業利益対比1%以上 / 中…営業利益対比1%未満 / 小…営業利益対比0.1%未満
当社事業に重大な財務影響を及ぼす可能性のある気候変動関連リスクに関する、4℃シナリオ、1.5℃シナリオそれぞれの仮説に基づく考察結果は以下のとおりです。
a.4℃シナリオ
気候変動課題の対応が従来通りであり、気温が4℃上昇してしまう将来世界を想定し、分析を行った結果、当社事業においては物理リスクの増加が特定されました。当社は、「PDハウス」をはじめとした住居型福祉施設を日本全国に展開しています。新規拠点の開設に際しては、ハザードマップを活用した水害リスク評価を全ての候補地で実施し、リスクの低い土地を選定の上で開設しております。しかしながら、気温が4℃上昇するシナリオにおいては、既存拠点においても洪水による資産被害リスクおよび営業停止損害リスクが顕在化し、その想定被害総額が当社の重大リスク閾値を超える可能性があると評価されました。また、異常気象の激甚化によるライフラインやサプライチェーンの寸断も想定され、営業の停止やそれに伴う売り上げの減少も見込まれます。
b.1.5℃シナリオ
気温上昇を1.5℃に抑えるべく、気候変動関連の政策や規制などが高度化した将来世界においては、移行リスクの増加が特定されました。当社は、住居型福祉施設を運営し、利用者が常時居住可能な環境を提供しております。気温上昇に伴い、熱中症リスクの高まりが懸念される中、利用者の安全確保の観点から、空調設備の継続的な使用は不可欠であり、また、施設運営上、一定の電力消費は避けられません。そのため、将来的にカーボンプライシングの導入や再生可能エネルギーの普及による電力価格の上昇が進行した場合、当社の事業運営におけるコスト負担が増加する可能性があります。カーボンプライシングの導入によるコストは衛生用品や食料品など原材料価格への転嫁という形で、高騰分は直接操業コストの増加として影響が想定されます。
また廃棄物規制の高度化による影響も想定されます。当社が展開する福祉事業はし尿を含んだ紙おむつの廃棄が避けられません。しかしながら使用済みオムツは焼却処分する際に大きな環境負荷がかかることが指摘されており、今後は廃棄量の削減を目的とした処理費用の高騰やリサイクルのための回収の対応コストなどが想定されます。
以上のようなシナリオ分析結果を踏まえ、当社サービスの利用者の皆様が今後も安心してサービスをご利用いただける環境を確保するため、リスクの低減を図るべく各種対応を進めてまいります。
なお、シナリオ分析で特定したリスクや機会に対応していくための現在の取り組み状況として、以下のような取り組みがあります。
| 気候変動対策取り組み状況・拠点周辺におけるハザードマップを活用した水害リスク分析の継続的な実施 ・飲食料品、衛生用品等の必要資材の備蓄拡充 ・自家発電設備および予備電源の導入、整備 ・自家発電設備の導入による電力供給の安定化 ・省電力型空調機器の導入による消費電力の抑制 ・新設拠点のLED照明化(既存拠点については既に導入済み) ・Scope 1・2(自社事業における温室効果ガス排出量)の算定およびモニタリングの実施 |