有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2022/11/21 15:02
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144項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」の記載のとおりとなります。
① 財政状態及び経営成績の状況
第7期連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
当社グループはセキュリティ事業において、前連結会計年度は温度検知デバイスの特需があったことで、当初予算策定時にはAI温度測定機能付顔認証デバイス「FACE FOUR」の需要継続を見込んでいましたが、4月以降、機器購入にかかる補助金制度が無くなったことなどが影響し、温度検知デバイスの売上が急速に減少しました。また、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点より、上期や年明け1月から3月中旬など、多期間にわたって非常事態宣言やまん延防止等措置法の発令により経済活動が大きく抑制され、営業活動に悪影響を受けた1年となりました。
一方、モバイル事業においては、巣ごもり需要の高まりにより、新商品への買い替え需要が増え、また、キャリア各社ともに打ち出した格安プランにより、モバイル店舗来店者数が増加したことも相まって総販台数は大きく増加しました。
このような経営環境のもと、当連結会計年度の売上高は4,790百万円(前期比28.9%減)となり、営業利益は611百万円(前期比71.0%減)、経常利益は610百万円(前期比71.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は394百万円(前期比71.9%減)となりました。
a. セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(セキュリティ事業)
セキュリティ事業におきましては、AI温度測定機能付顔認証デバイス「FACE FOUR」の需要減により、売上高及び利益ともに前連結会計年度を大幅に下回りました。売上高は2,698百万円(前期比44.0%減)となり、セグメント利益は627百万円(前期比70.1%減)となりました。
(モバイル事業)
モバイル事業におきましては、顧客嗜好が低額商品であるandroidから高額商品であるiPhoneへのシフトが見られ、販売台数は前期を上回り、販売単価の上昇の影響もあり、売上高は前年を上回りました。また、当連結会計年度の学割商戦時に各通信キャリアともに新ブランドを立ち上げた結果、店舗への問い合わせ来客数が増加する傾向になり、集客の高いイオンなどの商業施設に店舗を持つ当社が高い接客能力での店頭契約の締結を行えた結果、通信キャリアからのインセンティブ獲得が多くなりました。その結果、売上高は2,078百万円(前年同期比8.7%増)、セグメント利益は213百万円(前年同期比11.4%減)となりました
(その他)
その他につきましては、不動産賃貸事業等によるもので、当連結会計年度は賃貸期間が増えたことにより、売上高は14百万円(前年同期比3.3%増)、セグメント利益は16百万円(前年同期比11.2%増)となりました。
b. 当連結会計年度の財政状態は次のとおりであります。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比552百万円減の3,344百万円となりました。これは主に、売上債権の減少558百万円、法人税等の支払等による現金及び預金の687百万円の減少、未収還付法人税等の増加269百万円、商品及び製品の増加185百万円、未収還付消費税等を含むその他の流動資産の増加96百万円などによるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度末比946百万円減の1,160百万円となりました。これは主に未払法人税等732百万円の減少、未払消費税等を含むその他流動負債208百万円の減少などによるものであります。
純資産につきましては、前連結会計年度末比394百万円増の2,184百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加394百万円によるものであります。
第8期第2四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年9月30日)
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、国内の製造業を中心に企業業績は一部を除いて順調に改善し、昨年9月末での新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の全面解除からは非製造業でも回復に転じております。このように景気は回復基調にありますが、一方で、部品供給不足、資源価格の上昇、ウクライナ情勢などの地政学リスクがあり、依然として慎重な姿勢が求められております。
a. セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(セキュリティ事業)
当社グループセキュリティ事業においては、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点より、工事の中止、延期 など営業活動に悪影響を受けた期間となりました。
(モバイル事業)
モバイル事業においては、巣ごもり需要の高まりにより、新製品への買い替え需要が増え、また、キャリア各社ともに打ち出した格安プランにより、モバイル店舗来店者数が増加したことも相まって総販台数は大きく増加しました。
このような経営環境のなか、当第2四半期連結累計期間の売上高は2,126百万円、営業利益は186百万円、経常利益は184百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は122百万円となりました。
b. 当第2四半期連結会計期間末の財政状態は次のとおりであります。
(資産)
当第2四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末比235百万円増の3,579百万円となりました。これは主に、未収還付法人税等の減少269百万円、未収還付消費税等を含むその他流動資産の減少81百万円、商品の減少48百万円、売上債権の減少30百万円、現金及び預金の増加559百万円、建設仮勘定の増加91百万円などによるものであります。
(負債)
当第2四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末比113百万円増の1,273百万円となりました。これは主に支払手形及び買掛金の増加106百万円、未払法人税等の増加97百万円、短期借入金の減少100百万円などによるものであります。
(純資産)
当第2四半期連結会計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末比122百万円増の2,306百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する四半期純利益による利益剰余金の増加122百万円によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
第7期連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は396百万円となり、前連結会計年度末に比べて684百万円減少しました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は498百万円(前連結会計年度は1,235百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益608百万円及び売上債権の減少額558百万円等の収入があったことに対し、棚卸資産の増加額187百万円、仕入債務の減少額107百万円、未払消費税等の減少額270百万円、法人税等の支払額1,124百万円等の支出があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は288百万円(前連結会計年度は14百万円の収入)となりました。これは主に、敷金及び保証金の返還による収入26百万円等に対して、固定資産の取得による支出255百万円、敷金及び保証金の差入による支出71百万円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は102百万円(前連結会計年度は891百万円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の純増加額205百万円に対して、長期借入金の返済による支出84百万円等があったことによるものであります。
第8期第2四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年9月30日)
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は955百万円となり、前連結会計年度末に比べて559百万円増加しました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は756百万円となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益186百万円、法人税等の還付額269百万円、未収還付消費税等の減少額90百万円、仕入債務の増加額106百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は89百万円となりました。これは主に、固定資産の売却による収入17百万円に対して、固定資産の取得による支出106百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は108百万円となりました。これは主に、長期借入れによる収入40百万円に対して、短期借入金の純減少額100百万円、長期借入金の返済による支出40百万円の支出があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っていないため、記載すべき事項はありません。
b.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自2021年4月1日
至2022年3月31日)
前年同期比(%)
セキュリティ事業(千円)1,359,93870.9
モバイル事業(千円)1,514,161110.2
合計(千円)2,874,09987.3

(注)金額は、仕入価格によっております。
c.受注実績
当社グループは、主にパッケージされた商品の販売を行っており、個別受注に基づく商品の生産を行っておりませんので、記載を省略しております。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自2021年4月1日
至2022年3月31日)
前年同期比(%)
セキュリティ事業(千円)2,698,10456.0
モバイル事業(千円)2,078,074108.7
報告セグメント計(千円)4,776,17871.0
その他(千円)14,574103.3
合計(千円)4,790,75371.1

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度及び第8期第2四半期連結累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります
相手先前連結会計年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
当連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
第8期第2四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年9月30日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
ソフトバンク株式会社685,74410.2762,21015.9338,30515.9

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
当社グループは、経営理念である「心のこもった接客・一流のサービス・最適な情報を提供し」という考え方の下、「未来の街を創造する」というビジョンの実現に向けて、セキュリティ事業を探求し、新世代の通信規格や最先端のデジタルテクノロジーを活用した商品やサービスの提供により、誰もが安心・安全・便利に暮らせる未来の街「Safe City」の実現に取り組んでおります。
このことから当社グループでは、売上高成長率及び営業利益成長率を経営上の目標とし、その客観的指標を用いて、経営上の目標の達成状況を判断しております。
2022年3月期連結会計年度においては、売上高4,790百万円(前年同期比71.1%)となっております。これは主に、前連結会計年度における特需(※)剥落の影響によるもの、並びに新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響から先行きが見通せないことによる、防犯・監視カメラ市場における設備投資の鈍化、また限られた設備投資における投資順位後退の影響によるものと考えております。
また営業利益においては、611百万円(前年同期比29.0%)となっております。このことも売上高同様に前連結会計年度における特需剥落が大きく影響したものと考えております。2022年3月期連結会計年度では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大抑制が人流を抑制するところとなり、感染予防機器の需要が減衰したことによる影響が大きいと考えております。また、特需に係る製商品は、高利益率なものであったことも影響しております。なお、当該特需を除いた売上高の前年同期比は105.8%、営業利益の前年同期比は100.3%となっております。
(※)特需とは、セキュリティ事業における新型コロナウイルス感染症の感染予防を目的として、特に第1波及び第2波の期間に集中的に販売した特定製商品の売上高並びに当社グループのAI温度測定機能付顔認証デバイス「FACE FOUR」を新型コロナウイルス感染症防止対策に係る補助金・助成金の活用を背景に販売した売上高を、特需と定義しております。
(特定製商品:温度測定を目的とした需要に対応)
・DG-T104S及びDG-T104(商品シリーズ:FACE FOUR)
・DG-T108S及びDG-T108(商品シリーズ:FACE FOUR)
・DS-PT8 等
(特定製商品以外の特需)
・不織布マスク
(売上高)
特需に係る売上高の算出は、特需に区分する特定製商品(関連する各種部材及び据付工事等も含む)及び不織布マスクを伝票ごとに集計し、それぞれ特需に係る売上高としております。
(営業利益)
特需に係る営業利益の算出は、特需に区分する特定製商品の売上総利益を伝票ごとに集計し、そこから売上高の構成比率を用いて按分した販売費及び一般管理費を差し引いて算出しております。
(2021年3月期連結会計年度)
・特需に係る売上高 2,699百万円(セキュリティ事業における売上高構成比率56.1%)
・内訳 特定製商品の売上高 2,609百万円(セキュリティ事業における売上高構成比率54.2%)
不織布マスク 90百万円(セキュリティ事業における売上高構成比率1.9%)
・特需に係る売上総利益 2,027百万円
内訳 特定製商品の売上総利益 2,000百万円
不織布マスク 26百万円
・特需に係る販売費及び一般管理費 377百万円
内訳 特定製商品の販売費等 377百万円
不織布マスク -
(注)通常営業の取り組みのため、当該売上高に係る経費は生じていないものとしております。
・特需に係る営業利益 1,649百万円
内訳 特定製商品の営業利益 1,622百万円
不織布マスクの営業利益 26百万円
(2022年3月期連結会計年度)
・特需に係る売上高 515百万円(セキュリティ事業における売上高構成比率19.1%)
※マスクの販売は無く、特需の内訳は特定製商品のみとなるため内訳表示は省略(以下同様)。
・特需に係る売上総利益 250万円
・特需に係る販売費及び一般管理費 100百万円
・特需に係る営業利益 149百万円
② キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況分析
キャッシュ・フローの状況の詳細は「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び流動性に係る内容
当社グループの主な資金需要は運転資金と設備投資資金になります。運転資金は、「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び銀行借入金にて賄う方針であります。具体的には、手許流動性資金、国内金融機関10行と締結している特殊当座貸越枠のフレキシブルな資金調達手段を確保し、流動性リスクを適切にコントロールしてまいります。また、設備投資資金に関しては、内部留保及び資金計画に基づき、長期借入による調達を行い、財務の安定性を確保してまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。