有価証券報告書-第9期(令和3年10月1日-令和4年9月30日)

【提出】
2022/12/26 11:49
【資料】
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【項目】
132項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a. 経営成績
当連結会計年度におけるわが国の経済は、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響はあるものの、ワクチン接種進展による経済活動正常化への動きなどから、国内企業の景況感にも改善が見られるなど、緩やかな回復傾向となりました。また、コロナ禍での安定的な業務継続のためのデータやデジタル技術の積極的活用を行うデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進や、労働生産性向上のためのIT・IOT・AI等の省人化投資等は引き続き加速していくものとみられます。
そのような状況下で当社グループは、国内FO事業として、様々な事業規模・業界の顧客向けに法人向けクラウド型車両管理サービスの提供やドライバーエンゲージメントサービス・データ分析レポート等の提供を通じて、顧客企業のDX対応や安全運転管理や法令遵守等コンプライアンス対応の推進を支援するとともに、国内AO事業として、モビリティデータを活用して自社の既存事業の高付加価値化や新規事業創出を目指すリース会社や自動車メーカー等のパートナー企業との間で、エンドユーザー(パートナー企業の既存顧客)に向けたテレマティクスサービスの提供・導入支援、並びにデータ分析サービスの提供を行うなど、当社国内FO事業における既存サービスをOEM提供する形で、共同での顧客開拓や拡販を進めてまいりました。
特に、スズキ株式会社との間で自動車コネクテッドサービス事業に関する基本合意書を締結し、同社が新たなOEMパートナー企業に加わったこと、並びに出光興産株式会社との間で新型車両向けシステム開発支援や事業化立上げ支援に関する取引が開始されるなど、国内AO事業においても大きな進展がありました。
その結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高は1,254,681千円(前年同期比51.6%増)、営業損失は319,236千円(前連結会計年度は362,380千円)、経常損失は302,118千円(前連結会計年度は321,728千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は303,486千円(前連結会計年度は327,893千円)となりました。
なお、当社グループは「国内FO事業」、「国内AO事業」及び「海外モビリティDX事業」を有機的に結合させたサービスを展開しているため、モビリティDX事業の単一セグメントとしております。
b. 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ365,263千円減少し、1,145,018千円となりました。流動資産は、前連結会計年度末より379,599千円減少し、1,126,325千円となりました。これは主に現金及び預金が462,227千円減少したことによるものであります。固定資産は、前連結会計年度末より14,336千円増加し、18,693千円となりました。これは、主にソフトウエア仮勘定を10,276千円計上したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ151,746千円増加し、1,098,788千円となりました。流動負債は、前連結会計年度末より251,746千円増加し、568,788千円となりました。これは主に、収益認識会計基準等の適用による累積的影響額213,853千円を契約負債に計上したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ517,009千円減少し、46,230千円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純損失の計上303,486千円及び収益認識会計基準等の適用による累積的影響額213,853千円を当連結会計年度の期首の利益剰余金に加減したことにより、利益剰余金が減少したことによるものであります。なお、自己資本比率は3.4%となっております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ462,227千円減少し、844,922千円となりました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純損失の計上により、445,965千円の支出(前年同期は268,266千円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に無形固定資産の取得により、16,591千円の支出(前年同期は3,333千円の収入)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、ありませんでした(前年同期は1,116,985千円の収入)。
(2) 生産実績
当社の事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため当該記載を省略しております。
(3) 受注実績
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
モビリティDX事業1,797,11966.82,127,7389.5
合計1,797,11966.82,127,7389.5

(4) 販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。なお、当社はモビリティDX事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
モビリティDX事業1,254,681151.6
合計1,254,681151.6

(注) 1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先第8期連結会計年度
(自 2020年10月1日
至 2021年9月30日)
第9期連結会計年度
(自 2021年10月1日
至 2022年9月30日)
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
スズキ㈱94,61911.4217,19917.3
出光興産㈱31,1453.8154,20912.3
住友三井オートサービス㈱109,06313.2133,98310.7

2.第9期連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を適用しております。このため、第9期連結会計年度は収益認識会計基準の適用後の実績となっております。
(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する分析・検討内容
a.当連結会計年度の経営成績の分析
経営成績等の状況に関する分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」にも記載しておりますが、売上高は1,254,681千円(前年同期比51.6%増)となりました。
これは主に、契約企業社数(エンドユーザー社数)の増加によるもの、及びスズキ株式会社や出光興産株式会社などパートナー企業との協業進展によるものであります。
売上原価は、契約企業社数の増加等に伴い販売対象となったデバイス売上原価が増加したこと、並びにサービス提供に伴うSIM通信コストやサーバーコスト等の通信費が増加したこと、さらに国内AO事業におけるパートナー企業向けのPOC実施等に伴い労務費や外注加工費が計上されたこと等から、490,870千円(前年同期比79.0%増)となりました。
販売費及び一般管理費は、1,083,047千円(前年同期比18.3%増)となりました。これは主に、各種展示会やイベントの開催・出展頻度が増加したことに伴い広告宣伝費が増加したこと、及び採用活動の拡大や社外への業務委託を推進した結果、採用教育費や外注費が増加したことによるものであります。
その結果、営業損失は319,236千円(前連結会計年度は362,380千円)となりました。
営業外収益は23,567千円(前年同期比50.8%減)となりました。これは主に補助金収入が20,773千円計上されたことによるものです。
営業外費用は6,448千円(前年同期比11.0%減)となりました。これは主に支払利息4,692千円が計上されたことによるものです。
特別損失は固定資産に対する減損損失を838千円(前連結会計年度は3,874千円)計上しております。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純損失は303,486千円(前連結会計年度は327,893千円)と改善しております。
また、経営成績等に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載しております。
b.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループの主な資金需要は、人件費、通信費、車載端末仕入費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。これらにつきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金を充当し、投資が必要な状況に応じて金融機関からの借入や資本政策に基づく資金調達で対応していくこととしております。
c.目標とする経営指標
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
d.経営者の問題認識と今後の方針
今後におきましては、特に国内FO事業におけるMM市場(MMとは、Mid Market Businessの略称。中堅企業の意味であり、当社グループにおいては社員数が数百人規模の会社を指します。)、ENT市場(Enterpriseの略称。大手企業や公的機関など大規模組織の意味であり、当社グループにおいては社員数1,000人以上の規模の会社を指します。)、並びに国内AO事業にフォーカスします。国内FO事業のMM・ENT市場においては既存サービスのクロスセルや提供サービスの拡充によって、新規顧客の獲得、及び既存顧客企業内における弊社サービスの導入を部分的なものから本格導入へと移行し顧客単価増加を目指します。
また、国内AO事業においては既存OEMパートナーとの協調によるエンドユーザーに向けた拡販の実現、及び新規OEMパートナー企業の新規開拓によって、今後の売上高の更なる拡大と、着実な売上総利益の確保を目指してまいります。
③ 売上高に係る参考情報
当社は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更) 」に記載のとおり、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を、第9期の期首から適用している影響で、自社製デバイスの物品販売について、従来は製品の出荷時点で収益を認識しておりましたが、顧客との契約における履行義務の充足に伴い、一定期間にわたり収益認識する方法に変更しております。その結果、第6期から第8期にかけて、売上高が従来の方法に比して減少しております。
各期の売上高に係る比較可能性を担保するための参考情報として、以下をご参照ください。
(単位:千円)
第5期第6期第7期第8期第9期
決算年月2018年9月2019年9月2020年9月2021年9月2022年9月
売上高
(注)1.
97,969191,264398,547827,6671,254,681
売上高
(注)2.
97,969165,372347,231691,0201,254,681

(注)1.収益認識会計基準等を第9期の期首より適用した財務諸表上の売上高であります。
2.収益認識会計基準等を第5期の期首より適用したと仮定した場合の売上高であります。
3.(注)2.の数値に関しては、有限責任 あずさ監査法人の監査を受けておりません。
4.第5期及び第6期は、提出会社の財務諸表上の売上高であります。