訂正有価証券届出書(新規公開時)

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2024/03/04 9:00
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178項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
第9期連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)
当連結会計年度における日本経済は、世界的な金融引き締めによる原材料価格の高騰や円安を契機とした物価上昇が顕著となりました。さらに、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化など、世界情勢が不安定であることから、電力をはじめとしたエネルギーコストが大幅に上昇しました。
そのような環境の中、当社グループが掲げる「テクノロジーと、人の経験知で、世界のリアルコマースを変える。」というビジョンを実現するため、スーパーセンターをはじめとするディスカウントストアの新規出店により店舗網を拡大しました。
さらに、Skip CartなどのリテールAIデバイス(注)の導入推進によって、便利な買物体験の提供や、データの蓄積及び活用を進める取り組みを実施してまいりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は前連結会計年度と比べ57,611百万円(9.7%)増加し653,112百万円、営業利益は前連結会計年度と比べ1,918百万円(15.9%)増加し13,964百万円、経常利益は前連結会計年度と比べ1,671百万円(13.2%)増加し14,358百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比べ949百万円(13.3%)増加し8,084百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
なお、売上高については、外部顧客への売上高の金額によっております。また、セグメント利益又はセグメント損失については、未実現利益の消去等及び全社費用を調整する前の金額によっております。
(流通小売事業)
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度と比べ56,578百万円(9.5%)増加し651,167百万円、セグメント利益は前連結会計年度と比べ1,091百万円(7.3%)増加し16,069百万円となりました。
新規出店については、メガセンターを2店舗、スーパーセンターを7店舗、smartを1店舗、小型店を5店舗の合計15店舗を新規出店し、当社グループの主力フォーマットであるスーパーセンターを中心に30店舗の改装を行いました。また、不採算のスーパーセンターを1店舗閉店した結果、当連結会計年度末の店舗数は285店舗(FC3店舗含む)となりました。
(リテールAI事業)
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度と比べ276百万円(63.9%)増加し708百万円、セグメント損失は前連結会計年度と比べ1,368百万円減少し452百万円となりました。
主にSkip Cartやその他のプロダクトの月額利用料・ライセンス利用料を収受しております。また、リテールAIテクノロジーの研究開発を加速するために、研究開発人材の積極的な採用を行うとともに、当社グループの実店舗へIoTデバイスの導入を進めてまいりました。
(その他事業)
当連結会計年度の売上高は前連結会計年度と比べ757百万円(158.1%)増加し1,236百万円、セグメント損失は前連結会計年度と比べ245百万円減少し100百万円となりました。
不動産・リゾート事業について、新型コロナウイルス感染症の行動制限緩和や、日本政府の旅行支援策(全国旅行支援)による割引が旅行需要を喚起しました。また、訪日外国人観光客の増加によって、福岡県宮若市や大分県玖珠郡九重町などにおいて運営している旅館など徐々に回復の兆しが見え始めております。
(注)リテールAIデバイスとは、Skip Cart(決済機能付きレジカート)、インストアサイネージ(電子看板)や購買行動を分析するためのAIカメラなど、小売業における人工知能テクノロジーの活用方法として、当社グループが研究開発を進めるデバイスです。以下同じです。
第10期第2四半期連結累計期間(自 2023年7月1日 至 2023年12月31日)
当第2四半期連結累計期間における日本経済は、原材料価格の高騰やエネルギーコスト及び人件費の増加に起因して、物価上昇が顕著となりました。さらに、世界情勢が不安定であることや円安を主因として、電力などのエネルギーコストや輸入製品の価格が上昇しました。
新型コロナウイルス感染拡大防止の行動制限が緩和されたことで、経済活動の正常化が進みつつあります。
小売業界においては、生活必需品をはじめとする様々な商品の価格上昇によって、消費者の節約志向が高まっている一方、外出や人が集まる機会の増加によって消費が促進されたことなどから、景気回復が期待されます。
そのような環境の中、当社グループが掲げる「テクノロジーと、人の経験知で、世界のリアルコマースを変える。」というビジョンを実現するため、新規出店による店舗網の拡大及び既存店売上高の成長を実現しました。
さらに、Skip CartなどのリテールAIデバイスの導入推進によって、便利なお買い物体験の提供や、データの蓄積及び活用を進める取り組みを実施してまいりました。
以上の結果、当社グループの当第2四半期連結累計期間の経営成績は、売上高363,304百万円、営業利益11,568百万円、経常利益11,978百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は6,943百万円となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりです。
なお、売上高については、外部顧客への売上高の金額によっております。また、セグメント利益又はセグメント損失については、未実現利益の消去等及び全社費用を調整する前の金額によっております。
(流通小売事業)
当第2四半期連結累計期間における流通小売事業の既存店売上高は、季節外れの高気温によって衣料品などの冬物商品は軟調となった一方、食品などの生活必需品における品揃えや価格提案が奏功したこと、惣菜の支持率が上昇したことにより好調に推移しました。
新規出店については、スーパーセンターを3店舗、smartを3店舗、小型店を25店舗出店した一方、スーパーセンターを1店舗、smartを3店舗、小型店を1店舗閉鎖しました。
なお、新規出店数には、2023年10月に青森県で食品スーパーを運営する株式会社佐藤長より譲り受けた18店舗(smart3店舗、小型店15店舗)を含んでおります。
当第2四半期連結累計期間末の店舗数は、311店舗(うちFC3店舗を含む)となりました。また、メガセンター3店舗、スーパーセンター14店舗、smart1店舗及び小型店1店舗を改装しました。
以上の結果、当事業の売上高は361,993百万円、セグメント利益は12,641百万円となりました。
(リテールAI事業)
便利なお買い物体験の提供や店舗オペレーションの省力化を目指したリテールテクノロジーの開発及び拡大のための、投資を実施しております。積極的な投資を行う一方、赤字幅が縮小するなど、収穫期に入りつつあります。
Skip Cartの導入推進(2023年12月末時点の当社グループ外での導入も含む導入店舗数:208店舗、導入台数19,401台)によって、決済時にレジの列に並ぶ必要がないなど、お客様視点の利便性が向上していると同時に、店舗のスループット(時間当たりのレジ通過客数)が上昇しています。
以上の結果、当事業の売上高は482百万円、セグメント損失は308百万円となりました。
(その他の事業)
不動産・リゾート事業について、新型コロナウイルスの感染症の行動規制緩和が旅行需要を喚起しました。
訪日外国人観光客の増加によって、福岡県宮若市や大分県玖珠郡九重町(くすぐんここのえまち)などにおいて運営している旅館などに徐々に回復の兆しが見え始めております。
以上の結果、当事業の売上高は804百万円、セグメント損失は57百万円となりました。
② 財政状態の状況
第9期連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)
(資産)
当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末と比べ14,908百万円増加し、200,639百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末と比べ5,749百万円増加し、82,114百万円となりました。その主な要因は、前年に対して設備投資等を積極的に行ったことにより現金及び預金が3,533百万円減少したものの、棚卸資産が6,109百万円、その他が3,214百万円増加したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末と比べ9,158百万円増加し、118,524百万円となりました。その主な要因は、新規出店及び改装等により建物及び構築物が4,775百万円、機械装置及び運搬具が1,199百万円、有形固定資産その他が870百万円の増加に加えて、投資有価証券が699百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ、6,595百万円増加し、132,618百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末と比べ10,619百万円増加し、107,666百万円となりました。その主な要因は、店舗数が増加したことに加えて、売上高の増加に伴い原価等の取引量が増加したことにより買掛金が5,424百万円、契約負債が4,025百万円増加したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末と比べ4,024百万円減少し、24,952百万円となりました。その主な要因は、長期借入金が返済により4,474百万円減少するも、新店増加により資産除去債務が422百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比べ8,313百万円増加し、68,020百万円となりました。その主な要因は、利益剰余金が8,084百万円増加となったことによるものであります。
第10期第2四半期連結累計期間(自 2023年7月1日 至 2023年12月31日)
(資産)
当第2四半期連結累計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ50,620百万円増加し、251,259百万円となりました。これは主として、現金及び預金が39,937百万円、棚卸資産が1,719百万円、流動資産その他が1,916百万円、土地が2,094百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当第2四半期連結累計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ44,798百万円増加し、177,417百万円となりました。これは主として、買掛金が40,422百万円、未払法人税等が2,377百万円増加し、未払金が622百万円、長期借入金が1,849百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当第2四半期連結累計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ5,821百万円増加し、73,841百万円となりました。これは主として、剰余金の配当1,265百万円と、親会社株主に帰属する四半期純利益6,943百万円の計上によって利益剰余金が5,678百万円増加したことによるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
第9期連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,533百万円減少して23,898百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は18,445百万円(前連結会計年度は22,344百万円の増加)となりました。主な増加要因は税金等調整前当期純利益14,067百万円、減価償却費10,849百万円を計上したことであり、主な減少要因は棚卸資産の増加額6,111百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は16,765百万円(前連結会計年度は13,494百万円の減少)となりました。これは主に新規出店及び改装に伴う有形固定資産の取得による支出15,897百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は5,192百万円(前連結会計年度は4,318百万円の減少)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出4,756百万円によるものであります。
第10期第2四半期連結累計期間(自 2023年7月1日 至 2023年12月31日)
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物の残高は63,835百万円となりました。当第2四半期連結累計期間におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、主な支出項目として棚卸資産の増加額が1,713百万円、法人税等の支払額が3,145百万円あったものの、主な収入項目として税金等調整前四半期純利益が11,978百万円、減価償却費の計上が5,621百万円、仕入債務の増加額が41,426百万円あったことなどにより56,288百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出11,797百万円などにより12,801百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出2,236百万円、配当金の支払額1,265百万円などにより3,548百万円の支出となりました。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称第9期連結会計年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
前年同期比(%)
金額(百万円)
流通小売事業651,167109.5
グロサリー202,516107.4
デイリー118,578111.9
フレッシュ157,846114.3
生活79,878105.6
ハード62,140106.6
アパレル17,262106.4
その他12,944110.6
リテールAI事業708163.9
その他事業1,236258.1
合計653,112109.7

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.グロサリーとは菓子類などの加工食品、デイリーとは卵や乳製品などの日配品、フレッシュとは生鮮四品(青果・精肉・鮮魚・惣菜)、生活とはタオルや収納用品などの生活雑貨、ハードとはキャンプ用品などの耐久性商品を示します。
3.第8期、第9期及び第10期第2四半期連結累計期間の主な相手先別の販売実績については、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本文における将来に関する事項は、本書提出日時点において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性がともなうため、実際の結果は、これらと異なることがあります。
当社の連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ 財政状態
財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
ロ 経営成績
第9期連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、653,112百万円となりました。
店舗数は前連結会計年度末の271店舗から当連結会計年度末には285店舗となり、1店舗閉鎖するも15店舗の新規出店、また主力のスーパーセンターを中心に30店舗を改装した効果、「食」の強化による既存店売上高の伸びなどにより、順調に推移しました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、527,841百万円となりました。また、売上高に対する売上原価の比率は、商品ミックスの改善、コストコントロールなどを要因として、80.8%となり、売上総利益は125,271百万円となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、113,673百万円となりました。
また、売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は、17.4%であり、前連結会計年度から0.6ポイント増加しました。
(経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益)
営業外収益は792百万円となりました。これは主に、持分法による投資利益374百万円及び助成金収入125百万円によるものであります。
営業外費用は398百万円となりました。これは主に、支払利息113百万円及び為替差損111百万円によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は14,358百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は8,084百万円となりました。
第10期第2四半期連結累計期間(自 2023年7月1日 至 2023年12月31日)
(売上高)
当第2四半期連結累計期間の売上高は、363,304百万円となりました。
店舗数は前連結会計年度末の285店舗から当第2四半期連結累計期間末には311店舗となり、5店舗閉鎖するも31店舗の新規出店(譲受した18店舗を含む。)、また主力のスーパーセンターを中心に19店舗を改装した効果、「食」の強化による既存店売上高の伸びなどにより、順調に推移しました。
(売上原価、売上総利益)
当第2四半期連結累計期間の売上原価は、291,744百万円となりました。また、売上高に対する売上原価の比率は、継続した商品ミックスの改善、コストコントロールなどを要因として、80.3%となり、売上総利益は71,560百万円となりました。
(販売費及び一般管理費)
当第2四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費は、61,249百万円となりました。
また、売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は、16.9%であり、前連結会計年度から0.5ポイント減となりました。
(経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益)
営業外収益は625百万円となりました。これは主に、持分法による投資利益385百万円及び投資有価証券売却益88百万円によるものであります。
営業外費用は215百万円となりました。これは主に、固定資産除却損65百万円、為替差損52百万円及び支払利息46百万円によるものであります。
以上の結果、当第2四半期連結累計期間の経常利益は11,978百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は6,943百万円となりました。
ハ キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3.事業等のリスク」に記載のとおりです。
④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要の主なものは、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また投資資金需要の主なものは、新規出店や改装に係る設備投資等によるものであります。
運転資金及び投資資金については、営業キャッシュ・フローによる充当を基本に、必要に応じて資金調達を実施しております。