有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2023/03/13 15:00
【資料】
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【項目】
129項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
第22期事業年度(自 2021年10月1日 至 2022年9月30日)
(資産)
当事業年度末における流動資産は2,506,480千円となり、前事業年度末と比較して343,632千円の増加となりました。これは主に、利益の計上に伴う現金及び預金の増加327,373千円、売上高増加に伴う売掛金の増加2,755千円及び商品の増加15,447千円によるものであります。 固定資産は178,629千円となり、前事業年度末と比較して59,871千円の減少となりました。これは主に、工具、器具及び備品の取得による増加19,589千円及び減価償却費の増加による減少69,029千円によるものであります。この結果、総資産は、2,685,109千円となり、前事業年度末と比較して283,760千円の増加となりました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は354,464千円となり、前事業年度末と比較して68,536千円の増加となりました。これは主に、事業の拡大による未払法人税等の増加35,293千円、未払消費税等の増加30,264千円、買掛金の減少10,977千円、返済による1年内返済予定の長期借入金の減少10,842千円によるものであります。 固定負債は42,963千円となり、前事業年度末と比較して4,818千円の増加となりました。これは、役員退職慰労引当金の増加8,964千円によるものであります。この結果、負債合計は397,427千円となり、前事業年度末に比べ73,354千円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産は2,287,681千円となり、前事業年度末と比較して210,406千円の増加となりました。これは、当期純利益を412,231千円計上したことと、剰余金の配当を40,425千円計上したことにより、繰越利益剰余金が371,806千円増加したことによるものであります。
第23期第1四半期累計期間(自 2022年10月1日 至 2022年12月31日)
(資産)
資産総額は前事業年度末と比べて10,022千円増加し、2,695,132千円となりました。これは主に、流動資産のうち現金及び預金が34,783千円増加し、固定資産のうち、有形固定資産が主に減価償却により11,780千円減少、投資その他の資産が8,692千円減少したためであります。
(負債)
負債総額は前事業年度末と比べて79,599千円減少し、317,828千円となりました。これは主に、流動負債のうち、未払法人税等が63,492千円減少、未払消費税等が10,272千円減少したためであります。
(純資産)
純資産額は前事業年度末と比べて89,621千円増加し、2,377,303千円となりました。これは四半期純利益を127,625千円計上したことによる増加と配当金の支払38,004千円の減少によるものであります。
② 経営成績の状況
第22期事業年度(自 2021年10月1日 至 2022年9月30日)
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の減少傾向から、経済活動の再開・回復へ期待が強まり、緩やかながらも景気は持ち直しの動きが続きました。しかし、世界的な政治情勢の変動による資源価格の高騰や物価高騰が地政学リスクも踏まえ日本経済にも波及し先行きは引き続き不透明な状況が続いております。
衛星測位分野のビジネス環境は、2018年11月以降の準天頂衛星からのセンチメートル級無償測位補強サービス(CLAS)の開始や大手携帯キャリアによる高精度測位ビジネスへの参画など大きく変化しており、市場の多様化と競争はさらなる拡大が予想されます。さらにはロシアウクライナ紛争による世界経済への影響、新型コロナウイルス感染症の長期化・再拡大による景気減速、世界的な半導体不足、エネルギー資源の高騰等、事業環境は厳しさを増しています。
このような状況下において当社は、継続的な事業拡大と企業体質の強化に取り組み、SSR(※1)配信の実現、配信を停止しないシステムの増強、運用強化、VRS・SSRの移動体実験、新技術の自社開発、レンタル会社や道路会社、ゼネコン等への積極的な提案外交を進め、ドローンサービス、IT農業分野での連携強化等のサービス展開、CPTrans-GLW(GNSSチップ搭載)による位置情報サービス実現を目指し活動してまいりました。また、信頼性向上と情報セキュリティ保全のためISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の認証取得を行っております。
業績面においては、一般測量分野は、年末年始以降の冬型の気圧配置により、北日本・日本海側を中心に記録的な豪雪・寒波が続いたことで稼働率が低下しました。また、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、全国規模で予定されていたGNSSメーカー主催の地域販売店の展示会や講習会等が中止になり、当社の営業活動も引き続き影響を受ける場面が多くありましたが、反面、ユーザー数や利用時間数は順調に拡大いたしました。また、国土交通省が推進する情報化施工推進戦略による拡大傾向が続く情報化施行関連分野では、大手通信会社が新たに位置情報サービスを開始する等、当社にとって懸念される材料はありましたが、当社のお客さまのサービス利用時間等には影響なく、また、他レンタル会社向けにおいてはユーザー数や利用時間ともに順調に拡大するなどしました。その結果、売上高は1,162,160千円(前期比10.5%増)と7年連続過去最高の売上を更新いたしました。利益につきましては、人員増や内部管理体制の強化等で販売費及び一般管理費が増加した影響はありましたが、営業利益596,240千円(前期比15.9%増)、経常利益596,801千円(前期比16.0%増)、当期純利益412,231千円(前期比16.0%増)と、それぞれ前期比2ケタ増益を実現することができ、営業利益、経常利益及び当期純利益の全てにおいても、過去最高益となりました。
なお、セグメント別の業績につきましては、当社はGNSS補正情報配信サービス等事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。
※1 SSR(読み:エスエスアール)
State Space Representation の略語であり、GNSS測位で使用される各衛星の状態や地域毎の大気の状態を表現したモデルであり、PPP(※2)と呼ばれる精密単独測位やPPP-RTKと呼ばれる精密単独測位型RTKを行うために必要な補正情報となります。
※2 PPP(読み:ピーピーピー)
Precise Point Positioning の略語であり、精密単独測位のことをいいます。GNSS衛星の精密軌道・時刻推定による補正データを使用してセンチメートルレベルの精度で単独測位を行う方法になります。
第23期第1四半期累計期間(自 2022年10月1日 至 2022年12月31日)
当第1四半期累計期間(2022年10月1日から2022年12月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に関する行動制限の解除等から緩やかに持ち直しつつある状況ではありましたが、新型コロナウイルス第8波等による感染再拡大やウクライナ情勢に起因した世界的な資源及び原材料価格の高騰、更には、約32年ぶりとなる1ドル=150円台を付けた急激な円安に起因する輸入品価格の上昇等も加わり、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
衛星測位分野のビジネス環境は、引き続き未来に向かって大きく変化してきている状況にあり、ビジネスの多様化・競争は一層活発化してきておりますが、世界的な半導体不足の影響により測量機器の調達に若干影響が残る形となっております。
このような状況下において、当社は、当第1四半期累計期間においてもGNSS補正情報配信サービス等を事業ドメインの中核として、高精度の位置補正データを、高品質かつ安定的に、また、高付加価値のサービスとして展開するビジネスに邁進しております。引き続き、継続的な事業拡大と企業体質の強化に取り組み、配信を停止しないシステムの増強、運用強化、移動体実験、レンタル会社や道路会社、ゼネコン等への積極的な提案外交を進め、ドローンサービス、IT農業分野での連携強化等のサービス展開等を行っております。
業績面においては、一般測量分野においては、当第1四半期累計期間中の12月中旬からクリスマス前後にかけて冬型の気圧配置の影響で、北日本・日本海側中心に予想を超える豪雪と寒波が襲来し、当社の補正データをご利用になるお客様が物理的に屋外での活動に制限が出てしまうなどの影響もありましたが、四半期を通しては、新規顧客件数、お客さまの利用時間並びに定額制でご利用いただけるお客さまの数は順調に増加いたしました。情報化施工関連は、引き続き、国土交通省が推進する情報化施工推進戦略による拡大傾向が続いており、大手携帯キャリアの参入等による懸念材料も残ってはおりますが、当社においては、豪雪と寒波の影響を除いては、お客さまのサービス利用時間等には影響なく、レンタル会社等向けの取扱いに関してはユーザー数や利用時間ともに引き続き順調に拡大しております。その結果、売上高は312,064千円、営業利益は182,869千円、経常利益は182,893千円、四半期純利益は127,625千円となりました。
なお、セグメント別の業績につきましては、当社はGNSS補正情報配信サービス等事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
第22期事業年度(自 2021年10月1日 至 2022年9月30日)
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ、327,373千円増加し、2,295,403千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額154,816千円により資金が減少した一方で、税引前当期純利益を596,511千円、減価償却費を75,595千円計上したことにより増加した影響で、563,168千円の増加(前事業年度は399,718千円の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による17,570千円の支出により、19,245千円の減少(前事業年度は207,660千円の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出14,988千円、配当金の支払額40,160千円、自己株式の取得による支出161,400千円により、216,548千円の減少(前事業年度は236,590千円の増加)となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略してお ります。
b.受注実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略してお ります。
c.販売実績
第22期事業年度及び当第1四半期累計期間における販売実績をサービスごとに示すと、次のとおりであります。なお、当社は、GNSS補正情報配信サービス等事業の単一セグメントであるため、データ配信サービスと通信機器販売等にサービスを区分して記載しております。
当事業年度及び当第1四半期累計期間の販売実績を単一セグメント内の項目ごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当事業年度
(自2021年10月1日
至2022年9月30日)
前年同期比(%)当第1四半期累計期間
(自2022年10月1日
至2022年12月31日)
データ配信サービス(千円)1,110,686108.9303,415
通信機器 (千円)51,474159.58,648
合計(千円)1,162,160110.5312,064

(注)1.当社の事業区分は、GNSS補正情報配信サービス等事業の単一セグメントです。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合について、当事業年度及び当第1四半期累計期間において当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上の販売先が存在しないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。その作成において、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を及ぼす見積りの判断は、一定の会計基準の範囲内において、過去の実績や判断時点で入手可能な情報に基づき合理的に行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況」に記載しておりますが、重要な会計上の見積りを要する項目はないと判断しております。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、当事業年度における重要なものはありません。なお、会計上の見積りにおいて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響が、当社の業績に与える影響は軽微であると判断しております。
② 経営成績の分析
当社の報告セグメントは、GNSS補正情報配信サービス等事業のみであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
当事業年度(自 2021年10月1日 至 2022年9月30日)
(売上高、売上原価、売上総利益)
売上高については、一般測量分野は、年末年始以降の冬型の気圧配置により、北日本・日本海側を中心に記録的な豪雪・寒波が続いたことで稼働率が低下しました。また、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、全国規模で予定されていたGNSSメーカー主催の地域販売店の展示会や講習会等が中止になり、当社の営業活動も引き続き影響を受ける場面がありましたが業績面への影響は少なく、ユーザー数や利用時間数は順調に拡大いたしました。また、国土交通省が推進する情報化施工推進戦略による拡大傾向が続く情報化施行関連分野では、大手通信会社が新たに位置情報サービスを開始する等、当社にとって懸念される材料はありましたが、当社のお客さまのサービス利用時間等には影響なく、また、他レンタル会社向けにおいてはユーザー数や利用時間ともに順調に拡大するなどしました。その結果、売上高は1,162,160千円となりました。売上原価については通信機器の新機種切替等により商品が15,448千円増加しましたが、サーバー保守費用の見直しにより支払手数料が6,952千円、サーバー等の固定資産の減価償却費が6,025千円減少した為、67千円の減少となり279,855千円となりました。その結果、売上総利益は882,304千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は286,063千円となりました。主に管理体制整備に伴う人員増加による人件費15,780千円の増加により、28,394千円の増加となりました。その結果、営業利益は596,240千円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
営業外収益は936千円となりました。保険配当金の増加399千円により422千円の増加となりました。営業外費用は374千円となりました。主に為替差損170千円の増加により、64千円の増加となりました。その結果、経常利益は596,801千円となりました。
(特別利益、特別損失、法人税等合計、当期純利益)
特別利益は発生しておりません。特別損失は固定資産除却損の発生により290千円となりました。法人税等合計は25,139千円増加となり184,279千円となりました。その結果、当期純利益は412,231千円となりました。
第23期第1四半期累計期間(自 2022年10月1日 至 2022年12月31日)
(売上高、売上原価、売上総利益)
売上高については一般測量分野においては、当第1四半期累計期間中の12月中旬からクリスマス前後にかけて冬型の気圧配置の影響で、北日本・日本海側中心に予想を超える豪雪と寒波が襲来し、当社の補正データをご利用になるお客様が物理的に屋外での活動に制限が出てしまうなどの影響もありましたが、四半期を通しては、新規顧客件数、お客さまの利用時間並びに定額制でご利用いただけるお客さまの数は順調に増加いたしました。情報化施工関連は、引き続き、国土交通省が推進する情報化施工推進戦略による拡大傾向が続いており、大手携帯キャリアの参入等による懸念材料も残ってはおりますが、当社においては、豪雪と寒波の影響を除いては、お客さまのサービス利用時間等には影響なく、レンタル会社等向けの取扱いに関してはユーザー数や利用時間ともに引き続き順調に拡大しております。その結果、売上高は312,064千円となりました。売上原価については主に支払手数料、減価償却の発生により58,135千円となりました。その結果、売上総利益は253,929千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は71,059千円となりました。主に人件費、支払報酬によるものです。その結果、営業利益は182,869千円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
営業外収益は28千円となりました。主に為替差益となります。営業外費用は4千円となりました。こちらは支払利息によるものです。その結果、経常利益は182,893千円となりました。
(特別利益、特別損失、法人税等合計、四半期純利益)
特別利益及び特別損失の発生はありません。また法人税等合計は55,267千円となりました。その結果、四半期純利益は127,625千円となりました。
③ 財政状態の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」をご確認ください。
④キャッシュ・フローの状況の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご確認ください。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照下さい。
⑥資本の財源及び資金の流動性
当社における資金需要は、主として運転資金とGNSS測位における位置情報の補正データを配信するサービスにおける設備投資であります。運転資金需要のうち主なものは、売上原価である商品原価、労務費、支払手数料等の経費や販売費及び一般管理費である人件費、販売手数料等であります。設備投資のうち主なものは配信サーバーの増強でございます。これらの資金需要については、上場時における調達資金を活用するとともに、自己資金及び場合によっては金融機関からの長期借入金による調達資金を充当することも選択肢の一つとして検討の視野には入れております。自己資金及び上記の資金調達を併用することにより、当社の事業を継続していくうえで十分な手許流動性を確保するとともに、必要とされる運転資金及び設備投資資金を調達することは可能であると判断しております。
⑦経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、持続的な利益成長を目指し、継続的に事業拡大をさせるため、事業の成長性や収益性の向上に取り組んでいることから、期末時点のリアルタイムデータ配信における契約数を重要な経営指標として、持続的な事業拡大と企業価値向上を目標に、各経営課題に取り組んでおります。過去5ヵ年においても契約件数は順調に拡大しており、直近期においても、高精度な補正データを必要とする用途先の広がり等により堅調に拡大しております。なお、配信方法や1社当たりの契約件数等を踏まえ、提供料金(単価)は一律ではなく、今後、契約件数の増加割合に対して、売上の増加割合が小さくなる場合もございます。
各事業年度末日の契約数は次のとおりであります。
回次第18期第19期第20期第21期第22期
決算年月2018年9月2019年9月2020年9月2021年9月2022年9月
期末契約数 (件)5,2996,0646,6787,3937,903