有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2023/05/19 15:00
【資料】
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【項目】
131項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
第14期事業年度(自 2021年10月1日 至 2022年9月30日)
(資産)
当事業年度末における流動資産は2,043,317千円となり、前事業年度末に比べ940,466千円増加いたしました。これは主に不動産取得による販売用不動産が589,453千円、利益計上により現金及び預金が248,729千円増加したこと等によるものです。固定資産は5,716,793千円となり、前事業年度末に比べ1,911,163千円増加いたしました。これは主に当事業年度より築古物件購入を強化する方針のもと「IVY WORKS」「THE MOCK-UP BY PORTAL POINT」の取得等による土地の増加1,044,473千円、建物の増加1,305,088千円の一方、減価償却及び減損損失の計上により、減価償却累計額及び減損損失累計額が676,026千円増加したこと等によるものです。
この結果、資産合計は7,760,110千円となり、前事業年度末に比べて2,851,630千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は1,973,719千円となり、前事業年度末に比べ209,721千円増加いたしました。これは主に物件取得等に伴う長期借入金の増加により1年内返済予定の長期借入金が168,830千円増加したこと等によるものです。固定負債は5,049,475千円となり、前事業年度末に比べ2,600,457千円増加いたしました。これは主に「IVY WORKS」「THE MOCK-UP BY PORTAL POINT」取得等に伴い長期借入金が2,389,130千円増加したこと等によるものです。
この結果、負債合計は7,023,194千円となり、前事業年度末に比べて2,810,179千円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は736,915千円となり前事業年度末に比べて41,451千円増加いたしました。これは当期純利益を計上したこと等により利益剰余金合計が36,099千円増加したことによるものであります。
第15期第2四半期累計期間(自 2022年10月1日 至 2023年3月31日)
(資産)
当第2四半期会計期間末における流動資産は1,368,980千円となり、前事業年度末に比べ674,336千円減少いたしました。これは主に前事業年度に取得した販売用不動産の売却により、販売用不動産が589,453千円減少したこと等によるものです。固定資産は8,078,359千円となり、前事業年度末に比べ2,361,565千円増加いたしました。これは主に前事業年度からの築古物件購入を強化する方針のもと「ランディック原宿ビル」の取得等による土地の増加1,566,011千円、建物の増加604,821千円等によるものです。
この結果、資産合計は9,447,340千円となり、前事業年度末に比べて1,687,229千円増加いたしました。
(負債)
当第2四半期会計期間末における流動負債は4,042,369千円となり、前事業年度末に比べ2,068,649千円増加いたしました。これは主に「ランディック原宿ビル」の取得に伴うつなぎ融資を実行したことで短期借入金が1,842,000千円増加したこと等によるものです。固定負債は4,418,566千円となり、前事業年度末に比べ630,908千円減少いたしました。これは主に販売用不動産売却に伴う長期借入金返済等に伴い長期借入金が678,081千円減少したこと等によるものです。
この結果、負債合計は8,460,935千円となり、前事業年度末に比べて1,437,741千円増加いたしました。
(純資産)
当第2四半期会計期間末における純資産合計は986,404千円となり、前事業年度末に比べて249,488千円増加いたしました。これは主に、四半期純利益の計上により利益剰余金が249,488千円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
第14期事業年度(自 2021年10月1日 至 2022年9月30日)
当事業年度におけるわが国の経済は、度重なる感染拡大の波や食品・エネルギー価格の高騰により個人消費が影響を受けておりますが、企業業績については緩やかな回復の途上にあり、日銀の金融緩和政策による景気の下支えも継続していることから、経済全体としては緩やかな回復が期待されております。当社の主たる事業である不動産賃貸業界におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う都心部の空室率の上昇には歯止めがかかっております。一方でテレワークが定着するなど、オフィスの在り方は多様化を見せており、とりわけ大型オフィスビルの分散化や低稼働率に悩むホテルや商業施設からオフィスへの用途変更やサテライトオフィスの需要拡大など、働き方や働く場所の多様化が進むことによって、新たなオフィス需要が生まれております。
このような状況の中、当社は技術力・企画力・運営力を柱に、時代のニーズを敏感に捉えながら、競争力の低下した不動産をフレキシブルなワークプレイスへと再生させ、新たな価値を生み出してまいりました。実績により蓄積されたソリューション力は、築古ビルのみに留まらず、新築物件や競争力の低下したホテルや商業施設につきましても需要が高まり、順調に事業を拡大しております。また、当事業年度においては設計・施工請負の増加や、自社保有の開始などが収益に貢献しております。
その結果、当事業年度の業績につきましては、売上高は5,843,209千円、営業利益は429,306千円、経常利益は387,594千円、当期純利益は36,099千円となりました。なお、前事業年度である2021年9月期は決算期変更により、11ヶ月間の変則決算となっておりますので、対前事業年度との比較については記載しておりません。
当社の事業セグメントは、フレキシブルワークプレイス事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
第15期第2四半期累計期間(自 2022年10月1日 至 2023年3月31日)
当第2四半期累計期間(2022年10月1日~2023年3月31日)におけるわが国の経済は、依然として、ロシア・ウクライナ問題の長期化や金融政策等を背景とした世界的な資源価格の高騰、急激な円安の進行や物価の上昇等により、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。一方で、新型コロナウイルス感染症の影響が和らぎ、社会経済活動の正常化が進んでいることから、当社を取り巻く事業環境は改善傾向にあります。
こうした状況のもと、当社の主たる事業である不動産賃貸業界においても、東京都心部のオフィス空室率が回復基調をみせるなど、緩やかに需要が戻ってきております。その一方で、低稼働に悩むホテルや商業施設からオフィスへの用途変更やサテライトオフィスの需要拡大をはじめとした、働き方・働く場所の多様化の進行によって、新たなオフィス需要が生まれております。
このような状況の中、当社の強みである技術力・企画力・運営力を活かし、時代のニーズを敏感に捉えながら、競争力の低下した不動産をフレキシブルなワークプレイスへと再生させ、新たな価値を生み出してまいりました。築古ビルの再生案件のみにとどまらず、新築物件といった開発案件についても実績を積み上げており、着実に事業を拡大しております。
以上の取組みの結果、当第2四半期累計期間の業績は、売上高3,894,067千円、営業利益413,545千円、経常利益393,835千円、四半期純利益は249,488千円となりました。
当社の事業セグメントは、フレキシブルワークプレイス事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
③ キャッシュ・フローの状況
第14期事業年度(自 2021年10月1日 至 2022年9月30日)
当事業年度における現金及び現金同等物の期末残高は642,939千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は以下のとおりです。なお、前事業年度である2021年9月期は決算期変更により、11ヶ月間の変則決算となっておりますので、対前事業年度との比較については記載しておりません。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、410,604千円となりました。これは主に、減価償却費372,773千円や、減損損失329,526千円等が計上されたことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、2,528,670千円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出2,255,840千円等が計上されたことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、2,376,795千円となりました。これは主に、長期借入れによる収入3,181,000千円等が計上されたことによるものです。
第15期第2四半期累計期間(自 2022年10月1日 至 2023年3月31日)
当第2四半期累計期間における現金及び現金同等物の四半期末残高は309,479千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、1,012,708千円となりました。これは主に、販売用不動産の増減額(△は増加)586,688千円や、減価償却費176,751千円等が計上されたことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、2,537,178千円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出2,427,256千円等が計上されたことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、1,191,009千円となりました。これは主に、短期借入金の純増減額(△は減少)1,842,000千円等が計上されたことによるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績及び受注実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績及び受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b 販売実績
販売実績は、次のとおりであります。なお当社はフレキシブルワークプレイス事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。
サービス区分の名称第14期事業年度
(自 2021年10月1日
至 2022年9月30日)
第15期第2四半期累計期間
(自 2022年10月1日
至 2023年3月31日)
売上高(千円)前期比売上高(千円)
ML・保有(賃貸)4,023,571-2,234,460
PM392,661-234,712
設計・施工1,414,485-715,430
保有(販売)--701,015
その他12,490-8,449
合計5,843,209-3,894,067

(注) 第13期は、決算期変更により、2020年11月から2021年9月までの11か月間となっております。そのため、前期比の記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
第14期事業年度(自 2021年10月1日 至 2022年9月30日)
(売上高)
ストック型収入についてはマスターリース物件の賃貸におけるテナントからの賃料収受売上は3,848,972千円、自社保有物件の賃貸におけるテナントからの賃料収受売上は174,599千円、プロパティマネジメント売上は392,661千円、リーシング報酬といったその他売上は12,490千円となっております。またフロー型収入として、設計・施工請負契約売上1,414,485千円が計上されております。その結果として、売上高は5,843,209千円となりました。当社は、ストック型収入の安定的な積み上げをベースとしつつも、特定建設業許可の取得以降、マスターリース物件やプロパティマネジメント契約の受託に付随する形で継続的に設計・施工請負を受託しており、ストック型収入に連動し、設計・施工請負契約売上が安定的に発生しております。
なお、第13期は、決算期変更により、2020年11月から2021年9月までの11か月間となっております。そのため、前期比の記載を省略しております。
(売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益)
運営物件数の増加、建設請負案件にかかる請負原価及び事業部門の人員増加等により売上原価は5,054,530千円、業容拡大に伴う管理部門の人員増加等により販管費は359,373千円となりました。結果として、営業利益は429,306千円となりました。なお、第13期は、決算期変更により、2020年11月から2021年9月までの11か月間となっております。そのため、前期比の記載を省略しております。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
営業外収益は664千円と大きな発生はないものの、営業外費用は主に不動産購入及び設備投資にかかる借入に伴う支払利息の発生等により、42,375千円となりました。その結果、経常利益は387,594千円となりました。なお、第13期は、決算期変更により、2020年11月から2021年9月までの11か月間となっております。そのため、前期比の記載を省略しております。
(特別損益、当期純利益)
特別利益は497千円と大きな発生はないものの、特別損失は主に固定資産の減損損失を計上したこと等により347,911千円、税引前当期純利益は40,180千円、当期純利益は36,099千円となりました。なお、第13期は、決算期変更により、2020年11月から2021年9月までの11か月間となっております。そのため、前期比の記載を省略しております。
第15期第2四半期累計期間(自 2022年10月1日 至 2023年3月31日)
(売上高)
ストック型収入についてはマスターリース物件の賃貸におけるテナントからの賃料収受売上は2,131,733千円、自社保有物件の賃貸におけるテナントからの賃料収受売上は102,726千円、プロパティマネジメント売上は234,712千円、リーシング報酬といったその他売上は8,449千円となっております。またフロー型収入として、設計・施工請負契約売上715,430千円、販売用不動産の売却に701,015千円が計上されております。その結果として、売上高は3,894,067千円となりました。フロー型収入の販売用不動産の売却は単発取引であるものの、売却後に設計・施工請負契約及びプロパティマネジメント契約を締結しており、その後のストック型収入に繫がります。
(売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益)
運営物件数の増加、建設請負案件にかかる請負原価の発生、及び販売用不動産の売却等により売上原価は3,273,321千円、本社移転に伴う地代家賃の増加等により販管費は207,200千円となりました。結果として、営業利益は413,545千円となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
営業外収益は1,428千円と大きな発生はないものの、営業外費用は主に不動産購入及び設備投資にかかる借入に伴う支払利息の発生等により、21,138千円となりました。その結果、経常利益は393,835千円となりました。
(特別損益、四半期純利益)
特別利益の発生はないものの、特別損失は主に損害補償損失を計上したこと等により13,351千円、税引前四半期純利益は380,484千円、四半期純利益は249,488千円となりました。
② 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の資本の財源及び資金の流動性について、当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、運営物件にかかる支払賃料、管理経費及び人件費等の販売費及び一般管理費となります。投資資金需要のうち主なものは、新規物件契約に伴う保証金及びリノベーション設備投資によるものであります。また、投資資金は金融機関からの長期借入を基本としております。
当事業年度末における借入金残高は4,138,297千円となっております。
なお、財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に、キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この財務諸表の作成に当たりまして、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」に記載のとおりであります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりとなります。
⑥ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、売上高及び営業利益を最重要の経営指標としつつも、売上高及び営業利益を向上させるための客観的な指標として運営面積、運営プロジェクト数、平均坪単価、物件稼働率を重要な経営指標と位置付けています。
当重要な経営指標について個別に目標値は設定しておりません。運営面積、運営プロジェクト数については2023年3月時点においても「ランディック原宿ビル」の取得をはじめ、安定的に新規案件が獲得できている一方で、2023年3月までにプロパティマネジメント契約の終了となった物件があることから、2023年3月末時点の運営面積(賃貸可能床面積62,388㎡、総床面積84,850㎡)は2022年9月期末の運営面積(賃貸可能床面積62,187㎡、総床面積84,565㎡)と比べて増加は限定的となっております。また平均坪単価、稼働率については、2023年3月末時点(平均坪単価25,109円、稼働率96.8%)と2022年9月期末時点(平均坪単価24,332円、稼働率95.8%)と比較して指標の改善がみられ、期間を通じて安定的な推移となっております。