有価証券報告書-第7期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/27 15:30
【資料】
PDFをみる
【項目】
128項目
(2) 戦略
① 気候変動への対応
地球温暖化に伴う気候変動は、異常気象や自然災害を引き起こす可能性があり、国際社会が一体となって取り組むべき課題であります。2015年に開催された第21回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)ではパリ協定が採択され、世界共通の長期目標として「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力を追求する」ことが掲げられました。
また、気候変動は、原油価格や原材料価格の高騰など、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性も少なくありません。気候変動への対応は、世界全体と、当社グループの持続可能性にとって重要な課題であると認識しております。
そのため、当社グループは、「2050年度に温室効果ガス排出量ネット・ゼロ」「2030年度までに2020年度比、排出量原単位(生産量ベース)で約35%削減」を目標に掲げたほか、マテリアリティに「気候変動への対応」を定め、調達から生産、物流、流通に至るバリューチェーン全体にわたる「気候変動の緩和(温室効果ガス削減)」に取り組んでおります。エネルギー変換効率の高い代替エネルギーの活用や、きのこ製品の包装形態や包装資材変更によるプラスチック使用量の低減、地元からの原材料調達による物流CO2の削減など、環境負荷低減のための取り組みを進めております。
また、「気候変動への適応」に向け、マテリアリティに「持続可能な原材料等調達と水資源の活用」を定め、森林整備活動「雪国まいたけの森づくり」などの取り組みを進めてまいります。
さらに、2021年11月には、気候変動によってもたらされる企業の財務的影響について適切な情報開示を求める「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言」への賛同を表明いたしました。気候変動によるリスク・機会の洗い出しや重要度の評価、1.5℃シナリオや4℃シナリオに基づいた財務インパクトの試算などを行っております。TCFD提言への賛同を機に、より一層脱炭素社会の実現に向けた取り組みを加速させるとともに、TCFD提言に沿った情報開示を強化してまいります。
現時点で想定される重要度の高いリスク・機会については、次のとおりであります。
分類事象想定される
事業への影響
発現時期
(注) 2
重要度対応策
移行
リスク
政策炭素税の導入生産・物流などの事業活動に伴うCO2排出量に対する炭素税負担の増加短期
中長期
・生産プロセスの効率化による生産コスト削減
・再生可能エネルギー導入による将来的な炭素税負担の回避
・生産設備へのLNGの導入、バイオマスボイラーの導入による将来的な炭素税負担の軽減
・配送方法の見直しによる輸送効率の向上
・栽培に使用した後の菌床(注)1をボイラー燃料としてリユース
機会製品とサービス低炭素・脱炭素に貢献し得る商品・サービスの開発・拡大動物性食品から植物性食品への代替が進み、きのこを用いた新たな商材の創出機会が増加短期
中長期
きのこの特性を活かした代替プロテインを新たな製品として生み出すための研究開発

(注) 1.菌床とは、木材を粉砕してつくられるオガ粉に、水やふすま(小麦粒の外皮や胚芽)などの栄養剤を混ぜ合わせたきのこ栽培の土台であります。
2.リスク・機会を特定した2020年度を基準年とし、短期は2024年度、中期は2027年度、長期は2030年度を示しております。なお、リスク・機会項目及び重要度の判定等については、当社グループを取り巻く外部環境の変化に応じて、適宜見直しを行っております。
② 重要な人材登用による多様性の確保について
当社は、中期経営計画の基本方針である「国内での事業基盤の強化推進、及びグローバル展開するプレミアムきのこ総合メーカーへの進化」を実現するため、人材アジェンダ(注)に基づく人材の確保、人材育成体系及び安全・安心な働ける環境づくりを積極的に取り組み、多様な人材の活躍機会の創出に努めてまいります。
(注) 当社の人材アジェンダ
ⅰ.新たな価値創造を推進できる人材
ⅱ.事業拡大を支えるインフラ、種苗、育成等の各分野での専門人材
ⅲ.グローバル展開を担えるスキルと意欲の高い多様な人材
ⅳ.イノベーション創出を牽引するプロジェクトマネージャー
ⅴ.ビジネスモデル変化に対応したFA・デジタル・サステナブル分野に対する人材
③ 多様性の確保に向けた人材育成方針、社内環境整備方針について
[人材育成方針]
当社の社是にある「良品で社会に貢献」を実践するためには、安全・安心なモノづくりへの誠実な姿勢と、より高い品質や新たな価値を共創するための挑戦意欲が欠かせません。当社は、従業員の「自律」や「挑戦」を尊重し、スキル向上の機会を提供するとともに、中期経営計画を推進することのできる専門性の高い人材の育成・登用を積極的に行ってまいります。また、異なる価値観を尊重し、新たな価値の創造を促すために、女性活躍の推進や次世代人材の育成などを推進し、事業の持続可能性向上に取り組んでまいります。
[社内環境整備方針]
当社の社是にある「生き甲斐のある職場」を目指すためには、明るく前向きに働く喜びをともに感じられる人間関係づくりや、健康で心豊かに生活できる職場環境づくりが欠かせません。当社は、従業員のエンゲージメント向上や健康増進が、従業員の幸せと高い生産性を生み出すための大切な要素であると認識しております。多様で多才な従業員が活躍できる、より安全・安心な職場環境を目指し、継続的に取り組んでまいります。