有価証券報告書-第148期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 14:00
【資料】
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【項目】
126項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、会計上の判断・見積りの度合いが高いものとして以下のものがあります。
①貸倒引当金
国内子会社は、一般債権については、営業債権と営業外債権に区分し、過去3年の平均貸倒実績率により、また、貸倒懸念債権等特定の債権については、財務内容評価法により個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。海外子会社は各社毎に回収不能見込額を計上しております。
②退職給付に係る負債
退職給付債務及び退職給付費用を計算するにあたっては、割引率、期待運用収益率等の前提条件を使用しておりますが、これらは当社グループの状況からみて適切なものであると考えております。
③たな卸資産の評価
期末における正味売却価額が取得原価より下落している場合には、当該正味売却価額で評価しております。また、不良品、長期滞留品、陳腐化品等は正味売却価額で評価しております。
④時価が著しく下落した有価証券の減損処理
時価のある有価証券について、時価が取得原価を50%以上下回った場合、ないしは時価が取得原価を30%以上50%未満の範囲で下回っており、かつ過去の時価の趨勢から回復可能性がないものと判断される場合に、時価が著しく下落したものとして取り扱っております。
⑤繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産については、将来の課税所得の十分性やタックスプランニングについて十分に検討のうえ、将来の税金負担を軽減させる効果を有する将来減算一時差異等についてのみ、繰延税金資産を計上しております。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
①売上高
当連結会計年度の売上高は、対前期比95億18百万円(5.8%)増加し、1,725億44百万円となりました。これは、主として以下によるものです。ロックドリル部門では、国内の需要が旺盛で、海外向けも好調であったことから40億68百万円(15.2%)の増収となりました。ユニック部門では、堅調な公共投資と復興需要等による国内普通トラック登録台数の増加等を背景として26億25百万円(10.2%)の増収となりました。金属部門では、電気銅販売数量の増加、円安等を主因として28億28百万円(3.6%)の増収となりました。不動産部門では、平成26年2月に竣工した室町古河三井ビルディングの賃貸収入増により15億22百万円(150.3%)の増収となりました。
②売上原価、販売費及び一般管理費
当連結会計年度の売上原価は対前期比68億80百万円増加し1,466億57百万円となりました。売上原価率は0.7ポイント低下し85.0%となりました。販売費及び一般管理費は5億98百万円増加し169億61百万円となりました。
③営業利益
当連結会計年度の営業利益は対前期比20億39百万円増加し、89億25百万円となりました。これは主として増収等により、ロックドリル部門で12億25百万円の利益(対前期比8億84百万円増)、ユニック部門で36億14百万円の利益(対前期比4億73百万円増)、不動産部門で7億76百万円の利益(前期は43百万円の損失)を計上したことによるものです。
④営業外収益・営業外費用
当連結会計年度の営業外収益は対前期比2億95百万円減少し12億78百万円、営業外費用は対前期比12億90百万円増加し、36億円となりました。
⑤特別利益・特別損失
当連結会計年度の特別利益には受取補償金8億19百万円、事業撤退完了に伴う利益6億44百万円、事業譲渡益5億29百万円ほかを計上し、特別損失には堆積場安定化工事引当金繰入額24億8百万円ほかを計上いたしました。
⑥法人税等、少数株主利益、当期純利益
当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合計した税金費用は37億54百万円の減算となり、少数株主利益1億21百万円を計上し、当期純利益は97億93百万円(対前期比58億16百万円増)となりました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
産業機械製品は、主に民間設備投資と公共投資の動向に影響を受けます。ロックドリル製品は、国内では民間設備投資と公共投資の動向、海外では出荷先各国の景気動向の影響を受けます。ユニッククレーンは、トラックの国内需要動向の影響を受けます。
銅をはじめとする金属部門は、原料銅鉱石、地金製品ともに国際市況動向の影響を受け、製錬採算は、鉱石買鉱条件の影響を受けます。電子部門は、半導体市場の動向に影響を受けます。
なお、事業等のリスクについては「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」を参照願います。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①キャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、主として税金等調整前当期純利益の計上により102億41百万円の純収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主として有形固定資産の取得による支出により108億92百万円の純支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入による収入等により33億18百万円の純収入となりました。この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、対前期末比29億81百万円増の157億16百万円となりました。
②財政状態
当連結会計年度末の総資産は、対前期末比79億8百万円増の2,073億17百万円となりました。これは主として、商品及び製品、仕掛品の増加、上場株式の株価上昇等による投資有価証券の増加によるものです。負債は、法定実効税率の低下に伴う繰延税金負債の減少等により対前期末比63億59百万円減の1,367億35百万円となりました。有利子負債(借入金)は、対前期末比48億33百万円増の820億53百万円となりました。純資産は、対前期末比142億67百万円増の705億81百万円となり、自己資本比率は、対前期末比5.8ポイント上昇し33.2%となりました。
(5)戦略的現状と見通し及び今後の方針について
当社グループは、①機械事業の技術力強化と更なる海外展開の推進、②新製品の事業化に向けた開発の促進を基本方針とし、収益体質強化の仕組みづくりに継続して取り組んでまいります。
機械3部門につきましては、復興工事、整備新幹線、リニア中央新幹線、国土強靭化計画、更には東京オリンピックと続く国内需要が堅調に推移するうちに、大きな市場がある海外を中心に「資源」、「インフラ整備」をキーワードとして、将来に向かっての基盤を築いていきます。
産業機械部門では、当社グループが保有する長距離ベルトコンベアや大型破砕設備等に用いられている運搬技術、破砕技術が被災地における高台移転工事で高い評価を受けました。今後も、防災・インフラ更新などの旺盛な需要の取り込みに注力するとともに、将来にわたって事業を支える製品を早期に確立して、国内市場でのシェア向上と海外進出を目指します。ロックドリル部門では、国内外で新型油圧ブレーカの拡販に努めるとともに、海外では北米、欧州の先進国のほか、新興国ではアジア、中近東、中南米、南アフリカを中心にインフラ整備、鉱山開発向けに営業を展開していきます。鉱山関係では資源価格の低迷により苦境が続いていますが、営業を集中的に行い、売上の確保に努めます。また、国内では、整備新幹線、リニア中央新幹線のトンネル工事向けのトンネルドリルジャンボの受注に全力を注ぎます。ユニック部門では、ユニッククレーンのほかミニ・クローラクレーンや船舶用クレーン、林業用クレーンの拡販を目指します。また、日本、中国、タイの三極生産体制の下、世界各地域の需要に対応した機種を最適なコストと品質で生産する方針を推進し、特に生産設備を増強したタイの工場については、世界戦略製品の生産拠点としての役割を大いに発揮することにより、海外市場での拡販を図ります。ロックドリル部門およびユニック部門では、世界販売・サービス体制を更に強化し、価格、品質、納期で満足できる製品を供給することによりシェアの拡大を図ります。
金属部門では、海外鉱山について採算性を重視しながら投資案件を選別し、製錬事業を補完する体制の構築を目指します。
また、平成26年12月に研究開発体制を刷新し、機械、素材の分野を超えた柔軟な発想で開発効率、開発スピードを高めるとともに、新製品開発を活性化させてまいります。
当社グループは、メーカーとしてのこだわりを深め、「本格的なモノづくり、仕組みづくり」を追求し、収益力の向上と企業価値の増大を図ってまいります。
なお、上記中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成27年6月26日)現在において当社グループが判断したものです。