有価証券報告書-第17期(2022/01/01-2022/12/31)
(1)【コーポレート・ガバナンスの概要】
① コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、エネルギーの開発・生産・供給を、持続可能な形で実現することを通じて、より豊かな社会づくりに貢献することを経営理念としております。この経営理念のもと、当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、株主をはじめとするステークホルダーとの協働により社会的責任を果たすとともに、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うことを目的としてコーポレート・ガバナンスの充実に取り組みます。
なお、本項の記載内容は、時期等の記載がある場合を除き、本書提出日現在の状況に基づいております。
② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由
当社経営理念に基づき、効率的な企業経営と実効性の高い監督を実現するため、業務に精通した取締役による業務執行を監査役が監査する監査役設置会社の機関設計を採用しています。また、急速に変化する経営環境及び業容の拡大に的確・迅速に対応するため、業務執行体制の更なる強化を目的として執行役員制度を導入し、一層機動的かつ効率的な経営体制の強化を図っております。
当社では、産油国政府や同国の国営石油会社、国際石油会社等との重要な交渉機会が多く、これには当社事業に関する知識・技術並びに国際的な経験を有し、業務に精通した社内出身の取締役・執行役員があたる必要があると考えており、社内出身の取締役は原則として執行役員を兼務することで、取締役会が効率的に業務の執行を決定するとともに、実効的な経営の監督機能を発揮する体制を確保しております。また、経営の透明性の向上と取締役会の実効的監督機能の強化を図る観点に加え、独立した立場から、自らの知見に基づく助言、経営の監督、利益相反取引の監督を行うとともに、ステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させることで社内出身者とは異なる客観的な視点を経営に活用するため、取締役全12名中5名の社外取締役を選任しております。
この社外取締役には、資源・エネルギー業界や財務・法務その他の分野において、企業経営経験者、学識経験者又はその他の専門家等として、豊富な経験と幅広い見識を有する社外の人材を選任することとしております。
また、当社の監査役は、全5名中4名が社外監査役であり、かつ監査役の独立性と監査の実効性を確保し、監査機能の強化を図るべく、法令に基づき監査役会を設置するとともに監査役の職務を補助するための組織である監査役室に専任の監査役補助者を置き、更に内部監査部門(監査ユニット)や会計監査人との連携を強化するなどの取り組みを行っております。
会社の機関等の概要は以下のとおりです。
a)取締役及び取締役会
取締役会は、株主に対する受託者責任を認識した上で、実効的なコーポレート・ガバナンスの実現により、十分な監督機能を発揮するとともに、経営の公正性・透明性を確保し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ることを責務としています。
当社の取締役会は12名で構成され、うち5名は社外取締役であります。取締役会は、毎月1回開催するほか、必要に応じて随時開催し、経営戦略や重要な業務執行について審議・決定するとともに取締役の職務の執行を監督しております。
また、グローバルな経営環境の変化への即応性を高めるとともに、経営責任をより明確化するため、取締役の任期について1年としております。
b)経営会議
業務執行の決定に関しては、意思決定の迅速化の観点から、経営会議を設置し、取締役会の決議事項に属さない事項についての機動的な意思決定を行うとともに、取締役会の意思決定に資するための議論を行っております。経営会議は毎週ないし適宜開催されます。
c)執行役員制度
急速に変化する経営環境及び業容の拡大に的確・迅速に対応するため、執行役員制度を導入し、権限委譲を行うことで業務執行体制の明確化を図るとともに、一層機動的かつ効率的な経営体制を構築しております。なお、執行役員の任期については、事業年度毎の執行責任をより明確化するため、1年としております。
d)各種委員会
コーポレート・ガバナンスを有効に機能させるため、「指名・報酬諮問委員会」、「経営諮問委員会」、「コンプライアンス委員会」及び「サステナビリティ推進委員会」をそれぞれ設置しています。概要は以下の通りです。
i)指名・報酬諮問委員会
取締役の指名、報酬に係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化するため、取締役会の諮問機関として2017年1月に指名・報酬諮問委員会を設置、取締役等の指名と報酬について審議し、取締役会に答申しております。2022年度は5回開催しました。また、2023年3月28日開催の臨時取締役会において、改めて社内取締役2名、独立社外取締役3名が本委員として選任され、同日付にて就任しました。
本書提出日現在の委員は以下のとおりであります。
委員長:北村俊昭氏(代表取締役会長)
委員:上田隆之氏(代表取締役社長)、柳井準氏(独立社外取締役)、飯尾紀直氏(独立社外取締役)、西村篤子氏(独立社外取締役)
ⅱ)経営諮問委員会
国際的な政治経済情勢及びエネルギー情勢の展望、グローバル企業としての経営戦略の在り方、コーポレート・ガバナンスの強化の在り方等の諸課題について、外部有識者から取締役会に多面的かつ客観的な助言・提言を頂き、企業価値及びコーポレート・ガバナンスの向上を目指すことを目的として、2012年10月に経営諮問委員会を設置しております。本委員会は同分野に幅広い知見を有する大学教授等国内外の外部有識者から構成され、社内から代表取締役及び経営企画本部長等が出席します。2022年度は2回開催しました。
本書提出日現在の委員は以下のとおりであります。
委員:ケント カルダー氏、小山堅氏、竹内純子氏、安田隆二氏、山内昌之氏
ⅲ)コンプライアンス委員会
グループ全体として一貫したコンプライアンスの取組みを推進することを目的として、2006年4月にコンプライアンス委員会を設置しております。本委員会はコンプライアンス担当役員を委員長とし、常設組織の本部長・担当役員から構成され、コンプライアンスに関わるグループの基本方針や重要事項を審議し、コンプライアンス実践状況を管理しております。2022年度は6回開催しました。
本書提出日現在の委員は以下のとおりであります。
委員長:川野憲二氏(再生可能エネルギー・新分野事業本部長、米州事業ユニット及び戦略プロジェクト室担当、コンプライアンス担当、海外事業統括)
副委員長:佐瀬信治氏(総務本部長)、橘高公久氏(経営企画本部長、法務担当)
委員:山田大介氏(財務・経理本部長)、八方庸介氏(資材・情報システム本部長)、栗村英樹氏(技術本部長、HSE担当)、加藤博史氏(グローバルエネルギー営業本部長)、三浦和佳氏(国内エネルギー事業本部長)、島田伸介氏(上流事業開発本部長)、滝本俊明氏(水素・CCUS事業開発本部長)、渡邉章弘氏(アジア事業本部長)、大川人史氏(オセアニア事業本部長、パース事務所長、President Director Australia)、仙石雄三氏(欧州・中東事業本部長)、藤井洋氏(アブダビ事業本部長)、杉山広巳氏(国内E&P事業本部長)
ⅳ)サステナビリティ推進委員会
当社グループの社会的責任を果たし、社会の持続可能な発展に貢献する取組みを推進することを目的として、2012年4月にCSR委員会を設置しました。2021年11月には、同委員会をサステナビリティ推進委員会に改称しております。本委員会は代表取締役社長を委員長とし、代表取締役、総務本部長、経営企画本部長、コンプライアンス委員会委員長、コーポレートHSE委員会委員長から構成され、コーポレート・ガバナンスや気候変動対応を含め、サステナビリティに関する基本方針、同推進に関する重要事項等を審議します。2022年度は2回開催しました。
本書提出日現在の委員は以下のとおりであります。
委員長:上田隆之氏(代表取締役社長)
委員:北村俊昭氏(代表取締役会長)、川野憲二氏(再生可能エネルギー・新分野事業本部長、米州事業ユニット及び戦略プロジェクト室担当、コンプライアンス担当、海外事業統括)、橘高公久氏(経営企画本部長、法務担当)、佐瀬信治氏(総務本部長)、栗村英樹氏(技術本部長、HSE担当)
③ 内部統制システムの整備の状況
-業務の適正を確保する体制(内部統制システム)の整備についての決定内容-
当社の取締役会は「株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保する体制(内部統制システム)の整備」について以下のとおり決議しております。
a)当社の取締役及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
当社は、取締役及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するため、サステナビリティ憲章及び行動基本原則を策定し、この遵守と徹底を図るための体制を構築する。
当社は、コンプライアンス担当役員及び常設組織の本部長又は担当役員等を構成員とするコンプライアンス委員会を設置し、コンプライアンスに関わる基本方針や重要事項を審議し、その実践状況を管理するとともに、社内研修等を通じて周知徹底を図ることで、取締役及び使用人がその職務執行上、法令及び定款に則り、行動することを確保する。併せて、社内担当部署及び社外専門家(弁護士)等を窓口とした内部通報制度を整備する。
また、コンプライアンス体制及び関連社内規程を実効あらしめるために、社長直属の内部監査部門による監査、その他社内担当部署あるいは社外専門家による監査等を通じ、これを検証・評価するとともに、適宜改善を行う。
社長直属の内部監査部門は、内部監査規程に基づき、前年度の監査結果及び当年度の監査計画について、取締役会並びに常勤監査役及び監査役会へ報告する。
さらに、財務報告の正確性と信頼性を確保するために必要な体制を整備し、適正に運用するとともに、その有効性の評価を行う。
b)当社の取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
取締役は、その所管する職務の執行に係る文書その他の情報については、法令、定款及び社内規程等に則り、情報セキュリティ体制を整備し、適正に保存及び管理する。
c)当社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
当社グループの企業活動に関連する様々なリスクに対処するため、取締役は各担当部署と緊密な連携を図りつつ、リスクの特定・分析・評価を実施の上、社内規程・ガイドライン等に基づき、リスク管理を行う。
さらに、日常業務に係るリスク管理の運営状況等については、社長直属の内部監査部門による監査、その他社内担当部署あるいは社外専門家による監査等を通じ、これを検証・評価するとともに、環境の変化に応じた不断の見直しを行う。
d)当社の取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
取締役は、取締役の職務の執行が効率的に行われる体制を確保するため、以下の点に留意して事業運営を行う。
(1)重要事項の決定については、常勤の取締役、役付執行役員等で組織する経営会議を毎週ないし適宜開催し、迅速かつ適正に業務執行を行う。
(2)日常の職務遂行については、取締役会規程その他の社内規程に基づき権限の委譲が行われ、各レベルの責任者が迅速に業務を遂行する。
また、取締役会は、長期の経営戦略と中期の経営計画を策定するとともに、その進捗状況の報告を受ける。
当社は、業務の効率的運営及び責任体制の確立を図るため取締役等を本部長とする本部制を採用しているが、各本部等は、経営計画等を実現するため、重要なリスクとその対処方針に留意しつつ、事業環境に応じた主要なマイルストーンとなる取り組みを推進し、経営会議は、その進捗状況の報告を受ける。
e)当社及びその子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
イ)当社の子会社の取締役その他これらの者に相当する者(以下、「取締役等」という。)の職務の執行に係る事項の当社への報告に関する体制
当社は、グループ経営管理規程に基づき、子会社との間でグループ経営管理に係る契約を締結し、各社の重要事項について当社に報告を求め、又は承認する。
ロ)当社の子会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
当社は、子会社におけるリスク管理について、グループ経営管理規程に基づき、当社グループ各社の相互の連携のもと、当社グループ全体のリスク管理を行う。
また、当社は、子会社に対して当社の社長直属の内部監査部門による監査、その他社内担当部署あるいは社外専門家による監査等に協力するよう求め、かかる監査等を通じ、子会社の日常業務に係るリスク管理の運営状況等を検証・評価するとともに、かかる検証・評価の結果を踏まえて、子会社に対して環境の変化に応じた不断の見直しを求める。
ハ)当社の子会社の取締役等の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
当社は、子会社の取締役等の職務の執行が効率的に行われる体制を確保するため、当社グループ全体において、長期の経営戦略と中期の経営計画を共有し、人的・資金的な経営資源を効率的に運用するとともに、当社の各社内規程等に準じ、以下の点に留意して事業運営を行うよう求める。
(1)子会社における重要事項の決定については、子会社の取締役会又は取締役合議にて決定を行う。
(2)子会社の日常の職務執行については、子会社における職務権限を定めた規程に基づいて権限の委譲が行われ、各レベルの責任者が迅速に業務を遂行する。
ニ)当社の子会社の取締役等及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
当社は、グループ全体に適用されるコンプライアンス体制(内部通報制度を含む)を構築し、子会社の取締役、監査役その他これらの者に相当する者及び使用人に対して周知徹底する。
当社は、子会社の協力を得て、子会社に対し、当社の社長直属の内部監査部門による監査、その他社内担当部署あるいは社外専門家による監査等を実施する。
当社は、子会社において取締役等及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制が構築されるよう、グループ経営管理規程に基づき、子会社との間でグループ経営管理に係る契約を締結する。
f)当社の監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項、当該使用人の当社の取締役からの独立性に関する事項及び当該使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項
当社は、監査役の監査の実効性を高めるべく、監査役の職務を補助するための執行部門から独立した組織である監査役室を設置し、専任の使用人を置く。
当該使用人は、監査役の指揮命令に従うものとし、当該使用人の人事評価、人事異動及び懲戒処分は、事前に常勤監査役の同意を必要とする。
g)当社の監査役への報告に関する体制
当社の取締役及び使用人並びに子会社の取締役、監査役その他これらの者に相当する者及び使用人又はこれらの者から報告を受けた者は、当社の監査役に対して、法令に定める事項、当社及びグループ各社に重大な影響を及ぼす事項その他当社の監査役がその職務遂行上報告を受ける必要があると判断した事項について、報告及び情報提供を行う。
また、当社の監査役は、当社の取締役会その他重要な会議に出席するとともに、稟議の回付等を受けて、常に業務上の情報を入手できるようにする。
当社グループの内部通報制度においては、コンプライアンス担当役員は、当社グループの取締役、監査役その他これらの者に相当する者並びに使用人及び退職後1年以内の使用人からの内部通報の状況について、速やかに当社の常勤監査役に対して報告する。
h)前号の報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制
当社は、当社の監査役へ報告を行った当社グループの取締役、監査役その他これらの者に相当する者及び使用人に対し、当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを行うことを禁止するとともに、その旨を周知徹底する。
また、当社グループの内部通報制度においては、報告者に対する不利な取扱いが確認された場合には、不利な取扱いをした者及びその所属部門長等は、就業規則等に則った懲戒等の処分の対象となる。
i)当社の監査役の職務の執行について生ずる費用の前払又は償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関する事項
当社は、監査役がその職務の執行について、当社に対し、会社法第388条に基づく費用の前払又は償還の手続等の請求をしたときは、当該請求に係る費用又は債務が当該監査役の職務の執行に必要でないことを証明した場合を除き、速やかに当該費用又は債務を処理する。
j)その他当社の監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
代表取締役は、監査役と定期的な会合を実施するとともに、適宜必要な情報を提供し、監査役との意思疎通を図る。併せて、当社は、監査役と社外取締役との定期会合の機会を確保し、相互連携と情報共有の充実を図る。
また、当社は、監査役が内部監査部門とも連携し、定期的に報告を受けることができる体制を整えるなど、監査の実効性の向上を図る。
さらに、監査役の監査の実施に当たり、弁護士、公認会計士、税理士等の社外専門家と緊密に連携が取れるようにする。
-業務の適正を確保する体制(内部統制システム)の運用状況の概要-
当社は、「株式会社の業務の適正を確保するための体制(内部統制システム)の整備」についての決定内容に基づき、内部統制システムを適切に運用しておりますが、本書提出日現在の主な運用状況の概要は、次のとおりです。
<コンプライアンス体制>当社は、当社グループの行動規範(Code of Conduct)を制定し、全ての役員及び従業員に対し、法令遵守はもちろんのこと、社会規範を尊重し、高い倫理観を持った行動をするよう義務付けております。また、コンプライアンス委員会を定期的及び随時に開催し、コンプライアンスの実践状況等を確認するとともに、取締役会にも報告しております。
コンプライアンス委員会で決議した活動計画に従い、社内の各種ツールを利用したコンプライアンスに関する情報発信や、定例の社内コンプライアンス研修等の開催に加えて、当年度の重点的な活動として、役員及び従業員におけるコンプライアンスの浸透度や遵守状況の把握等のために意識調査を実施したほか、e-Learningによるハラスメントや贈収賄・汚職の防止に関する講習を行いました。また、各部署に配置したコンプライアンス推進担当者とコンプライアンスを統括する部署の担当者との会合を半期毎に開催するなど、職場全体としてのコンプライアンス活動の拡充・強化に取り組みました。
グローバルに事業を展開する当社グループのコンプライアンス体制を更に強化するため、国内外の当社グループ社員から、経営上のリスクが特に高い贈収賄・汚職、競争法違反、不正な会計処理の3つの分野に関して、多言語での受付を可能とするグローバルな内部通報制度を運用するとともに、贈収賄・汚職防止に係る当社グループの姿勢を包括的に明示する「INPEXグループグローバル贈収賄・汚職防止方針」を公表しております。
また、人権尊重に対する当社の姿勢を明示するため、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく「INPEXグループ人権方針」を策定・公表しております。さらに、企業の事業とサプライチェーン上の奴隷労働及び人身取引などの人権侵害の防止への取組み等を明らかにすることを目的に2015年10月に施行された英国法「Modern Slavery Act 2015」への対応として、当社ウェブサイト並びに英国政府のオンライン登録サイト上に”Modern Slavery Act Statement(英国現代奴隷法ステートメント(日本語版は仮訳))”を開示するとともに、2021年度からは豪州法「Modern Slavery Act 2018」に基づき、豪州における当社グループの人権侵害の防止への取組み等に係るステートメントについても開示しております。
2022年度には人権や公正な企業活動、機密保持等のコンプライアンスに関わる事項を含むESGへの取組みをサプライチェーン全体で強化すべく「サプライヤー行動規範」を制定しました。今後は当社標準契約書の中に含める形式で契約先サプライヤーに遵守を求めて参ります。
グローバルに事業を展開する当社グループは、税務コンプライアンスに関する基本的な考え方を表明する「税務方針」を策定・公表しており、クロスボーダー取引に係る税務等に適切に対応するため、税務ガバナンス体制の強化に取り組んでおります。
当社では、社内担当部署及び社外専門家(弁護士)等を窓口とした内部通報制度を整備しておりますが、本年度は、重大な法令違反等に関わる内部通報案件はありませんでした。
また、本年度に施行された公益通報者保護法の改正に伴い、当社の内部通報制度において必要となる法的な対応を実施しております。
<リスク管理体制>事業に関連する様々なリスクに対処するため、まず、石油・天然ガス上流事業における新規プロジェクトの取得に際しては、上流事業開発本部により一元的に採否の分析・検討を行っています。また、探鉱、評価、開発等の各フェーズにおける技術的な評価等を組織横断的に行うための仕組みとして「INPEX Value Assurance System(IVAS)審査会」を運営しているほか、各プロジェクトのリスク及び対処方針を定期的に見直すとともに、主要なプロジェクトについては取締役会にて報告しております。
次に、再生可能エネルギー事業や水素・CCUS事業に関しては、再生可能エネルギー・新分野事業本部及び水素・CCUS事業開発本部がそれぞれ担当する事業の総合調整をしています。IVAS審査会や外部専門家の検証を実施するとともに、重要なプロジェクトについては取締役会にて報告しております。
また、事業を行う国や地域のカントリーリスク管理に係るガイドラインを制定し、リスクの高い国には累積投資残高の目標限度額を設定する等の管理を行っております。
さらに、為替、金利、原油・天然ガス価格、及び有価証券価格の各変動リスクを特定し、それらの管理・ヘッジ方法を定めることで財務リスク管理を行っております。
また、HSE(健康・安全・環境)リスクに関しては、当社の事業活動における安全衛生、プロセスセーフティ、環境保全の継続的改善を推進するため、HSEマネジメントシステムで定めるHSEリスク管理要領に基づき、事業所毎にHSEリスクの特定、分析・評価を行っています。また、リスク対応策を策定、実行するとともに、HSEリスクを監視するため、リスク管理状況を定期的に本社に報告させ、本社ではこれを確認しております。さらに、セキュリティに関するリスク等についても、関連する要領や指針をもとに全社的な管理に取り組んでおります。さらにノンオペレータープロジェクトのHSE管理についても、各プロジェクトのリスクに応じたHSE関与を推進しております。
一方、大規模な事故や災害等による緊急事態に対応できる能力を高めるため、緊急時・危機対応計画書を策定・維持するとともに、平時より緊急時対応訓練を定期的に実施する等、積極的にリスク管理に努めております。また、重要な業務を停止させないために事業継続計画(BCP)を策定しており、2020年以降の新型コロナウイルス感染拡大に際しては、BCPを発動して、感染症対策や在宅勤務を含めた必要な対策を実施するとともに、コーポレート危機対策本部を立ち上げ、海外事業所を含めた全社的な状況把握を実施しています。
このほか、重要な契約や訴訟等に関する事業部門及び経営陣への適切な法的助言ができる体制の整備並びに国内外の事業への法務サポート機能のさらなる充実のため、リーガルユニットを独立した組織とし、リーガルリスクの管理も強化しております。
また、情報セキュリティ委員会を定期的及び随時に開催し、組織的・体系的な情報セキュリティ対策を講じるとともに、情報漏えい防止を含む教育・訓練も実施しております。
<職務執行の効率性を確保するための体制>2018年5月に「ビジョン2040」及び「中期経営計画 2018‐2022」を策定し、2021年1月には、気候変動対応目標及びネットゼロカーボン社会に向けた当社の事業戦略をお示しした「今後の事業展開~2050ネットゼロカーボン社会に向けて~」(以下、「今後の事業展開」)を公表しました。そして、2022年2月に「長期戦略と中期経営計画(INPEX Vision @2022)」(以下、「INPEX Vision @2022」)を発表致しました。今般の「INPEX Vision @2022」におきましては、上記の経営環境の変化を踏まえつつ、2030年及び2050年に向けた当社の長期戦略をお示しするとともに、具体的な取り組みと目標を掲げた2022年から2024年までの3年間の中期経営計画を策定しております。長期戦略と中期経営計画を実現するための経営執行部門の事業運営方針である全社取組方針を踏まえ、全社の2022年度計画・目標を策定するとともに、中間及び期末にその進捗状況の振り返りを実施し、その評価結果について取締役会に報告しております。
また、「INPEX Vision @2022」の内容に則して、2022年3月に当社の「気候変動対応の基本方針」を一部改定しました。同基本方針に基づく気候変動対応の推進状況を具体的に紹介する「INPEXの取組み」についても、前回の改定以降の業務実績(2021年2月~2022年3月)及び進行中の取組みを改定しました。なお、「INPEXの取組み」については原則として毎年1回その進捗を取締役会に報告することとしております。
<グループ会社の経営管理体制>グループ経営管理規程及びグループ経営管理に係る契約に基づき、当社は、グループ会社との間で重要事項について報告を求め、又は承認をしております。また、当社の内部監査部門である監査ユニットが、年度監査計画に基づき子会社の監査を実施するとともに当社取締役会並びに常勤監査役及び監査役会に監査結果を報告しております。
一方、グループ運営に当たっては、海外プロジェクトの子会社について当社との兼務体制を活用するとともに、併せて資金面では、Cash Management Systemによるグループ資金の一元管理体制を通して資金効率を高めているほか、シンガポール共和国に設立した当社金融子会社でのグループ内ファイナンス業務の集中管理等、効率的な事業運営を図っております。
当社の内部通報制度はグループ全体に適用されるものとなっており、当社及び各子会社における研修及び周知活動を通じて、通報者に対する不利な取り扱いの禁止を徹底しております。
<監査役の監査の実効性を確保するための体制>監査役は、監査の実効性の向上を図るため、取締役会のほか経営会議等の重要な会議への出席、各部門に対するヒアリング、代表取締役をはじめ各取締役との会合等を通じて、必要な情報収集と意見交換を行っております。また、当社の内部監査部門である監査ユニットの年度監査計画の策定に際して意見交換を行い、かつ、個々の監査結果について随時報告を受けるほか、会計監査人から四半期毎の決算のレビュー結果を含め必要な報告を受けるなど、内部監査部門及び会計監査人と緊密に連携を取っております。
さらに、常勤監査役は、コンプライアンス担当役員より、内部通報の内容及びその対応について速やかに報告を受けております。
なお、執行部から独立した専任の使用人を配置する組織として監査役室が設置され、監査役の職務を補助しております。
④ リスク管理及び企業倫理
当社は、激しく変化する事業環境の中で、企業価値の向上を図るためには、事業運営に伴うリスクを適切に管理することにより、損害の発生・拡大を未然に防止するとともに、顧客、取引先、投資家等の当社に対する信頼の維持・強化を図ることが重要であると認識しており、継続的にリスク管理の強化に努めております。
また、企業の持続的な発展に必要不可欠なコンプライアンス体制を体系的に整備し、法令遵守・企業倫理の徹底に努めております。具体的には、グループ全体として一貫した取り組みを推進するため、コンプライアンス委員会を設置しています。加えて、サステナビリティ憲章のもと、業務を遂行する上で守るべき行動基本原則を実践できるよう、コンプライアンスを具現化するための遵守事項を規定した行動規範を定めております。また、全社的なコンプライアンスの浸透を図るため、各職場にコンプライアンス推進担当者を配置し、定例会を開催するなど、役員及び従業員のコンプライアンス意識の向上を図っています。
コンプライアンスに関する重大な事案が発生した場合には、コンプライアンス担当役員やコンプライアンス委員会が迅速に対応策を検討、実施する体制を確立しています。コンプライアンス担当役員及びコンプライアンス委員会は、監査役や監査役会、会計監査人、内部監査部門である監査ユニット並びに子会社等の相当する機関または部署と連携し、(1)コンプライアンスに関する施策の立案、実施、(2)実施状況のモニタリング、(3)コンプライアンス意識の啓発、(4)違反についての報告受付と調査、(5)違反に対する中止勧告そのほかの対応、(6)違反の再発防止策の策定などを行っています。
その他、グループ全体に適用される内部通報制度を整備するとともに、業務テーマ別、階層別の社内コンプライアンス研修を定期的に実施しています。さらに、海外事務所においては、各国の法令・文化に沿った行動規範を整備・運用し、グローバルなコンプライアンス体制の強化を進めています。
⑤ 情報開示
当社は、経営の透明性、経営者のアカウンタビリティを向上させるべく、プレスリリース等の広報活動やホームページを通じた情報の適時・適切・公平な開示を行うとともに、株主や投資家の皆様とのエンゲージメントや株主総会を通じて、当社グループへの理解促進を図っております。
社内体制については、適時開示体制を体系的に整理した会社情報開示規程を制定し、当社グループ全体の情報管理、伝達・開示プロセス等を定め、情報開示体制を整備しております。
⑥ 当社のコーポレート・ガバナンス体制(模式図)

⑦ 株式会社の支配に関する基本方針
a)基本方針の内容
当社グループは、今後も増加する我が国及び世界のエネルギー需要に応え、長期にわたり引き続き、エネルギー開発・安定供給の責任を果たしつつ、2050年ネットゼロカーボン社会の実現に向けたエネルギー構造の変革に積極的に取り組みます。具体的には、石油・天然ガス分野を引き続き基盤事業と位置づけ、事業の強靭化とクリーン化を進めることにより、エネルギーの安定供給と気候変動への責任ある対応という二つの社会的責任を果たしてまいります。さらに、ネットゼロカーボン社会に向け、気候変動対応目標を定めるとともに、水素事業、石油・天然ガス分野のCO2低減(CCUS他)、再生可能エネルギーの強化と重点化、カーボンリサイクルの推進と新分野事業の開拓、森林保全の推進のネットゼロ5分野を推進します。
b)財産の有効な活用及び不適切な支配の防止のための取り組み
当社グループは、資本効率性・財務健全性を意識しつつ、強固な財務体質を活かして、石油・天然ガス資源の安定的かつ効率的な供給を可能とするために事業基盤の拡大を目指し、探鉱・開発活動及び供給インフラの整備・拡充等への成長投資を行います。当社グループは、プロジェクトが生み出すキャッシュを、成長投資と株主還元にバランスよく配分することで、新たなキャッシュの創出と株主価値の増大を図り、持続的な企業価値の向上を目指します。
また、当社は、上記a)の方針に基づき、投機的な買収や外資による経営支配等により、中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に背反する形での経営が行われること又は否定的な影響が及ぶことがないよう、経済産業大臣に対し甲種類株式を発行しております。
その内容としては、ⅰ)取締役の選解任、ⅱ)重要な資産の全部又は一部の処分等、ⅲ)当社の目的及び当社普通株式以外の株式への議決権(甲種類株式に既に付与された種類株主総会における議決権を除く。)の付与に係る定款変更、ⅳ)統合、ⅴ)資本金の額の減少、ⅵ)解散、に際し、当社の株主総会又は取締役会の決議に加え、甲種類株式の株主による種類株主総会(以下、「甲種類株主総会」という)の決議が必要とされております。ただし、ⅰ)取締役の選解任及びⅳ)統合については、定款に定める一定の要件を充たす場合に限り、甲種類株主総会の決議が必要とされております。甲種類株主総会における議決権の行使に関しては、甲種類株主が令和4年経済産業省告示第54号に定める甲種類株式の議決権行使の基準に則り、議決権を行使できるものとしております。
当該基準では、上記ⅰ)及びⅳ)に係る決議については、「中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に背反する形での経営が行われていく蓋然性が高いと判断される場合」、上記ⅲ)の当社普通株式以外の株式への議決権(甲種類株式に既に付与された種類株主総会における議決権を除く。)の付与に係る定款変更の決議については、「甲種類株式の議決権行使に影響を与える可能性のある場合」、上記ⅱ)、ⅲ)当社の目的に係る定款変更、ⅴ)及びⅵ)に係る決議については、「中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に否定的な影響が及ぶ蓋然性が高いと判断される場合」のみ否決するものとされております。
さらに、当社の子会社定款においても子会社が重要な資産処分等を行う際に、上記ⅱ)の重要な資産の全部又は一部の処分等に該当する場合には、当該子会社の株主総会決議を要する旨を定めており、この場合も当社取締役会の決議に加え、甲種類株主総会の決議を必要としています。なお、当社の取締役会は、甲種類株主による甲種類株式の議決権行使を通じた拒否権の行使に関して権能を有しておらず、従って甲種類株式は当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
c)上記b)の取り組みについての取締役会の判断
上記b)の取り組みは、我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現及び持続的な企業価値の向上を目指すものであり、上記a)の方針に沿うものであります。
また、上記b)の甲種類株式は、拒否権の対象が限定され、その議決権行使も令和4年経済産業省告示第54号に定める経済産業大臣による甲種類株式の議決権行使の基準に則り行われることから、経営の効率性・柔軟性を不当に阻害しないよう透明性を高くし、その影響が必要最小限にとどまるよう設計されておりますので、上記a)の方針に沿うものであり、株主の皆様の共同の利益を損なうものではないと考えております。
⑧ 役員等との間で締結する契約
a)責任限定契約の内容の概要
当社は、会社法第427条第1項及び当社定款の規定に基づき、各社外取締役及び各監査役との間で、会社法第423条第1項に定める損害賠償責任を限定する契約を締結しております。当該契約に基づく損害賠償責任の限度額は、会社法第425条第1項に定める最低責任限度額としております。
b)役員等との間で締結している補償契約の内容の概要
当社は、各取締役及び各監査役との間で、会社法第430条の2第1項に規定する補償契約を締結し、同項第1号の費用及び同項第2号の損失を法令の定める範囲内において当社が補償することとしております。ただし、各取締役及び各監査役が、自己若しくは第三者が不正な利益を図る又は当社に損害を加える目的で職務を執行したことが判明した場合には補償を受けた費用等を返還させることとしております。
c)役員等を被保険者として締結している役員等賠償責任保険契約の内容の概要
当社は、当社及び当社子会社69社の取締役、監査役及び当社執行役員を被保険者とする役員等賠償責任保険契約を締結しており、被保険者である役員がその職務の執行に関し責任を負うこと又は当該責任の追及に係る請求を受けることによって生ずることのある損害が補填されます。ただし、故意又は重過失に起因して生じた当該責任は補填されない等の免責事由があります。また、保険料は全額当社が負担しております。
⑨ 取締役の定数
当社の取締役は16人以内とする旨定款に定めております。
⑩ 取締役の選任及び解任の決議要件
当社は、取締役の選任決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨定款に定めております。また、取締役の選任決議は、累積投票によらない旨定款に定めております。
なお、「取締役の選解任」につきましては、株主総会の決議に加え、甲種類株主総会の決議が必要となる場合がある旨定款に定めております。この内容につきましては後記「⑫ 種類株式について」をご参照下さい。
⑪ 取締役会にて決議できる株主総会決議事項
当社は、将来の機動的な資本政策の遂行を可能とするため、会社法第165条第2項の規定により、取締役会の決議によって市場取引等により自己の株式を取得することができる旨定款に定めております。
当社は、取締役及び監査役が、期待される役割を十分に発揮できるよう、会社法第426条第1項の規定により、任務を怠ったことによる取締役(取締役であった者を含む。)及び監査役(監査役であった者を含む。)の損害賠償責任を、法令の限度において、取締役会の決議によって免除することができる旨定款に定めております。
当社は、株主への機動的な利益還元を行うことを目的として、取締役会の決議によって、毎年6月30日の最終の株主名簿に記載又は記録された株主又は登録株式質権者に対し、会社法第454条第5項の規定による中間配当を行うことができる旨定款に定めております。
⑫ 種類株式について
当社定款においては、経営上の一定の重要事項の決定について、株主総会又は取締役会の決議に加え、甲種類株主総会の決議が必要である旨が定められております。甲種類株式は、経済産業大臣に対して発行しております。また、甲種類株式は当会社株主総会において議決権を有しておりません(ただし、法令に別段の定めがある場合はこの限りではありません)。
経営上の一定の重要事項は、「取締役の選解任」、「重要な資産の全部または一部の処分等」、「定款変更」、「統合」、「資本金の額の減少」及び「解散」であります。このうち「取締役の選解任」及び「統合」については、当社普通株式について公的主体以外の、単一の株主又は単一の株主とその共同保有者の議決権割合が100分の20以上の場合に、甲種類株主総会の決議が必要となります。
経済産業大臣は、甲種類株式による拒否権の行使(甲種類株主総会における不承認の決議)について、平成18年4月3日経済産業省告示第74号をもって甲種類株式の議決権行使の基準を制定しております。経済産業大臣が拒否権を行使できる場合は、上記重要事項ごとに、「中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に背反する形での経営が行われていく蓋然性が高いと判断される場合」、又は「中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に否定的な影響が及ぶ蓋然性が高いと判断される場合」、又は「甲種類株式の議決権行使に影響を与える可能性のある場合」となっております。同告示は数次の改正を経て、現在は令和4年3月24日経済産業省告示第54号において改めて告示されております。
このような機能を有する甲種類株式を経済産業大臣が保有することにより、投機的な買収や外資による経営支配等により、中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に背反する形での経営が行われること又は否定的な影響が及ぶことがないよう、当社の役割が確保されると考えられるとともに、ナショナル・フラッグ・カンパニーとして我が国向けエネルギーの安定供給の効率的実現の一翼を担うことが期待され、対外的な交渉や信用などの面で積極的な効果も期待できること等が、甲種類株式を発行した目的であります。当社の取締役会は、甲種類株主による甲種類株式の議決権行使を通じた拒否権の行使に関して権能を有しておらず、したがって甲種類株式は当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。また、当社としては、甲種類株式による拒否権の対象が限定され、拒否権行使についても同基準の設定がなされていることにより、当社の経営の効率性・柔軟性を不当に阻害しないよう透明性を高くし、またその影響が必要最小限にとどまるよう設計されているものと考えております。
① コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、エネルギーの開発・生産・供給を、持続可能な形で実現することを通じて、より豊かな社会づくりに貢献することを経営理念としております。この経営理念のもと、当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、株主をはじめとするステークホルダーとの協働により社会的責任を果たすとともに、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うことを目的としてコーポレート・ガバナンスの充実に取り組みます。
なお、本項の記載内容は、時期等の記載がある場合を除き、本書提出日現在の状況に基づいております。
② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由
当社経営理念に基づき、効率的な企業経営と実効性の高い監督を実現するため、業務に精通した取締役による業務執行を監査役が監査する監査役設置会社の機関設計を採用しています。また、急速に変化する経営環境及び業容の拡大に的確・迅速に対応するため、業務執行体制の更なる強化を目的として執行役員制度を導入し、一層機動的かつ効率的な経営体制の強化を図っております。
当社では、産油国政府や同国の国営石油会社、国際石油会社等との重要な交渉機会が多く、これには当社事業に関する知識・技術並びに国際的な経験を有し、業務に精通した社内出身の取締役・執行役員があたる必要があると考えており、社内出身の取締役は原則として執行役員を兼務することで、取締役会が効率的に業務の執行を決定するとともに、実効的な経営の監督機能を発揮する体制を確保しております。また、経営の透明性の向上と取締役会の実効的監督機能の強化を図る観点に加え、独立した立場から、自らの知見に基づく助言、経営の監督、利益相反取引の監督を行うとともに、ステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させることで社内出身者とは異なる客観的な視点を経営に活用するため、取締役全12名中5名の社外取締役を選任しております。
この社外取締役には、資源・エネルギー業界や財務・法務その他の分野において、企業経営経験者、学識経験者又はその他の専門家等として、豊富な経験と幅広い見識を有する社外の人材を選任することとしております。
また、当社の監査役は、全5名中4名が社外監査役であり、かつ監査役の独立性と監査の実効性を確保し、監査機能の強化を図るべく、法令に基づき監査役会を設置するとともに監査役の職務を補助するための組織である監査役室に専任の監査役補助者を置き、更に内部監査部門(監査ユニット)や会計監査人との連携を強化するなどの取り組みを行っております。
会社の機関等の概要は以下のとおりです。
a)取締役及び取締役会
取締役会は、株主に対する受託者責任を認識した上で、実効的なコーポレート・ガバナンスの実現により、十分な監督機能を発揮するとともに、経営の公正性・透明性を確保し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ることを責務としています。
当社の取締役会は12名で構成され、うち5名は社外取締役であります。取締役会は、毎月1回開催するほか、必要に応じて随時開催し、経営戦略や重要な業務執行について審議・決定するとともに取締役の職務の執行を監督しております。
また、グローバルな経営環境の変化への即応性を高めるとともに、経営責任をより明確化するため、取締役の任期について1年としております。
b)経営会議
業務執行の決定に関しては、意思決定の迅速化の観点から、経営会議を設置し、取締役会の決議事項に属さない事項についての機動的な意思決定を行うとともに、取締役会の意思決定に資するための議論を行っております。経営会議は毎週ないし適宜開催されます。
c)執行役員制度
急速に変化する経営環境及び業容の拡大に的確・迅速に対応するため、執行役員制度を導入し、権限委譲を行うことで業務執行体制の明確化を図るとともに、一層機動的かつ効率的な経営体制を構築しております。なお、執行役員の任期については、事業年度毎の執行責任をより明確化するため、1年としております。
d)各種委員会
コーポレート・ガバナンスを有効に機能させるため、「指名・報酬諮問委員会」、「経営諮問委員会」、「コンプライアンス委員会」及び「サステナビリティ推進委員会」をそれぞれ設置しています。概要は以下の通りです。
i)指名・報酬諮問委員会
取締役の指名、報酬に係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化するため、取締役会の諮問機関として2017年1月に指名・報酬諮問委員会を設置、取締役等の指名と報酬について審議し、取締役会に答申しております。2022年度は5回開催しました。また、2023年3月28日開催の臨時取締役会において、改めて社内取締役2名、独立社外取締役3名が本委員として選任され、同日付にて就任しました。
本書提出日現在の委員は以下のとおりであります。
委員長:北村俊昭氏(代表取締役会長)
委員:上田隆之氏(代表取締役社長)、柳井準氏(独立社外取締役)、飯尾紀直氏(独立社外取締役)、西村篤子氏(独立社外取締役)
ⅱ)経営諮問委員会
国際的な政治経済情勢及びエネルギー情勢の展望、グローバル企業としての経営戦略の在り方、コーポレート・ガバナンスの強化の在り方等の諸課題について、外部有識者から取締役会に多面的かつ客観的な助言・提言を頂き、企業価値及びコーポレート・ガバナンスの向上を目指すことを目的として、2012年10月に経営諮問委員会を設置しております。本委員会は同分野に幅広い知見を有する大学教授等国内外の外部有識者から構成され、社内から代表取締役及び経営企画本部長等が出席します。2022年度は2回開催しました。
本書提出日現在の委員は以下のとおりであります。
委員:ケント カルダー氏、小山堅氏、竹内純子氏、安田隆二氏、山内昌之氏
ⅲ)コンプライアンス委員会
グループ全体として一貫したコンプライアンスの取組みを推進することを目的として、2006年4月にコンプライアンス委員会を設置しております。本委員会はコンプライアンス担当役員を委員長とし、常設組織の本部長・担当役員から構成され、コンプライアンスに関わるグループの基本方針や重要事項を審議し、コンプライアンス実践状況を管理しております。2022年度は6回開催しました。
本書提出日現在の委員は以下のとおりであります。
委員長:川野憲二氏(再生可能エネルギー・新分野事業本部長、米州事業ユニット及び戦略プロジェクト室担当、コンプライアンス担当、海外事業統括)
副委員長:佐瀬信治氏(総務本部長)、橘高公久氏(経営企画本部長、法務担当)
委員:山田大介氏(財務・経理本部長)、八方庸介氏(資材・情報システム本部長)、栗村英樹氏(技術本部長、HSE担当)、加藤博史氏(グローバルエネルギー営業本部長)、三浦和佳氏(国内エネルギー事業本部長)、島田伸介氏(上流事業開発本部長)、滝本俊明氏(水素・CCUS事業開発本部長)、渡邉章弘氏(アジア事業本部長)、大川人史氏(オセアニア事業本部長、パース事務所長、President Director Australia)、仙石雄三氏(欧州・中東事業本部長)、藤井洋氏(アブダビ事業本部長)、杉山広巳氏(国内E&P事業本部長)
ⅳ)サステナビリティ推進委員会
当社グループの社会的責任を果たし、社会の持続可能な発展に貢献する取組みを推進することを目的として、2012年4月にCSR委員会を設置しました。2021年11月には、同委員会をサステナビリティ推進委員会に改称しております。本委員会は代表取締役社長を委員長とし、代表取締役、総務本部長、経営企画本部長、コンプライアンス委員会委員長、コーポレートHSE委員会委員長から構成され、コーポレート・ガバナンスや気候変動対応を含め、サステナビリティに関する基本方針、同推進に関する重要事項等を審議します。2022年度は2回開催しました。
本書提出日現在の委員は以下のとおりであります。
委員長:上田隆之氏(代表取締役社長)
委員:北村俊昭氏(代表取締役会長)、川野憲二氏(再生可能エネルギー・新分野事業本部長、米州事業ユニット及び戦略プロジェクト室担当、コンプライアンス担当、海外事業統括)、橘高公久氏(経営企画本部長、法務担当)、佐瀬信治氏(総務本部長)、栗村英樹氏(技術本部長、HSE担当)
③ 内部統制システムの整備の状況
-業務の適正を確保する体制(内部統制システム)の整備についての決定内容-
当社の取締役会は「株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保する体制(内部統制システム)の整備」について以下のとおり決議しております。
a)当社の取締役及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
当社は、取締役及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するため、サステナビリティ憲章及び行動基本原則を策定し、この遵守と徹底を図るための体制を構築する。
当社は、コンプライアンス担当役員及び常設組織の本部長又は担当役員等を構成員とするコンプライアンス委員会を設置し、コンプライアンスに関わる基本方針や重要事項を審議し、その実践状況を管理するとともに、社内研修等を通じて周知徹底を図ることで、取締役及び使用人がその職務執行上、法令及び定款に則り、行動することを確保する。併せて、社内担当部署及び社外専門家(弁護士)等を窓口とした内部通報制度を整備する。
また、コンプライアンス体制及び関連社内規程を実効あらしめるために、社長直属の内部監査部門による監査、その他社内担当部署あるいは社外専門家による監査等を通じ、これを検証・評価するとともに、適宜改善を行う。
社長直属の内部監査部門は、内部監査規程に基づき、前年度の監査結果及び当年度の監査計画について、取締役会並びに常勤監査役及び監査役会へ報告する。
さらに、財務報告の正確性と信頼性を確保するために必要な体制を整備し、適正に運用するとともに、その有効性の評価を行う。
b)当社の取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
取締役は、その所管する職務の執行に係る文書その他の情報については、法令、定款及び社内規程等に則り、情報セキュリティ体制を整備し、適正に保存及び管理する。
c)当社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
当社グループの企業活動に関連する様々なリスクに対処するため、取締役は各担当部署と緊密な連携を図りつつ、リスクの特定・分析・評価を実施の上、社内規程・ガイドライン等に基づき、リスク管理を行う。
さらに、日常業務に係るリスク管理の運営状況等については、社長直属の内部監査部門による監査、その他社内担当部署あるいは社外専門家による監査等を通じ、これを検証・評価するとともに、環境の変化に応じた不断の見直しを行う。
d)当社の取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
取締役は、取締役の職務の執行が効率的に行われる体制を確保するため、以下の点に留意して事業運営を行う。
(1)重要事項の決定については、常勤の取締役、役付執行役員等で組織する経営会議を毎週ないし適宜開催し、迅速かつ適正に業務執行を行う。
(2)日常の職務遂行については、取締役会規程その他の社内規程に基づき権限の委譲が行われ、各レベルの責任者が迅速に業務を遂行する。
また、取締役会は、長期の経営戦略と中期の経営計画を策定するとともに、その進捗状況の報告を受ける。
当社は、業務の効率的運営及び責任体制の確立を図るため取締役等を本部長とする本部制を採用しているが、各本部等は、経営計画等を実現するため、重要なリスクとその対処方針に留意しつつ、事業環境に応じた主要なマイルストーンとなる取り組みを推進し、経営会議は、その進捗状況の報告を受ける。
e)当社及びその子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
イ)当社の子会社の取締役その他これらの者に相当する者(以下、「取締役等」という。)の職務の執行に係る事項の当社への報告に関する体制
当社は、グループ経営管理規程に基づき、子会社との間でグループ経営管理に係る契約を締結し、各社の重要事項について当社に報告を求め、又は承認する。
ロ)当社の子会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制
当社は、子会社におけるリスク管理について、グループ経営管理規程に基づき、当社グループ各社の相互の連携のもと、当社グループ全体のリスク管理を行う。
また、当社は、子会社に対して当社の社長直属の内部監査部門による監査、その他社内担当部署あるいは社外専門家による監査等に協力するよう求め、かかる監査等を通じ、子会社の日常業務に係るリスク管理の運営状況等を検証・評価するとともに、かかる検証・評価の結果を踏まえて、子会社に対して環境の変化に応じた不断の見直しを求める。
ハ)当社の子会社の取締役等の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
当社は、子会社の取締役等の職務の執行が効率的に行われる体制を確保するため、当社グループ全体において、長期の経営戦略と中期の経営計画を共有し、人的・資金的な経営資源を効率的に運用するとともに、当社の各社内規程等に準じ、以下の点に留意して事業運営を行うよう求める。
(1)子会社における重要事項の決定については、子会社の取締役会又は取締役合議にて決定を行う。
(2)子会社の日常の職務執行については、子会社における職務権限を定めた規程に基づいて権限の委譲が行われ、各レベルの責任者が迅速に業務を遂行する。
ニ)当社の子会社の取締役等及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
当社は、グループ全体に適用されるコンプライアンス体制(内部通報制度を含む)を構築し、子会社の取締役、監査役その他これらの者に相当する者及び使用人に対して周知徹底する。
当社は、子会社の協力を得て、子会社に対し、当社の社長直属の内部監査部門による監査、その他社内担当部署あるいは社外専門家による監査等を実施する。
当社は、子会社において取締役等及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制が構築されるよう、グループ経営管理規程に基づき、子会社との間でグループ経営管理に係る契約を締結する。
f)当社の監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項、当該使用人の当社の取締役からの独立性に関する事項及び当該使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項
当社は、監査役の監査の実効性を高めるべく、監査役の職務を補助するための執行部門から独立した組織である監査役室を設置し、専任の使用人を置く。
当該使用人は、監査役の指揮命令に従うものとし、当該使用人の人事評価、人事異動及び懲戒処分は、事前に常勤監査役の同意を必要とする。
g)当社の監査役への報告に関する体制
当社の取締役及び使用人並びに子会社の取締役、監査役その他これらの者に相当する者及び使用人又はこれらの者から報告を受けた者は、当社の監査役に対して、法令に定める事項、当社及びグループ各社に重大な影響を及ぼす事項その他当社の監査役がその職務遂行上報告を受ける必要があると判断した事項について、報告及び情報提供を行う。
また、当社の監査役は、当社の取締役会その他重要な会議に出席するとともに、稟議の回付等を受けて、常に業務上の情報を入手できるようにする。
当社グループの内部通報制度においては、コンプライアンス担当役員は、当社グループの取締役、監査役その他これらの者に相当する者並びに使用人及び退職後1年以内の使用人からの内部通報の状況について、速やかに当社の常勤監査役に対して報告する。
h)前号の報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制
当社は、当社の監査役へ報告を行った当社グループの取締役、監査役その他これらの者に相当する者及び使用人に対し、当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを行うことを禁止するとともに、その旨を周知徹底する。
また、当社グループの内部通報制度においては、報告者に対する不利な取扱いが確認された場合には、不利な取扱いをした者及びその所属部門長等は、就業規則等に則った懲戒等の処分の対象となる。
i)当社の監査役の職務の執行について生ずる費用の前払又は償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関する事項
当社は、監査役がその職務の執行について、当社に対し、会社法第388条に基づく費用の前払又は償還の手続等の請求をしたときは、当該請求に係る費用又は債務が当該監査役の職務の執行に必要でないことを証明した場合を除き、速やかに当該費用又は債務を処理する。
j)その他当社の監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
代表取締役は、監査役と定期的な会合を実施するとともに、適宜必要な情報を提供し、監査役との意思疎通を図る。併せて、当社は、監査役と社外取締役との定期会合の機会を確保し、相互連携と情報共有の充実を図る。
また、当社は、監査役が内部監査部門とも連携し、定期的に報告を受けることができる体制を整えるなど、監査の実効性の向上を図る。
さらに、監査役の監査の実施に当たり、弁護士、公認会計士、税理士等の社外専門家と緊密に連携が取れるようにする。
-業務の適正を確保する体制(内部統制システム)の運用状況の概要-
当社は、「株式会社の業務の適正を確保するための体制(内部統制システム)の整備」についての決定内容に基づき、内部統制システムを適切に運用しておりますが、本書提出日現在の主な運用状況の概要は、次のとおりです。
<コンプライアンス体制>当社は、当社グループの行動規範(Code of Conduct)を制定し、全ての役員及び従業員に対し、法令遵守はもちろんのこと、社会規範を尊重し、高い倫理観を持った行動をするよう義務付けております。また、コンプライアンス委員会を定期的及び随時に開催し、コンプライアンスの実践状況等を確認するとともに、取締役会にも報告しております。
コンプライアンス委員会で決議した活動計画に従い、社内の各種ツールを利用したコンプライアンスに関する情報発信や、定例の社内コンプライアンス研修等の開催に加えて、当年度の重点的な活動として、役員及び従業員におけるコンプライアンスの浸透度や遵守状況の把握等のために意識調査を実施したほか、e-Learningによるハラスメントや贈収賄・汚職の防止に関する講習を行いました。また、各部署に配置したコンプライアンス推進担当者とコンプライアンスを統括する部署の担当者との会合を半期毎に開催するなど、職場全体としてのコンプライアンス活動の拡充・強化に取り組みました。
グローバルに事業を展開する当社グループのコンプライアンス体制を更に強化するため、国内外の当社グループ社員から、経営上のリスクが特に高い贈収賄・汚職、競争法違反、不正な会計処理の3つの分野に関して、多言語での受付を可能とするグローバルな内部通報制度を運用するとともに、贈収賄・汚職防止に係る当社グループの姿勢を包括的に明示する「INPEXグループグローバル贈収賄・汚職防止方針」を公表しております。
また、人権尊重に対する当社の姿勢を明示するため、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく「INPEXグループ人権方針」を策定・公表しております。さらに、企業の事業とサプライチェーン上の奴隷労働及び人身取引などの人権侵害の防止への取組み等を明らかにすることを目的に2015年10月に施行された英国法「Modern Slavery Act 2015」への対応として、当社ウェブサイト並びに英国政府のオンライン登録サイト上に”Modern Slavery Act Statement(英国現代奴隷法ステートメント(日本語版は仮訳))”を開示するとともに、2021年度からは豪州法「Modern Slavery Act 2018」に基づき、豪州における当社グループの人権侵害の防止への取組み等に係るステートメントについても開示しております。
2022年度には人権や公正な企業活動、機密保持等のコンプライアンスに関わる事項を含むESGへの取組みをサプライチェーン全体で強化すべく「サプライヤー行動規範」を制定しました。今後は当社標準契約書の中に含める形式で契約先サプライヤーに遵守を求めて参ります。
グローバルに事業を展開する当社グループは、税務コンプライアンスに関する基本的な考え方を表明する「税務方針」を策定・公表しており、クロスボーダー取引に係る税務等に適切に対応するため、税務ガバナンス体制の強化に取り組んでおります。
当社では、社内担当部署及び社外専門家(弁護士)等を窓口とした内部通報制度を整備しておりますが、本年度は、重大な法令違反等に関わる内部通報案件はありませんでした。
また、本年度に施行された公益通報者保護法の改正に伴い、当社の内部通報制度において必要となる法的な対応を実施しております。
<リスク管理体制>事業に関連する様々なリスクに対処するため、まず、石油・天然ガス上流事業における新規プロジェクトの取得に際しては、上流事業開発本部により一元的に採否の分析・検討を行っています。また、探鉱、評価、開発等の各フェーズにおける技術的な評価等を組織横断的に行うための仕組みとして「INPEX Value Assurance System(IVAS)審査会」を運営しているほか、各プロジェクトのリスク及び対処方針を定期的に見直すとともに、主要なプロジェクトについては取締役会にて報告しております。
次に、再生可能エネルギー事業や水素・CCUS事業に関しては、再生可能エネルギー・新分野事業本部及び水素・CCUS事業開発本部がそれぞれ担当する事業の総合調整をしています。IVAS審査会や外部専門家の検証を実施するとともに、重要なプロジェクトについては取締役会にて報告しております。
また、事業を行う国や地域のカントリーリスク管理に係るガイドラインを制定し、リスクの高い国には累積投資残高の目標限度額を設定する等の管理を行っております。
さらに、為替、金利、原油・天然ガス価格、及び有価証券価格の各変動リスクを特定し、それらの管理・ヘッジ方法を定めることで財務リスク管理を行っております。
また、HSE(健康・安全・環境)リスクに関しては、当社の事業活動における安全衛生、プロセスセーフティ、環境保全の継続的改善を推進するため、HSEマネジメントシステムで定めるHSEリスク管理要領に基づき、事業所毎にHSEリスクの特定、分析・評価を行っています。また、リスク対応策を策定、実行するとともに、HSEリスクを監視するため、リスク管理状況を定期的に本社に報告させ、本社ではこれを確認しております。さらに、セキュリティに関するリスク等についても、関連する要領や指針をもとに全社的な管理に取り組んでおります。さらにノンオペレータープロジェクトのHSE管理についても、各プロジェクトのリスクに応じたHSE関与を推進しております。
一方、大規模な事故や災害等による緊急事態に対応できる能力を高めるため、緊急時・危機対応計画書を策定・維持するとともに、平時より緊急時対応訓練を定期的に実施する等、積極的にリスク管理に努めております。また、重要な業務を停止させないために事業継続計画(BCP)を策定しており、2020年以降の新型コロナウイルス感染拡大に際しては、BCPを発動して、感染症対策や在宅勤務を含めた必要な対策を実施するとともに、コーポレート危機対策本部を立ち上げ、海外事業所を含めた全社的な状況把握を実施しています。
このほか、重要な契約や訴訟等に関する事業部門及び経営陣への適切な法的助言ができる体制の整備並びに国内外の事業への法務サポート機能のさらなる充実のため、リーガルユニットを独立した組織とし、リーガルリスクの管理も強化しております。
また、情報セキュリティ委員会を定期的及び随時に開催し、組織的・体系的な情報セキュリティ対策を講じるとともに、情報漏えい防止を含む教育・訓練も実施しております。
<職務執行の効率性を確保するための体制>2018年5月に「ビジョン2040」及び「中期経営計画 2018‐2022」を策定し、2021年1月には、気候変動対応目標及びネットゼロカーボン社会に向けた当社の事業戦略をお示しした「今後の事業展開~2050ネットゼロカーボン社会に向けて~」(以下、「今後の事業展開」)を公表しました。そして、2022年2月に「長期戦略と中期経営計画(INPEX Vision @2022)」(以下、「INPEX Vision @2022」)を発表致しました。今般の「INPEX Vision @2022」におきましては、上記の経営環境の変化を踏まえつつ、2030年及び2050年に向けた当社の長期戦略をお示しするとともに、具体的な取り組みと目標を掲げた2022年から2024年までの3年間の中期経営計画を策定しております。長期戦略と中期経営計画を実現するための経営執行部門の事業運営方針である全社取組方針を踏まえ、全社の2022年度計画・目標を策定するとともに、中間及び期末にその進捗状況の振り返りを実施し、その評価結果について取締役会に報告しております。
また、「INPEX Vision @2022」の内容に則して、2022年3月に当社の「気候変動対応の基本方針」を一部改定しました。同基本方針に基づく気候変動対応の推進状況を具体的に紹介する「INPEXの取組み」についても、前回の改定以降の業務実績(2021年2月~2022年3月)及び進行中の取組みを改定しました。なお、「INPEXの取組み」については原則として毎年1回その進捗を取締役会に報告することとしております。
<グループ会社の経営管理体制>グループ経営管理規程及びグループ経営管理に係る契約に基づき、当社は、グループ会社との間で重要事項について報告を求め、又は承認をしております。また、当社の内部監査部門である監査ユニットが、年度監査計画に基づき子会社の監査を実施するとともに当社取締役会並びに常勤監査役及び監査役会に監査結果を報告しております。
一方、グループ運営に当たっては、海外プロジェクトの子会社について当社との兼務体制を活用するとともに、併せて資金面では、Cash Management Systemによるグループ資金の一元管理体制を通して資金効率を高めているほか、シンガポール共和国に設立した当社金融子会社でのグループ内ファイナンス業務の集中管理等、効率的な事業運営を図っております。
当社の内部通報制度はグループ全体に適用されるものとなっており、当社及び各子会社における研修及び周知活動を通じて、通報者に対する不利な取り扱いの禁止を徹底しております。
<監査役の監査の実効性を確保するための体制>監査役は、監査の実効性の向上を図るため、取締役会のほか経営会議等の重要な会議への出席、各部門に対するヒアリング、代表取締役をはじめ各取締役との会合等を通じて、必要な情報収集と意見交換を行っております。また、当社の内部監査部門である監査ユニットの年度監査計画の策定に際して意見交換を行い、かつ、個々の監査結果について随時報告を受けるほか、会計監査人から四半期毎の決算のレビュー結果を含め必要な報告を受けるなど、内部監査部門及び会計監査人と緊密に連携を取っております。
さらに、常勤監査役は、コンプライアンス担当役員より、内部通報の内容及びその対応について速やかに報告を受けております。
なお、執行部から独立した専任の使用人を配置する組織として監査役室が設置され、監査役の職務を補助しております。
④ リスク管理及び企業倫理
当社は、激しく変化する事業環境の中で、企業価値の向上を図るためには、事業運営に伴うリスクを適切に管理することにより、損害の発生・拡大を未然に防止するとともに、顧客、取引先、投資家等の当社に対する信頼の維持・強化を図ることが重要であると認識しており、継続的にリスク管理の強化に努めております。
また、企業の持続的な発展に必要不可欠なコンプライアンス体制を体系的に整備し、法令遵守・企業倫理の徹底に努めております。具体的には、グループ全体として一貫した取り組みを推進するため、コンプライアンス委員会を設置しています。加えて、サステナビリティ憲章のもと、業務を遂行する上で守るべき行動基本原則を実践できるよう、コンプライアンスを具現化するための遵守事項を規定した行動規範を定めております。また、全社的なコンプライアンスの浸透を図るため、各職場にコンプライアンス推進担当者を配置し、定例会を開催するなど、役員及び従業員のコンプライアンス意識の向上を図っています。
コンプライアンスに関する重大な事案が発生した場合には、コンプライアンス担当役員やコンプライアンス委員会が迅速に対応策を検討、実施する体制を確立しています。コンプライアンス担当役員及びコンプライアンス委員会は、監査役や監査役会、会計監査人、内部監査部門である監査ユニット並びに子会社等の相当する機関または部署と連携し、(1)コンプライアンスに関する施策の立案、実施、(2)実施状況のモニタリング、(3)コンプライアンス意識の啓発、(4)違反についての報告受付と調査、(5)違反に対する中止勧告そのほかの対応、(6)違反の再発防止策の策定などを行っています。
その他、グループ全体に適用される内部通報制度を整備するとともに、業務テーマ別、階層別の社内コンプライアンス研修を定期的に実施しています。さらに、海外事務所においては、各国の法令・文化に沿った行動規範を整備・運用し、グローバルなコンプライアンス体制の強化を進めています。
⑤ 情報開示
当社は、経営の透明性、経営者のアカウンタビリティを向上させるべく、プレスリリース等の広報活動やホームページを通じた情報の適時・適切・公平な開示を行うとともに、株主や投資家の皆様とのエンゲージメントや株主総会を通じて、当社グループへの理解促進を図っております。
社内体制については、適時開示体制を体系的に整理した会社情報開示規程を制定し、当社グループ全体の情報管理、伝達・開示プロセス等を定め、情報開示体制を整備しております。
⑥ 当社のコーポレート・ガバナンス体制(模式図)

⑦ 株式会社の支配に関する基本方針
a)基本方針の内容
当社グループは、今後も増加する我が国及び世界のエネルギー需要に応え、長期にわたり引き続き、エネルギー開発・安定供給の責任を果たしつつ、2050年ネットゼロカーボン社会の実現に向けたエネルギー構造の変革に積極的に取り組みます。具体的には、石油・天然ガス分野を引き続き基盤事業と位置づけ、事業の強靭化とクリーン化を進めることにより、エネルギーの安定供給と気候変動への責任ある対応という二つの社会的責任を果たしてまいります。さらに、ネットゼロカーボン社会に向け、気候変動対応目標を定めるとともに、水素事業、石油・天然ガス分野のCO2低減(CCUS他)、再生可能エネルギーの強化と重点化、カーボンリサイクルの推進と新分野事業の開拓、森林保全の推進のネットゼロ5分野を推進します。
b)財産の有効な活用及び不適切な支配の防止のための取り組み
当社グループは、資本効率性・財務健全性を意識しつつ、強固な財務体質を活かして、石油・天然ガス資源の安定的かつ効率的な供給を可能とするために事業基盤の拡大を目指し、探鉱・開発活動及び供給インフラの整備・拡充等への成長投資を行います。当社グループは、プロジェクトが生み出すキャッシュを、成長投資と株主還元にバランスよく配分することで、新たなキャッシュの創出と株主価値の増大を図り、持続的な企業価値の向上を目指します。
また、当社は、上記a)の方針に基づき、投機的な買収や外資による経営支配等により、中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に背反する形での経営が行われること又は否定的な影響が及ぶことがないよう、経済産業大臣に対し甲種類株式を発行しております。
その内容としては、ⅰ)取締役の選解任、ⅱ)重要な資産の全部又は一部の処分等、ⅲ)当社の目的及び当社普通株式以外の株式への議決権(甲種類株式に既に付与された種類株主総会における議決権を除く。)の付与に係る定款変更、ⅳ)統合、ⅴ)資本金の額の減少、ⅵ)解散、に際し、当社の株主総会又は取締役会の決議に加え、甲種類株式の株主による種類株主総会(以下、「甲種類株主総会」という)の決議が必要とされております。ただし、ⅰ)取締役の選解任及びⅳ)統合については、定款に定める一定の要件を充たす場合に限り、甲種類株主総会の決議が必要とされております。甲種類株主総会における議決権の行使に関しては、甲種類株主が令和4年経済産業省告示第54号に定める甲種類株式の議決権行使の基準に則り、議決権を行使できるものとしております。
当該基準では、上記ⅰ)及びⅳ)に係る決議については、「中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に背反する形での経営が行われていく蓋然性が高いと判断される場合」、上記ⅲ)の当社普通株式以外の株式への議決権(甲種類株式に既に付与された種類株主総会における議決権を除く。)の付与に係る定款変更の決議については、「甲種類株式の議決権行使に影響を与える可能性のある場合」、上記ⅱ)、ⅲ)当社の目的に係る定款変更、ⅴ)及びⅵ)に係る決議については、「中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に否定的な影響が及ぶ蓋然性が高いと判断される場合」のみ否決するものとされております。
さらに、当社の子会社定款においても子会社が重要な資産処分等を行う際に、上記ⅱ)の重要な資産の全部又は一部の処分等に該当する場合には、当該子会社の株主総会決議を要する旨を定めており、この場合も当社取締役会の決議に加え、甲種類株主総会の決議を必要としています。なお、当社の取締役会は、甲種類株主による甲種類株式の議決権行使を通じた拒否権の行使に関して権能を有しておらず、従って甲種類株式は当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
c)上記b)の取り組みについての取締役会の判断
上記b)の取り組みは、我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現及び持続的な企業価値の向上を目指すものであり、上記a)の方針に沿うものであります。
また、上記b)の甲種類株式は、拒否権の対象が限定され、その議決権行使も令和4年経済産業省告示第54号に定める経済産業大臣による甲種類株式の議決権行使の基準に則り行われることから、経営の効率性・柔軟性を不当に阻害しないよう透明性を高くし、その影響が必要最小限にとどまるよう設計されておりますので、上記a)の方針に沿うものであり、株主の皆様の共同の利益を損なうものではないと考えております。
⑧ 役員等との間で締結する契約
a)責任限定契約の内容の概要
当社は、会社法第427条第1項及び当社定款の規定に基づき、各社外取締役及び各監査役との間で、会社法第423条第1項に定める損害賠償責任を限定する契約を締結しております。当該契約に基づく損害賠償責任の限度額は、会社法第425条第1項に定める最低責任限度額としております。
b)役員等との間で締結している補償契約の内容の概要
当社は、各取締役及び各監査役との間で、会社法第430条の2第1項に規定する補償契約を締結し、同項第1号の費用及び同項第2号の損失を法令の定める範囲内において当社が補償することとしております。ただし、各取締役及び各監査役が、自己若しくは第三者が不正な利益を図る又は当社に損害を加える目的で職務を執行したことが判明した場合には補償を受けた費用等を返還させることとしております。
c)役員等を被保険者として締結している役員等賠償責任保険契約の内容の概要
当社は、当社及び当社子会社69社の取締役、監査役及び当社執行役員を被保険者とする役員等賠償責任保険契約を締結しており、被保険者である役員がその職務の執行に関し責任を負うこと又は当該責任の追及に係る請求を受けることによって生ずることのある損害が補填されます。ただし、故意又は重過失に起因して生じた当該責任は補填されない等の免責事由があります。また、保険料は全額当社が負担しております。
⑨ 取締役の定数
当社の取締役は16人以内とする旨定款に定めております。
⑩ 取締役の選任及び解任の決議要件
当社は、取締役の選任決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨定款に定めております。また、取締役の選任決議は、累積投票によらない旨定款に定めております。
なお、「取締役の選解任」につきましては、株主総会の決議に加え、甲種類株主総会の決議が必要となる場合がある旨定款に定めております。この内容につきましては後記「⑫ 種類株式について」をご参照下さい。
⑪ 取締役会にて決議できる株主総会決議事項
当社は、将来の機動的な資本政策の遂行を可能とするため、会社法第165条第2項の規定により、取締役会の決議によって市場取引等により自己の株式を取得することができる旨定款に定めております。
当社は、取締役及び監査役が、期待される役割を十分に発揮できるよう、会社法第426条第1項の規定により、任務を怠ったことによる取締役(取締役であった者を含む。)及び監査役(監査役であった者を含む。)の損害賠償責任を、法令の限度において、取締役会の決議によって免除することができる旨定款に定めております。
当社は、株主への機動的な利益還元を行うことを目的として、取締役会の決議によって、毎年6月30日の最終の株主名簿に記載又は記録された株主又は登録株式質権者に対し、会社法第454条第5項の規定による中間配当を行うことができる旨定款に定めております。
⑫ 種類株式について
当社定款においては、経営上の一定の重要事項の決定について、株主総会又は取締役会の決議に加え、甲種類株主総会の決議が必要である旨が定められております。甲種類株式は、経済産業大臣に対して発行しております。また、甲種類株式は当会社株主総会において議決権を有しておりません(ただし、法令に別段の定めがある場合はこの限りではありません)。
経営上の一定の重要事項は、「取締役の選解任」、「重要な資産の全部または一部の処分等」、「定款変更」、「統合」、「資本金の額の減少」及び「解散」であります。このうち「取締役の選解任」及び「統合」については、当社普通株式について公的主体以外の、単一の株主又は単一の株主とその共同保有者の議決権割合が100分の20以上の場合に、甲種類株主総会の決議が必要となります。
経済産業大臣は、甲種類株式による拒否権の行使(甲種類株主総会における不承認の決議)について、平成18年4月3日経済産業省告示第74号をもって甲種類株式の議決権行使の基準を制定しております。経済産業大臣が拒否権を行使できる場合は、上記重要事項ごとに、「中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に背反する形での経営が行われていく蓋然性が高いと判断される場合」、又は「中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に否定的な影響が及ぶ蓋然性が高いと判断される場合」、又は「甲種類株式の議決権行使に影響を与える可能性のある場合」となっております。同告示は数次の改正を経て、現在は令和4年3月24日経済産業省告示第54号において改めて告示されております。
このような機能を有する甲種類株式を経済産業大臣が保有することにより、投機的な買収や外資による経営支配等により、中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に背反する形での経営が行われること又は否定的な影響が及ぶことがないよう、当社の役割が確保されると考えられるとともに、ナショナル・フラッグ・カンパニーとして我が国向けエネルギーの安定供給の効率的実現の一翼を担うことが期待され、対外的な交渉や信用などの面で積極的な効果も期待できること等が、甲種類株式を発行した目的であります。当社の取締役会は、甲種類株主による甲種類株式の議決権行使を通じた拒否権の行使に関して権能を有しておらず、したがって甲種類株式は当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。また、当社としては、甲種類株式による拒否権の対象が限定され、拒否権行使についても同基準の設定がなされていることにより、当社の経営の効率性・柔軟性を不当に阻害しないよう透明性を高くし、またその影響が必要最小限にとどまるよう設計されているものと考えております。