有価証券報告書-第70期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/22 15:38
【資料】
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【項目】
121項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
1.財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末における資産の残高は535億9千8百万円(前年同期比8.7%減)となり、前連結会計年度末に比べ50億8千1百万円の減少となりました。主な要因としましては、「販売用不動産」、「受取手形・完成工事未収入金等」の減少によるものです。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債の残高は255億5千8百万円(前年同期比26.1%減)となり、前連結会計年度末に比べ90億1千9百万円の減少となりました。主な要因としましては、「支払手形・工事未払金等」、「一年以内長期借入金」の減少によるものです。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産の残高は280億4千万円(前年同期比16.3%増)となり、前連結会計年度末に比べ39億3千8百万円の増加となりました。主な要因としましては、「利益剰余金」の増加によるものです。
2.経営成績
経営成績については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」に記載のとおりで、その詳細は以下のとおりです。
(売上高)
当連結会計年度における完成工事高は、前年同期比16.2%減少の553億7千3百万円となりました。一方で、兼業事業の売上高は、前年同期比242.2%増加の156億7千9百万円となりました。この結果、売上高は前年同期比0.5%増加の710億5千2百万円となりました。
(営業利益)
営業利益は、前年同期比108.5%増加の47億9千7百万円となりました。
(経常利益)
経常利益は、営業利益の増加により、前年同期比104.8%増加の52億4千7百万円となりました。
(当期純利益)
当期純利益は、負ののれん発生益を計上した一方で、減損損失の計上により前年同期比18.7%増加の28億5千3百万円となりました。
3.資金の状況及び財務内容について
(単位:百万円)

項目前連結会計年度当連結会計年度増減
営業活動によるキャッシュ・フロー△1,3268,5459,871
投資活動によるキャッシュ・フロー1,933△1,139△3,072
財務活動によるキャッシュ・フロー484△4,728△5,212
現金及び現金同等物期末残高7,49310,4792,986

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動において85億4千5百万円の増加、投資活動においては11億3千9百万円の減少、財務活動において47億2千8百万円の減少となりました。
営業活動による資金の増加の主な内訳は、たな卸資産の減少により資金が49億2千2百万円増加したこと、税金等調整前当期純利益の増加により資金が46億5千6百万円増加したこと、売上債権の減少により資金が39億5千1百万円増加した一方で、仕入債務の減少により資金が58億3千9百万円減少したことによるものです。
投資活動による資金の減少の主な内訳は、定期預金の預入及び払戻しによる資金の減少3億9千9百万円に加え、有形固定資産の取得による支出により資金が7億7千9百万円減少したことによるものです。
財務活動による資金の減少の主な内訳は、長期借入金の返済による支出により資金が41億4千8百万円減少したこと、配当金の支払いにより資金が5億5千9百万円減少したことによるものです。
(単位:百万円)

前連結会計年度当連結会計年度増減
総資産58,67953,598△5,081
負債合計34,57725,558△9,019
純資産合計24,10228,0403,938
自己資本比率38.5%49.2%10.7%

当連結会計年度は前連結会計年度に比べ、総資産は流動資産が60億3千7百万円減少、固定資産が9億5千6百万円増加したため、合計で50億8千1百万円減少しました。流動資産の減少の主な要因は、販売用不動産が45億1千3百万円、受取手形・完成工事未収入金等が39億4千万円減少したことによるものです。固定資産の増加の主な要因は、投資有価証券が12億6千6百万円増加したことによるものです。
負債は流動負債が88億2千7百万円の減少、固定負債においては1億9千1百万円の減少となり、合計で90億1千9百万円減少しました。流動負債の減少の主な要因は、支払手形・工事未払金等が58億3千4百万円減少したことによるものです。固定負債の減少の主な要因は、退職給付に係る負債が5億7百万円減少したことによるものです。
4.現状と見通し
今後の我が国経済の見通しにつきましては、国内需要は2年連続で主要企業においてベースアップが実施されるなど雇用・所得環境が改善傾向にあり、その裾野が中堅・中小企業へ広がることによって、今後も個人消費や住宅投資が堅調に推移することが予想されます。また、企業収益も引き続き回復基調にあることから、民間企業の設備投資は堅調に推移すると予想されます。一方、世界経済においては、我が国経済と密接な関連のある米国経済の動向が今後の重要な要因となりますが、その他にも新興国や資源国の経済動向、更に債務問題などを抱える欧州経済においても、依然として不確実性が存在しています。しかしながら、世界経済全体としてみた場合には先進国を中心に総じて回復基調にあると考えられています。
次期は当社グループの中核を成す建設事業において創立70周年を迎える記念の年にあたります。前述のような内外経済の動向を慎重に見極めるとともに、建設事業においては受注段階における不採算工事の排除を徹底し、積極的な営業情報の収集活動に努めて参ります。更に収益確保に向け、調達コストに関する市場動向に細心の注意を払い、原価管理の強化を引き続き図って参ります。今後とも「総親和」の精神により役職員一丸となって収益性に重点を置いた経営施策を展開し、財務体質の健全性を維持しつつ更なる成長を目指して参ります。
他のゴルフ場、ホテル、広告代理店の各事業におきましても、国内外の経済変動によって、業況が大きく変動する可能性もありますが、当社のグループの総合力を発揮して、持続的な成長に向け鋭意努力して参ります。
これらの方針により、次期の当社グループの見通しとしましては、総売上高670億円、営業利益14億5千万円、経常利益16億円の達成に注力して参ります。
5.経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループが主に事業を展開している建設業界におきましては、各種経済対策の効果もあり、公共投資が引き続き高水準で推移し、企業収益の改善に伴い設備投資も増加基調にあることから、受注環境の改善が図られています。一方、労働者は依然として不足傾向にあることから、調達コストが更に上昇する可能性があること、並びに引き続く同業他社との受注競争を踏まえると収益面においては依然として楽観視できない経営環境にあると認識しています。また、このような経営環境の下、受注段階における事前の検証の徹底、営業機能と施工機能の連携強化により、顧客のニーズに対し迅速かつ適切に対処することが求められていると考えています。
かかる状況下において、当社は経営上の最重要方針として「品質管理・安全管理・コンプライアンス遵守の徹底」を大きな柱として掲げています。役職員に対する周知徹底、常に業務改善に向けた日々のPDCAサイクルを認識しながら、最重要方針の実現に向けて、より高いレベルで社内体制の強化を図ります。更に当社はコーポレートステートメントとして「未来を育てる人がいる」を掲げ、当社の企業価値を生みだす資産は人材であるとの共通認識を持ち、役割・責任・権限を明確化した新人事制度へ移行します。これにより、意思決定の迅速化、適材適所による人材育成に注力し、高品質、高付加価値なものづくりを通じて、社会並びに各ステークホルダーに対する貢献と責任を果たしていきます。
更に内部留保の充実による財務健全性の堅持、株主の皆様に対する安定的な配当の継続により、企業価値の更なる向上に努めたいと考えています。