有価証券報告書-第68期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/22 9:14
【資料】
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【項目】
122項目

対処すべき課題

今後のわが国経済の見通しにつきましては、雇用・所得環境の改善傾向が続く中、原油価格下落の影響や各種政策の効果等により、引き続き緩やかな回復基調が続くことが期待されますが、海外景気の下振れなど、景気を下押しするリスクに留意していく必要があります。
このような状況下、当社グループは、平成27年度から平成29年度までを実施期間とする『中期経営計画』を策定いたしました。
なお、『中期経営計画』の概要は、以下のとおりであります。
今回の中期経営計画は、当社グループが従来から掲げております『社会的責任』、『顧客主義』、『コンプライアンス』を経営の柱としながら、近年、大きく変化しつつある外部環境に対応するため、「付加価値向上」、「生産性向上」を図ることにより、当社グループの事業構造を変革し、新たな事業領域の拡大を強力に推進する期間と位置付けております。
①基本方針
本計画においての基本方針は、『「成長する産業分野での拡大」・「既存事業の維持・拡大」を軸に、付加価
値・生産性の向上を図り、事業構造変革を強力に推進する』とし、次の各事業の方向性に基づき、取り組んでまい
ります。
②事業の方向性
事 業 分 野方 向 性
プラント事業内外の事業環境の変化に対応するため「施工体制の再構築」と「生産体制の再構築」を推進し、生産性向上と戦力の充実化により、成長する産業分野の生産拡大と既存事業の維持・拡大を図る。
エンジニアリング事業エンジニアリング技術の強化を図りながら、3つの事業(プロジェクト事業・電気計装事業・診断サービス事業)の創出・拡大を推進する。
原子力事業受注体制・施工体制を整備し、主要顧客との良好なパートナー関係をベースに、原子力事業を推進する。
海外事業顧客の海外事業をサポートするグローバルパートナーとしての地位確立を目指し、積極的な経営資源の投入により海外事業を強化する。
装置事業超音波カッティング装置及び枚葉式ウェット処理装置を軸とした付加価値の高い装置事業を推進し、将来の装置事業拡大の基盤を整備する。

③数値計画(中期経営計画 最終年度:平成29年度)
売 上 高経 常 利 益当 期 純 利 益
連結業績 目標490億円18億円9億円
個別業績 目標430億円16億円8億円

④主要施策の内容
○事業の重点施策
◇プラント事業
プラント業界におきましては、石油精製・石油化学などの素材型産業を中心に、国内需要の縮小と安価な海外製品の流入により、生産設備の統廃合や海外移転が今後も継続することが見込まれ、更に熾烈な受注獲得競争が予想されます。また、少子高齢化の進展や大企業による採用者数の拡大により、採用環境は厳しさを増してきており、社員数を増大させることは困難になることが予想されます。このような状況の中、当社グループといたしましては、高度な安全・品質のレベルは維持しながらも、工事管理者・監督者の業務範囲の見直しを行い、これまでの施工体制をより効率化することで、社員の生産性向上を図ってまいります。また、近隣事業拠点間の連携をより強化しながら、協力会社も含めた戦力の最適配置を行うなど生産体制の効率化を図ってまいります。
◇エンジニアリング事業
当社グループがこれまで蓄積してきたエンジニアリング技術を更に強化し、業務範囲の拡大を行うことで、お客様への付加価値向上を図ってまいります。具体的には、EPC(設計・調達・施工)案件を中心とした「プロジェクト事業」や、プラントの電気計装やビルの空調計装の案件を中心とした「電気計装事業」の拡大を推進してまいります。
また、当社グループが保有するメンテナンス技術のひとつである「回転機械の設備診断技術」は、これまで既存分野のお客様向けにプラントメンテナンス事業の一環として診断サービスを提供してまいりましたが、今後、新規分野のお客様向けにも販売拡大を図り、「診断サービス事業」として積極的に展開してまいります。
◇原子力事業
原子力発電プラント向けに、設計・製作・施工まで一貫した対応が可能なプラントエンジニアリングメーカーとして、原子力発電所の安全対策工事や既設設備の改修工事の対応をしながら、受注体制及び施工体制を拡充してまいります。また、お客様である電力会社各社へ様々なメンテナンス技術サービスを提供してまいります。
◇海外事業
海外に進出しているお客様をサポートできるグローバルパートナーとしての地位確立を目指し、海外展開を積極的に推進してまいります。
既存事業拠点であるシンガポール高田工業及び高田マレーシアにおいては、ローカル企業との激しい受注競争の中、これまでの施工実績と技術力で差別化を行いながら、既存メンテナンスエリアの維持・拡大と新規顧客メンテナンスエリアへの参入、中小EPC案件の受注拡大により、売上高と利益の最大化・安定化を図ってまいります。また、前中期経営計画期間中に新たに設立したタイ高田につきましては、事業基盤の構築を推進してまいります。
◇装置事業
省エネの切り札と言われておりますパワー半導体や生活の安心・安全・快適性を向上させるための電子センサー類に使用されているMEMS半導体は、特殊半導体と呼ばれ、国内エレクトロニクス関連メーカーが今後も注力していく製品であります。これらの特殊半導体をターゲットとして、「超音波カッティング装置」並びに「枚葉式ウェット処理装置」の販売拡大を推進してまいります。また、海外販売につきましても、現地パートナーとの連携を図りながら展開してまいります。
○投資・財務方針
フリーキャッシュフローを安定的に確保し、事業継続のための維持・更新投資と成長戦略投資とのバランスを考慮しながら、投資の実行及び財務体質の強化を図ってまいります。
優先株式の処理につきましては、優先株主様のご意向を確認するとともに、当社グループといたしましては、早期に処理できるよう計画利益を確保し、着実に処理を進めてまいります。
○人材育成
当社グループの中長期的な事業構造変革に向けて、経営資源である人材の最適配置を進めていく中で、「技能社員の工事マネジメント教育」、「管理・監督能力向上のための教育」、「女性社員の活躍のための教育」を推進してまいります。
以上の『中期経営計画』の内容を着実に実行し、数値計画必達に向けて、鋭意努力してまいる所存でございます。