有価証券報告書-第69期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/07/29 14:15
【資料】
PDFをみる
【項目】
118項目

対処すべき課題

(1)企業価値の再生について
当社グループの不適切な会計処理・取引の問題により、株主や投資家の皆様をはじめ、お客様や取引先などのステークホルダーの皆様からの信頼を大きく毀損いたしましたことを心より深くお詫び申しあげます。
第三者委員会による調査報告書において、当社グループの不適切な会計処理・取引の根本的かつ主要な原因は、「適正な財務報告に関する意識の鈍麻・欠如」であるとともに、「受発注業務プロセスの不備」、「本社による管理・統制機能の脆弱性」、「コンプライアンス意識の欠如」であると指摘されました。
これを受け、当社グループは、実効性の高い再発防止策を策定し、かつ、実行していくための組織として、平成28年7月9日付で「業務改革部」を新設いたしました。第三者委員会が、認定した事実と原因分析に基づいた再発防止策の提言内容を真摯に受け止め、「業務改革部」を中心として、具体的な再発防止策を策定のうえ、実行してまいります。
なお、具体的な再発防止策は、策定次第、速やかに公表予定でありますが、第三者委員会からの提言内容(「当社の役職員の意識改革」、「場所の実情に見合った合理的な管理体制の構築」、「本社による管理・統制機能の改善・強化」、「不適切な会計処理・取引を防止する受発注業務プロセスの確立」)を踏まえ、株主や投資家の皆様をはじめ、お客様や取引先などのステークホルダーの皆様への信頼回復を目指していくとともに、当社グループの企業価値の再生を図っていくために、迅速かつ的確な対応を行ってまいります。
(2)各事業の重点施策の着実な実行について
今後のわが国経済の見通しにつきましては、引続き、緩やかな回復基調が継続することが期待されますが、海外景気の下振れに加え、原油の価格動向、金融資本市場の変動などの不安材料もあり、予断を許さない状況で推移するものと思われます。
当社グループの関連するプラント業界におきましては、今後も、お客様の生産設備の統廃合や海外移転の動向が懸念されるとともに、材料費や人件費等の上昇による企業収益の圧迫等の可能性も考えられ、厳しい経営環境が続くことが予想されます。
このような状況下、当社グループといたしましては、上記(1)の企業価値の再生を図っていくための具体的な再発防止策を推進することを最優先課題として対応していくとともに、平成27年度から平成29年度までを実施期間とする『中期経営計画』の2年目として、基本方針・事業の方向性を維持しながら各事業の重点施策の着実な実行を進めてまいります。
主要施策の内容
○事業の重点施策
◇プラント事業
プラント事業につきましては、今後も社員数の減少が見込まれる中、1人当たりの生産性向上を図るために、「施工体制の再構築」を推進してまいります。
また、近隣事業所間の連携強化の観点から、一部事業所・工場の統合(黒崎事業所・本社工場の統合:統合後の名称は本社工場)を実施するなど、戦略的かつ機動的な運営向上を推進するとともに、協力会社の育成・開拓にも努めてまいります。
◇エンジニアリング事業
エンジニアリング事業につきましては、より付加価値の高い工事案件への対応を実施してまいります。「プロジェクト事業」では、環境エネルギー分野及び医薬・ファイン分野などの新規分野におけるEPC案件にも取組んでまいります。
また、「電気計装事業」では、電気・計装工事情報の収集体制を強化していくことにより、対応可能な裾野拡大を図るとともに、診断サービス事業では、新たに電流情報量診断システムの機器販売を展開してまいります。
◇原子力事業
原子力事業につきましては、今後も原子力規制委員会の「新規制基準」の動向を注視するとともに、電力会社各社のニーズに沿った対応を実施してまいります。
また、多様なプラント案件等の設計・製作・施工に取組んでいくとともに、工期の延長がなされている特定重大事故等対処施設の案件にも適切に対応していくために、社内体制を強化し、技術・技能を担保してまいります。
◇海外事業
海外事業につきましては、タイ・タカダ・カンパニー・リミテッドを、東南アジア地区における地域統括会社として、今後運営開始することにより、同地区における海外子会社間の連携を促進してまいります。
なお、新たに子会社となりました、キクチ・インダストリー(タイランド)・カンパニー・リミテッドは、タイ石油公社と直接取引を行っている日系配管工事会社であり、日系企業のタイ進出時の工場建設等に対応するなど、タイでの事業基盤を確立してまいります。当社グループとしては、同社の施工技術・施工能力を、更に発展・拡大していくことにより、タイにおける事業展開を加速してまいります。
◇装置事業
装置事業につきましては、断面観察用超音波カッティング装置の販売台数が年々増加しておりますので、営業強化により更なる市場浸透を推進してまいります。
切断精度・品質向上のためのスケルトンカットなどのオプション機能、付帯サービス(カスタマーサポート体制、定期点検ビジネス)の充実、製造プロセスの効率化によるコストダウンの取組みなどを推進してまいります。
また、海外販売についても、効果的な展示会出展等により拡販を進めてまいります。
○投資・財務方針
投資・財務方針につきましては、キャッシュフローの管理を徹底していく中で、引続き、維持・更新投資と成長戦略投資とのバランスを考慮しながら、投資の実行及び財務体質の強化を図ってまいります。
優先株式の処理につきましては、優先株主のご意向を確認するとともに、当社グループといたしましては、早期に処理できるよう計画利益を確保し、着実に処理を進めてまいります。
○人材育成
人材育成につきましては、社員の高齢化が進む中で、ベテラン社員(特に高度熟練技能者)が減少傾向にあることから、経営資源である人材の最適配置を継続して推進していくとともに、各拠点別の特性に応じたOJTを含む育成計画の充実に努めてまいります。
また、採用活動につきましては、外国人留学生及び女性を視野にいれた、多様な人材の確保(特に技能社員)を検討してまいります。
以上の施策を着実に実行することで、「新たな事業分野の拡大」、「付加価値の向上」、「利益体質の定着」を図るとともに、当社グループの企業価値の再生を図っていくための具体的な再発防止策を推進してまいります。
株主や投資家の皆様をはじめ、お客様や取引先などのステークホルダーの皆様におかれましては、多大なるご迷惑とご心配をおかけいたしておりますことを、深くお詫び申しあげますとともに、二度とこのような不祥事が起きないよう、全社一丸となって構造的変革・法令遵守に努め、社業に邁進してまいる所存でございます。今後とも引続き一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。