有価証券報告書-第52期(2025/04/01-2026/03/31)
③ 事業リスク・機会の認識と事業戦略(戦略)
当社グループは、マテリアリティでもある「事業活動による気候危機への対応」を企業として重要な課題として認識しています。特に気候変動は当社グループの事業活動に対して、さまざまな「リスク」と「機会」をもたらす可能性があり、企業としてそれらに対応していくことが重要であると考えています。また、自然資本については、TNFDが推奨するLEAPアプローチにより当社グループの主要事業(建設、不動産賃貸、不動産開発、金融、国産バイオマス発電)の直接操業と上流・下流バリューチェーンにおける自然への依存・インパクト、リスク・機会を特定・評価しています。今後、当社グループが長期的に存続・成長していくために、これらの「リスク」と「機会」を見極め、企業としての強み(経営資源・専門性など)を活かしながら経営戦略への反映が必要であると考えています。
<事業リスク・機会の認識>■全事業にかかる気候変動・自然資本のリスク・機会
リスク・機会のインパクト要因には「気候変動」が含まれ、自然関連の依存、インパクト、リスク、機会の分析を行う際には気候変動に関しても併せて検討を行っています。気候変動は当社のマテリアリティとして2019年からシナリオ分析を用いた情報開示を行っていることから、引き続き、全事業を対象とした詳細な分析を実施しました。今回のTNFD提言を踏まえて実施した自然資本情報の分析結果と時間軸やリスク・機会の影響度の尺度を揃え、重複する情報は精査して、気候変動とそれ以外の自然資本のリスクと機会が横並びで確認できるよう統合します。
今回の分析で特定したリスク・機会は以下のとおりです。
・リスク・機会の時間軸は、短期 2029年、中期 2035年、長期 2050年としています。
・リスク・機会の影響度の検討では、影響度の閾値を以下のとおり設定しています。
なお、「影響度」はポジティブ・ネガティブの両方について確認しています。
大:全社的な売上・費用へ大きな影響を及ぼす(100億円以上)
中:全社的な売上・費用へ中程度の影響がある(20億円以上100億円未満)
小:全社的な売上・費用への影響は限定的(20億円未満)
・気候変動関連のリスク・機会については、考慮したシナリオの違いにより、影響度の結果に幅を持たせて開示しています。
・一部のリスク・機会項目における影響度については財務影響ではなく、企業・ブランドイメージなどへの影響も考慮しています。
<事業リスク・機会を踏まえた事業戦略>■ZEH・LCCM賃貸集合住宅普及の取組
当社は、2017年に国内初となる「戸建ZEH基準」を満たす賃貸集合住宅を完成させて以降、ZEH賃貸集合住宅の建設を積極的に推進しています。当社グループの温室効果ガス排出量スコープ3は、カテゴリー11の「販売した製品の使用」による排出量が60%以上を占めており、入居者様の暮らしの温室効果ガス排出量を削減することが、スコープ3の削減に直結しています。そこで、入居者様の暮らしの一次エネルギーを実質ゼロとするZEHの販売を積極的に推進し、2030年までに2017年比で温室効果ガス排出量「55%」削減を目指しています。
また、ZEHの次のステップともいえる「LCCM賃貸集合住宅」にも取り組んでいます。LCCM賃貸集合住宅は、住宅の一生(製造、輸送、施工、生活、改修、解体廃棄)全体のCO2排出量と、太陽光発電による創エネルギーで抑制されるCO2削減量の差が、ゼロ以下になる脱炭素住宅です。2014年より県立広島大学の小林謙介准教授と共同研究を行い、2022年10月にはLCCM基準を満たす賃貸集合住宅の新商品「NEW RISE LCCM(ニューライズ エル・シー・シー・エム)」を販売開始し、その普及を目指すプロジェクトが、2022年より国土交通省「サステナブル建築物等先導事業」に3年連続で採択されました。本取組は政策・法規制リスク、市場リスク、製品とサービスの機会に関する対応策となります。
■再生可能エネルギー100%に向けた取組
事業活動で使用する電力の再生可能エネルギー化100%に向けて、当社グループは2040年までに、市場からの調達ではなく、自社グループの施設から調達した再生可能エネルギー電力での事業運営を目指しています。
2024年には兵庫県朝来で、2025年には岩手県一戸でバイオマス発電所の稼働を開始しました。各発電所は国内間伐材を燃料にして24時間安定した再生可能エネルギーの発電が可能です。本発電所では、地元の木を使った燃料を循環させるスキームとしており、森林の育成を目的とした間伐材や、構造材として利用されない根株や枝葉を活用することで、森林の保全と国内林業の活性化に貢献しています。今後も引き続き、当社グループのRE100達成に向けた取り組みを推進していきます。本取組は、技術リスク、市場の機会に関する対応策となります。
■環境負荷の低減につながる木材建材CLT工法の推進
当社では、木造工法の主流である2×4工法に加えて、CLT(クロス・ラミネイティド・ティンバー)工法を推進しています。CLTは、多孔質で断熱性能が高い木板を互いに直角に交わるように積層接着した厚型パネルです。熱伝導率が極めて低く、外壁の構造躯体に使用した場合も断熱材を必要としないほどの断熱性能があり、省エネ住宅に最適な建材です。また、従来は建築材として適さなかった細い木や節の多い木を有効活用することができ、森林の健全な循環にも寄与します。
2019年10月には、日本初となるCLT工法による賃貸住宅を発売し、2023年1月に初の物件として、LCCM住宅認定を取得したCLTパネル工法の戸建賃貸住宅が都内に完成しています。木材は内部に温室効果ガスを固定することから、RC(鉄筋コンクリート)造よりも、温室効果ガスの削減に貢献します。また、建物を解体する際にも、RC造と比較して、温室効果ガスの排出を抑制した解体が可能です。解体された木材は、チップ化することにより燃料資源としてのリサイクルも可能であるため、ライフサイクル全体での環境負荷削減効果も期待できます。本取組は、政策・法規制リスク、市場の機会に関する対応策となります。
■持続可能な木材の調達
当社の事業の根幹を支え、環境への影響が大きい木材資源については、2023年に「木材調達方針」を改訂しました。ここでは、「森林破壊ゼロ」の実現を旗印に、合法性の確保、社会的持続性の確保、環境的持続性の確保という三つの規範に従って木材調達を進めることを掲げています。具体的には、自社で調達する構造材、仕上材・設備材、及び国産木質バイオマス燃料において、持続可能な木材調達比率100%を目標とし、産地の合法性や持続可能性を厳格に確認する「木材デューデリジェンス」を実施しています。
実際の運用にあたっては、サプライヤー各社様のご協力のもと、詳細なアンケートを実施し、産地や森林認証の有無、合法性を証明する書類の確認等を行い、必要に応じて個別のヒアリングを行っています。こうしたプロセスの積み重ねにより、トレーサビリティ(追跡可能性)を確保し、環境に配慮された木材を調達する体制を構築しています。本取組は、慢性リスク、市場リスク、評判リスクに関する対応策となります。
当社グループは、マテリアリティでもある「事業活動による気候危機への対応」を企業として重要な課題として認識しています。特に気候変動は当社グループの事業活動に対して、さまざまな「リスク」と「機会」をもたらす可能性があり、企業としてそれらに対応していくことが重要であると考えています。また、自然資本については、TNFDが推奨するLEAPアプローチにより当社グループの主要事業(建設、不動産賃貸、不動産開発、金融、国産バイオマス発電)の直接操業と上流・下流バリューチェーンにおける自然への依存・インパクト、リスク・機会を特定・評価しています。今後、当社グループが長期的に存続・成長していくために、これらの「リスク」と「機会」を見極め、企業としての強み(経営資源・専門性など)を活かしながら経営戦略への反映が必要であると考えています。
<事業リスク・機会の認識>■全事業にかかる気候変動・自然資本のリスク・機会
リスク・機会のインパクト要因には「気候変動」が含まれ、自然関連の依存、インパクト、リスク、機会の分析を行う際には気候変動に関しても併せて検討を行っています。気候変動は当社のマテリアリティとして2019年からシナリオ分析を用いた情報開示を行っていることから、引き続き、全事業を対象とした詳細な分析を実施しました。今回のTNFD提言を踏まえて実施した自然資本情報の分析結果と時間軸やリスク・機会の影響度の尺度を揃え、重複する情報は精査して、気候変動とそれ以外の自然資本のリスクと機会が横並びで確認できるよう統合します。
今回の分析で特定したリスク・機会は以下のとおりです。
| 分類 | 要因 | 依存/インパクト ■:依存 ●:インパクト | 分野 | 影響度 | ||||
| 気候 | 自然 | 短期 | 中期 | 長期 | ||||
| 移行リスク | 政策 ・法規制 | カーボンプライシング(炭素税等)の導入 | ●GHG排出量 | ○ | 大 | 大 | 小 | |
| 建築物省エネ法規制強化による建設コスト増 | ●GHG排出量 | ○ | 大 | 大 | 大 | |||
| 国内外の各種規制の整備・強化 | ■陸域利用 | ○ | 小 | 中 | 中 | |||
| 技術 | 再エネ発電電力の確保難(調達リスク) | ●GHG排出量 | ○ | 小 | 小 | 小 | ||
| ZEH・LCCM新基準への開発対応遅れ | ●GHG排出量 | ○ | 中 | 中 | 中 | |||
| 市場 | ZEH・ZEB等のニーズ拡大と市場競争激化 | ●GHG排出量 | ○ | 小 | 小 | 小 | ||
| 木材価格の高騰(ウッドショック等) | ■バイオマスの供給 ●GHG排出量 | ○ | ○ | 小 | 小 | 小 | ||
| 資源循環の進展によるバージン材の供給量減少 | ●資源使用/補充 | ○ | 小 | 中 | 中 | |||
| 緑化・都市再生に関する市場要求の高まり | ●陸域利用の変化 | ○ | 小 | 中 | 大 | |||
| 評判 | 気候変動対策(ZEB義務化等)への対応遅れ | ●GHG排出量 | ○ | 中 | 中 | 中 | ||
| 調達先・自社での法令違反やグリーンウォッシュ批判 | ■生息環境の維持 ●陸域利用の変化 ●資源使用/補充 | ○ | 中 | 中 | 中 | |||
| バイオマス燃料の不適切調達による生態系劣化 | ■洪水緩和 ■土壌と土砂の維持 ●資源使用/補充 ●汚染除去 | ○ | 中 | 中 | 中 | |||
| 分類 | 要因 | 依存/インパクト ■:依存 ●:インパクト | 分野 | 影響度 | ||||
| 気候 | 自然 | 短期 | 中期 | 長期 | ||||
| 物理的リスク | 急性 | 激甚災害(洪水・台風)による影響・損害 | ●GHG排出量 | ○ | 小 | 中 | 中 | |
| 慢性 | 森林火災の発生(木材調達への影響) | ■バイオマスの供給 ●GHG排出量 | ○ | 小 | 中 | 中 | ||
| 慢性的な水不足・水供給の減少 | ■淡水供給 | ○ | 小 | 中 | 中 | |||
| 平均気温の上昇(作業環境悪化・工期遅延等) | ●GHG排出量 | ○ | 小 | 中 | 中 | |||
| 機会 | 資源効率 [建設]資材の高効率利用による環境負荷低減 [バイオマス発電]林地残材の活用による森林涵養機能の向上 | ●資源使用/補充 | ○ | 中 | 中 | 大 | ||
| 製品とサービス ZEH・LCCM商品の積極的な供給拡大 | ●GHG排出量 | ○ | 大 | 大 | 大 | |||
| 市場 | 緑豊かな物件(グリーンインフラ)の需要増加 | ■視覚的アメニティサービス ●資源使用/補充 | ○ | 中 | 大 | 大 | ||
| 気温上昇に伴う高性能住宅のニーズ拡大 | ●GHG排出量 | ○ | 小 | 中 | 中 | |||
| 脱炭素・資源循環に資するバイオマス電力需要増 | ●GHG排出量 | ○ | 中 | 大 | 大 | |||
| レジリエンス LCP(居住継続性能)・防災性能の高い住宅需要増、防災・減災に資する新製品(グレーインフラ代替)の開発、自社管理物件を核とした地域防災への貢献 | ■洪水緩和 ■暴風雨の緩和 ■土壌と土砂の保持 ●GHG排出量 | ○ | ○ | 中 | 中 | 大 | ||
| 資本フローと資金調達 グリーン/サステナビリティ製品開発と資金調達 | ●全般 | ○ | 中 | 中 | 中 | |||
・リスク・機会の時間軸は、短期 2029年、中期 2035年、長期 2050年としています。
・リスク・機会の影響度の検討では、影響度の閾値を以下のとおり設定しています。
なお、「影響度」はポジティブ・ネガティブの両方について確認しています。
大:全社的な売上・費用へ大きな影響を及ぼす(100億円以上)
中:全社的な売上・費用へ中程度の影響がある(20億円以上100億円未満)
小:全社的な売上・費用への影響は限定的(20億円未満)
・気候変動関連のリスク・機会については、考慮したシナリオの違いにより、影響度の結果に幅を持たせて開示しています。
・一部のリスク・機会項目における影響度については財務影響ではなく、企業・ブランドイメージなどへの影響も考慮しています。
<事業リスク・機会を踏まえた事業戦略>■ZEH・LCCM賃貸集合住宅普及の取組
当社は、2017年に国内初となる「戸建ZEH基準」を満たす賃貸集合住宅を完成させて以降、ZEH賃貸集合住宅の建設を積極的に推進しています。当社グループの温室効果ガス排出量スコープ3は、カテゴリー11の「販売した製品の使用」による排出量が60%以上を占めており、入居者様の暮らしの温室効果ガス排出量を削減することが、スコープ3の削減に直結しています。そこで、入居者様の暮らしの一次エネルギーを実質ゼロとするZEHの販売を積極的に推進し、2030年までに2017年比で温室効果ガス排出量「55%」削減を目指しています。
また、ZEHの次のステップともいえる「LCCM賃貸集合住宅」にも取り組んでいます。LCCM賃貸集合住宅は、住宅の一生(製造、輸送、施工、生活、改修、解体廃棄)全体のCO2排出量と、太陽光発電による創エネルギーで抑制されるCO2削減量の差が、ゼロ以下になる脱炭素住宅です。2014年より県立広島大学の小林謙介准教授と共同研究を行い、2022年10月にはLCCM基準を満たす賃貸集合住宅の新商品「NEW RISE LCCM(ニューライズ エル・シー・シー・エム)」を販売開始し、その普及を目指すプロジェクトが、2022年より国土交通省「サステナブル建築物等先導事業」に3年連続で採択されました。本取組は政策・法規制リスク、市場リスク、製品とサービスの機会に関する対応策となります。
■再生可能エネルギー100%に向けた取組
事業活動で使用する電力の再生可能エネルギー化100%に向けて、当社グループは2040年までに、市場からの調達ではなく、自社グループの施設から調達した再生可能エネルギー電力での事業運営を目指しています。
2024年には兵庫県朝来で、2025年には岩手県一戸でバイオマス発電所の稼働を開始しました。各発電所は国内間伐材を燃料にして24時間安定した再生可能エネルギーの発電が可能です。本発電所では、地元の木を使った燃料を循環させるスキームとしており、森林の育成を目的とした間伐材や、構造材として利用されない根株や枝葉を活用することで、森林の保全と国内林業の活性化に貢献しています。今後も引き続き、当社グループのRE100達成に向けた取り組みを推進していきます。本取組は、技術リスク、市場の機会に関する対応策となります。
■環境負荷の低減につながる木材建材CLT工法の推進
当社では、木造工法の主流である2×4工法に加えて、CLT(クロス・ラミネイティド・ティンバー)工法を推進しています。CLTは、多孔質で断熱性能が高い木板を互いに直角に交わるように積層接着した厚型パネルです。熱伝導率が極めて低く、外壁の構造躯体に使用した場合も断熱材を必要としないほどの断熱性能があり、省エネ住宅に最適な建材です。また、従来は建築材として適さなかった細い木や節の多い木を有効活用することができ、森林の健全な循環にも寄与します。
2019年10月には、日本初となるCLT工法による賃貸住宅を発売し、2023年1月に初の物件として、LCCM住宅認定を取得したCLTパネル工法の戸建賃貸住宅が都内に完成しています。木材は内部に温室効果ガスを固定することから、RC(鉄筋コンクリート)造よりも、温室効果ガスの削減に貢献します。また、建物を解体する際にも、RC造と比較して、温室効果ガスの排出を抑制した解体が可能です。解体された木材は、チップ化することにより燃料資源としてのリサイクルも可能であるため、ライフサイクル全体での環境負荷削減効果も期待できます。本取組は、政策・法規制リスク、市場の機会に関する対応策となります。
■持続可能な木材の調達
当社の事業の根幹を支え、環境への影響が大きい木材資源については、2023年に「木材調達方針」を改訂しました。ここでは、「森林破壊ゼロ」の実現を旗印に、合法性の確保、社会的持続性の確保、環境的持続性の確保という三つの規範に従って木材調達を進めることを掲げています。具体的には、自社で調達する構造材、仕上材・設備材、及び国産木質バイオマス燃料において、持続可能な木材調達比率100%を目標とし、産地の合法性や持続可能性を厳格に確認する「木材デューデリジェンス」を実施しています。
実際の運用にあたっては、サプライヤー各社様のご協力のもと、詳細なアンケートを実施し、産地や森林認証の有無、合法性を証明する書類の確認等を行い、必要に応じて個別のヒアリングを行っています。こうしたプロセスの積み重ねにより、トレーサビリティ(追跡可能性)を確保し、環境に配慮された木材を調達する体制を構築しています。本取組は、慢性リスク、市場リスク、評判リスクに関する対応策となります。