有価証券報告書-第73期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 13:00
【資料】
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【項目】
156項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、消費者に対する良質な食肉の提供と畜産業の振興を目指して、1931年に創業しました。
創業の志を受け継ぎ、「商品と品質はプリマの命」の経営理念のもと、絶えざる製造技術の革新と新しいものづくりに挑戦し、食肉事業、加工食品事業へ食の領域を拡大してまいりました。
当社並びにグループ各社は、安全・安心な商品と情報の提供によって、健康で豊かな食生活を創造し、社会と食文化に貢献し続けることで、持続的な成長と企業の永続性の確立を目指します。

(2)目標とする経営指標
当社グループは、中期経営計画において財務目標を定めております。財務目標のなかでも、事業の効率性を重視し、自己資本利益率(ROE)を最も重要な経営指標と位置づけております。2020年度を初年度とする3ヵ年中期経営計画(ローリングプラン)の着実な実行により、自己資本比率40%以上を維持しつつ、自己資本利益率(ROE)10%以上と配当性向30%程度を安定して達成し、持続的な成長と企業の永続性の確立、並びに事業を通じたステークホルダーへの貢献を目指してまいります。
2017年度2018年度2019年度2020年度
自己資本利益率13.6%9.9%10.0%10%以上
自己資本比率42.8%42.2%45.6%40%以上
配当性向24.2%36.4%34.2%30%程度

(3)中長期的な会社の経営戦略
①基本方針
当社グループ中期経営計画の基本方針は、営業力・開発力・商品力の強化により、売上と利益の規模と質を高め、ESGを重視した経営を推進し、「いつも、ずっと、お客様に愛され、支持される会社」になる、を掲げています。経営目標としては、2020年度売上高4,414億円、営業利益145億円を目指してまいります。
②重点施策
方針1 コーポレート・ガバナンス強化とCSR推進による継続的な経営革新
コンプライアンス意識の醸成とガバナンスレベルの向上を実践し、新型コロナウイルスに対応した在宅勤務等の経験も踏まえて、心身ともに健康で、働きがいのある職場づくりを目指した活動を展開し、健全な企業体質を構築します。積極的な情報発信とともに、事業を通じた社会・環境への貢献について、当社グループの課題と役割を再定義します。
方針2 既存事業の領域拡大及び収益基盤の更なる強化
食肉事業部門は、国産豚肉インテグレーションの強化と販売利益管理の徹底を推進します。
加工食品事業部門は、茨城工場を中心としたコスト競争力、供給能力の向上を基盤として、強みのある商品の市場定着と拡大を図ります。更に、超高圧低温処理装置等の活用や当社グループの知見を結集して、価値ある商品の提供を目指します。
また、業務の標準化と自動化を進めて、デジタル技術を活用した、効率的な業務プロセスの構築と戦略的な情報管理の実現に向けた活動を進めてまいります。
方針3 成長市場に向けた事業創造とグローバル展開
伊藤忠商事株式会社とのコラボレーションを主体として、日本国内及び海外の事業領域拡大を進めます。カナダの養豚企業であるハイライフ社とのオリジナルブランドの共同開発及び販売や同社の養豚管理手法の導入を進めます。
海外事業は、グループ会社の所在国及び周辺国への販売を進めておりますが、東南アジア市場を中心とした市場参入を見据えて、検討を進めてまいります。
(4)経営環境及び対処すべき課題
新型コロナウイルスの感染拡大は、世界各国で収まる気配が見えない厳しい状況が続いています。世界的な感染拡大によるサプライチェーンの寸断や需要の落ち込みは、政府の景気判断においても下降局面に入っている厳しい状況にある、とされています。まずは、感染の抑え込みが不可欠となります。そのうえで、感染収束後の経済活性化により日常を取り戻すことが国としての大きな課題となります。
業界としては、特に畜肉の疾病問題において中国でアフリカ豚熱が蔓延する中、中国の購買動向が世界豚肉市場に大きな影響を及ぼす可能性もあり、注視していく必要があります。
このような状況のなか、当社グループは「健康で豊かな食生活を創造するために安全・安心な商品を提供し、社会と食文化に貢献していく」という基本的な考えのもと、中期経営計画の収益目標達成に向けた「営業力強化」と「コスト構造改革」を具現化するとともに、「成長市場に向けた事業創造とグローバル展開」を通して永続的なグループの発展に努めてまいります。
「中期経営計画の達成」に向けては、食肉事業部門の収益改善が必要不可欠となります。商品別採算管理とグループを含めたトータル管理を徹底するとともに、食肉事業における川上(肉豚生産事業)、川中(食肉処理・加工事業)、川下(食肉販売事業)のトータル事業強化を推進してまいります。特に川上・川中事業においては、現行の牧場会社から更なる拡大を図るとともに、プリマハムグループとしての一貫した方針による国産豚肉の生産販売体制を確立し、収益の改善・拡大を推進してまいります。
「営業力強化」においては食肉事業、加工食品事業の営業部門が一体となった取り組みを引き続き強化し、連携による得意先との関係強化を推進してまいります。また、販売促進策としては、東京ディズニーリゾート®の貸切イベントキャンペーンやプライベートキャンペーン、テレビCMの全国放映やLINEを継続するとともに、レゴランド・ジャパンや新たにスポンサーとなったSMALL WORLDS TOKYOの展開も加え、幅広い層への認知度アップに繋げてまいります。商品開発においては、新たな価値創造、消費シーンの変化に対応すべく開発本部に商品開発機能を集中させ、商品の優位性を確かなものとし、更にフードロス削減に向けた付加価値の高い商品を開発してまいります。
「コスト構造改革」においては、完成した茨城工場を中心とし、PI(プリマ・イノベーション)プロジェクトの更なる推進・徹底を図ってまいります。また、製造コスト削減を目指す「革新的生産技術開発(ものづくり)」を継続し、省人化・生産性向上に対応する最新鋭設備の投入、新技術開発と工程改革を強力に推し進めるとともに、商品規格数の適正管理、原材料の有効活用、物流コスト削減などを図り、商品の競争力を高めることに注力してまいります。
「成長市場に向けた事業創造とグローバル展開」においては、健康に配慮した独自ブランド商品「プリマヘルシー」として糖質ゼロで九州産鶏肉使用のサラダチキンを投入するとともに、サラダチキンのバリエーションを増やすことや、家飲み需要を見越したおつまみシリーズ等で新たな市場拡大を図ってまいります。また、当社の親会社である伊藤忠商事㈱及びそのグループ会社とのコラボレーションを主体とした国内外事業の拡大にも取り組んでまいります。
お客様に安全・安心な商品をお届けするために、厳格な原材料調達のもと、生産現場においてはHACCP、ISO22000、AIB、FSSC22000などの管理手法を基軸に、日々の品質管理の徹底・強化を図っております。環境保全の面ではグループ全体でのリスク管理や環境への配慮を強化するために、環境方針に沿って取り組んでまいります。これからも省エネルギーや廃棄物の発生抑制などに対し、取り組む努力を重ねてまいります。
また、内部統制機能とコンプライアンス体制のより一層の充実に努め、コーポレート・ガバナンス体制の強化を図るとともに、CSRの更なる推進として社会貢献活動、食育活動、地域との共生に配慮した事業活動にも積極的に取り組み、「いつも、ずっと、お客様に愛され、支持される会社」を目指し、企業としての継続的な経営革新を実行してまいります。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、生活様式の変化が求められ、感染が収まったのちも、従前の環境に完全に復することはないと考えられますが、当社及びグループ各社の経営方針・経営戦略につきましては、現時点の市況及び業績を鑑み見直す必要はないと判断しております。食品製造販売業者として安全・安心な商品をお客様にお届けする使命を果たし、社会と食文化に貢献していく方針は不変と考えております。