有価証券報告書-第118期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/26 14:14
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164項目

対処すべき課題

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①経営戦略(長期ビジョン・中期経営計画)
当社グループは「人々の健康で豊かな食生活に貢献する」ことをグループ経営理念とし、1936年の設立以来、小麦、大豆、菜種、トウモロコシなどの穀物を、小麦粉、プレミックス、植物油、糖化製品、配合飼料などに加工し、
「食」を通じた社会への貢献を志してまいりました。一層の発展のため、創立90周年にあたる2025年度のありたい姿(長期ビジョン)「SHOWA Next Stage for 2025」を策定し、その実現に向けた1st Stageと位置付ける「中期経営計画17-19」を2017年4月よりスタートさせております。全てのステークホルダーに満足を提供する “穀物ソリューション・カンパニー Next Stage”をありたい姿とし、グループでベクトルを合わせ、社会から信頼される企業グループであり続けるために努力してまいります。
■「SHOWA Next Stage for 2025」の内容
ありたい姿全てのステークホルダーに満足を提供する
“穀物ソリューション・カンパニー Next Stage”
~幹を太くし、枝葉を広げ、世の中のためになる果実を育てる~
方 針昭和産業グループならではの複合系シナジーソリューションを進化させると共に、ESG視点での取り組みも強化し、企業価値の向上に努めてまいります。

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■「中期経営計画17-19」について
[基本方針]
ありたい姿(長期ビジョン)の実現に向けた足場固めの期間と位置付け、安定的収益基盤の確立と、更なる成長への準備をしてまいります。
[基本戦略]
①基盤事業の強化・コア事業の磨き上げ
・顧客価値を掘り起こす独自の事業構造確立
・コアコンピタンスを生かした競争優位性の発揮
②事業領域の拡大・昭和産業グループにふさわしいセグメント領域の確定
③社会的課題解決への貢献・事業活動を通した社会への貢献(CSV戦略への発展)
④プラットフォームの再構築・持てる力の発揮とグループ経営の推進
⑤ステークホルダー
エンゲージメントの強化
・コーポレートコミュニケーション活動を通じたステークホルダーとの
信頼関係の確立

[数値目標]
連結売上高2,600億円
連結経常利益115億円
ROE9.0%以上
自己資本比率50%以上

なお、2019年5月9日付で公表いたしました2019年3月期決算短信における業績予想では、物流費やエネルギーコストの上昇などの外部環境の変化を踏まえ、連結経常利益を100億円としておりますが、上記数値目標に向けて邁進していく所存であります。
②対処すべき課題
気候変動や世界人口の増加による世界的な穀物不足、国内においては自由貿易の進展、少子高齢化による需要の減少など、今後も様々な対処すべき課題が想定されます。また、穀物原料相場や為替相場の変動、物流費やエネルギーコストの上昇、ライフスタイルの変化を背景とした消費者の食に対するニーズの多様化等、食品業界を取り巻く事業環境も大きく変化しております。
このような情勢の中で、当社グループは長期ビジョンの実現に向け、「中期経営計画17-19」の5つの基本戦略に沿って、グループ一丸となって取り組んでまいります。
基本戦略①基盤事業の強化
基本戦略②事業領域の拡大
■主力工場である鹿島工場の製油、糖質、荷役設備において、機能性製品等の生産能力増強、およびBCP対策を目的とした、約60億円の設備投資を実施いたしました。これにより今後も安定製造・安定供給を維持してまいります。
■製粉事業において、当社は、株式会社セブン-イレブン・ジャパン向けに小麦粉・ミックス等の原料供給から冷凍パン生地の製造、焼成までの一貫体制を有しております。2018年4月、新たにガーデンベーカリー株式会社とその子会社タワーベーカリー株式会社を連結子会社化したことにより、既存連結子会社であるグランソールベーカリー株式会社および株式会社スウィングベーカリーを含めた4社の相互連携を強化し、競争力のある商品の開発と生産性の向上を目指してまいります。
■有職主婦の増加や世帯人数の減少を背景に、消費者の食に対するニーズは多様化しております。また、少子高齢化や平均寿命の上昇に伴い、健康を意識した食生活を好む方が増えています。そうした中、お客様が家庭料理に求める“健康”“安全・安心”“簡単・簡便”に応える製品として、ご家庭で簡単に、おいしく楽しくスイーツが作れる『もちぷっち』、発酵いらずでもち大麦粉配合の『もちもちパンミックス』、「お釜にポン」シリーズから、お米由来の植物性乳酸菌をプラスした『お釜にポン乳酸菌Plus』等を新発売いたしました。今後も、新たな価値のご提供と市場の活性化を図ってまいります。
■海外事業につきましては、成長著しいベトナム市場に対してより一層の経営資源を投入すべく、ベトナムのホーチミン市に当社100%子会社であるShowa Sangyo Vietnam Co.,Ltdを設立いたしました。さらに、2018年11月にはプレミックス製造会社をハウジャン省に合弁で設立し、2020年春からの操業を予定しております。新会社設立により、ベトナム国内におけるプレミックス生産拠点は2工場となり、合計で年間約2万トンの生産能力を確保いたします。今後も伸びゆくアジアマーケットを意識して、積極的な事業展開を検討してまいります。
基本戦略③社会的課題解決への貢献
■取締役等に関する株式報酬を含めたインセンティブ報酬制度の導入に伴い2017年4月に設置した「報酬諮問委員会」に加え、コーポレート・ガバナンス体制のより一層の強化を図るため、2019年1月「経営諮問委員会」を設置いたしました。「経営諮問委員会」は、取締役会の任意の諮問機関として、取締役および執行役員の成果評価や任免等に関するプロセスの妥当性や客観性、透明性を確保することに加え、次世代経営人材の育成等の経営課題に対応していくことを目的としており、3名以上の委員は、社外取締役のみの構成となっております。
■鹿島、神戸、船橋の各工場に、環境保安および防火・防災に関する業務に特化する組織を新たに設置し、当該業務における組織体制の強化を図っております。これにより、地域とのコミュニケーションを含む地域への責任も果たしてまいります。
■日本食の食文化継承と発展に貢献するため様々な活動を行っており、その一つが、2019年4月に導入いたしました社内認定制度「SHOWAマイスター(天ぷら)」です。当社は、世界で初めて家庭用天ぷら粉を発売したパイオニア企業であり、天ぷら・天ぷら粉に関連した知識、技術、技能などの資産を体系的に整理し、次世代へ継承してさらに発展させることを目的に、この制度を制定いたします。
基本戦略④プラットフォームの再構築
基本戦略⑤ステークホルダーエンゲージメントの強化
長期ビジョンの実現に向けて、持続的な企業となるビジネススキームを確立するため、以下の取組みを進めております。
■グループマネジメントの向上
■グローバル化、ダイバーシティを推進するための人事戦略の展開(「ダイバーシティ経営宣言」を発表)
■リスクマネジメント体制の強化
■コーポレートコミュニケーションを通した企業ブランドの構築
(株式会社の支配に関する基本方針)
当社は株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(以下、「基本方針」といいます。)を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
(1)基本方針の内容の概要
当社は、金融商品取引所に株式を上場している者として、市場における当社株式の自由な取引を尊重し、特定の者による当社株式の大規模買付行為であっても、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものである限り、これを一概に否定するものではありません。また、最終的には株式の大規模買付提案に応じるかどうかは株主の皆様の決定に委ねられるべきだと考えております。
ただし、株式の大規模買付提案の中には、たとえばステークホルダーとの良好な関係を保ち続けることができない可能性があるなど、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を損なうおそれのあるものや、当社グループの価値を十分に反映しているとは言えないもの、あるいは株主の皆様が最終的な決定をされるために必要な情報が十分に提供されないものもありえます。
そのような提案に対して、当社取締役会は、株主の皆様から負託された者の責務として、株主の皆様のために、必要な時間や情報の確保、株式の大規模買付提案者との交渉などを行う必要があると考えております。
(2)当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組みの内容の概要
当社グループは、穀物を原料とする食品素材を軸にした総合食品メーカーとして、これまで培ってきた製粉、油脂食品、糖質、飼料などの各事業における技術やノウハウを最大限発揮していくことにより、「市場に価値を認められる、安全で安心できる食品を安定的に供給する」という社会的使命を果たしてまいります。
当社グループは、「穀物ソリューション・カンパニー」として、長期ビジョン「SHOWA Next Stage for 2025」及び「中期経営計画17-19」の達成に向けて基本戦略を推進してまいります。
(3)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの内容の概要
当社取締役会は、当社株券等の大規模買付行為を行おうとする者が遵守すべきルールを明確にし、株主の皆様が適切な判断をするために必要かつ十分な情報及び時間、並びに大規模買付行為を行おうとする者との交渉の機会を確保するために、2017年6月28日開催の第116回定時株主総会のご承認に基づき、「当社株券等の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)」を一部変更の上で継続導入しております(以下、継続後の対応策を「本プラン」といいます。)。
本プランは、以下の通り、当社株券等の大規模買付行為を行おうとする者が遵守すべきルールを策定するとともに、一定の場合には当社が対抗措置をとることによって大規模買付行為を行おうとする者に損害が発生する可能性があることを明らかにし、これらを適切に開示することにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さない当社株券等の大規模買付行為を行おうとする者に対して、警告を行うものです。
なお、本プランにおいては対抗措置の発動にあたって、当社取締役会の恣意的判断を排除するため、一定の場合に、株主意思の確認手続きとして、株主意思確認総会における株主投票、または書面投票のいずれかを選択し実施するとともに、株主の皆様に適時に情報開示を行うことにより透明性を確保することとしております。
なお、当社は、現時点において当社株券等の大規模買付行為に係る提案を受けているわけではありません。
本プランの有効期間は、2017年6月28日開催の第116回定時株主総会において承認が得られたため、2020年6月開催予定の定時株主総会終結のときまでとなります。
ただし、係る有効期間の満了前であっても、当社の株主総会において本プランの変更または廃止の決議がなされた場合には、本プランは当該決議に従い、その時点で変更または廃止されるものといたします。また、当社の株主総会で選任された取締役で構成される取締役会により本プランの廃止の決議がなされた場合には、本プランはその時点で廃止されるものといたします。
当社取締役会は、会社法、金融商品取引法、その他の法令若しくは金融商品取引所規則の変更またはこれらの解釈・運用の変更、または税制、裁判例等の変更により形式的な変更が必要と判断した場合には、本プランを修正し、または変更する場合があります。
当社は、本プランが廃止または本プランの内容について当社株主の皆様に実質的な影響を与えるような変更が行われた場合には、当該廃止または変更の事実及び(変更の場合には)変更内容その他当社取締役会が適切と認める事項について、情報開示を行います。
(4)上記取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
上記(2)の取組みは、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための具体的方策として策定されたものであり、基本方針に沿うものであります。
また、上記(3)の取組みは、以下の合理性を考慮して設計されているため、基本方針に沿うものであり、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであって、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
① 買収防衛策に関する指針の要件を全て充足していること
本プランは、経済産業省及び法務省が2005年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を全て充足し、企業価値研究会が2008年6月30日に発表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」を踏まえて設計されております。
② 当社の企業価値・株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること
本プランは、当社株券等に対する大規模買付等がなされた際に、当該大規模買付等に応じるべきか否かを株主の皆様がご判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や期間を確保し、株主の皆様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって継続導入されるものです。
③ 株主意思を重視するものであること
本プランは、買付者等が本プランに定められた手続きに従うことなく大規模買付等がなされた場合を除き、買付者等による大規模買付等に対する対抗措置の発動について株主の皆様のご意思を直接確認するものです。
また、本プランは、第116回定時株主総会において、株主の皆様のご承認を得たうえで継続したものであり、その後の当社株主総会において本プランの変更または廃止の決議がなされた場合には、当該決議に従い変更または廃止されることになります。従いまして、本プランの継続導入及び廃止には、株主の皆様のご意思が十分反映される仕組みとなっております。
④ 合理的な客観的発動要件の設定
本プランは、合理的かつ客観的な発動要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しております。
⑤ デッドハンド型若しくはスローハンド型買収防衛策ではないこと
本プランは、当社の株主総会で選任された取締役で構成される取締役会により、いつでも廃止することができるものとされております。従って、本プランは、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交代させても、なお発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。
また、当社は期差任期制を採用していないため、本プランはスローハンド型買収防衛策(取締役会の構成の交代を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。