有価証券報告書-第68期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/24 9:10
【資料】
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【項目】
138項目

対処すべき課題

文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、経営理念であります「喜びを創り喜びを提供する」を経営の基本方針に、これをすべての事業活動の指針として、地域社会に貢献する企業集団として事業活動を行っております。今後もこの基本方針のもと「全国各地のお菓子のオリジナルブランドとショップブランドの総合プロデューサー」として、蓄積した豊富な技術、ノウハウをもって、より一層お客様に喜ばれる商品創りとサービスの提供に精進し、当社グループの成長・拡大を目指してまいります。
同時に、当社グループは、企業活動を支えるすべての利害関係者(ステークホルダー)の信頼と期待にお応えできるよう経営努力を続けてまいります。
当社グループの経営理念は、次のとおりです。
①経営理念
○経営理念 「喜びを創り喜びを提供する」
この経営理念は、創業者であります河越庄市をはじめ、諸先輩方が幾多の試練を乗り越えてこられた中、生まれました。利潤の追求のみが企業の目的ではなく、会社が未来永劫発展し続けるためには、常に「人様に喜んでいただく」ことを最優先に考え、お客様に喜んでいただける商品を創り、お客様に喜ばれるサービスを提供し続け、地域社会への貢献、共存・共栄こそが、会社の存在意義であり、当社グループに与えられた使命であります。
○社是 「感謝と報恩」「創意と工夫」「本氣と誠実」
○経営信条
1.私達は、お客様に喜ばれることを自らの喜びとする。
1.私達は、夢を語り合い、ナンバーワンをめざし、日々チャレンヂする。
1.私達は、プロとしての自覚と真の勇氣を持ち、感動をもたらす。
1.私達は、高い目標を掲げ、執念を燃やし、必ず達成する。
1.私達は、更なる高い価値の創造により、物心両面の豊かさを実現する。
○基本ポリシー 「熱狂的ファンづくり」
当社グループは、経営理念の具現化に向け、ひとつのお菓子、ひとりのお客様への接客で、一生お付き合いができる熱狂的なファンを今日一人創ることに全従業員が徹する『熱狂的ファン創り』を基本ポリシーに、実践していくことをモットーにしております。
○経営理念手帳「こづち」について
経営理念を全従業員が理解を深め、共有化を図る目的で、経営哲学(フィロソフィー)100ヶ条を創り、明文化した経営理念手帳「こづち」を作成し、全従業員への周知徹底と経営理念の浸透に努めております。
経営理念手帳「こづち」は、各職場単位で行う朝礼や研修、勉強会などで活用し、また、実践成果を全従業員が共有し、さらなる大きな成果を生み出していくことを目的に「こづち発表全国大会」を年1回開催しております。グループ各社から予選を勝ち抜いた代表者が経営理念の実践の成果を発表する当該イベントは、当社グループの最重要イベントに位置付けております。
○「寿スピリッツ」社名の由来及びシンボルマークについて
「寿スピリッツ」とは、当社グループの積極果敢で熱い精神を引き継ぎ、これからの時代を全力で切り拓き、より大きな喜びを創造していく会社へ、そのような念いで2006年10月、純粋持株会社体制化を契機に制定されました。
シンボルマークには、社員一人ひとりの気持ちが重なって、“輪”になるという意味が込められております。
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(2)目標とする経営指標
当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するため、収益性の改善に注力しており、「売上高経常利益率」20%以上の達成を目標指標に掲げております。当該目標指標の達成に向け、ブランド価値の向上及び生産性の改善などの取り組みによる売上総利益率の改善に注力いたしております。その結果、当連結会計年度の売上総利益率は、新型コロナウイルスの感染拡大に影響により、年度終盤において売上高の急激な落ち込みや生産活動の縮小を余儀なくされたものの施策遂行の成果により前連結会計年度に対し0.5ポイント増加いたしました。一方、売上高対販売管理費比率は、年度終盤の新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、前連結会計年度に対し0.9ポイント増加したことにより、売上高経常利益率は、前連結会計年度に対し0.4ポイント減少の14.3%となりました。
(3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略
当社グループを取り巻く経営環境は、少子高齢化や人口減少が進む中、限られた市場規模のもとで、業種・業態を超えた販売競争が一段と激化してくるものと予想されます。また、お客様の消費行動や価値観の多様化が進む中、商品・サービスに対するお客様の選別の目は厳しさを増してきております。特に近年ではブランド志向・本物志向の傾向が一層強まっております。こうした変化にすばやく対応し、お客様の要望に対応できる商品・サービスの企画力の有無が当社グループの将来を左右するものと考えております。
このような経営環境の中、当社グループは、お菓子の総合プロデューサーとして「高い価値の創造」をテーマに、美味しさと品質に徹底的に拘り、「地域性」と「専門店性」を追求した独創性のあるショップブランド及び商品ブランドの創造と育成により、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
また、地域ごとのマーケット特性にマッチしたお土産、パーソナルギフトから自家用まで、多用途なギフト需要に多数のプレミアム・ギフト・スイーツのブランドポートフォリオで適応する独自のビジネスモデルの構築に注力してまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の見通しにつきましては、緩やかな景気回復基調で推移していた昨年の状況から一変し、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は、戦後最大の危機に直面していると言われるほど経済活動及び個人消費に与える影響は計り知れず、当社グループにおきましても、かつて経験したことのない深刻な影響が生じており、極めて厳しい経営環境が続くものと予想されます。
このような未曾有の環境下、当社グループは、目まぐるしく変化している国内外の市場動向及び消費者ニーズの変化を迅速に捉えながら、次の施策を2段階で、全従業員の総力を結集し、積極果断に対処してまいります。
◆緊急事態フェーズ(感染拡大の収束まで)
従業員及びステークホルダーの安全・健康を第一に考え、政府及び各自治体の方針などに従い、感染予防策を引き続き講じてまいります。また、当面、事業活動の大幅な縮小を余儀なくされることから、徹底したコスト削減及び支出の抑制に努めることで経営体質をより強固なものにし、収束後を見据えた万全な対策準備に取り組んでまいります。
<緊急対策>①感染予防策の徹底
②コスト削減(人件費の縮減含む)及び資金流動性の確保
③在庫の適正化(新鮮でより美味しい商品をお客様にお届けすることを最優先に考える)
④収束後を見据えた新ブランド及び新商品開発の準備並びに提案営業の推進
⑤通信販売の対策強化(EC対策及びロイヤルカスタマー対策等の強化)
◆回復フェーズ(感染収束後)
収束後の消費環境は、外出自粛要請の緩和や政府による緊急経済対策などにより、徐々に回復基調で推移するものの、個人消費の低迷による業績への影響は避けられないものと予想されます。
当社グループは、事態の鎮静化後に迅速に事業活動を回復させ、成長軌道に乗せるべく、次の事項を当面の重点施策と捉え、対処してまいります。
<当面の重点施策>①「超現場主義」による組織力の向上
「超現場主義」を2020年度の経営スローガンに掲げました。新型コロナウイルス感染の収束後の市場動向及びライフスタイルの変化を的確に捉え、また、限られたパイを巡り、熾烈な企業間競争を勝ち抜くため、当社グループは、理念経営を根幹とした人財育成及び従業員満足度の向上を図り、製造ライン、店舗・営業部門における現場長中心の経営スタイルに一層磨きをかけ、変化対応力及び競争力の高い組織づくりに注力してまいります。
②主力ブランド・主力商品の育成と新ブランド・新商品・新販路の創造
当社グループは、売上高の増大に向け、美味しさを徹底的に追求した「商品力」のレベルアップを第一に考え、既存店対策、新規出店・リロケーション対策、売場シェア増大対策及び通信販売対策の強化などにより主力ブランド及び主力商品の育成に注力してまいります。同時に、新たな成長の柱とさせるべく、新ブランド開発、新商品開発及び新販路開拓を進めてまいります。
③首都圏展開の推進
国内最大の消費マーケットであります首都圏は、新たな販路獲得や売場シェアの拡大により更なる成長が見込める事業領域であると捉えております。当社グループは、引き続きシュクレイを中心に、販売力の強化によるブランド認知度の向上を図り、直営店及び催事展開による店頭販売の強化はもとより駅・空港・SAなどでの卸展開を推進いたします。
④インバウンド対策の強化
当社グループは、2015年よりインバウンド対策の強化を重点施策に掲げ、ケイシイシイの「ルタオ」、シュクレイの「東京ミルクチーズ工場」を中心に、最後の玄関口であります国際線ターミナル免税売店での卸販売に注力してまいりました。2019年の訪日外客数は前年比2.2%増の3,188万人、消費額は前年比6.5%増の4兆8,113億円となり、それぞれ過去最高を更新し、菓子購入率も高まりを見せております。日本政府は2030年に6,000万人の達成目標を掲げており、主力ブランドの認知度の向上や主要国際線ターミナル免税売店での対策強化により、売上増大が見込める事業領域と考えております。
新型コロナウイルス感染の収束後、国際線ターミナル売店の売場再開の目途がつき次第、迅速に営業及び販売体制を整え、取り組んでまいります。
⑤海外事業における成長モデルの構築
国内マーケットは、少子高齢化に伴う人口減少などによる成熟傾向の中、当社グループは持続的な成長に向け、海外事業の拡大は必要不可欠であると認識しております。そのため当社グループでは、海外事業における成長モデルの構築に向けて、2013年、台湾台北市でのカフェ直営店の出店を手始めに、アジア圏を中心に出店エリアを広げてまいりました。引き続き海外市場でのノウハウの蓄積及び成長モデルの構築を図り、経営基盤の強化に対処してまいります。