有価証券報告書-第102期(2025/01/01-2025/12/31)
有報資料
文中には、中期経営方針等に関する様々な業績予想及び目標数値、並びにその他の将来に関する情報が開示されています。これらの業績予想及び目標数値、並びにその他の将来に関する情報は、将来の事象についての現時点における仮定及び予想、並びにアサヒグループが現在入手可能な情報や一定の前提に基づいているため、今後様々な要因により変化を余儀なくされるものであり、これらの予想や目標の達成及び将来の業績を保証するものではありません。
(1)グループ理念
アサヒグループは、純粋持株会社であるアサヒグループホールディングス株式会社のもと、日本・東アジア、欧州、アジアパシフィックを核として、主にビールを中心とした酒類、飲料、食品事業を展開しており、グループ理念「Asahi Group Philosophy(AGP)」をグループ共通の経営基盤、日本を含む全世界の事業活動の原点としています。
2019年のグループ理念導入以降、新型コロナウイルス感染症の拡大、環境課題の深刻化、地政学リスクの高まり、AI・デジタル化の進展など、外部環境は大きく変化しました。これらに加え、当社グループにおいても、グローバル化の進展や事業ポートフォリオの多様化に伴い、コーポレート・ガバナンス体制及びRegional Headquarters体制の進化を進めてきました。
このような変化を踏まえ、2026年6月にグループ理念を改訂しました。
改訂したグループ理念は、当社グループの存在意義や目指す姿、強みをより明確にするとともに、中長期的な企業価値向上に向けた共通の指針として、人や社会、地球に対してグループが果たすべき社会的な存在意義「Our Purpose(存在意義)」、中長期的・戦略的に実現を目指すグループの姿「Our Vision(目指す姿)」、意思決定や企業文化、働き方を支える共通の価値観と行動指針「Our Values(価値観)」を示しています。
この新たなグループ理念のもとで、複雑化・不確実性が増す経営環境のなかで、事業・地域を横断した一体的な取り組みを一層強化し、各事業の総和を超えた企業価値の創造と持続的な成長、環境変化への対応力(レジリエンス)の強化を目指します。

(2)中長期経営方針
『中長期経営方針』では、長期戦略のコンセプトとして「おいしさと楽しさで“変化するWell-being”に応え、持続可能な社会の実現に貢献する」ことを掲げています。
目指す事業ポートフォリオの実現に向けた取り組みを推進するとともに、サステナビリティと経営の統合、DX (デジタル・トランスフォーメーション)やR&D(研究開発)といったコア戦略の一層の強化を図ります。また、人的資本の高度化やグループガバナンスの進化など戦略基盤を強化することにより、持続的な成長と全てのステークホルダーとの共創による企業価値向上を目指しています。
1.『中長期経営方針』:長期戦略の概要
※ BX:ビジネス・トランスフォーメーションの略
2.目指す事業ポートフォリオ
長期戦略における事業ポートフォリオでは、人々のウェルビーイングの変化に応えていくなかでの「リスクと機会」を捉え、ビールを中心とした既存事業の持続的成長に加えて、その事業基盤を活かした周辺領域や新規事業・サービスの拡大を目指しています。
既存事業については、主力ブランドを中心としたプレミアム戦略の推進などにより、各地域において販売単価の向上を実現したほか、グローバルブランドと位置付けている『Asahi Super Dry』と『Peroni Nastro Azzurro』において、世界的なパートナーシップを活用したマーケティング活動を強化し、グローバル展開を拡大しました。
新規領域については、各地域でビールテイスト飲料やRTD※1カテゴリーの取り組みを推進するなど、BAC※2への投資強化による新市場拡大を図りました。また、新たな成長ドライバーの探索を目指して設立した米国投資運用会社の活動に加えて、酵母・乳酸菌技術を活用した新たな領域拡大やデジタル技術を活かした新サービスの開発に取り組みました。
今後もビールを中心に培ってきたケイパビリティや事業基盤を活かし、BACや新商材・新サービスの領域で成長機会を拡大することで、最適な事業ポートフォリオを構築していきます。
※1 RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。
※2 BAC:Beer Adjacent Categoriesの略。ノンアルコール飲料、RTD、成人向け清涼飲料など、ビール隣接カテゴリーを指します。


3.コア戦略 ―サステナビリティ戦略―
アサヒグループは、「サステナビリティと経営の統合」を掲げ、持続的な成長とさまざまなステークホルダーとの共創による企業価値向上を目指していきます。
事業成長と社会価値の創出の最大化を目指して、重点方針を定めているほか、経営課題として取り組む領域を特定したマテリアリティ・取り組みテーマを設定し、適切で実効性のある取り組みにつなげています。
詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
①Business Innovation
一人ひとりの嗜好やシーン、状況に合わせ、商品とデジタルサービスにより新たな顧客体験を提供するパーソナライゼーション・モデルの実現を目指し、AI技術を活用したパーソナライズドリンクサービスを核に、外食市場の構造変化や飲食店が抱える課題の解決などに取り組んでいます。また、社会的意義と成長ポテンシャルを両立する新規事業として、持続的な価値創出を目指します。
②Process Innovation
サステナビリティチームとIT組織が協働し、当社のサステナビリティに関わるあらゆる情報・データを収集・集計するための最適なソリューションの導入に向け、取り組んでいます。また、サプライチェーンやグローバルマーケティングチームへのデジタルを活用した生産性の向上に継続的に取り組んでいます。
③Organization Innovation
デジタルネイティブ組織への変革を見据え、IT/データ活用を一部の専門スキルではなく、全社の共通基盤とする「IT/データ活用の民主化」を進めています。また、顧客起点で価値を創出する組織文化の実現に向け、アジャイルな働き方※の浸透を推進しています。
5.コア戦略 ―R&D戦略―
R&D戦略においては、中長期的な社会環境や競争環境の変化を見据え、未来のあるべき姿を描いたうえで、バックキャスティングの考え方に基づき、お客様のニーズを先取りした研究テーマを推進しており、これまでの研究で蓄積してきた技術・知見・ノウハウを踏まえ、以下の4つを重点領域として位置付け、新たな価値創造やリスク軽減に向けた商品・技術開発に取り組んでいます。また、海外を含む拠点間でのシナジーの醸成、異分野とのオープンイノベーション活用による新たな価値創造にも積極的に取り組んでいます。

①アルコール関連
②ヘルス&ウェルネス
③サステナビリティ
環境・エネルギー分野における技術実装、気候変動に伴う原料コスト影響の最小化、容器包装の環境負荷低減などのサステナビリティに関する研究開発を通じ、社会的責務を果たすとともに、持続的な社会の発展に貢献しています。
④新規事業
中長期的に目指す事業ポートフォリオの実現に向け、グループ内外の技術とビジネスモデルとの掛け合わせ等により、新規事業につながる非凡なシーズの創出に取り組んでいます。
アサヒグループがこれまでに活用してきた酵母や乳酸菌などの微生物関連技術に、AI・デジタル技術をはじめとした、さまざまな次世代技術を新たな視点をもって組み合わせることで、これまでにない新価値を創出し、新規事業を開拓していきます。
これらを実現するために、グローバル視点で革新的な外部技術を取り入れ、異分野技術の融合を積極的に推進することでイノベーション創出を目指します。
6.人的資本の高度化
アサヒグループでは、「ありたい企業風土の醸成」、「継続的な経営者人材の育成」及び「必要となるケイパビリティ※の獲得」の3つの取り組みを通じ、経営基盤を強化し、競争優位の源泉となる「人的資本の高度化」を実現することで、従業員と会社が共に成長し、中長期的な企業価値向上を推進しています。
※ 戦略を実現するために必要な組織的能力
詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本」をご参照ください。
(3)中期的なガイドライン
主要指標のガイドライン及び財務方針は、2030年までを目処として、2025年2月に以下のとおり更新しました。
主要指標については、収益性において、利益成長と資本政策が反映されるEPSに一本化し、CAGR(年平均成長率)として「一桁台後半から二桁」をコミットします。また、収益性だけでなく資本効率の向上を図るため、ROEとROIC※1を主要指標に追加し、ROEは11%以上、ROICは10%以上を目指し資本コストとのスプレッドを拡大していきます。
財務方針については、財務健全性を確保(Net Debt/EBITDA※2:2.5~3倍程度)しつつ、成長投資を優先していきますが、資本効率の向上や株主還元の充実にも資本を配分していきます。また、株主還元については、より安定的な増配を継続すべく、DOE※34%を目指して累進配当※4を実施するとともに、機動的に自己株式取得を行っていきます。
2025年については、各地域におけるプレミアム戦略の推進や収益構造改革などに取り組みましたが、日本で発生したサイバー攻撃に伴うシステム障害の影響等により、EPS及びROE、ROICはガイドラインを下回りました。
財務方針については、株主還元において、累進配当に基づき、当期の1株当たり配当額を52円に増額するとともに、機動的な自己株式取得を実施しました。財務健全性においては、システム障害の影響などに伴うEBITDA※5の減少により、Net Debt/EBITDAはガイドラインを超える水準となりました。
引き続き、規律ある成長投資により、事業ポートフォリオの強靭化やコア戦略を力強く推進するとともに、財務戦略による資本効率の向上、資本市場とのエンゲージメントによる資本コスト低減などに取り組み、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指していきます。
※1 税引後事業利益を、純有利子負債と親会社の所有者に帰属する持分(ただし、在外営業活動体の換算差額とその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融商品への投資の公正価値の変動などを控除したもの)の合計で除して算出。
※2 Net Debt/EBITDA(EBITDA純有利子負債倍率)=(金融債務-現預金)/EBITDA。
※3 配当総額を、親会社の所有者に帰属する持分合計で除して算出。
※4 累進配当とは、1株当たりの配当金額を毎年増配又は最低でも横ばいの水準で配当し続けることです。
※5 EBITDAは、事業利益に無形資産償却費及び減価償却費を加えたものです。
■主要指標のガイドライン
※1 調整後EPSは、事業ポートフォリオの再構築や減損損失など一時的な特殊要因を控除して算出しています。
※2 調整後ROEは、調整後親会社の所有者に帰属する当期利益(親会社の所有者に帰属する当期利益から、事業ポートフォリオの再構築や減損損失など一時的な特殊要因を控除したもの)を親会社の所有者に帰属する持分合計(ただし、在外営業活動体の換算差額とその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融商品への投資の公正価値の変動などを控除したもの)で除して算出しています。
■財務方針
(4)対処すべき課題
中長期的な外部環境としては、テクノロジーの発展が人類に新たな技術力と自由な時間を与え、気候変動・資源不足といった地球規模の課題を抱える中、社会・経済だけではなく人類の幸福(Well-being)のあり方も変化していくものと想定されます。
そうしたメガトレンドを踏まえて策定した『中長期経営方針』に基づき、各地域統括会社は、既存事業の持続的成長に加えて、その事業基盤を活かした周辺領域や新規事業・サービスを拡大していきます。さらに、サステナビリティと経営の統合などコア戦略の一層の強化により、グループ全体で企業価値の向上に努めていきます。
尚、アサヒグループの報告セグメントは、従来「日本」、「欧州」、「オセアニア」、「東南アジア」としていましたが、2025年度の中間連結会計期間より、「日本・東アジア」、「欧州」、「アジアパシフィック」に変更しています。
<地域統括会社の中期重点戦略>[日本・東アジア]
① 変化を先読みする商品ポートフォリオ最適化とシナジー創出によるポテンシャル拡大
② ニーズの多様化に対応したスマートドリンキングなどの推進、新価値提案の強化
③ カーボンニュートラルなど社会課題の事業による解決、サプライチェーン最適化
[欧州]
① グローバルブランドの拡大と強いローカルブランドを軸としたプレミアム戦略の強化
② ビールテイスト飲料やRTDなど高付加価値商品を軸とした成長の加速
③ 再生エネルギーの積極活用や循環可能な容器包装の展開など環境負荷低減施策の推進
[アジアパシフィック]
① 酒類と飲料を融合したマルチビバレッジ戦略の推進、最適なプレミアムポートフォリオの構築
② BACなど成長領域でのイノベーションの推進、健康・Well-beingカテゴリーの強化
③ 新容器・包装形態などサステナビリティを重視した新価値提案、SCM改革の推進
(1)グループ理念
アサヒグループは、純粋持株会社であるアサヒグループホールディングス株式会社のもと、日本・東アジア、欧州、アジアパシフィックを核として、主にビールを中心とした酒類、飲料、食品事業を展開しており、グループ理念「Asahi Group Philosophy(AGP)」をグループ共通の経営基盤、日本を含む全世界の事業活動の原点としています。
2019年のグループ理念導入以降、新型コロナウイルス感染症の拡大、環境課題の深刻化、地政学リスクの高まり、AI・デジタル化の進展など、外部環境は大きく変化しました。これらに加え、当社グループにおいても、グローバル化の進展や事業ポートフォリオの多様化に伴い、コーポレート・ガバナンス体制及びRegional Headquarters体制の進化を進めてきました。
このような変化を踏まえ、2026年6月にグループ理念を改訂しました。
改訂したグループ理念は、当社グループの存在意義や目指す姿、強みをより明確にするとともに、中長期的な企業価値向上に向けた共通の指針として、人や社会、地球に対してグループが果たすべき社会的な存在意義「Our Purpose(存在意義)」、中長期的・戦略的に実現を目指すグループの姿「Our Vision(目指す姿)」、意思決定や企業文化、働き方を支える共通の価値観と行動指針「Our Values(価値観)」を示しています。
この新たなグループ理念のもとで、複雑化・不確実性が増す経営環境のなかで、事業・地域を横断した一体的な取り組みを一層強化し、各事業の総和を超えた企業価値の創造と持続的な成長、環境変化への対応力(レジリエンス)の強化を目指します。

(2)中長期経営方針
『中長期経営方針』では、長期戦略のコンセプトとして「おいしさと楽しさで“変化するWell-being”に応え、持続可能な社会の実現に貢献する」ことを掲げています。
目指す事業ポートフォリオの実現に向けた取り組みを推進するとともに、サステナビリティと経営の統合、DX (デジタル・トランスフォーメーション)やR&D(研究開発)といったコア戦略の一層の強化を図ります。また、人的資本の高度化やグループガバナンスの進化など戦略基盤を強化することにより、持続的な成長と全てのステークホルダーとの共創による企業価値向上を目指しています。
1.『中長期経営方針』:長期戦略の概要
※ BX:ビジネス・トランスフォーメーションの略2.目指す事業ポートフォリオ
長期戦略における事業ポートフォリオでは、人々のウェルビーイングの変化に応えていくなかでの「リスクと機会」を捉え、ビールを中心とした既存事業の持続的成長に加えて、その事業基盤を活かした周辺領域や新規事業・サービスの拡大を目指しています。
既存事業については、主力ブランドを中心としたプレミアム戦略の推進などにより、各地域において販売単価の向上を実現したほか、グローバルブランドと位置付けている『Asahi Super Dry』と『Peroni Nastro Azzurro』において、世界的なパートナーシップを活用したマーケティング活動を強化し、グローバル展開を拡大しました。
新規領域については、各地域でビールテイスト飲料やRTD※1カテゴリーの取り組みを推進するなど、BAC※2への投資強化による新市場拡大を図りました。また、新たな成長ドライバーの探索を目指して設立した米国投資運用会社の活動に加えて、酵母・乳酸菌技術を活用した新たな領域拡大やデジタル技術を活かした新サービスの開発に取り組みました。
今後もビールを中心に培ってきたケイパビリティや事業基盤を活かし、BACや新商材・新サービスの領域で成長機会を拡大することで、最適な事業ポートフォリオを構築していきます。
※1 RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。
※2 BAC:Beer Adjacent Categoriesの略。ノンアルコール飲料、RTD、成人向け清涼飲料など、ビール隣接カテゴリーを指します。


3.コア戦略 ―サステナビリティ戦略―
アサヒグループは、「サステナビリティと経営の統合」を掲げ、持続的な成長とさまざまなステークホルダーとの共創による企業価値向上を目指していきます。
事業成長と社会価値の創出の最大化を目指して、重点方針を定めているほか、経営課題として取り組む領域を特定したマテリアリティ・取り組みテーマを設定し、適切で実効性のある取り組みにつなげています。
詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
| 4.コア戦略 ―DX戦略― アサヒグループのDXは単なるデジタライゼーションではなく、生き残りをかけた経営改革であると認識しており、DX=BXと捉え、「Business」「Process」「Organization」の領域において、三位一体でイノベーションを推進しています。 | ![]() |
①Business Innovation
一人ひとりの嗜好やシーン、状況に合わせ、商品とデジタルサービスにより新たな顧客体験を提供するパーソナライゼーション・モデルの実現を目指し、AI技術を活用したパーソナライズドリンクサービスを核に、外食市場の構造変化や飲食店が抱える課題の解決などに取り組んでいます。また、社会的意義と成長ポテンシャルを両立する新規事業として、持続的な価値創出を目指します。
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②Process Innovation
サステナビリティチームとIT組織が協働し、当社のサステナビリティに関わるあらゆる情報・データを収集・集計するための最適なソリューションの導入に向け、取り組んでいます。また、サプライチェーンやグローバルマーケティングチームへのデジタルを活用した生産性の向上に継続的に取り組んでいます。
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③Organization Innovation
デジタルネイティブ組織への変革を見据え、IT/データ活用を一部の専門スキルではなく、全社の共通基盤とする「IT/データ活用の民主化」を進めています。また、顧客起点で価値を創出する組織文化の実現に向け、アジャイルな働き方※の浸透を推進しています。
※ 柔軟性と迅速性を重視し変化に素早く対応する働き方 | ![]() |
5.コア戦略 ―R&D戦略―
R&D戦略においては、中長期的な社会環境や競争環境の変化を見据え、未来のあるべき姿を描いたうえで、バックキャスティングの考え方に基づき、お客様のニーズを先取りした研究テーマを推進しており、これまでの研究で蓄積してきた技術・知見・ノウハウを踏まえ、以下の4つを重点領域として位置付け、新たな価値創造やリスク軽減に向けた商品・技術開発に取り組んでいます。また、海外を含む拠点間でのシナジーの醸成、異分野とのオープンイノベーション活用による新たな価値創造にも積極的に取り組んでいます。

①アルコール関連
| アルコールに対するニーズの多様化や社会の変化に対応し、BAC領域において新たな価値を創造するための研究開発に取り組んでいます。長年培ってきた酵母育種、発酵プロセス、調香、官能評価などの技術をベースとしつつ、心理学、脳科学、AIなどの最先端の技術を獲得し組み合わせることで、嗜好性や機能性のみならず、環境影響及びコストといった側面における優位性を追求しています。 これらの技術的取り組みを基盤として、海外市場における成果導出を実現する嗜好設計・商品開発を進め、「Asahi Super Dry」のエクステンション商品『Asahi Super Dry FUSIONS Lemon Yuzu』やRTD『Asahi ZEITAKU SHIBORI』などを開発・展開し、グローバルでの価値創造を推進しています。 | ![]() |
②ヘルス&ウェルネス
| 消費者の健康志向の高まりに対し、身体や心の健康をサポートするソリューションを提供することで、人々の健康維持増進への貢献に取り組んでいます。 健康な人の免疫機能の維持に役立つ「L-92乳酸菌」や、心理的なストレスを和らげ、睡眠の質(眠りの深さ)を高める機能や腸内環境を整える機能を持つ「ガセリ菌CP2305株」などオリジナルの機能性乳酸菌については、国内で機能性表示食品としての商品展開に向けた研究開発を進めるとともに、グローバルな活用に向けた取り組みを推進しています。「ガセリ菌CP2305株」は、2025年3月よりアサヒグループ以外の企業へ供給され、海外向けに販売が開始されるとともに、世界有数の食品原料見本市で受賞するなど高い評価を得ています。 今後も、人々の健康で豊かな生活をサポートするヘルス&ウェルネス研究を強化し、新しい価値提案を目指します。 | ![]() |
③サステナビリティ
環境・エネルギー分野における技術実装、気候変動に伴う原料コスト影響の最小化、容器包装の環境負荷低減などのサステナビリティに関する研究開発を通じ、社会的責務を果たすとともに、持続的な社会の発展に貢献しています。
| 環境分野においては、缶、びん、PETボトルなどの使い捨て容器の使用が廃止される未来を見据え、使い捨て容器を使用しなくても強炭酸が楽しめるサーバー『EXTRA BURST』の更なる展開に向けた技術開発を推進するとともに、繰り返し使用可能な専用タンブラーを活用することで大幅な環境負荷低減を目指しています。また、原料副産物の活用による新たな価値創出にも取り組んでいます。独自の酵母技術を生かし、酵母エキス製造時に生じる酵母細胞壁を主原料とする新素材を活用した非動物性ミルク『LIKE MILK』を開発し、2025年4月からテスト販売を開始しました。アレルギー特定原材料等を使用しない、まろやかな味わいを実現しています。 本取り組み以外に、グリーンエネルギー技術の開発にも力を入れており、今後も環境負荷低減の実効性向上を目指します。 | ![]() |
④新規事業
中長期的に目指す事業ポートフォリオの実現に向け、グループ内外の技術とビジネスモデルとの掛け合わせ等により、新規事業につながる非凡なシーズの創出に取り組んでいます。
アサヒグループがこれまでに活用してきた酵母や乳酸菌などの微生物関連技術に、AI・デジタル技術をはじめとした、さまざまな次世代技術を新たな視点をもって組み合わせることで、これまでにない新価値を創出し、新規事業を開拓していきます。
これらを実現するために、グローバル視点で革新的な外部技術を取り入れ、異分野技術の融合を積極的に推進することでイノベーション創出を目指します。
6.人的資本の高度化
アサヒグループでは、「ありたい企業風土の醸成」、「継続的な経営者人材の育成」及び「必要となるケイパビリティ※の獲得」の3つの取り組みを通じ、経営基盤を強化し、競争優位の源泉となる「人的資本の高度化」を実現することで、従業員と会社が共に成長し、中長期的な企業価値向上を推進しています。
※ 戦略を実現するために必要な組織的能力
詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本」をご参照ください。
(3)中期的なガイドライン
主要指標のガイドライン及び財務方針は、2030年までを目処として、2025年2月に以下のとおり更新しました。
主要指標については、収益性において、利益成長と資本政策が反映されるEPSに一本化し、CAGR(年平均成長率)として「一桁台後半から二桁」をコミットします。また、収益性だけでなく資本効率の向上を図るため、ROEとROIC※1を主要指標に追加し、ROEは11%以上、ROICは10%以上を目指し資本コストとのスプレッドを拡大していきます。
財務方針については、財務健全性を確保(Net Debt/EBITDA※2:2.5~3倍程度)しつつ、成長投資を優先していきますが、資本効率の向上や株主還元の充実にも資本を配分していきます。また、株主還元については、より安定的な増配を継続すべく、DOE※34%を目指して累進配当※4を実施するとともに、機動的に自己株式取得を行っていきます。
2025年については、各地域におけるプレミアム戦略の推進や収益構造改革などに取り組みましたが、日本で発生したサイバー攻撃に伴うシステム障害の影響等により、EPS及びROE、ROICはガイドラインを下回りました。
財務方針については、株主還元において、累進配当に基づき、当期の1株当たり配当額を52円に増額するとともに、機動的な自己株式取得を実施しました。財務健全性においては、システム障害の影響などに伴うEBITDA※5の減少により、Net Debt/EBITDAはガイドラインを超える水準となりました。
引き続き、規律ある成長投資により、事業ポートフォリオの強靭化やコア戦略を力強く推進するとともに、財務戦略による資本効率の向上、資本市場とのエンゲージメントによる資本コスト低減などに取り組み、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指していきます。
※1 税引後事業利益を、純有利子負債と親会社の所有者に帰属する持分(ただし、在外営業活動体の換算差額とその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融商品への投資の公正価値の変動などを控除したもの)の合計で除して算出。
※2 Net Debt/EBITDA(EBITDA純有利子負債倍率)=(金融債務-現預金)/EBITDA。
※3 配当総額を、親会社の所有者に帰属する持分合計で除して算出。
※4 累進配当とは、1株当たりの配当金額を毎年増配又は最低でも横ばいの水準で配当し続けることです。
※5 EBITDAは、事業利益に無形資産償却費及び減価償却費を加えたものです。
■主要指標のガイドライン
| 2025-2030年までのガイドライン | 2025年実績 | |
| EPS (調整後EPS※1) | ・CAGR(年平均成長率):一桁台後半~二桁 (CAGR(年平均成長率):一桁台後半~二桁) | EPS成長率:△35.8% (△18.5%) |
| ROE (調整後ROE※2) | ・11%以上 ※株主資本コスト:8%程度 (14%以上) | 4.3% (8.4%) |
| ROIC | ・10%以上 ※WACC(加重平均資本コスト):5.5~6%程度 | 6.1% |
※1 調整後EPSは、事業ポートフォリオの再構築や減損損失など一時的な特殊要因を控除して算出しています。
※2 調整後ROEは、調整後親会社の所有者に帰属する当期利益(親会社の所有者に帰属する当期利益から、事業ポートフォリオの再構築や減損損失など一時的な特殊要因を控除したもの)を親会社の所有者に帰属する持分合計(ただし、在外営業活動体の換算差額とその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融商品への投資の公正価値の変動などを控除したもの)で除して算出しています。
■財務方針
| 2025-2030年までのガイドライン | 2025年実績 | |
| 株主還元 | ・DOE:4%以上を目指した累進配当 ・機動的な自己株式取得 | DOE:2.7% |
| 財務健全性 | ・Net Debt/EBITDA:2.5~3倍程度を維持 | 3.70倍 |
(4)対処すべき課題
中長期的な外部環境としては、テクノロジーの発展が人類に新たな技術力と自由な時間を与え、気候変動・資源不足といった地球規模の課題を抱える中、社会・経済だけではなく人類の幸福(Well-being)のあり方も変化していくものと想定されます。
そうしたメガトレンドを踏まえて策定した『中長期経営方針』に基づき、各地域統括会社は、既存事業の持続的成長に加えて、その事業基盤を活かした周辺領域や新規事業・サービスを拡大していきます。さらに、サステナビリティと経営の統合などコア戦略の一層の強化により、グループ全体で企業価値の向上に努めていきます。
尚、アサヒグループの報告セグメントは、従来「日本」、「欧州」、「オセアニア」、「東南アジア」としていましたが、2025年度の中間連結会計期間より、「日本・東アジア」、「欧州」、「アジアパシフィック」に変更しています。
<地域統括会社の中期重点戦略>[日本・東アジア]
① 変化を先読みする商品ポートフォリオ最適化とシナジー創出によるポテンシャル拡大
② ニーズの多様化に対応したスマートドリンキングなどの推進、新価値提案の強化
③ カーボンニュートラルなど社会課題の事業による解決、サプライチェーン最適化
[欧州]
① グローバルブランドの拡大と強いローカルブランドを軸としたプレミアム戦略の強化
② ビールテイスト飲料やRTDなど高付加価値商品を軸とした成長の加速
③ 再生エネルギーの積極活用や循環可能な容器包装の展開など環境負荷低減施策の推進
[アジアパシフィック]
① 酒類と飲料を融合したマルチビバレッジ戦略の推進、最適なプレミアムポートフォリオの構築
② BACなど成長領域でのイノベーションの推進、健康・Well-beingカテゴリーの強化
③ 新容器・包装形態などサステナビリティを重視した新価値提案、SCM改革の推進





※ 柔軟性と迅速性を重視し変化に素早く対応する働き方


