有価証券報告書-第94期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/28 11:28
【資料】
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【項目】
62項目

対処すべき課題

(1)会社の経営の基本方針
アサヒグループは、純粋持株会社であるアサヒグループホールディングス株式会社のもと、グループ共通の経営理念に「アサヒグループは、最高の品質と心のこもった行動を通じて、お客様の満足を追求し、世界の人々の健康で豊かな社会の実現に貢献します。」を掲げて、「酒類」「飲料」「食品」及び同分野の「国際」事業を展開しています。
また、企業活動を展開するうえで不可欠な「持続可能な社会」の実現に向けて、「食と健康」「環境」「人と社会」の3つの活動領域とその領域におけるマテリアリティ(重要課題)を定め、事業を通じて社会的課題の解決に取り組んでいます。
なお、文中の将来に関する事項は、当年度末現在においてアサヒグループが判断したものであります。
(2)目標とする経営指標
「中期経営方針」のガイドラインでは、EPS(基本的1株当たり当期利益※1)のCAGR(年平均成長率)で一桁台半ばから後半の成長を目指すとともに、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率※2)で13%以上の水準の維持を図ることを、主な経営指標の目標としております。
(※1)算出する際の「親会社の所有者に帰属する当期利益」は、事業ポートフォリオの再構築など一時的な
特殊要因を除くベース
(※2)算出する際の「親会社の所有者に帰属する当期利益」及び「親会社の所有者に帰属する持分合計」は、
事業ポートフォリオの再構築や為替変動など一時的な特殊要因を除くベース
(3)中長期的な会社の経営戦略
今後の経営環境としては、国内ではデフレからの脱却が正念場を迎え、世界経済でも一部に不透明感が増しているなか、消費の更なる多様化を始めとした様々な「リスクと機会」が顕在化してくることが想定されます。さらに、コーポレートガバナンス・コードの策定などに応じて、日本企業の経営スタイルや株主の皆様を始めとしたステークホルダーの視点は、より持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にシフトしていくことが想定されます。
これらを踏まえ、2016年に更新した『長期ビジョン』では、「『食の感動(おいしさ・喜び・新しさ)』を通じて、世界で信頼される企業グループを目指す。」ことを掲げ、10年程度先を見据えた事業の将来像として「酒類を中核とする総合飲料食品グループとして、国内では、高付加価値化を基軸とするリーディングカンパニーを目指すとともに、日本発の『強み』を活かすグローバルプレイヤーとして独自のポジションを確立する。」ことを目指しています。
さらに、『長期ビジョン』では、「全てのステークホルダーの満足を追求し、『持続的な企業価値の向上』を図る。」ことを掲げ、各ステークホルダーに対するビジョンを定めています。
『長期ビジョン』の実現に向けた『中期経営方針』では、3年程度先を想定した主要指標のガイドラインを示しつつ、以下3つの重点課題を設定し、これまで推進してきた「企業価値向上経営」の更なる深化に取り組んでいます。
イ.国内収益基盤の盤石化と国際事業の成長エンジン化による「稼ぐ力」の強化
ロ.資本コストを踏まえた資産・資本効率の向上
ハ.サステナビリティの向上を目指したESG(環境・社会・ガバナンス)への取組み強化
こうした『長期ビジョン』『中期経営方針』を「エンゲージメント・アジェンダ(建設的な対話の議題)」として、株主や投資家の皆様を始めとしたステークホルダーとの対話を深め、日本はもとより世界で信頼される企業グループを目指していきます。
(4)会社の対処すべき課題
2018年は、国内外で経済の堅調な回復が想定されるなか、アサヒグループは「中期経営方針」に基づいて、国内では高付加価値化を軸としたブランド価値の向上などにより収益基盤の更なる盤石化に取り組みます。また海外では、欧州事業を核として、強い競争力を持つグローバルなプレミアムビールメーカーを目指したシナジー創出などの取組みにより、国際事業の成長エンジン化を加速していきます。さらに、資産・資本効率の向上による財務体質の強化やESGへの取組みの更なる推進など、“企業価値向上経営”の深化を目指した経営改革にスピードを上げて取り組んでいきます。
これらの取組みにより、2018年度の連結売上収益は2兆1,400億円、事業利益は2,200億円、営業利益は2,000億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,420億円を見込んでおります。