有価証券報告書-第94期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/28 11:28
【資料】
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【項目】
62項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は以下のとおりであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表注記 6 重要な会計上の見積り及び判断)」に記載しております。
(2) 当年度の経営成績の分析
①売上収益
アサヒグループの当年度の売上収益は、前期比22.1%増、3,779億7千5百万円増収の2兆848億7千7百万円となりました。酒類事業においては、ビール類以外の酒類やアルコールテイスト清涼飲料の売上がそれぞれ前年実績を上回りましたが、夏場の天候不順の影響などによるビール類の販売数量の減少により、前期比0.8%減、77億9千万円減収の9,688億5千8百万円となりました。飲料事業においては、炭酸飲料や乳性飲料などの販売数量が前年実績を上回ったことにより、前期比2.9%増、106億1千1百万円増収の3,745億1千7百万円となりました。食品事業においては、主力ブランドを中心に好調に推移し、前期比2.7%増の1,137億8千5百万円となりました。国際事業においては、国際事業の売上収益は、オセアニア事業が好調に推移したほか、新たに取得した欧州事業の業績の上乗せもあり、前期比148.1%増の6,211億1千2百万円となりました。その他の事業においては、健康食品に関する販売促進費の増加などにより、前期比3.8%増、38億6千1百万円増収の1,061億4千1百万円となりました。
②事業利益
当年度の事業利益は、前期比32.2%増、478億8千2百万円増益の1,963億6千8百万円となりました。酒類事業においては、売上収益の減少はありましたが、広告販促費の効率化や原材料を中心としたコストダウンなどの取組みにより前期比0.6%増、6億9千3百万円増益の1,215億1千6百万円となりました。飲料事業においては、増収効果のほか、品種・容器構成比の改善や最適生産体制の推進による操業度向上などの製造原価低減の取組みにより、前期比18.5%増、59億8千5百万円増益の383億2千1百万円となりました。食品事業においては、増収効果に加えて、広告販促費の効率化や製造原価の低減などの取組みにより、前期比13.4%増、13億7千万円増益の116億2千6百万円となりました。国際事業においては、中東欧ビール事業の買収に伴う取得関連費用などが発生しましたが、欧州事業の業績の上乗せにより、前期比、434.0%増、535億8千9百万円増益の659億3千8百万円となりました。その他の事業においては、前期比0.4%減、8百万円減益の19億9千2百万円となりました。
③営業利益
営業利益は、欧州事業の利益の上乗せに加え、各事業の増益や関係会社株式売却益などにより、前期比33.8%増、463億2百万円増益の1,831億9千2百万円となりました。
④税引前利益
当年度の税引前利益は、金融収益が前期比67.6%増、21億円増加の52億6百万円となった一方で、金融
費用が前期比155.0%増、63億2百万円増加の103億6千8百万円となったことに加え、持分法による投資損益
が前期比46.6%減、9億1千9百万円減益の10億5千5百万円となりましたが、持分法で会計処理されてい
る投資の売却益が前期比47.1%増、57億3千4百万円増益の178億9千8百万円となったことにより、31.3%増、469億1千6百万円増益の1,969億8千4百万円となりました。
⑤親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は、営業利益の増加に加え、持分法適用会社の株式売却益などにより前期比58.0%増、517億8千2百万円増益の1,410億3百万円となりました。
また、基本的1株当たり利益は307.78円(前年同期194.75円)となり、親会社所有者帰属持分比率は34.2%(前年同期39.9%)となりました。
(3) 財政状態の分析
①総資産
当年度の連結総資産は、中東欧事業(注)を新たに連結範囲に含めたことにより各資産の増加があり、総資産は前年度末と比較して1兆2,524億9千万円増加の、3兆3,468億2千2百万円となりました。
②負債
負債は、主に中東欧事業買収に伴って社債及び借入金が増加したことにより、前年度末と比較して9,458億4千7百万円増加し、2兆1,940億7千4百万円となりました。
③資本
資本は、前年度末に比べ3,066億4千2百万円増加し、1兆1,527億4千8百万円となりました。これは、当年度の親会社の所有者に帰属する当期利益の計上による利益剰余金の増加及び為替相場の変動により在外営業活動体の換算差額が増加したことなどによるものです。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は34.2%となりました。
(注)中東欧事業買収に伴って、発生したのれんの金額、企業結合日に受け入れた資産及び引き受けた負債の額等については、企業結合日における識別可能資産及び負債の特定を精査中であり、取得価額の配分が完了していないため、暫定的な会計処理を行っております。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
①キャッシュ・フロー分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
また、キャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下のとおりであります。
2016年12月期2017年12月期
親会社所有者帰属持分比率(%)39.934.2
時価ベースの親会社所有者帰属
持分比率(%)
80.776.5
キャッシュ・フロー対有利子
負債比率(年)
4.15.7
インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)
42.241.4

(注) 親会社所有者持分比率:親会社の所有者に帰属する持分/総資産
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※ 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
※ キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを使用しております。
②資金の調達
アサヒグループの資金の源泉は、主として営業活動からのキャッシュ・フローと金融機関からの借入、社債の発行からなりますが、当社は経営方針として、有利子負債残高の圧縮を基本として掲げております。しかしながら、「事業基盤強化・効率化を目指した設備投資」及び「M&Aを含む戦略的事業投資」については資金需要に応じて金融債務を柔軟に活用することとしております。資金需要の発生した時点で、金利コストの最小化を図れるような調達方法を熟慮し、資金需要に対応しております。一方、運転資金需要については、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーでまかなうことを基本としております。
③資金の流動性
当社及び主要な連結子会社はCMS(キャッシュマネジメントシステム)を導入しており、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことにより、資金効率の向上と金融費用の極小化を図っております。
(5) 戦略的現状と見通し
2018年度は、「中期経営方針」に基づいて、国内3事業の収益基盤の盤石化と国際事業の成長エンジン化による「稼ぐ力」の強化を図り、事業全体で着実な増収・増益を目指します。また、資本コストを踏まえた資産・資本効率の向上やサステナビリティの向上を目指したESG(環境・社会・ガバナンス)への取組みを強化することで、“企業価値向上経営”の更なる深化を目指していきます。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、この文中に記載したほか、「第2 事業の状況 3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(7) 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 4 事業等のリスク」に記載のとおりであります。