有価証券報告書-第116期(2022/01/01-2022/12/31)

【提出】
2023/03/22 15:00
【資料】
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【項目】
149項目
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、WITHコロナに向けた政策により行動制限の段階的な緩和が進み、経済活動・社会活動に回復の兆しが見られました。一方で、長期化しているロシア・ウクライナ情勢に起因する原材料・エネルギー価格の高騰や、急激な円安進行等に伴う物価上昇により、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。
このような経営環境の下、当社グループは、グループの持続的な成長及び中長期的な企業価値の向上を図るべく、中長期戦略「長期ビジョン100」で掲げた5本の柱を軸とした諸施策を引き続き進めてまいりました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は、81,120百万円(前期比3.2%増)となりました。利益面では、原料である粗留アルコールやコーン価格の大幅な高騰などの影響を受け、707百万円の営業損失(前期は1,207百万円の営業利益)、645百万円の経常損失(前期は1,267百万円の経常利益)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純損失は1,257百万円(前期は299百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
当社が重視する経営指標は次のとおりとなりました。
前連結会計年度
(令和3年12月期)
当連結会計年度
(令和4年12月期)
売上高78,618百万円81,120百万円
経常利益1,267百万円△645百万円
売上高経常利益率1.6%△0.8%
1株当たりの配当金7円5円
ROE1.5%△6.7%


セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。
<酒類事業>酒類事業におきましては、国内の人口減少や少子高齢化、飲酒機会の減少に加え、全カテゴリーに及ぶ価格の上昇により国内需要縮小が一段と進み、競争がより激化しております。また、飲用シーン別においては、行動制限の緩和により業務用市場に回復の兆しが表れる一方、家庭用としては、物価上昇による節約志向により、引き続きチューハイなどのRTD分野が好調に推移、加えて、チューハイの素やハイボールに最適なウイスキーなどが伸張しております。このような環境の下、売上高は72,904百万円(前期比2.5%増)となりました。利益面につきましては、961百万円の営業損失(前期は499百万円の営業利益)となりました。
和酒部門のうち焼酎につきましては、しそ焼酎「鍛高譚」が好調に推移したものの、PB商品等の減少により、売上高は減少いたしました。同カテゴリーでは、しそ焼酎「鍛高譚」が12月に発売30周年を迎えることを記念して実施した、北海道内の企業とのコラボレーションキャンペーンをはじめとした販売促進策や、アウトドアシーンでの甲類焼酎「ビッグマン」の活用を企図して、アウトドアメーカーとコラボレーションし、リーチ マイケル氏を引き続きイメージキャラクターに起用したキャンペーンなど、新たなファン獲得や新たな飲用シーンの創出を目指した活動を積極的に展開いたしました。
チューハイなどのRTD分野につきましては、レトロな雰囲気や懐かしい味わいを楽しめる「昔懐かしい」シリーズや、ローカルな飲食店やメーカーにスポットを当てた「ご当地」シリーズ、PB商品が好調に推移し、売上高は増加いたしました。「昔懐かしい」シリーズでは、純喫茶で提供される“フルーツポンチ”の味わいを再現した「昔懐かしいフルーツポンチサワー」を、「ご当地」シリーズでは「浅草ハイボール 電氣ブランサワー」を、それぞれ新たに発売し、ラインアップを強化しております。
清酒につきましては、市場の低迷が続いておりますが、「福徳長 米だけのす~っと飲めてやさしいお酒 純米吟醸酒」やPB商品、海外での販売が好調に推移し、売上高は増加いたしました。同カテゴリーでは、「福徳長 米だけのす~っと飲めてやさしいお酒」シリーズより、季節限定の無濾過生貯蔵純米原酒「福徳長 米だけのす~っと飲めてやさしいお酒 しぼりたて無濾過 純米酒」を数量限定で発売するなど、旬のお酒を求めるお客様のニーズにお応えしております。
販売用アルコールにつきましては、原料である粗留アルコールの大幅な高騰に対応すべく、販売価格の改定に取り組んだことにより、売上高は増加いたしました。
洋酒部門につきましては、製菓用のリキュールや、炭酸水で割るだけで手軽に居酒屋の味わいを家で楽しむことができる、RTSの「酎ハイ専科」シリーズのアイテムを追加し、ラインアップを強化したことやハイボールに最適なウイスキー「香薫(こうくん)」などが伸張したことにより、売上高は増加いたしました。
<加工用澱粉事業>加工用澱粉事業につきましては、原料であるコーン価格の大幅な高騰に対応すべく、販売価格の改定に取り組んだことにより、売上高は4,279百万円(前期比12.3%増)となりました。しかしながら、急激な原価上昇に追いつかず、344百万円の営業損失(前期は59百万円の営業損失)となりました。
<酵素医薬品事業>酵素医薬品事業につきましては、国内における発酵受託ビジネスや、酵素部門における海外での販売が好調に推移し、売上高は3,395百万円(前期比3.6%増)となりました。しかしながら、原料価格やエネルギー価格の高騰などによる原価の上昇や製品構成の影響により、営業利益は370百万円(前期比34.6%減)となりました。
<不動産事業>不動産事業につきましては、銀座の旧本社跡地に、三菱地所グループの株式会社ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツが運営するホテル「ザ ロイヤルパーク キャンバス 銀座コリドー」が11月にオープンしたことなどにより、売上高は460百万円(前期比27.8%増)、営業利益は214百万円(前期比15.3%増)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
①生産実績
生産実績をセグメント別アイテム(主要製品)別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称アイテム(主要製品)当連結会計年度
(自 令和4年1月1日
至 令和4年12月31日)
前期比
(%)
酒類焼酎92,736(KL)95.0
チューハイ80,759(KL)111.2
清酒11,494(KL)105.5
合成清酒9,242(KL)102.6
アルコール112,736(KL)102.8
みりん3,674(KL)80.6
洋酒8,564(KL)112.1
その他4,597(KL)98.4
323,802(KL)102.2
加工用澱粉加工用澱粉56,864(T)98.5

(注) 酵素医薬品事業については数量等の算定が困難であるため、記載しておりません。また、アルコールについては、他の酒類原料用も含んだ総生産数量であります。なお、不動産事業、その他の事業については生産実績がないため、記載しておりません。
②受注状況
当社グループは一部の製品について受注生産を行っておりますがウエイトも小さく、大部分の製品は販売計画に基づく生産計画に従った見込生産を主体としております。
③販売実績
販売実績をセグメント別アイテム(主要製品)別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称アイテム(主要製品)当連結会計年度
(自 令和4年1月1日
至 令和4年12月31日)
(百万円)
前期比
(%)
酒類和酒焼酎36,10094.1
チューハイ14,169113.5
清酒3,545106.8
合成清酒1,86298.8
販売用アルコール11,265121.1
みりん62188.1
67,565102.3
洋酒4,748107.0
その他58999.2
72,904102.5
加工用澱粉4,279112.3
酵素医薬品3,395103.6
不動産460127.8
その他81113.9
合 計81,120103.2

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先前連結会計年度当連結会計年度
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
三井食品㈱8,97511.48,65710.7
イオントップバリュ㈱6,5358.38,41310.4
国分グループ本社㈱7,88610.07,2989.0

(2)財政状態
当連結会計年度の総資産につきましては、55,511百万円となり、繰延税金資産が減少したものの、有形固定資産が増加したため、前連結会計年度末と比較し3,230百万円の増加となりました。
負債につきましては、35,906百万円となり、未払消費税等が減少したものの、短期借入金が増加したため、前連結会計年度末と比較して5,671百万円の増加となりました。
純資産につきましては、19,604百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,441百万円の減少となりました。これは主に利益剰余金の減少によるものであります。
(3)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は894百万円となり、前連結会計年度末と比較して91百万円の減少となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローにおける資金の減少額は、860百万円(前期比2,411百万円減)となりました。これは主に、減価償却費1,732百万円、仕入債務の増加額502百万円等がありましたものの、税金等調整前当期純損失777百万円、棚卸資産の増加額720百万円等を計上したことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、固定資産の取得による支出3,934百万円等がありましたので、4,040百万円(前期比1,174百万円減)の資金減少となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、長期借入金の返済による支出750百万円、配当金の支払額438百万円等がありましたものの、短期借入金の増加額3,400百万円、長期借入れによる収入3,000百万円等がありましたので、4,809百万円(前期比3,419百万円増)の資金増加となりました。
(4)資本の財源及び資金の流動性の分析
①キャッシュ・フロー
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)キャッシュ・フロー」に記載しております。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。
令和2年12月期令和3年12月期令和4年12月期
自己資本比率(%)38.738.332.0
時価ベースの自己資本比率(%)47.140.926.9
キャッシュ・フロー対有利子負債率(年)1.04.2△13.9
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)72.326.2△11.7

(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
②資金調達
当社グループは、資金計画に基づき、必要資金は銀行等金融機関からの借入により調達しております。一時的な余資は、預金等の流動性の高い金融資産に限定して運用し、また、短期的な運転資金を銀行等金融機関からの借入により、大型の設備投資資金の一部については複数の金融機関から相対借入により調達しております。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。