有価証券報告書-第73期(2024/04/01-2025/03/31)

【提出】
2025/06/23 15:20
【資料】
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【項目】
189項目
① 環境に関する戦略ならびに指標及び目標
当社グループは、世界の人々の健康で楽しい生活づくりに貢献するという私たちの使命を実現するべく、コーポレートスローガン「人も地球も健康に」のもと、6つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。このうち、バリューチェーンで優先して取り組むべき課題として、社会面では「イノベーション」「地域社会との共生」「サプライチェーンマネジメント」を、環境面では「気候変動」「プラスチック容器包装」「水」を特定しました。
環境面でのマテリアリティに取り組むにあたり、2021年3月に人と地球の共生社会の実現を目指す「ヤクルトグループ環境ビジョン」を策定しています。同ビジョンにおいて、2050年のあるべき姿として「環境ビジョン2050」を定め、2050年までにグローバルで温室効果ガス排出量ネットゼロを目指します。あわせて、「環境ビジョン2050」実現に向け、環境面でのマテリアリティである「気候変動」「プラスチック容器包装」「水」について、中期的マイルストーン「環境目標2030」および短期的マイルストーン「環境アクション(2021‐2024)」を策定しています。
今般、これらのうち、「環境目標2030」を見直しました。具体的には、まず目標の対象範囲について、国内の本社(単体)およびボトリング会社に加え、国内外の全連結子会社まで拡大しました。また、環境面におけるマテリアリティ(重要課題)の見直しを行い、当社の事業が自然環境に影響を及ぼすことを考慮し「生物多様性の保全」を追加しました。さらに、既存のマテリアリティの名称については、ステークホルダーが内容を理解しやすいよう「気候変動の緩和と適応」「持続可能なプラスチック容器包装の推進」「持続可能な水資源管理」と変更しました。
また、森林保全については、「調達活動における森林破壊・土地転換ゼロコミットメント」を策定し、サプライチェーンにおける森林破壊リスクのある原材料の特定、基本的方針、取り組みおよび目標を掲げています。
「調達活動における森林破壊・土地転換ゼロコミットメント」の詳細については、以下をご参照ください。
・「調達活動における森林破壊・土地転換ゼロコミットメント」
(https://www.yakult.co.jp/company/sustainability/social/supply_chain/pdf/deforestation_free.pdf)
<気候変動の緩和と適応>当社グループは現在、事業活動を通じて年間約187万トンのCO2(スコープ1・2・3)を排出しています。コーポレートスローガン「人も地球も健康に」を掲げる当社は、気候変動対策が喫緊の課題であることを強く認識しています。そこで、パリ協定が定める水準に整合した温室効果ガス排出削減目標である「SBT(Science Based Targets)」に準じて、以下のとおり「環境目標2030」を見直し、原料調達から生産、物流、販売までのバリューチェーン全体を通じてCO2削減の取り組みを推進します。
なお、「SBT(Science Based Targets)」の2年以内の設定を表明するコミットメントレターを、認定機関であるSBTイニシアチブ(SBTi)に提出し、2024年10月25日に受領されています。
(環境ビジョン2050)
2050年までに、温室効果ガス排出量ネットゼロ(スコープ1・2・3)を目指す
※スコープ1:自社の事業活動での燃料使用に伴う直接排出量
スコープ2:企業が外部から購入する電力・蒸気・熱に関する間接排出量
スコープ3:事業活動に関連するサプライチェーンにおける間接排出量
(環境目標2030)※2025年5月改定
[対象範囲:本社および国内外全連結子会社]
1. 温室効果ガス排出量(スコープ1・2)を2022年度比42%削減する
2. 温室効果ガス排出量(スコープ3)を2022年度比25%削減する
3. 温室効果ガス排出量(FLAG)を2022年度比31%削減する
また、気候変動に関連するリスク・機会が、組織の事業、戦略、財務計画に及ぼす顕在的および潜在的な影響についてシナリオ分析を実施し、明確化されたリスク・機会に対し、重要なリスク・機会を中心にそれぞれの対応策を講じて、リスクの低減と機会の獲得につなげていきます。
さらに、当社は、CO2排出量を仮想的に費用換算し、低炭素投資や気候変動対策を推進するしくみである「インターナルカーボンプライシング制度(以下、ICP制度)」を2022年10月から導入しています。社内炭素価格を37,000円/t-CO2と設定し、設備投資を行う際の機器選定における判断基準の一つとして、ICP制度を活用することで、低炭素投資や気候変動対策を推進しています。
なお、当社は2022年8月に、気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、TCFD)の提言への賛同を表明しました。TCFDの提言に基づき、気候変動が事業にもたらすリスク・機会の分析とその財務的な影響を評価し、今後も「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の枠組みに沿って、さらなる情報開示を進めていきます。
TCFD提言に基づく、詳細な情報につきましては、以下をご参照ください。
「統合報告書2024」(P51~54)
(https://www.yakult.co.jp/company/ir/library/pdf/integrated2024.pdf)
<持続可能なプラスチック容器包装の推進>当社グループは、国内において約18,000t(2023年度に販売した食品および化粧品等に使用した容器包装の重量)のプラスチック容器包装を使用しています。プラスチックごみによる環境汚染問題や資源循環の観点から、容器包装の資源循環が喫緊の課題であると認識しています。そこで、プラスチック容器包装の使用量について、以下のとおりに「環境目標2030」を見直しています。
(環境目標2030)※2025年5月改定
1. 2030年度のプラスチック製容器包装の使用量(国内・海外)の20%以上に相当する量に対してサステ ナブルな取り組みを実施する
2. ヤクルト容器の水平リサイクルの仕組みを確立する
具体的な取り組みとしては、容器包装の薄肉化や軽量化に加えて、バイオマス化および再生化等持続可能な資源循環に適した素材の使用を検討し、プラスチック容器包装による環境負荷の低減を目指します。また、世界各地でプラスチック製品の使用を規制する動きが活発化しているため、各国・地域の規制を注視しつつ、具体的な対応策の検討を進めていきます。
<持続可能な水資源管理>ヤクルトグループは現在、国内外の工場で年間約600万m3の水を使用しています。地球上の限りある資源である水を主原料とする当社グループにとって、持続可能な水使用は、重要な課題であると認識しています。そこで、水資源管理について、以下のとおり「環境目標2030」を見直しています。
(環境目標2030)※2025年5月改定
1. 国内・海外の乳製品工場における水リスク詳細調査により、各地域における課題を抽出し、優先順位 の高い課題への施策展開を100%実施する
2. 削減活動の継続に加え、2030年度の製品化された水消費量(国内・海外の乳製品工場)を対象に、 水源涵養活動を推進する
具体的には、国内外の事業所・工場において水の循環利用や運用方法の見直しによる節水活動を進めるとともに、拠点ごとの水リスクを把握し、水の管理計画策定による適正な水マネジメントを推進します。
また、製品化した水消費量を対象に、森林保全等による水源涵養活動を実施し、地球への還元を進めていきます。
<生物多様性の保全>当社はこれまでも「環境アクション(2021-2024)」の中で生物多様性を重点課題として特定し、植樹活動等を実施してきました。近年、生物多様性に関する重要性が高まってきていることから、新たにマテリアリティに特定した上で、以下のとおり「環境目標2030」を設定しました。
(環境目標2030)※2025年5月改定
1. 地域社会における生物多様性保全活動への支援・参画を推進する
2. 事業活動による生物多様性への影響を把握し、軽減施策を推進する
なお、サステナビリティに関する考え方および取り組みの詳細については、以下をご参照ください。
・「サステナビリティレポート2024」
(https://www.yakult.co.jp/company/sustainability/download/)
・「統合報告書2024」
(https://www.yakult.co.jp/company/ir/library/integrated.html)