有価証券報告書-第112期(2023/12/01-2024/11/30)

【提出】
2025/02/28 10:22
【資料】
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【項目】
175項目
2) 戦略
当社グループでは「キユーピーグループ 2030ビジョン」の実現やSDGsへの貢献など、2030年からバックキャスト思考で検討し、以下のサステナビリティに向けての重要課題を特定しました。
・食と健康への貢献
・資源の有効活用・循環
・気候変動への対応
・生物多様性の保全
・持続可能な調達
・人権の尊重
サステナビリティに向けての重点課題は、持続可能な社会の実現への貢献とグループの持続的な成長をめざす上で、事業と社会の双方にとって重要と考えています。社会・地球環境変化に応じて、定期的に重点課題の見直しを行います。
また、「キユーピーグループ サステナビリティ基本方針」に基づく重点課題を指標化したサステナビリティ目標を設定し、取り組みを進めています。
① 食と健康への貢献
昨今の社会変化を踏まえ、世界中で健康に関する意識が高まっております。「健康寿命延伸への貢献」および「子どもの心と体の健康支援」に取り組むことで、当該意識の変化に対応することができ、機会創出につながると考えております。
生涯を通じて健康な食生活を送るためには「栄養」「運動」「社会参加」の3つをバランスよく取り入れることが大切です。当社グループは特に「栄養」に関して、サラダとタマゴで健康課題解決のためのおいしくバランスの良い食生活をサポートしています。
また、講演会やマヨネーズ教室、オープンキッチン、SDGs教室などのさまざまな食育活動を行っています。さらには、子どもたちが食生活に関して主体的に学び・考え・判断する力を育むためのサイト「食生活アカデミー」を立ち上げています。
② 資源の有効活用・循環
限りある食資源や自然エネルギーを無駄なく有効活用することは、食糧危機などのリスクをはらんだ昨今において食品メーカーの重要な責任であると考えており、具体的に「食品ロスの削減・有効活用」「プラスチックの削減・再利用」「水資源の持続的利用」に取り組んでいます。
食品ロスの削減・有効活用では、卵においては、卵黄、卵白は商品や食品原料として使用しているのはもちろんのこと、卵殻においても土壌改良材やカルシウム強化商品として活用、卵殻膜も化粧品として活用することで、卵の100%有効活用を実現しています。
0102010_007.jpgまた、野菜の未利用部(キャベツ・レタスなど葉物野菜の残さ)を、乳牛用飼料として再生利用することに成功しました。東京農工大学と当社の共同研究で、この飼料を与えた乳牛は乳量が増加することが報告されています。さらに、パッケージサラダを製造・販売する子会社である株式会社サラダクラブでもパッケージサラダを製造する直営7工場で発生する野菜の外葉や芯などの未利用部を、堆肥や飼料として契約農家などで活用いただくことですべて再資源化しています。
プラスチックの削減・再利用の取り組みの1つである製品で使用するプラスチックについても、石油由来のプラスチックの削減に向け、プラスチックの軽量化や再生プラスチックを使用する取り組みを進めています。また、油付きPETボトルおよびマヨネーズボトルの資源循環に向けて、他社と協働して取り組みを進めております。当期は技術の確立と技術検証を進めるため、大手小売店と連携しながらボトルの回収実証実験を実施しました。
また、水資源の持続的利用においては、事業継続のために水は限りある貴重な資源と認識し、効率的な利用と取水・排水における環境負荷の低減に取り組んでいます。
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③ 気候変動への対応
当社は気候変動におけるリスクと機会についてTCFDの枠組みに従い下記「(2)TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に向けた取り組み」のとおり開示しております。気候変動の原因となるCO2排出量削減に向けて、原料調達から消費までのバリューチェーン全体で、省エネルギーや再生エネルギーへの転換を積極的に行うことが重要と考えています。
当社グループでは国内外で再生可能エネルギーの導入を順次進めています。また、生産事業所の各工程にエネルギー測定装置を設置するなど「エネルギー使用の見える化」を進め、設備運用改善・メンテナンスの徹底、省エネ型機器を導入し省エネルギー化を推進しています。さらに輸配送距離の短縮化と積載効率向上による輸配送効率化、低燃費で安全にもつながるエコドライブなどを実施しています。加えて、長距離トラック輸送の鉄道や船舶への切替え(モーダルシフト)を推進して、CO2排出削減を実現しています。
④ 生物多様性の保全
当社グループの事業活動は、豊かな自然環境と密接な関わりを持っています。「良い商品は良い原料からしか生まれない」という考えを大切に、「生物多様性方針」のもと、原料を生み出す自然の恵みに感謝し、豊かな自然と生物多様性の保全に努めていきます。
当社グループは、2024年4月に「TNFD(自然関連財務情報タスクフォース)」に賛同し、TNFDフォーラムへ参画しました。さらに、課題に対応すると同時に、新たな機会も見いだし、企業戦略にも活かしていくためのプロジェクトを発足しました。TNFDフレームワークのLEAPアプローチを活用して、当社グループの主要な原料と直接操業(生産拠点)を対象に分析を行っていきます。
TNFD報告書
URL https://www.kewpie.com/sustainability/pdf/sustainability_20250116_tnfd.pdf
⑤ 持続可能な調達
自社だけでなくサプライチェーン全体で環境や人権に与える影響に配慮する必要があると認識しております。特に調達における影響を最小限にする取り組みは重要です。当社グループでは「キユーピーグループ 持続可能な調達のための基本方針」を2018年に策定し、環境や人権に配慮した調達を推進しています。さらにサプライヤーガイドラインを定め、本ガイドラインをもって相互理解のもと、サプライチェーンにおけるさまざまな課題解決を行い、安全性はもとより、環境や人権への影響に配慮した安定調達をお取引先と協働して進めます。また、当社の主要取引先に対してアンケートを実施し、サプライヤーガイドラインに準じた行動がなされているか確認を行いました。そしてアンケートの内容に応じて個別にヒアリングして詳細に把握するなど、サプライヤーとの協力体制を強化しています。
⑥ 人権の尊重
事業活動のすべての過程で、直接または間接的に人権に影響を及ぼす可能性があることを認識し、ビジネスに関わるすべての人の人権を尊重することをめざしています。当社はビジネスに関わる全ての人の人権を尊重するために、「キユーピーグループ人権方針」を策定しています。 また、人権に関する国際基準やヒアリングなどを通じて得られた情報に基づき、外部専門家により特に重要と判断されたリスクも特定しています。 抽出された人権リスクについては、サステナビリティ委員会にて取り上げ、関連する委員会や部門と連携し、対応策の計画や実施を行っています。 また内部統制システムの中に違反行為の発見と是正のための通報・相談窓口「ヘルプライン」を設置しています。 違反行為があれば担当部門との協議の上、再発防止策を実施しています。
当社グループの特に注意すべき重要人権リスクと防止・軽減に向けた対応
リスク対象当社グループにおける
対応・対象のURL
自社
従業員
一次
サプライヤー
原材料
生産者
顧客・消費者
労働安全衛生https://www.kewpie.com/sustainability/human-rights/healthcare-management/#sec02
強制労働https://www.kewpie.com/sustainability/human-rights/initiatives/
児童労働上記と同じ
ハラスメント上記と同じ
長時間労働・
過重労働
日々の時間管理の徹底
注意喚起と啓発
製品の欠陥による健康・安全の侵害https://www.kewpie.com/sustain
ability/quality/manufacture/