四半期報告書-第35期第3四半期(令和1年7月1日-令和1年9月30日)
経営者の視点による経営成績等の状況に関する主な注記は以下のとおりです。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次頁以降から記載しております。)
なお、以下、文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日において判断したものです。
(IFRS第16号について)
当社グループは、当第1四半期期首より、IFRS第16号「リース」を適用しております。この結果、IFRS第16号適用時に資産及び負債が39,033百万円増加しております。詳細は「第4 経理の状況 1要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」をご参照ください。
(非GAAP指標について)
当社グループは、当社が適用する会計基準であるIFRSにおいて定義されていない非GAAP指標を追加的に開示しております。非GAAP指標は、当社グループが中長期的に持続的な成長を目指す上で、各事業運営の業績を把握するために経営管理にも利用している指標であり、財務諸表の利用者が当社グループの業績を評価する上でも、有用な情報であると考えております。
調整後営業利益
営業利益(損失)から買収に伴い生じた無形資産に係る償却費、調整項目(収益及び費用)を除いた調整後営業利益を開示しております。調整項目(収益及び費用)はのれんの減損損失、リストラクチャリング収益及び費用等です。
また、為替一定ベースの調整後営業利益の成長率も追加的に開示しております。これは、海外たばこ事業における当期の調整後営業利益を前年同期の為替レートを用いて換算・算出することにより、為替影響を除いた指標です。当社グループは、為替一定ベースの調整後営業利益の成長率における、中長期に亘る年平均mid to high single digit成長を全社利益目標としており、その達成を目指してまいります。
(自社たばこ製品売上収益について)
たばこ事業においては、自社たばこ製品に係る売上収益を、売上収益の内訳として開示しております。具体的には、国内たばこ事業においては、国内免税市場及び当社の中国事業部管轄の中国・香港・マカオ市場における売上収益並びにRRP・リトルシガー等に係る売上収益が含まれていますが、輸入たばこ配送手数料等に係る売上収益は含まれておりません。また、海外たばこ事業においては、水たばこ製品及びRRPに係る売上収益が含まれていますが、物流事業及び製造受託等に係る売上収益は含まれておりません。
(RRPについて)
RRPは、E-Vapor製品及び加熱式たばこ等、喫煙に伴う健康リスクを低減させる可能性のある製品(Reduced- Risk Products, RRP)を指しております。
E-Vapor製品は、たばこ葉を使用せず、装置内もしくは専用カートリッジ内のリキッド(液体)を電気加熱させ、発生するベイパー(蒸気)を愉しむ製品です。
一方、加熱式たばこは、たばこ葉を使用し、たばこ葉を燃焼させずに、加熱等によって発生するたばこベイパー(たばこ葉由来の成分を含む蒸気)を愉しむ製品です。
当社グループは、たばこ事業の将来に亘る持続的な成長のため、イノベーティブな製品の開発等に取り組んでおります。
(国内たばこ事業の紙巻数量について)
当第2四半期連結会計期間より、国内たばこ事業の紙巻数量にリトルシガーを含めており、比較対象の前年同期実績も遡及して修正しております。これにより影響を受ける指標は、紙巻総需要、紙巻販売数量、紙巻シェア、及びRRP市場占有率となります。また、このうち、紙巻総需要、紙巻シェア及びRRP市場占有率は当社推計値です。
なお、リトルシガーは、たばこ葉を原料とする巻紙を使い、紙巻たばこと同様の形態に巻き上げた製品で、たばこ事業法上「葉巻たばこ」に分類されるものです。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は以下のとおりです。
(1)経営成績の状況
① 全社実績
(単位:億円)
<売上収益>売上収益は、国内たばこ事業における紙巻単価上昇効果及びRRP関連売上収益の増加、海外たばこ事業における単価上昇効果及び買収による数量効果があったものの、国内たばこ事業における紙巻販売数量減少影響、海外たばこ事業におけるネガティブな為替影響、医薬事業の抗HIV薬6品の国内におけるライセンス契約解消による減収及び加工食品事業の減収により、前年同期比2.5%減の1兆6,337億円となりました。
<調整後営業利益>為替一定ベースの調整後営業利益は、国内たばこ事業及び医薬事業で減少したものの、海外たばこ事業及び加工食品事業での増加により、前年同期比3.0%増となりました。為替影響を含めた調整後営業利益は、海外たばこ事業においてネガティブな為替影響を受けたことにより、前年同期比11.6%減の4,515億円となりました。
<営業利益>営業利益は、医薬事業の抗HIV薬6品の国内におけるライセンス契約解消に係る収益があるものの、調整後営業利益の減益、不動産売却益の減少及び買収に伴い生じた無形資産に係る償却費の増加、海外たばこ事業における事業運営体制の変革に係る施策費用の計上等により、前年同期比7.6%減の4,406億円となりました。
<親会社の所有者に帰属する四半期利益>親会社の所有者に帰属する四半期利益は、一時的な要因により税負担率が低下したものの、営業利益の減益及び金融損益の悪化により、前年同期比5.0%減の3,161億円となりました。
② セグメント別実績
[国内たばこ事業]
(単位:億本、億円)
<紙巻販売数量>紙巻総需要は、2018年10月に実施した定価改定の影響、RRP市場の拡大及び趨勢減等により、前年同期比9.3%減となりました。また、2018年10月のたばこ税増税時と比べ、2019年10月の消費税増税時は値上げ幅が小さかったことから、値上げに先立つ駆け込み需要が前年同期比で大幅に少なかったことも高い減少率の要因として挙げられます。
当社の紙巻シェアは、キャメルがダウントレーディングを捉え伸長しているものの、低価格帯での競争激化等の影響を受け、前年同期比0.8%ポイント減の60.7%となりました。この結果、当社の紙巻販売数量も前年同期比10.5%減となりました。
(注3)
国内たばこ市場におけるRRPの市場占有率は、22%台半ば(出荷ベース)となりました。当社のRRP販売数量は紙巻たばこ換算ベースで前年同期比5億本増加の23億本となりました。実需ベースの当社のRRPカテゴリー内シェアは約9%となりました。
<自社たばこ製品売上収益及び調整後営業利益>自社たばこ製品売上収益は、紙巻単価上昇効果及びRRP関連売上収益の増加があったものの、紙巻販売数量の減少影響により、前年同期比1.9%の減収となりました。
なお、RRP関連売上収益は前年同期比22億円増加の482億円となりました。
調整後営業利益は、紙巻単価上昇効果があるものの、紙巻販売数量の減少影響等により前年同期比4.3%の減益となりました。
(注1)紙巻総需要は、日本市場全体における紙巻たばこの販売数量を指しております。なお、当該数値にはリトルシガーを含み、RRP等は含まれておりません。
(注2)当該数値の他に、国内免税市場及び当社の中国事業部管轄の中国・香港・マカオ市場の当第3四半期連結累計期間における販売数量31億本(前年同期の当該数量は31億本)があります。なお、当該数値にはリトルシガーを含み、RRP等は含まれておりません。
(注3)RRP販売数量は、1パック当たり紙巻たばこ20本として換算しております。当該数値には国内免税市場における販売数量は含まれておりません。なお、RRP関連売上収益には国内免税市場における売上収益及びデバイス・関連アクセサリー等に係る売上収益が含まれております。
[海外たばこ事業]
(単位:億本、億円)
(単位:百万ドル)
※()内は、為替一定ドルベース 前年同期比増減率
<販売数量及び市場シェア>総販売数量は、ギリシャ・バングラデシュ・ロシアにおける買収効果により前年同期比5.8%増となりました。買収効果及びネガティブに作用した流通在庫調整影響を除いた総販売数量は、イラン・スペイン・台湾等様々な市場において継続的なシェア増加があったものの、ロシア等における総需要減少の影響により、前年同期と同水準の0.4%減となりました。
GFB販売数量は、ウィンストン(+3.0%)・キャメル(+6.3%)・メビウス(+0.4%)・LD(+8.5%)と全てのGFBの成長により、前年同期比4.4%増となりました。
<自社たばこ製品売上収益及び調整後営業利益>自社たばこ製品売上収益及び調整後営業利益は、単価上昇効果及び買収効果を含む数量効果があったものの、ネガティブな為替影響を受けたことにより、それぞれ前年同期比1.2%の減収、12.0%の減益となりました。
為替影響を含めたドルベースの自社たばこ製品売上収益は、イラン・英国・カナダ・トルコ・フィリピン等における単価上昇効果及び買収効果を含む数量効果があったものの、ネガティブな為替影響により、前年同期比0.7%減となりました。為替一定ベースでは、前年同期比8.9%増となりました。
為替影響を含めたドルベースの調整後営業利益は、単価上昇効果等があったものの、主に買収を実施した市場及びRRPへの投資並びにネガティブな為替影響により、前年同期比11.5%減となりました。為替一定ベースでは、前年同期比10.2%増となりました。
[海外たばこ事業 地域別内訳](注6)
海外たばこ事業における各地域の実績は以下のとおりです。
(単位:億本、億円、百万ドル)
※()内は、為替一定ドルベース 前年同期比増減率
(注4)製造受託、水たばこ製品及びRRPを除き、Fine cut、シガー、パイプ、スヌース及びクレテックを含めております。
(注5)当社グループのブランドポートフォリオの中核を担う「ウィンストン」「キャメル」「メビウス」「LD」の4ブランドをGFB(グローバル・フラッグシップ・ブランド)としております。
(注6)当社グループの海外たばこ事業をより深く理解していただくために、当該セグメントを4地域(South and West Europe、North and Central Europe、CIS+、Rest-of-the-World)に区分けしております。
South and West Europeにはフランス、イタリア、スペイン等、North and Central Europeにはドイツ、英国等、CIS+にはルーマニア、ロシア等、Rest-of-the-Worldにはイラン、台湾、トルコ等を含んでおります。
※ 米国ドルに対する為替レートは、以下のとおりです。
[医薬事業]
(単位:億円)
<売上収益及び調整後営業利益>売上収益は、抗HIV薬6品の国内におけるライセンス契約解消の影響及び海外ロイヤリティ収入の減少等により、前年同期比22.6%の減収となりました。
調整後営業利益は、売上収益の減少により、前年同期比59.4%の減益となりました。
[加工食品事業]
(単位:億円)
<売上収益及び調整後営業利益>売上収益は、ステープル商品の販売が伸長したものの、主に利益率が低い商品の販売減少により、前年同期比2.1%の減収となりました。
調整後営業利益は、売上収益の減少、原材料費及び物流費の上昇があったものの、価格改定効果に加え、商品構成の改善及びコスト低減といった収益性改善の取り組みもあり、前年同期比40.0%の増益となりました。
(2)財政状態及びキャッシュ・フローの状況
① 財政状態の状況
[資産]
当第3四半期連結会計期間末現在の資産合計は、前年度末に比べ1,935億円減少し、5兆2,679億円となりました。これは、IFRS第16号適用に伴う使用権資産の増加があったものの、配当金の支払いに伴う現金の減少及び無形資産の償却並びに為替影響による減少があったこと等によるものです。
[負債]
当第3四半期連結会計期間末現在の負債合計は、前年度末に比べ1,256億円減少し、2兆6,354億円となりました。これは、運転資本需要増及び自己株式の取得に伴う短期借入を行なったものの、未払たばこ税の支払い及び為替影響による減少があったこと等によるものです。
[資本]
当第3四半期連結会計期間末現在の資本合計は、前年度末に比べ680億円減少し、2兆6,325億円となりました。これは、親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上による利益剰余金の増加があったものの、配当金の支払い及び自己株式の取得並びに為替影響による減少があったこと等によるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末現在の現金及び現金同等物は、前年度末に比べ1,004億円減少し、1,817億円となりました(前年同期末残高2,833億円)。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
当第3四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、2,578億円の収入(前年同期は4,276億円の収入)となりました。これは、主にたばこ事業による安定したキャッシュ・フローの創出があったものの、国内外におけるたばこ税及び法人税の支払いがあったこと等によるものです。
なお、当第3四半期連結累計期間における国内のたばこ税の支払額については、前年度末が金融機関の休
日であった影響から10ヶ月分となっております。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
当第3四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、1,248億円の支出(前年同期は2,339億円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出があったこと等によるものです。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
当第3四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、2,234億円の支出(前年同期は1,768億円の支出)となりました。これは、短期借入による収入があったものの、配当金の支払い及び自己株式の取得があったこと等によるものです。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について前事業年度の有価証券報告書に記載した内容から重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について前事業年度の有価証券報告書に記載した内容から重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費は、485億円です。
なお、当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)設備の新設、除却等の計画
前連結会計年度末における当連結会計年度1年間の設備投資計画(新設・拡充)は1,560億円としておりましたが、当第3四半期連結会計期間末において1,380億円に変更しております。
なお、セグメント毎の設備投資の主な内容・目的について前事業年度の有価証券報告書に記載した内容から重要な変更はありません。
(7)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資金需要
設備投資、運転資金、外部資源の獲得、借入の返済及び利息の支払い、配当金の支払い、自己株式の取得並びに法人税の支払い等に資金を充当しております。
② 資金の源泉
主として営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入、社債及びコマーシャル・ペーパーの発行により、必要とする資金を調達しております。
<キャッシュ・フロー>「(2)財政状態及びキャッシュ・フローの状況 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
<有利子負債>(注)
(長期負債)
社債(1年内償還予定を含む)は、前年度末現在6,104億円、当第3四半期連結会計期間末現在5,956億円、金融機関からの長期借入金(1年内返済予定を含む)は、前年度末現在1,293億円、当第3四半期連結会計期間末現在1,139億円です。
(短期負債)
金融機関からの短期借入金は、前年度末現在1,660億円、当第3四半期連結会計期間末現在2,983億円です。コマーシャル・ペーパーの発行残高は、前年度末現在720億円、当第3四半期連結会計期間末現在538億円です。
(注)当第1四半期連結会計期間より、リース負債を除いております。
③ 流動性
当社グループは、従来から営業活動により多額のキャッシュ・フローを得ており、今後も引き続き資金源になると見込んでおります。営業活動によるキャッシュ・フローは今後も安定的で、通常の事業活動における必要資金はまかなえると予想しております。また、当第3四半期連結会計期間末現在、国内・海外の主要な金融機関からのコミットメント融資枠があります。更に、コマーシャル・ペーパープログラム、アンコミットメントベースの融資枠、国内社債発行登録枠及びユーロMTNプログラム等があります。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次頁以降から記載しております。)
なお、以下、文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日において判断したものです。
(IFRS第16号について)
当社グループは、当第1四半期期首より、IFRS第16号「リース」を適用しております。この結果、IFRS第16号適用時に資産及び負債が39,033百万円増加しております。詳細は「第4 経理の状況 1要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」をご参照ください。
(非GAAP指標について)
当社グループは、当社が適用する会計基準であるIFRSにおいて定義されていない非GAAP指標を追加的に開示しております。非GAAP指標は、当社グループが中長期的に持続的な成長を目指す上で、各事業運営の業績を把握するために経営管理にも利用している指標であり、財務諸表の利用者が当社グループの業績を評価する上でも、有用な情報であると考えております。
調整後営業利益
営業利益(損失)から買収に伴い生じた無形資産に係る償却費、調整項目(収益及び費用)を除いた調整後営業利益を開示しております。調整項目(収益及び費用)はのれんの減損損失、リストラクチャリング収益及び費用等です。
また、為替一定ベースの調整後営業利益の成長率も追加的に開示しております。これは、海外たばこ事業における当期の調整後営業利益を前年同期の為替レートを用いて換算・算出することにより、為替影響を除いた指標です。当社グループは、為替一定ベースの調整後営業利益の成長率における、中長期に亘る年平均mid to high single digit成長を全社利益目標としており、その達成を目指してまいります。
(自社たばこ製品売上収益について)
たばこ事業においては、自社たばこ製品に係る売上収益を、売上収益の内訳として開示しております。具体的には、国内たばこ事業においては、国内免税市場及び当社の中国事業部管轄の中国・香港・マカオ市場における売上収益並びにRRP・リトルシガー等に係る売上収益が含まれていますが、輸入たばこ配送手数料等に係る売上収益は含まれておりません。また、海外たばこ事業においては、水たばこ製品及びRRPに係る売上収益が含まれていますが、物流事業及び製造受託等に係る売上収益は含まれておりません。
(RRPについて)
RRPは、E-Vapor製品及び加熱式たばこ等、喫煙に伴う健康リスクを低減させる可能性のある製品(Reduced- Risk Products, RRP)を指しております。
E-Vapor製品は、たばこ葉を使用せず、装置内もしくは専用カートリッジ内のリキッド(液体)を電気加熱させ、発生するベイパー(蒸気)を愉しむ製品です。
一方、加熱式たばこは、たばこ葉を使用し、たばこ葉を燃焼させずに、加熱等によって発生するたばこベイパー(たばこ葉由来の成分を含む蒸気)を愉しむ製品です。
当社グループは、たばこ事業の将来に亘る持続的な成長のため、イノベーティブな製品の開発等に取り組んでおります。
(国内たばこ事業の紙巻数量について)
当第2四半期連結会計期間より、国内たばこ事業の紙巻数量にリトルシガーを含めており、比較対象の前年同期実績も遡及して修正しております。これにより影響を受ける指標は、紙巻総需要、紙巻販売数量、紙巻シェア、及びRRP市場占有率となります。また、このうち、紙巻総需要、紙巻シェア及びRRP市場占有率は当社推計値です。
なお、リトルシガーは、たばこ葉を原料とする巻紙を使い、紙巻たばこと同様の形態に巻き上げた製品で、たばこ事業法上「葉巻たばこ」に分類されるものです。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は以下のとおりです。
(1)経営成績の状況
① 全社実績
(単位:億円)
2018年12月期 第3四半期 連結累計期間 | 2019年12月期 第3四半期 連結累計期間 | 増減率 | ||||
売上収益 | 16,758 | 16,337 | △2.5% | |||
調整後営業利益 | 5,110 | 4,515 | △11.6% | |||
営業利益 | 4,771 | 4,406 | △7.6% | |||
四半期利益(親会社所有者帰属) | 3,327 | 3,161 | △5.0% |
<売上収益>売上収益は、国内たばこ事業における紙巻単価上昇効果及びRRP関連売上収益の増加、海外たばこ事業における単価上昇効果及び買収による数量効果があったものの、国内たばこ事業における紙巻販売数量減少影響、海外たばこ事業におけるネガティブな為替影響、医薬事業の抗HIV薬6品の国内におけるライセンス契約解消による減収及び加工食品事業の減収により、前年同期比2.5%減の1兆6,337億円となりました。
<調整後営業利益>為替一定ベースの調整後営業利益は、国内たばこ事業及び医薬事業で減少したものの、海外たばこ事業及び加工食品事業での増加により、前年同期比3.0%増となりました。為替影響を含めた調整後営業利益は、海外たばこ事業においてネガティブな為替影響を受けたことにより、前年同期比11.6%減の4,515億円となりました。
<営業利益>営業利益は、医薬事業の抗HIV薬6品の国内におけるライセンス契約解消に係る収益があるものの、調整後営業利益の減益、不動産売却益の減少及び買収に伴い生じた無形資産に係る償却費の増加、海外たばこ事業における事業運営体制の変革に係る施策費用の計上等により、前年同期比7.6%減の4,406億円となりました。
<親会社の所有者に帰属する四半期利益>親会社の所有者に帰属する四半期利益は、一時的な要因により税負担率が低下したものの、営業利益の減益及び金融損益の悪化により、前年同期比5.0%減の3,161億円となりました。
② セグメント別実績
[国内たばこ事業]
(単位:億本、億円)
国内たばこ事業 | 2018年12月期 第3四半期 連結累計期間 | 2019年12月期 第3四半期 連結累計期間 | 増減率 | |
紙巻総需要(注1) | 1,043 | 946 | △9.3% | |
紙巻販売数量(注2) | 642 | 574 | △10.5% | |
自社たばこ製品売上収益 | 4,444 | 4,358 | △1.9% | |
調整後営業利益 | 1,728 | 1,654 | △4.3% |
<紙巻販売数量>紙巻総需要は、2018年10月に実施した定価改定の影響、RRP市場の拡大及び趨勢減等により、前年同期比9.3%減となりました。また、2018年10月のたばこ税増税時と比べ、2019年10月の消費税増税時は値上げ幅が小さかったことから、値上げに先立つ駆け込み需要が前年同期比で大幅に少なかったことも高い減少率の要因として挙げられます。
当社の紙巻シェアは、キャメルがダウントレーディングを捉え伸長しているものの、低価格帯での競争激化等の影響を受け、前年同期比0.8%ポイント減の60.7%となりました。この結果、当社の紙巻販売数量も前年同期比10.5%減となりました。
国内たばこ市場におけるRRPの市場占有率は、22%台半ば(出荷ベース)となりました。当社のRRP販売数量は紙巻たばこ換算ベースで前年同期比5億本増加の23億本となりました。実需ベースの当社のRRPカテゴリー内シェアは約9%となりました。
<自社たばこ製品売上収益及び調整後営業利益>自社たばこ製品売上収益は、紙巻単価上昇効果及びRRP関連売上収益の増加があったものの、紙巻販売数量の減少影響により、前年同期比1.9%の減収となりました。
なお、RRP関連売上収益は前年同期比22億円増加の482億円となりました。
調整後営業利益は、紙巻単価上昇効果があるものの、紙巻販売数量の減少影響等により前年同期比4.3%の減益となりました。
(注1)紙巻総需要は、日本市場全体における紙巻たばこの販売数量を指しております。なお、当該数値にはリトルシガーを含み、RRP等は含まれておりません。
(注2)当該数値の他に、国内免税市場及び当社の中国事業部管轄の中国・香港・マカオ市場の当第3四半期連結累計期間における販売数量31億本(前年同期の当該数量は31億本)があります。なお、当該数値にはリトルシガーを含み、RRP等は含まれておりません。
(注3)RRP販売数量は、1パック当たり紙巻たばこ20本として換算しております。当該数値には国内免税市場における販売数量は含まれておりません。なお、RRP関連売上収益には国内免税市場における売上収益及びデバイス・関連アクセサリー等に係る売上収益が含まれております。
[海外たばこ事業]
(単位:億本、億円)
海外たばこ事業 | 2018年12月期 第3四半期 連結累計期間 | 2019年12月期 第3四半期 連結累計期間 | 増減率 | ||
総販売数量(注4) | 3,201 | 3,386 | 5.8% | ||
GFB販売数量(注5) | 2,013 | 2,102 | 4.4% | ||
自社たばこ製品売上収益 | 9,532 | 9,416 | △1.2% | ||
調整後営業利益 | 3,369 | 2,965 | △12.0% |
(単位:百万ドル)
海外たばこ事業 (参考:ドルベース) | 2018年12月期 第3四半期 連結累計期間 | 2019年12月期 第3四半期 連結累計期間 | 増減率 | ||
自社たばこ製品売上収益 | 8,695 | 8,632 | △0.7% (8.9%) | ||
調整後営業利益 | 3,071 | 2,719 | △11.5% (10.2%) |
※()内は、為替一定ドルベース 前年同期比増減率
<販売数量及び市場シェア>総販売数量は、ギリシャ・バングラデシュ・ロシアにおける買収効果により前年同期比5.8%増となりました。買収効果及びネガティブに作用した流通在庫調整影響を除いた総販売数量は、イラン・スペイン・台湾等様々な市場において継続的なシェア増加があったものの、ロシア等における総需要減少の影響により、前年同期と同水準の0.4%減となりました。
GFB販売数量は、ウィンストン(+3.0%)・キャメル(+6.3%)・メビウス(+0.4%)・LD(+8.5%)と全てのGFBの成長により、前年同期比4.4%増となりました。
<自社たばこ製品売上収益及び調整後営業利益>自社たばこ製品売上収益及び調整後営業利益は、単価上昇効果及び買収効果を含む数量効果があったものの、ネガティブな為替影響を受けたことにより、それぞれ前年同期比1.2%の減収、12.0%の減益となりました。
為替影響を含めたドルベースの自社たばこ製品売上収益は、イラン・英国・カナダ・トルコ・フィリピン等における単価上昇効果及び買収効果を含む数量効果があったものの、ネガティブな為替影響により、前年同期比0.7%減となりました。為替一定ベースでは、前年同期比8.9%増となりました。
為替影響を含めたドルベースの調整後営業利益は、単価上昇効果等があったものの、主に買収を実施した市場及びRRPへの投資並びにネガティブな為替影響により、前年同期比11.5%減となりました。為替一定ベースでは、前年同期比10.2%増となりました。
[海外たばこ事業 地域別内訳](注6)
海外たばこ事業における各地域の実績は以下のとおりです。
(単位:億本、億円、百万ドル)
2018年12月期 第3四半期 連結累計期間 | 2019年12月期 第3四半期 連結累計期間 | 増減率 | |||||
South and West Europe | |||||||
総販売数量(注4) | 494 | 508 | 2.9% | ||||
GFB販売数量(注5) | 400 | 414 | 3.5% | ||||
自社たばこ製品売上収益 | 1,736 | 1,715 | △1.2% | ||||
自社たばこ製品売上収益 (参考:ドルベース) | 1,584 | 1,571 | △0.8% (5.0%) | ||||
North and Central Europe | |||||||
総販売数量(注4) | 401 | 419 | 4.5% | ||||
GFB販売数量(注5) | 181 | 213 | 18.1% | ||||
自社たばこ製品売上収益 | 1,766 | 1,773 | 0.4% | ||||
自社たばこ製品売上収益 (参考:ドルベース) | 1,611 | 1,625 | 0.9% (7.4%) | ||||
CIS+ | |||||||
総販売数量(注4) | 996 | 992 | △0.4% | ||||
GFB販売数量(注5) | 717 | 687 | △4.1% | ||||
自社たばこ製品売上収益 | 2,377 | 2,286 | △3.8% | ||||
自社たばこ製品売上収益 (参考:ドルベース) | 2,167 | 2,097 | △3.2% (2.2%) | ||||
Rest-of-the-World | |||||||
総販売数量(注4) | 1,310 | 1,467 | 12.0% | ||||
GFB販売数量(注5) | 716 | 787 | 10.0% | ||||
自社たばこ製品売上収益 | 3,653 | 3,642 | △0.3% | ||||
自社たばこ製品売上収益 (参考:ドルベース) | 3,333 | 3,338 | 0.2% (15.9%) |
※()内は、為替一定ドルベース 前年同期比増減率
(注4)製造受託、水たばこ製品及びRRPを除き、Fine cut、シガー、パイプ、スヌース及びクレテックを含めております。
(注5)当社グループのブランドポートフォリオの中核を担う「ウィンストン」「キャメル」「メビウス」「LD」の4ブランドをGFB(グローバル・フラッグシップ・ブランド)としております。
(注6)当社グループの海外たばこ事業をより深く理解していただくために、当該セグメントを4地域(South and West Europe、North and Central Europe、CIS+、Rest-of-the-World)に区分けしております。
South and West Europeにはフランス、イタリア、スペイン等、North and Central Europeにはドイツ、英国等、CIS+にはルーマニア、ロシア等、Rest-of-the-Worldにはイラン、台湾、トルコ等を含んでおります。
※ 米国ドルに対する為替レートは、以下のとおりです。
為替レート | 2018年12月期 第3四半期 連結累計期間 | 2019年12月期 第3四半期 連結累計期間 | 増減 | 増減率 |
USD/円 | 109.60 | 109.12 | △0.48 | 0.4%高 |
USD/RUB | 61.41 | 65.08 | 3.67 | 5.6%安 |
USD/GBP | 0.74 | 0.79 | 0.05 | 5.8%安 |
USD/EUR | 0.84 | 0.89 | 0.05 | 5.9%安 |
USD/CHF | 0.97 | 1.00 | 0.02 | 2.3%安 |
USD/TWD | 29.90 | 31.03 | 1.13 | 3.6%安 |
USD/TRY | 4.60 | 5.63 | 1.03 | 18.4%安 |
USD/IRR | 53,867 | 102,297 | 48,430 | 47.3%安 |
[医薬事業]
(単位:億円)
医薬事業 | 2018年12月期 第3四半期 連結累計期間 | 2019年12月期 第3四半期 連結累計期間 | 増減率 | |
売上収益 | 818 | 633 | △22.6% | |
調整後営業利益 | 193 | 78 | △59.4% |
<売上収益及び調整後営業利益>売上収益は、抗HIV薬6品の国内におけるライセンス契約解消の影響及び海外ロイヤリティ収入の減少等により、前年同期比22.6%の減収となりました。
調整後営業利益は、売上収益の減少により、前年同期比59.4%の減益となりました。
[加工食品事業]
(単位:億円)
加工食品事業 | 2018年12月期 第3四半期 連結累計期間 | 2019年12月期 第3四半期 連結累計期間 | 増減率 | |
売上収益 | 1,172 | 1,148 | △2.1% | |
調整後営業利益 | 21 | 29 | 40.0% |
<売上収益及び調整後営業利益>売上収益は、ステープル商品の販売が伸長したものの、主に利益率が低い商品の販売減少により、前年同期比2.1%の減収となりました。
調整後営業利益は、売上収益の減少、原材料費及び物流費の上昇があったものの、価格改定効果に加え、商品構成の改善及びコスト低減といった収益性改善の取り組みもあり、前年同期比40.0%の増益となりました。
(2)財政状態及びキャッシュ・フローの状況
① 財政状態の状況
[資産]
当第3四半期連結会計期間末現在の資産合計は、前年度末に比べ1,935億円減少し、5兆2,679億円となりました。これは、IFRS第16号適用に伴う使用権資産の増加があったものの、配当金の支払いに伴う現金の減少及び無形資産の償却並びに為替影響による減少があったこと等によるものです。
[負債]
当第3四半期連結会計期間末現在の負債合計は、前年度末に比べ1,256億円減少し、2兆6,354億円となりました。これは、運転資本需要増及び自己株式の取得に伴う短期借入を行なったものの、未払たばこ税の支払い及び為替影響による減少があったこと等によるものです。
[資本]
当第3四半期連結会計期間末現在の資本合計は、前年度末に比べ680億円減少し、2兆6,325億円となりました。これは、親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上による利益剰余金の増加があったものの、配当金の支払い及び自己株式の取得並びに為替影響による減少があったこと等によるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末現在の現金及び現金同等物は、前年度末に比べ1,004億円減少し、1,817億円となりました(前年同期末残高2,833億円)。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
当第3四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、2,578億円の収入(前年同期は4,276億円の収入)となりました。これは、主にたばこ事業による安定したキャッシュ・フローの創出があったものの、国内外におけるたばこ税及び法人税の支払いがあったこと等によるものです。
なお、当第3四半期連結累計期間における国内のたばこ税の支払額については、前年度末が金融機関の休
日であった影響から10ヶ月分となっております。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
当第3四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは、1,248億円の支出(前年同期は2,339億円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出があったこと等によるものです。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
当第3四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは、2,234億円の支出(前年同期は1,768億円の支出)となりました。これは、短期借入による収入があったものの、配当金の支払い及び自己株式の取得があったこと等によるものです。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について前事業年度の有価証券報告書に記載した内容から重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について前事業年度の有価証券報告書に記載した内容から重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費は、485億円です。
なお、当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)設備の新設、除却等の計画
前連結会計年度末における当連結会計年度1年間の設備投資計画(新設・拡充)は1,560億円としておりましたが、当第3四半期連結会計期間末において1,380億円に変更しております。
なお、セグメント毎の設備投資の主な内容・目的について前事業年度の有価証券報告書に記載した内容から重要な変更はありません。
(7)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資金需要
設備投資、運転資金、外部資源の獲得、借入の返済及び利息の支払い、配当金の支払い、自己株式の取得並びに法人税の支払い等に資金を充当しております。
② 資金の源泉
主として営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入、社債及びコマーシャル・ペーパーの発行により、必要とする資金を調達しております。
<キャッシュ・フロー>「(2)財政状態及びキャッシュ・フローの状況 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
<有利子負債>(注)
(長期負債)
社債(1年内償還予定を含む)は、前年度末現在6,104億円、当第3四半期連結会計期間末現在5,956億円、金融機関からの長期借入金(1年内返済予定を含む)は、前年度末現在1,293億円、当第3四半期連結会計期間末現在1,139億円です。
(短期負債)
金融機関からの短期借入金は、前年度末現在1,660億円、当第3四半期連結会計期間末現在2,983億円です。コマーシャル・ペーパーの発行残高は、前年度末現在720億円、当第3四半期連結会計期間末現在538億円です。
(注)当第1四半期連結会計期間より、リース負債を除いております。
③ 流動性
当社グループは、従来から営業活動により多額のキャッシュ・フローを得ており、今後も引き続き資金源になると見込んでおります。営業活動によるキャッシュ・フローは今後も安定的で、通常の事業活動における必要資金はまかなえると予想しております。また、当第3四半期連結会計期間末現在、国内・海外の主要な金融機関からのコミットメント融資枠があります。更に、コマーシャル・ペーパープログラム、アンコミットメントベースの融資枠、国内社債発行登録枠及びユーロMTNプログラム等があります。