有価証券報告書-第34期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)
経営者の視点による経営成績等の状況に関する主な注記は以下のとおりです。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次頁以降から記載しております。)
(IFRS第15号について)
当社グループは、当年度より、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」を適用しております。この
結果、従前の会計基準を適用した場合と比較して、当年度の連結損益計算書において、売上収益が10,944百万円及び販売費及び一般管理費等が70,905百万円(売上収益の控除とした販売促進費9,028百万円及び売上原価とした運賃保管費28,000百万円を含む)それぞれ減少し、売上原価が59,962百万円増加しております。
なお、営業利益及び当期利益に与える影響はありません。詳細は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」をご参照ください。
(非GAAP指標について)
当社グループは、当社が適用する会計基準であるIFRSにおいて定義されていない非GAAP指標を追加的に開示し
ております。非GAAP指標は、当社グループが中長期的に持続的な成長を目指す上で、各事業運営の業績を把握するために経営管理にも利用している指標であり、財務諸表の利用者が当社グループの業績を評価する上でも、有用な情報であると考えております。
調整後営業利益
営業利益(損失)から買収に伴い生じた無形資産に係る償却費、調整項目(収益及び費用)を除いた調整後営業利益を開示しております。調整項目(収益及び費用)はのれんの減損損失、リストラクチャリング収益及び費用等です。
また、為替一定ベースの調整後営業利益の成長率も追加的に開示しております。これは、海外たばこ事業における当期の調整後営業利益を前年同期の為替レートを用いて換算・算出することにより、為替影響を除いた指標です。当社グループは、為替一定ベースの調整後営業利益の成長率における、中長期に亘る年平均mid to high single digit成長を全社利益目標としており、その達成を目指してまいります。
(自社たばこ製品売上収益について)
たばこ事業においては、自社たばこ製品に係る売上収益を、売上収益の内訳として開示しております。具体的には、国内たばこ事業においては、国内免税市場及び当社の中国事業部管轄の中国・香港・マカオ市場における売上収益並びにRRPに係る売上収益が含まれていますが、輸入たばこ配送手数料等に係る売上収益は含まれておりません。また、海外たばこ事業においては、水たばこ製品及びRRPに係る売上収益が含まれていますが、物流事業及び製造受託等に係る売上収益は含まれておりません。
(RRPについて)
RRPは、E-Vapor製品及び加熱式たばこ等、喫煙に伴う健康リスクを低減させる可能性のある製品(Reduced-
Risk Products, RRP)を指しております。
E-Vapor製品は、たばこ葉を使用せず、装置内もしくは専用カートリッジ内のリキッド(液体)を電気加熱させ、発生するベイパー(蒸気)を愉しむ製品です。
一方、加熱式たばこは、たばこ葉を使用し、たばこ葉を燃焼させずに、加熱等によって発生するたばこベイパー(たばこ葉由来の成分を含む蒸気)を愉しむ製品です。
当社グループは、たばこ事業の将来に亘る持続的な成長のため、イノベーティブな製品の開発等に取り組んでおります。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は以下のとおりです。
(1)経営成績の状況
① 全社実績
(単位:億円)
<売上収益>売上収益は、海外たばこ事業において主に新興国通貨安に伴うネガティブな為替影響及び国内たばこ事業における紙巻販売数量減少影響を受けたものの、海外たばこ事業における単価上昇効果及び買収による数量効果に加えて、国内たばこ事業におけるRRP関連売上収益の増加及び紙巻単価上昇効果、医薬事業におけるロイヤリティ収入の増加により、前年度比3.6%増の2兆2,160億円となりました。
<調整後営業利益>為替一定ベースの調整後営業利益は、国内たばこ事業及び加工食品事業の減益はあるものの、海外たばこ事業及び医薬事業の増益に加え、前年に英国流通取引先の倒産申請に伴う一過性の損失があったことにより、前年度比8.9%増となりました。為替影響を含めた調整後営業利益は、ネガティブな為替影響を受けたことにより、前年度比1.7%増の5,955億円となりました。前年に発生した一過性の損失を除くと、為替一定ベースの調整後営業利益は4.9%増、為替影響を含めた調整後営業利益は1.9%減となりました。
<営業利益>営業利益は、買収に伴い生じた無形資産に係る償却費の増加等があったものの、調整後営業利益の増益及び不動産関連売却益の増加により、前年度比0.7%増の5,650億円となりました。
<親会社の所有者に帰属する当期利益>親会社の所有者に帰属する当期利益は、営業利益の増益はあるものの、金融費用の増加により前年度比1.7%減の3,857億円となりました。
② セグメント別実績
[国内たばこ事業]
(単位:億本、億円)
<紙巻販売数量>RRP市場の拡大及び趨勢減等により、紙巻総需要は前年度比12.4%減となりました。紙巻総需要の減少影響を受け、当社の紙巻販売数量も前年度比11.7%減となりました。紙巻シェアについては、主要ブランドの堅調なパフォーマンスにより、前年度比0.5パーセントポイント増の61.8%となりました。
なお、当年度における国内で製造した紙巻たばこの数量は、前年度に対し141億本減少し、833億本(前年度比14.4%減)となりました。
国内たばこ市場におけるRRPの市場占有率は、2018年1-12月で約21%(出荷ベース)と推計しています。当社のRRPの販売数量は紙巻たばこ換算ベースで28億本となりました。
<自社たばこ製品売上収益及び調整後営業利益>自社たばこ製品売上収益は、ポジティブな紙巻単価効果及びRRP関連売上収益等の増加があったものの、紙巻販売数量の減少影響等により、前年度比1.4%減となりました。RRP関連売上収益は646億円となっております。調整後営業利益は、紙巻販売数量の減少影響及び販促費の増加をRRP関連売上収益等の増加影響及びポジティブな紙巻単価効果が一部相殺し、前年度比10.0%減となりました。
(注1)紙巻総需要は、日本市場全体における紙巻たばこの販売数量を指しております。なお、RRP等の販売数量は含まれておりません。
(注2)当該数値の他に、国内免税市場及び当社の中国事業部管轄の中国・香港・マカオ市場の当年度における販売数量40億本(前年度の当該数量は40億本)があります。なお、当該数値にはRRP等の販売数量は含まれておりません。
[海外たばこ事業]
(単位:億本、億円)
(単位:百万ドル)
※()内は、為替一定ドルベース 前年度比増減率
<販売数量及び市場シェア>総販売数量は、インドネシア・エチオピア・ギリシャ・バングラデシュ・フィリピン・ロシアにおける買収効果により、前年度比7.3%増となりました。買収効果を除いた総販売数量は、前年度比1.1%減となりました。イタリア・イラン・オランダ・スイス・スウェーデン・スペイン・チェコ・ドイツ・ハンガリー・米国・ポーランド・ルクセンブルク・複数の新興市場における販売数量及び市場シェアの伸長があったものの、台湾・フランス・ロシア等における総需要減少影響により減少しました。
GFB販売数量は、ウィンストン(+3.9%)・キャメル(+2.8%)・LD(+2.2%)の数量増が牽引し、前年度比2.3%増となりました。また、市場シェアは主要市場であるイタリア・スペイン・英国・台湾・フランス・ロシアにおいて伸長しました。
なお、当年度における製造委託を含めた海外での製造数量は、前年度に対し366億本増加し、4,330億本(前年度比9.2%増)となりました。
<自社たばこ製品売上収益及び調整後営業利益>自社たばこ製品売上収益は、買収効果及び単価上昇効果の力強い発現により、前年度比6.3%増となりました。調整後営業利益は、買収を行った市場における事業強化に向けた投資の増加があったものの、売上収益の増加により前年度比9.5%増となりました。前年に発生した一過性の損失を除くと調整後営業利益は3.0%増となりました。なお、自社たばこ製品売上収益・調整後営業利益ともにネガティブな為替影響を受けております。
ドルベースの自社たばこ製品売上収益は、主にイラン・ウクライナ・カナダ・スーダン・台湾・フィリピン・ルーマニア・ロシアにおける単価上昇効果及び数量効果がネガティブな為替影響を上回り、前年度比7.9%増、為替一定ベースでは12.2%増となりました。
為替一定ベースの調整後営業利益は、前年に発生した一過性の損失を除くと単価上昇効果を主因に14.3%増となりました。
(注3)製造受託、水たばこ製品及びRRPを除き、Fine cut、シガー、パイプ、スヌース及びクレテックを含めております。
※ 当年度における米国ドルに対する為替レートは、以下のとおりです。
[医薬事業]
(単位:億円)
<売上収益及び調整後営業利益>売上収益は、導出品の販売拡大に伴うロイヤリティ収入の増加及び導出品に係るマイルストーン収入により前年度比8.9%の増収となりました。調整後営業利益については、研究開発費の増加はあるものの、売上収益の増加により前年度比18.0%の増益となりました。
[加工食品事業]
(単位:億円)
<売上収益及び調整後営業利益>売上収益は、ステープル商品及び調味料の販売が伸長したものの、その他商品の販売が減少したことにより、前年度比1.1%の減収となりました。調整後営業利益については、原材料費の高騰等により前年度比23.6%の減益となりました。
(2)財政状態及びキャッシュ・フローの状況
① 財政状態の状況
[資産]
当連結会計年度の資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,399億円増加し、5兆4,614億円となりました。これは、ロシア及びバングラデシュにおける企業結合に伴うのれんの増加等によるものです。
[負債]
当連結会計年度の負債合計は、前連結会計年度末に比べ3,815億円増加し、2兆7,610億円となりました。これは、短期借入金の返済及び社債の償還等があった一方で、社債を発行したこと等によるものです。
[資本]
当連結会計年度の資本合計は、前連結会計年度末に比べ1,416億円減少し、2兆7,004億円となりました。これは、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上による利益剰余金の増加があった一方で、配当金の支払いによる減少及び在外営業活動体の換算差額が減少したこと等によるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当年度末現在における現金及び現金同等物は、前年度末に比べ34億円減少し、2,821億円となりました(前年度末残高2,855億円)。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、4,614億円の収入(前年度は4,192億円の収入)となりました。これは、たばこ事業による安定したキャッシュ・フローの創出があった一方、国内外におけるたばこ税及び法人税の支払い等があったことによるものです。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
当年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、3,833億円の支出(前年度は3,526億円の支出)となりました。これは、ロシア及びバングラデシュにおける企業結合に伴う支出及び有形固定資産の取得等があったことによるものです。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
当年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、624億円の支出(前年度は770億円の支出)となりました。これは、社債の発行による収入があった一方で、配当金の支払い及び借入金の返済等があったことによるものです。
(3)生産、受注及び販売の実績
当社グループは、国内たばこ事業、海外たばこ事業、医薬事業及び加工食品事業において広範囲かつ多種多様な製品の生産・販売を行っており、その品目・形式・容量・包装等は多種類であること、また主要な製品については受注生産を行っていないことから、各セグメントの生産規模及び受注規模を金額及び数量で表示することはしておりません。
このため生産、受注及び販売の実績については、「(1)経営成績の状況」における各セグメントの業績に関連付けて記載しております。
なお、当社グループの売上収益総額に対する割合が100分の10以上の相手先に対する売上収益及びその割合については、以下のとおりです。
(注)海外たばこ事業において、ロシア等で物流・卸売事業を営むMegapolisグループに対して製品を販売しております。
(4)重要な会計方針
① IFRSの適用
当社グループは、1999年にRJRナビスコ社から米国外のたばこ事業を取得、2007年にGallaher社を買収し、70以上の国と地域で事業を展開、また130以上の国と地域で製品を販売するグローバル企業として着実な成長を続けてきました。こうした中で、日本において国際的な財務・事業活動を行っている上場企業に対して、2009年度よりIFRSの任意適用が認められたことを踏まえ、当社グループは、2011年度よりIFRSを適用することとしました。これにより、当社グループは資金調達手段の多様化、経営管理面での品質向上を目指してまいります。
② 重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断
当社グループの連結財務諸表は、収益及び費用、資産及び負債の測定並びに決算日現在の偶発事象の開示等に関する経営者の見積り及び仮定を含んでおります。これらの見積り及び仮定は過去の実績及び決算日において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づいております。しかし、その性質上、将来において、これらの見積り及び仮定とは異なる結果となる可能性があります。
見積り及び仮定は経営者により継続して見直しております。これらの見積り及び仮定の見直しによる影響は、その見積り及び仮定を見直した期間及びそれ以降の期間において認識しております。
上記のうち、当社グループの連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」をご参照ください。
(5)目標となる経営指標について
当社グループは、経営理念である「4Sモデル」の追求による、中長期に亘る持続的な利益成長が最も重要であると考えております。持続的利益成長の基盤である事業そのもののパフォーマンスを計るためには、為替影響、一時的要因及び特殊要因を除くことが適切と捉え、為替一定ベースの調整後営業利益の成長率における、中長期に亘る年平均mid to high single digit成長を全社利益目標としております。
2018年12月期は、為替一定ベースの調整後営業利益は前年度比8.9%増と、厳しい事業環境の中でも着実に利益成長を達成するとともに、当社グループの利益成長の中核且つ牽引役であるたばこ事業において、将来に亘る持続的な利益成長に向けた事業基盤を強化することが出来たと認識しております。
国内たばこ事業においては、当社のRRPであるプルーム・テックの全国拡販が完了し、RRP市場におけるプレゼンス向上を実現しました。また、利益創出の基盤である紙巻たばこ市場においても、シェアの向上を通じて、リーディングポジションをより強固なものとしております。
海外たばこ事業においては、主要市場におけるシェアの向上及びプライシングにより力強いパフォーマンスを発揮するとともに、2017年12月期に買収を完了したフィリピン、インドネシア、及びエチオピアの3つの市場においても統合施策の成果が着実に発現しており、収益基盤はより強固なものとなりました。
2019年12月期は、RRP・紙巻たばこトータルでのシェア向上及び適切なプライシングの追求により、たばこ事業全体でのmid to high single digit成長を目指すとともに、医薬事業・加工食品事業においても、事業基盤の再構築により引き続き、当社グループの利益成長の補完を目指してまいります。
当目標の達成に向けた経営方針等の詳細については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
(6)経営成績等に重要な影響を与える要因
当社グループの海外たばこ事業の拡大に伴い、その寄与分につき、為替の変動が連結財務諸表に影響を与えております。2018年12月期においては、為替一定ベースの調整後営業利益は前年度比8.9%増となった一方、為替影響を含めた調整後営業利益は前年度比1.7%増となり、ネガティブな為替影響を受けました。2019年12月期においても、ネガティブな為替影響を見込んでおります。
当社グループは、為替リスクを緩和すべく、収入通貨と支払通貨を合致させるナチュラルヘッジの実施に努めております。また、一部の為替リスクに対しては、デリバティブ又は外貨建有利子負債等を利用したヘッジを行っております。
以上を含む、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2事業等のリスク」をご参照ください。
(7)財務活動の基本方針
当社グループの財務活動の基本方針は、以下のとおりです。
① グループ内キャッシュマネジメント
グループ全体の資金効率を最大化するため、法制度上許容され、かつ経済合理性が認められることを前提として、主としてキャッシュマネジメントシステム(CMS)によるグループ内での資金貸借の実施を最優先としております。
② 外部資金調達
短期の運転資金については、金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパー又はその組み合わせ、中長期資金については、金融機関からの借入、社債、株主資本又はその組み合わせにより調達することを基本としております。
安定的で効率的な資金調達のために、複数のコミットメント融資枠を設定するなど、取引する金融機関と資金調達手段の多様性を維持しております。
③ 外部資金運用
外部資金運用においては、安全性と流動性を確保した上で、適切な収益を求め、また投機的取引を行ってはならないことを定めております。
④ 財務リスク管理
当社グループは、経営活動を行う過程において、財務上のリスク(信用リスク・流動性リスク・為替リスク・金利リスク・市場価格の変動リスク)に晒されており、当該リスクを回避又は低減するために、一定の方針に基づきリスク管理を行っております。主要な財務上のリスク管理の状況については、定期的に当社の社長及び取締役会への報告を行っております。
また、当社グループの方針として、デリバティブは、実需取引のリスク緩和を目的とした取引に限定しており、投機目的やトレーディング目的の取引は行っておりません。
なお、財務リスク管理の詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 34.金融商品 (2)リスク管理に関する事項から(8)市場価格の変動リスク」までをご参照ください。
(8)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資金需要
設備投資、運転資金、外部資源の獲得、借入の返済及び利息の支払い、配当金の支払い、自己株式取得並びに法人税の支払い等に資金を充当しております。
重要な資本的支出の予定及び資金の調達方法については、「第3 設備の状況 3設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。
② 資金の源泉
主として営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入、社債及びコマーシャル・ペーパーの発行により、必要とする資金を調達しております。
<キャッシュ・フロー>「(2)財政状態及びキャッシュ・フローの状況 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
<有利子負債>当社グループの当年度末現在の有利子負債の返済・償還予定額は以下のとおりです。
(単位:億円)
(長期負債)
社債(1年内償還予定を含む)は、前年度末現在3,322億円、当年度末現在6,104億円、金融機関からの長期借入金(1年内返済予定を含む)は、それぞれ719億円、1,293億円です。長期リース債務は、前年度末現在93億円、当年度末現在88億円です。
当年度末現在、長期債務格付は、ムーディーズジャパン㈱ではAa3(ネガティブ)、スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン㈱ではAA-(ネガティブ)、㈱格付投資情報センター(R&I)ではAA(安定的)となっており、同日現在、国際的なたばこ会社の信用格付としてはそれぞれ最高レベルです。
格付は、事業を行う主要市場の発展及び事業戦略の成功、並びに当社グループではコントロールできない全般的な景気動向等、数多くの要因によって影響を受けます。格付は随時、撤回あるいは修正される可能性があります。格付はそれぞれ、他の格付と区別して単独に評価されるべきものです。JT法のもと、当社により発行される社債には、当社の一般財産に対する先取特権が付されております。この権利により、国税及び地方税並びにその他の法定債務を例外とし、償還請求において社債権者は無担保債権者よりも優先されます。
(短期負債)
金融機関からの短期借入金は、前年度末現在2,742億円、当年度末現在1,660億円です。コマーシャル・ペーパーの発行残高は、前年度末現在668億円、当年度末現在720億円です。短期リース債務は、前年度末現在13億円、当年度末現在10億円です。
③ 流動性
当社グループは、従来から営業活動により多額のキャッシュ・フローを得ており、今後も引き続き資金源になると見込んでおります。営業活動によるキャッシュ・フローは今後も安定的で、通常の事業活動における必要資金はまかなえると予想しております。また、当年度末現在、国内・海外の主要な金融機関からの4,785億円のコミットメント融資枠があり、その全てが未使用です。更に、コマーシャル・ペーパープログラム、アンコミットメントベースの融資枠、国内社債発行登録枠及びユーロMTNプログラム等があります。
(9)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりです。
(のれんの償却に関する事項)
日本基準の下で、のれんの償却については、実質的に償却年数を見積り、その年数で償却することとしておりましたが、IFRSではIFRS移行日以降の償却を停止しております。
この影響によりIFRSでは日本基準に比べて、のれん償却額(販売費及び一般管理費)は前年度121,828百万円、当年度133,440百万円減少しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次頁以降から記載しております。)
(IFRS第15号について)
当社グループは、当年度より、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」を適用しております。この
結果、従前の会計基準を適用した場合と比較して、当年度の連結損益計算書において、売上収益が10,944百万円及び販売費及び一般管理費等が70,905百万円(売上収益の控除とした販売促進費9,028百万円及び売上原価とした運賃保管費28,000百万円を含む)それぞれ減少し、売上原価が59,962百万円増加しております。
なお、営業利益及び当期利益に与える影響はありません。詳細は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」をご参照ください。
(非GAAP指標について)
当社グループは、当社が適用する会計基準であるIFRSにおいて定義されていない非GAAP指標を追加的に開示し
ております。非GAAP指標は、当社グループが中長期的に持続的な成長を目指す上で、各事業運営の業績を把握するために経営管理にも利用している指標であり、財務諸表の利用者が当社グループの業績を評価する上でも、有用な情報であると考えております。
調整後営業利益
営業利益(損失)から買収に伴い生じた無形資産に係る償却費、調整項目(収益及び費用)を除いた調整後営業利益を開示しております。調整項目(収益及び費用)はのれんの減損損失、リストラクチャリング収益及び費用等です。
また、為替一定ベースの調整後営業利益の成長率も追加的に開示しております。これは、海外たばこ事業における当期の調整後営業利益を前年同期の為替レートを用いて換算・算出することにより、為替影響を除いた指標です。当社グループは、為替一定ベースの調整後営業利益の成長率における、中長期に亘る年平均mid to high single digit成長を全社利益目標としており、その達成を目指してまいります。
(自社たばこ製品売上収益について)
たばこ事業においては、自社たばこ製品に係る売上収益を、売上収益の内訳として開示しております。具体的には、国内たばこ事業においては、国内免税市場及び当社の中国事業部管轄の中国・香港・マカオ市場における売上収益並びにRRPに係る売上収益が含まれていますが、輸入たばこ配送手数料等に係る売上収益は含まれておりません。また、海外たばこ事業においては、水たばこ製品及びRRPに係る売上収益が含まれていますが、物流事業及び製造受託等に係る売上収益は含まれておりません。
(RRPについて)
RRPは、E-Vapor製品及び加熱式たばこ等、喫煙に伴う健康リスクを低減させる可能性のある製品(Reduced-
Risk Products, RRP)を指しております。
E-Vapor製品は、たばこ葉を使用せず、装置内もしくは専用カートリッジ内のリキッド(液体)を電気加熱させ、発生するベイパー(蒸気)を愉しむ製品です。
一方、加熱式たばこは、たばこ葉を使用し、たばこ葉を燃焼させずに、加熱等によって発生するたばこベイパー(たばこ葉由来の成分を含む蒸気)を愉しむ製品です。
当社グループは、たばこ事業の将来に亘る持続的な成長のため、イノベーティブな製品の開発等に取り組んでおります。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は以下のとおりです。
(1)経営成績の状況
① 全社実績
(単位:億円)
2017年12月期 | 2018年12月期 | 増減率 | ||||
売上収益 | 21,397 | 22,160 | 3.6% | |||
調整後営業利益 | 5,853 | 5,955 | 1.7% | |||
営業利益 | 5,611 | 5,650 | 0.7% | |||
当期利益(親会社所有者帰属) | 3,924 | 3,857 | △1.7% |
<売上収益>売上収益は、海外たばこ事業において主に新興国通貨安に伴うネガティブな為替影響及び国内たばこ事業における紙巻販売数量減少影響を受けたものの、海外たばこ事業における単価上昇効果及び買収による数量効果に加えて、国内たばこ事業におけるRRP関連売上収益の増加及び紙巻単価上昇効果、医薬事業におけるロイヤリティ収入の増加により、前年度比3.6%増の2兆2,160億円となりました。
<調整後営業利益>為替一定ベースの調整後営業利益は、国内たばこ事業及び加工食品事業の減益はあるものの、海外たばこ事業及び医薬事業の増益に加え、前年に英国流通取引先の倒産申請に伴う一過性の損失があったことにより、前年度比8.9%増となりました。為替影響を含めた調整後営業利益は、ネガティブな為替影響を受けたことにより、前年度比1.7%増の5,955億円となりました。前年に発生した一過性の損失を除くと、為替一定ベースの調整後営業利益は4.9%増、為替影響を含めた調整後営業利益は1.9%減となりました。
<営業利益>営業利益は、買収に伴い生じた無形資産に係る償却費の増加等があったものの、調整後営業利益の増益及び不動産関連売却益の増加により、前年度比0.7%増の5,650億円となりました。
<親会社の所有者に帰属する当期利益>親会社の所有者に帰属する当期利益は、営業利益の増益はあるものの、金融費用の増加により前年度比1.7%減の3,857億円となりました。
② セグメント別実績
[国内たばこ事業]
(単位:億本、億円)
国内たばこ事業 | 2017年12月期 | 2018年12月期 | 増減率 | |
紙巻総需要(注1) | 1,514 | 1,327 | △12.4% | |
紙巻販売数量(注2) | 929 | 820 | △11.7% | |
自社たばこ製品売上収益 | 5,906 | 5,824 | △1.4% | |
調整後営業利益 | 2,323 | 2,090 | △10.0% |
<紙巻販売数量>RRP市場の拡大及び趨勢減等により、紙巻総需要は前年度比12.4%減となりました。紙巻総需要の減少影響を受け、当社の紙巻販売数量も前年度比11.7%減となりました。紙巻シェアについては、主要ブランドの堅調なパフォーマンスにより、前年度比0.5パーセントポイント増の61.8%となりました。
なお、当年度における国内で製造した紙巻たばこの数量は、前年度に対し141億本減少し、833億本(前年度比14.4%減)となりました。
<自社たばこ製品売上収益及び調整後営業利益>自社たばこ製品売上収益は、ポジティブな紙巻単価効果及びRRP関連売上収益等の増加があったものの、紙巻販売数量の減少影響等により、前年度比1.4%減となりました。RRP関連売上収益は646億円となっております。調整後営業利益は、紙巻販売数量の減少影響及び販促費の増加をRRP関連売上収益等の増加影響及びポジティブな紙巻単価効果が一部相殺し、前年度比10.0%減となりました。
(注1)紙巻総需要は、日本市場全体における紙巻たばこの販売数量を指しております。なお、RRP等の販売数量は含まれておりません。
(注2)当該数値の他に、国内免税市場及び当社の中国事業部管轄の中国・香港・マカオ市場の当年度における販売数量40億本(前年度の当該数量は40億本)があります。なお、当該数値にはRRP等の販売数量は含まれておりません。
[海外たばこ事業]
(単位:億本、億円)
海外たばこ事業 | 2017年12月期 | 2018年12月期 | 増減率 | ||
総販売数量(注3) | 3,985 | 4,276 | 7.3% | ||
GFB販売数量 | 2,604 | 2,664 | 2.3% | ||
自社たばこ製品売上収益 | 11,770 | 12,507 | 6.3% | ||
調整後営業利益 | 3,513 | 3,845 | 9.5% |
(単位:百万ドル)
海外たばこ事業 (参考:ドルベース) | 2017年12月期 | 2018年12月期 | 増減率 | ||
自社たばこ製品売上収益 | 10,498 | 11,330 | 7.9% (12.2%) | ||
調整後営業利益 | 3,138 | 3,493 | 11.3% (21.3%) | ||
調整後営業利益 (前年の一過性の損失除き) | 3,332 | 3,493 | 4.8% (14.3%) |
※()内は、為替一定ドルベース 前年度比増減率
<販売数量及び市場シェア>総販売数量は、インドネシア・エチオピア・ギリシャ・バングラデシュ・フィリピン・ロシアにおける買収効果により、前年度比7.3%増となりました。買収効果を除いた総販売数量は、前年度比1.1%減となりました。イタリア・イラン・オランダ・スイス・スウェーデン・スペイン・チェコ・ドイツ・ハンガリー・米国・ポーランド・ルクセンブルク・複数の新興市場における販売数量及び市場シェアの伸長があったものの、台湾・フランス・ロシア等における総需要減少影響により減少しました。
GFB販売数量は、ウィンストン(+3.9%)・キャメル(+2.8%)・LD(+2.2%)の数量増が牽引し、前年度比2.3%増となりました。また、市場シェアは主要市場であるイタリア・スペイン・英国・台湾・フランス・ロシアにおいて伸長しました。
なお、当年度における製造委託を含めた海外での製造数量は、前年度に対し366億本増加し、4,330億本(前年度比9.2%増)となりました。
<自社たばこ製品売上収益及び調整後営業利益>自社たばこ製品売上収益は、買収効果及び単価上昇効果の力強い発現により、前年度比6.3%増となりました。調整後営業利益は、買収を行った市場における事業強化に向けた投資の増加があったものの、売上収益の増加により前年度比9.5%増となりました。前年に発生した一過性の損失を除くと調整後営業利益は3.0%増となりました。なお、自社たばこ製品売上収益・調整後営業利益ともにネガティブな為替影響を受けております。
ドルベースの自社たばこ製品売上収益は、主にイラン・ウクライナ・カナダ・スーダン・台湾・フィリピン・ルーマニア・ロシアにおける単価上昇効果及び数量効果がネガティブな為替影響を上回り、前年度比7.9%増、為替一定ベースでは12.2%増となりました。
為替一定ベースの調整後営業利益は、前年に発生した一過性の損失を除くと単価上昇効果を主因に14.3%増となりました。
(注3)製造受託、水たばこ製品及びRRPを除き、Fine cut、シガー、パイプ、スヌース及びクレテックを含めております。
※ 当年度における米国ドルに対する為替レートは、以下のとおりです。
為替レート | 2017年12月期 | 2018年12月期 | 増減 | 増減率 |
USD/円 | 112.16 | 110.44 | △1.72 | 1.5%高 |
USD/RUB | 58.35 | 62.68 | 4.33 | 6.9%安 |
USD/GBP | 0.78 | 0.75 | △0.03 | 3.7%高 |
USD/EUR | 0.89 | 0.85 | △0.04 | 4.8%高 |
USD/CHF | 0.98 | 0.98 | △0.01 | 0.7%高 |
USD/TWD | 30.44 | 30.14 | △0.30 | 1.0%高 |
USD/TRY | 3.64 | 4.82 | 1.18 | 24.5%安 |
USD/IRR | 38,811 | 61,649 | 22,838 | 37.0%安 |
[医薬事業]
(単位:億円)
医薬事業 | 2017年12月期 | 2018年12月期 | 増減率 | |
売上収益 | 1,047 | 1,140 | 8.9% | |
調整後営業利益 | 241 | 284 | 18.0% |
<売上収益及び調整後営業利益>売上収益は、導出品の販売拡大に伴うロイヤリティ収入の増加及び導出品に係るマイルストーン収入により前年度比8.9%の増収となりました。調整後営業利益については、研究開発費の増加はあるものの、売上収益の増加により前年度比18.0%の増益となりました。
[加工食品事業]
(単位:億円)
加工食品事業 | 2017年12月期 | 2018年12月期 | 増減 | |
売上収益 | 1,631 | 1,614 | △1.1% | |
調整後営業利益 | 54 | 41 | △23.6% |
<売上収益及び調整後営業利益>売上収益は、ステープル商品及び調味料の販売が伸長したものの、その他商品の販売が減少したことにより、前年度比1.1%の減収となりました。調整後営業利益については、原材料費の高騰等により前年度比23.6%の減益となりました。
(2)財政状態及びキャッシュ・フローの状況
① 財政状態の状況
[資産]
当連結会計年度の資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,399億円増加し、5兆4,614億円となりました。これは、ロシア及びバングラデシュにおける企業結合に伴うのれんの増加等によるものです。
[負債]
当連結会計年度の負債合計は、前連結会計年度末に比べ3,815億円増加し、2兆7,610億円となりました。これは、短期借入金の返済及び社債の償還等があった一方で、社債を発行したこと等によるものです。
[資本]
当連結会計年度の資本合計は、前連結会計年度末に比べ1,416億円減少し、2兆7,004億円となりました。これは、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上による利益剰余金の増加があった一方で、配当金の支払いによる減少及び在外営業活動体の換算差額が減少したこと等によるものです。
② キャッシュ・フローの状況
当年度末現在における現金及び現金同等物は、前年度末に比べ34億円減少し、2,821億円となりました(前年度末残高2,855億円)。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、4,614億円の収入(前年度は4,192億円の収入)となりました。これは、たばこ事業による安定したキャッシュ・フローの創出があった一方、国内外におけるたばこ税及び法人税の支払い等があったことによるものです。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
当年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、3,833億円の支出(前年度は3,526億円の支出)となりました。これは、ロシア及びバングラデシュにおける企業結合に伴う支出及び有形固定資産の取得等があったことによるものです。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
当年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、624億円の支出(前年度は770億円の支出)となりました。これは、社債の発行による収入があった一方で、配当金の支払い及び借入金の返済等があったことによるものです。
(3)生産、受注及び販売の実績
当社グループは、国内たばこ事業、海外たばこ事業、医薬事業及び加工食品事業において広範囲かつ多種多様な製品の生産・販売を行っており、その品目・形式・容量・包装等は多種類であること、また主要な製品については受注生産を行っていないことから、各セグメントの生産規模及び受注規模を金額及び数量で表示することはしておりません。
このため生産、受注及び販売の実績については、「(1)経営成績の状況」における各セグメントの業績に関連付けて記載しております。
なお、当社グループの売上収益総額に対する割合が100分の10以上の相手先に対する売上収益及びその割合については、以下のとおりです。
相手先 | 2017年12月期 | 2018年12月期 | ||
金額(億円) | 割合(%) | 金額(億円) | 割合(%) | |
Megapolisグループ | 2,489 | 11.6 | 2,498 | 11.3 |
(注)海外たばこ事業において、ロシア等で物流・卸売事業を営むMegapolisグループに対して製品を販売しております。
(4)重要な会計方針
① IFRSの適用
当社グループは、1999年にRJRナビスコ社から米国外のたばこ事業を取得、2007年にGallaher社を買収し、70以上の国と地域で事業を展開、また130以上の国と地域で製品を販売するグローバル企業として着実な成長を続けてきました。こうした中で、日本において国際的な財務・事業活動を行っている上場企業に対して、2009年度よりIFRSの任意適用が認められたことを踏まえ、当社グループは、2011年度よりIFRSを適用することとしました。これにより、当社グループは資金調達手段の多様化、経営管理面での品質向上を目指してまいります。
② 重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断
当社グループの連結財務諸表は、収益及び費用、資産及び負債の測定並びに決算日現在の偶発事象の開示等に関する経営者の見積り及び仮定を含んでおります。これらの見積り及び仮定は過去の実績及び決算日において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づいております。しかし、その性質上、将来において、これらの見積り及び仮定とは異なる結果となる可能性があります。
見積り及び仮定は経営者により継続して見直しております。これらの見積り及び仮定の見直しによる影響は、その見積り及び仮定を見直した期間及びそれ以降の期間において認識しております。
上記のうち、当社グループの連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」をご参照ください。
(5)目標となる経営指標について
当社グループは、経営理念である「4Sモデル」の追求による、中長期に亘る持続的な利益成長が最も重要であると考えております。持続的利益成長の基盤である事業そのもののパフォーマンスを計るためには、為替影響、一時的要因及び特殊要因を除くことが適切と捉え、為替一定ベースの調整後営業利益の成長率における、中長期に亘る年平均mid to high single digit成長を全社利益目標としております。
2018年12月期は、為替一定ベースの調整後営業利益は前年度比8.9%増と、厳しい事業環境の中でも着実に利益成長を達成するとともに、当社グループの利益成長の中核且つ牽引役であるたばこ事業において、将来に亘る持続的な利益成長に向けた事業基盤を強化することが出来たと認識しております。
国内たばこ事業においては、当社のRRPであるプルーム・テックの全国拡販が完了し、RRP市場におけるプレゼンス向上を実現しました。また、利益創出の基盤である紙巻たばこ市場においても、シェアの向上を通じて、リーディングポジションをより強固なものとしております。
海外たばこ事業においては、主要市場におけるシェアの向上及びプライシングにより力強いパフォーマンスを発揮するとともに、2017年12月期に買収を完了したフィリピン、インドネシア、及びエチオピアの3つの市場においても統合施策の成果が着実に発現しており、収益基盤はより強固なものとなりました。
2019年12月期は、RRP・紙巻たばこトータルでのシェア向上及び適切なプライシングの追求により、たばこ事業全体でのmid to high single digit成長を目指すとともに、医薬事業・加工食品事業においても、事業基盤の再構築により引き続き、当社グループの利益成長の補完を目指してまいります。
当目標の達成に向けた経営方針等の詳細については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
(6)経営成績等に重要な影響を与える要因
当社グループの海外たばこ事業の拡大に伴い、その寄与分につき、為替の変動が連結財務諸表に影響を与えております。2018年12月期においては、為替一定ベースの調整後営業利益は前年度比8.9%増となった一方、為替影響を含めた調整後営業利益は前年度比1.7%増となり、ネガティブな為替影響を受けました。2019年12月期においても、ネガティブな為替影響を見込んでおります。
当社グループは、為替リスクを緩和すべく、収入通貨と支払通貨を合致させるナチュラルヘッジの実施に努めております。また、一部の為替リスクに対しては、デリバティブ又は外貨建有利子負債等を利用したヘッジを行っております。
以上を含む、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2事業等のリスク」をご参照ください。
(7)財務活動の基本方針
当社グループの財務活動の基本方針は、以下のとおりです。
① グループ内キャッシュマネジメント
グループ全体の資金効率を最大化するため、法制度上許容され、かつ経済合理性が認められることを前提として、主としてキャッシュマネジメントシステム(CMS)によるグループ内での資金貸借の実施を最優先としております。
② 外部資金調達
短期の運転資金については、金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパー又はその組み合わせ、中長期資金については、金融機関からの借入、社債、株主資本又はその組み合わせにより調達することを基本としております。
安定的で効率的な資金調達のために、複数のコミットメント融資枠を設定するなど、取引する金融機関と資金調達手段の多様性を維持しております。
③ 外部資金運用
外部資金運用においては、安全性と流動性を確保した上で、適切な収益を求め、また投機的取引を行ってはならないことを定めております。
④ 財務リスク管理
当社グループは、経営活動を行う過程において、財務上のリスク(信用リスク・流動性リスク・為替リスク・金利リスク・市場価格の変動リスク)に晒されており、当該リスクを回避又は低減するために、一定の方針に基づきリスク管理を行っております。主要な財務上のリスク管理の状況については、定期的に当社の社長及び取締役会への報告を行っております。
また、当社グループの方針として、デリバティブは、実需取引のリスク緩和を目的とした取引に限定しており、投機目的やトレーディング目的の取引は行っておりません。
なお、財務リスク管理の詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 34.金融商品 (2)リスク管理に関する事項から(8)市場価格の変動リスク」までをご参照ください。
(8)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資金需要
設備投資、運転資金、外部資源の獲得、借入の返済及び利息の支払い、配当金の支払い、自己株式取得並びに法人税の支払い等に資金を充当しております。
重要な資本的支出の予定及び資金の調達方法については、「第3 設備の状況 3設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。
② 資金の源泉
主として営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入、社債及びコマーシャル・ペーパーの発行により、必要とする資金を調達しております。
<キャッシュ・フロー>「(2)財政状態及びキャッシュ・フローの状況 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
<有利子負債>当社グループの当年度末現在の有利子負債の返済・償還予定額は以下のとおりです。
(単位:億円)
帳簿価額 | 1年以内 | 1年超~2年以内 | 2年超~3年以内 | 3年超~4年以内 | 4年超~5年以内 | 5年超 | |
短期借入金 | 1,660 | 1,660 | - | - | - | - | - |
短期リース債務 | 10 | 10 | - | - | - | - | - |
コマーシャル・ペーパー | 720 | 722 | - | - | - | - | - |
1年内返済予定の長期借入金 | 124 | 124 | - | - | - | - | - |
長期借入金 | 1,169 | - | 120 | 116 | 416 | 116 | 403 |
社債 | 6,104 | - | 800 | 833 | 300 | 1,183 | 3,022 |
長期リース債務 | 88 | - | 8 | 7 | 4 | 2 | 67 |
合計 | 9,876 | 2,516 | 928 | 955 | 720 | 1,300 | 3,492 |
(長期負債)
社債(1年内償還予定を含む)は、前年度末現在3,322億円、当年度末現在6,104億円、金融機関からの長期借入金(1年内返済予定を含む)は、それぞれ719億円、1,293億円です。長期リース債務は、前年度末現在93億円、当年度末現在88億円です。
当年度末現在、長期債務格付は、ムーディーズジャパン㈱ではAa3(ネガティブ)、スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン㈱ではAA-(ネガティブ)、㈱格付投資情報センター(R&I)ではAA(安定的)となっており、同日現在、国際的なたばこ会社の信用格付としてはそれぞれ最高レベルです。
格付は、事業を行う主要市場の発展及び事業戦略の成功、並びに当社グループではコントロールできない全般的な景気動向等、数多くの要因によって影響を受けます。格付は随時、撤回あるいは修正される可能性があります。格付はそれぞれ、他の格付と区別して単独に評価されるべきものです。JT法のもと、当社により発行される社債には、当社の一般財産に対する先取特権が付されております。この権利により、国税及び地方税並びにその他の法定債務を例外とし、償還請求において社債権者は無担保債権者よりも優先されます。
(短期負債)
金融機関からの短期借入金は、前年度末現在2,742億円、当年度末現在1,660億円です。コマーシャル・ペーパーの発行残高は、前年度末現在668億円、当年度末現在720億円です。短期リース債務は、前年度末現在13億円、当年度末現在10億円です。
③ 流動性
当社グループは、従来から営業活動により多額のキャッシュ・フローを得ており、今後も引き続き資金源になると見込んでおります。営業活動によるキャッシュ・フローは今後も安定的で、通常の事業活動における必要資金はまかなえると予想しております。また、当年度末現在、国内・海外の主要な金融機関からの4,785億円のコミットメント融資枠があり、その全てが未使用です。更に、コマーシャル・ペーパープログラム、アンコミットメントベースの融資枠、国内社債発行登録枠及びユーロMTNプログラム等があります。
(9)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりです。
(のれんの償却に関する事項)
日本基準の下で、のれんの償却については、実質的に償却年数を見積り、その年数で償却することとしておりましたが、IFRSではIFRS移行日以降の償却を停止しております。
この影響によりIFRSでは日本基準に比べて、のれん償却額(販売費及び一般管理費)は前年度121,828百万円、当年度133,440百万円減少しております。